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映画 マレーナ(2000) これぞモニカ・ベルッチのお勧め映画です

2018年08月28日 | 映画(ま行)
 今や53歳になったモニカ・ベルッチことベルッチ姐さん。2017年の世界で最も美しい顔ランキング100(女性)で未だに100以内に入っているベルッチ姐さん。50歳を超えてランキング入りしているのは勿論彼女だけ。イタリアの宝石と呼ばれるその美しさは50歳を超えても妖しく輝いている。何と言っても50歳代初のボンドガールを演じて、何時までもくよくよしているダニエル・グレイグ演じるジェームズ・ボンドをベッドで癒しを与えた。ア~、俺も癒されたい。
 そんなベルッチ姐さんの魅力が爆発しているのが今回紹介する映画マレーナ。舞台となるシチリア島の美しさもベルッチ姐さんの神秘的にさえ感じる美貌、そしてデカいオッパイ、いかしたお尻、ムチムチのエロボディの前には、彼女を引き立てる小道具にしか過ぎない。もっと世界中の人がベルッチ姐さんの素晴らしさに気づけば、世界は平和になるはずだ。

 さて、肝心の内容だが、12歳の少年がベルッチ姐さんを初めて見た時の美しさの感動のあまり、オナニーはするわ、ストーカーはするわ、彼女のパンティは盗むわ、彼女の家の中は覗くはで、犯罪レベルのエロエロ少年になってしまうストーリー、なんて言ってしまえば元も子もない。しかし、そんな少年でも立派に成長する青春物語だ。
 ベルッチ姐さん演じる主人公は27歳だが、12歳の少年が大人の女性の魅力にハマっていくことにまずは驚いた。俺が12歳の少年の時って、まだ10代のアイドルだった柏原芳恵ちゃんが好きだったことを考えれば、外国の少年の美しき女性を見る目の肥えていることに、レベルの違いを痛感してしまった。

 話が脱線ばかりしているが、それではちょっとエッチだけれどチョッピリ切なくなるストーリーの紹介を。
 1940年、第二次世界大戦中のイタリアのシチリア島が舞台。新婚ホヤホヤのマレーナ(モニカ・ベルッチ)だったが、結婚して2週間後に夫は戦場に行っており、今は独りで暮らしている。とにかくマレーナの美貌は凄い。彼女が歩いているだけで男性は少年から老人まで全員が振り向き、「いいケツしてるな~」等、ひそひそ話し合っている。一方、女性の方だが嫉妬からマレーナに反感を持っている。
 ある日のこと、自転車を買ってもらって喜んでいた12歳の少年レナート(ジュゼッペ・スルファーロ)は、マレーナを初めて見て更に大喜び。それ以来レナート君の頭はマレーナのことしか考えられないでいた。次第にシチリア島にも戦火の炎が近づいてくるが、戦争に行っていたマレーナの夫が戦死したとの連絡が村中に伝わってしまい・・・

 何度も書くがベルッチ姐さんが素敵すぎる。彼女が周りに流されることなく表情を変えずに歩き、そして殆ど喋らない。これが俺から見ればベルッチ姐さんの神秘性を高めているような気がした。レナート君はまだ12歳の少年なのに、ストーカー行為にはまってしまい、これは気持ち悪いぐらいのエロ親父に一直線に向かっていくように思えて心配した。しかし、彼はストーカー行為をしていたことが、結果的にだがマレーナの一番の理解者になっていった展開に説得力があった。
 途中でマレーナがボロボロになっていくが、戦争とは高貴で美しい物を破壊してしまうということが大いにわかるし、男というのは女性のエロさに接して成長するんだということがよく理解できる。
 モニカ・ベルッチの素晴らしさを知りたい人、少年の成長物語が好きな人、ちょっとエロい映画を観たい人、男というのがどれだけ馬鹿なのか知りたい人・・・等などに今回は映画マレーナを紹介しておこう。

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 監督は今のイタリア映画界で孤軍奮闘している感じすらあるジュゼッペ・トルナトーレ。あの名作ニュー・シネマ・パラダイスの監督さん。他にも船から一歩も降りたことがない不思議な主人公を描いた海の上のピアニスト、残虐なシーンが多いサスペンスですが観終わった後に大きな感動が得られる題名のない子守唄、そして名優ジェフリー・ラッシュ主演のミステリー映画鑑定士と顔のない依頼人がお勧めです。
 
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映画 アラビアのロレンス(1963) アラブに命をかけた男のストーリー

2018年08月24日 | 映画(あ行)
 時に名作と呼ばれる映画は歴史上において英雄でもない人間にスポットを当てる時がある。例えばスタンリー・キューブリック監督の映画スパルタカス、メル・ギブソン監督の映画ブレイブ・ハート(ウィリアム・ウォレスが主人公)等がそう。両作品ともに暴政に苦しんだが故に反乱を起こす実在の人物であるスパルタカス、ウィリアム・ウォレスを描いているが結局は失敗に終わっているために、彼らには歴史上においては光を照らされていない。
 そして今回紹介する映画アラビアのロレンスも今更ここで載せなくても有名すぎるぐらいの名作である。しかし、本作の歴史上の実在の人物であるトーマス・エドワード・ロレンスだが、実はこの人物も歴史上において確たる功績を挙げているわけではないので、歴史上においてこの人も光を照らされていない。前述したスパルタカス、ウィリアム・ウォレスの2人は反乱に失敗したが、その後の歴史を振り返れば決して彼らの反乱は無駄ではなかったことに気づく。歴史をひも解けば、一番初めに改革をしようとした者は失敗するものであり、その後に現れる同じ志を持った人間によって成し遂げられるのが普通だ。
 さて、今回紹介する映画アラビアのロレンスの主人公であるトーマス・エドワード・ロレンスはどのように評価されるのだろうか?実は本作はいきなり主人公のトーマス・エドワード・ロレンスがバイク事故で亡くなるシーンから始まる珍しいパターン。その後に彼の葬式が行われた教会で多くの人が集まるのだが、彼らがロレンスを評価する言葉が次々に述べられるのだが賛否両論で極端に意見が分かれる。さて、彼は本当に英雄なのか、それとも偽善者なのか?

 アラブに広がる砂漠を背景に名シーンが連発する映画の印象が強いが、実はロレンスの人間味溢れるストーリーの紹介を。
 1916年、イギリス領エジプトのカイロの英国司令部において。何かと風変わりなことで知られているロレンス(ピーター・オトゥール)だったが、アラビア語に堪能だったことからアラブ方面へ行かされることになる。目的はオスマン帝国からの独立を目指して反乱を指揮しているファイサル王子(アレック・ギネス)と会い、現在のアラブ情勢の情報を得ること。アラブ人をガイドに付けて、ラクダものりこなせるようになるが、道中でアラブ民族同士が争うのに嫌気がさしてきた。
 ロレンスがファイサル王子の基地に向かうと、そこはオスマン帝国の空軍による爆撃を食らっている最中でアラブ反乱軍は成す術もなかった。ロレンスはファイサル王子と会談し、イギリスはアラブの独立闘争を助けることを約束する。ロレンスは一人になっていると、ある考えが浮かぶ。それはオスマン帝国軍の港湾都市であるアカバを攻撃すること。熱い砂漠を何日もかけて歩き、敵の背後をつく奇襲作戦だったが、誰も成功するとは思っていなかったが、まんまと成功を収める。しかし、ロレンスはアカバ攻略に際して、多々あるアラブ民族をまとめる難しさを痛感する様々な出来事を目にする。
 その後もロレンスはアラブの独立のために、アラブの民族衣装まで着てオスマン帝国軍と戦う。しかし、彼はアラブ独立の大義のために戦ってきたつもりが、そんな夢を打ち砕くことが裏では行われていたことを知ってしまい・・・

 よくロレンスは変人と言われることがあるが、ここで描かれるロレンスは人情に厚い。しかし、いざ戦うとなると多くの犠牲者を出してしまうし、アカバ攻撃にしても上司に連絡もせずに彼の独断の行動。時々、アラブが好き過ぎて我を忘れてしまうこともある。彼はアラブのために戦ったが結果はどうだったのだろう?それは今の中東を見ればわかる。中東に色々な国が出来上がってしまい、アラブの国同士で争い、しかもアメリカやロシアやイギリスなどの大国の思惑が絡んでいる状態が今まで続いている。よく言われるイギリスの三枚舌外交に利用されたというべきだろう。
 本作でよく語られるのは砂漠をとらえた映像美。砂漠の地平線からラクダに乗った人物がやって来るシーンはよく覚えているし、マッチの炎を消すと砂漠が現れるシーンは映画好きには語り継がれている。奥行きをかんじさせるショットの凄さなら、あらゆる映画の中でもっとも優れているいえるだろう。
 他にも戦闘シーンも印象に残るし、音楽も素晴らしい。しかし、個人的には冒頭のシーンを活かしたラストシーンに切なさと虚しさが湧き出てくる。そしてファイサル王子がロレンスに最後に出会ったときに語る台詞。これが世界の外交なんだということが理解できる。

 なぜ今の中東はアラブ民族同士で争うのかを知りたい人、世界の外交の厳しさを知りたい人、約3時間半という長時間の映画に耐えることが出来る人、砂漠の美しさと残酷さの両方を知りたい人、人間の内面も砂漠と同じで善悪があるということを理解したい人・・・等に映画アラビアのロレンスを今回はお勧めしておこう。

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 監督はイギリス人のデビッド・リーン。彼の映画は本作も含めて大スクリーンで見たくなる雄大さが特徴。ベニスを舞台にした中年男女の恋を描いた旅情、戦争映画でありながら日英米の軍人の違いを描いた戦場にかける橋、ロシアの大地の自然の厳しさを余すことなく描いたドクトル・ジバゴ、アイルランド独立を背景にした不倫映画ライアンの娘などお勧め多数です。




 
 
 

 
 

 


 
 
 
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映画 家族の肖像(1974) ヴィスコンティ監督の引きこもり映画

2018年08月22日 | 映画(か行)
 今や日本人の引きこもりは子供だけではなく大人にも多くみられる。その数は70万人と言われているが、もはや引きこもり大国ニッポンと言われるまでの数字の上昇だ。引きこもりの理由は色々あるだろうが、会社に行く気力がない、何もかもが面倒くさい、嫌いな人と出会うのが耐えられない・・・等あるだろうが、今回紹介する映画家族の肖像バート・ランカスター演じる老教授もこの映画を見ている限りだが、一歩も外に出歩かない引きこもりに見える。しかも、行動範囲が狭い。豪華なアパートに住んでいるが、自分の部屋とその上階をせいぜい行ったり来たり。この老教授の場合は人と会うのがどうやら苦痛。後は静かに本を読み、音楽を聴くことを楽しみ、多くの集められた絵画に囲まれて暮らすことに心の安らぎを感じている。ただ今の日本人の引きこもりと違って、どうやらカネは相当たくさん持っているようだ。
 さて、こんな老教授を主人公にした映画なのだが、果たして本当に面白いのか、そもそも観る価値はあるのか?なんて心配してしまいそうだが、静かに過ごしたい老教授にとっては有難迷惑な無礼者が押し寄せてきてからが面白い。

 それでは、描かれている舞台設計は非常に狭い空間だが、実は当時のイタリア社会を反映している奥深いストーリーの紹介を。
 ローマの中心地の豪邸に住んでいる老教授(バート・ランカスター)は絵画のコレクターを集めて、部屋中に絵画を飾っていた。絵画の中に囲まれて本を読んだり、音楽を聴いて静かに暮らすことに安らぎを覚えていた。しかし、ある日のこと教授と画商が値段の相談をしているところを利用して、大富豪夫人のビアンカ(シルヴァーノ・マンガーノ)が巧みに近寄ってきた。彼女の狙いは老教授の住んでいる上階の部屋を借りること。しかもビアンカの娘リエッタ(クラウディア・マルサーニ)、その彼氏のステファノ(ステファノ・パトリッツィ)、そしてビアンカの愛人であるコンラッド(ヘルムート・バーガー)が次々と現れてくる。
 教授はみずからの生活を壊されることを心配して上階を貸すことに反対していたのだが、あまりにもしつこく頼んでくるビアンカに根負けした教授は部屋を貸すことにする。ところがその日、上階を借りて住んでいたコンラッドは部屋を改造してしまい、下の階にいる教授の部屋は水浸しになる。あまりにも粗暴なコンラッドに手を焼いていた教授だったが、コンラッドが意外にも芸術全般に詳しいことを知り、次第に親近感が湧くようになってきた。
 ある日の夜、上階に住んでいたコンラッドの部屋で騒々しい音が聞こえる。教授が上階へ上がってみると、コンラッドが血まみれで倒れていたのだが・・・

 それにしても老人が住んでいるところに何とも我儘な奴らが侵入してきて、これは相当困った。勝手に部屋を改造するし、約束の晩餐には来ないし、若者三人が音楽をかけながらスッポンポンで踊っていたり、何かと教授を悩ませる。老教授からは考えられないジェネーレーションギャップのせいだと言いたいところだが、さすがの俺もこんな奴らが居候してきたら腹が立つ。
 それでも老教授は家族が出来なかったことへの後悔から、押し掛け四人組を夕食に呼ぶ。ところが老教授のおもてなしをこの四人組がぶち壊し。可愛い女性エリエッタはそれほど害があるように思わなかったが、残りの三人はイデオロギーの違いから言い争いから殴り合いに発展。まさに当時のイタリア社会は共産党主義的な政党が台頭してきたが、左翼が力を持てば右翼も伸びてくる。このようなイデオロギーの対立は世界中で見られるが、この夕食のシーンにルキノ・ヴィスコンティ監督の想いが出ている。ちなみにヴィスコンティ監督はヴィスコンティ家の貴族の末裔でありがら、彼は共産党主義。そのような知識があれば、より一層この映画を興味深く観ることができるだろう。
 ルキノ・ヴィスコンティ監督の名前は聞いたことがあるけれど彼の作品を観たことが無い人、家族というものをもう一度考え直したい人、この映画の制作時は共産主義が盛り上がったのになぜ今はすっかり下火になってしまったのかを知りたい人、自分が引きこもりであると自覚している人・・・等に今回は家族の肖像をお勧めしておこう


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バート・ランカスター,シルヴァーナ・マンガーノ,ヘルムート・バーガー
KADOKAWA / 角川書店


 当初はネオリアリズモの代表的監督として労働者を描いたこともあったが、貴族の末裔ということだけあって次第にカネが掛かっているような豪華な映画に変遷していく。貴族の滅んでいく様子を描いた映画が多い。けっこう日本でも人気のある監督だが、個人的には嫌いな作品も多い。お勧めは寛容さに心が救われる若者のすべて、女の執念の凄さを思い知ることができる夏の嵐が良いです。




 
 

 
 


 




 


 
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映画 野良犬(1949) 刑事映画のはしりです

2018年08月21日 | 映画(な行)
 犯人捜索に向けてベテランと新人といった組み合わせの映画なんかは今ではしょっちゅう見ることができるが、そんな刑事映画というジャンルのはしりと言えば、これから紹介する映画野良犬。最近は刑務所から囚人が脱走する事件がよくあるが、いったい看守は何をボケているんだ、と非常に腹立たしい気分になったりするが、本作の三船敏郎が演じる若手刑事はもっとおっちょこちょい。なんせ暑い日だったことを言い訳にして、バスの中で拳銃を盗まれてしまうのだから。拳銃は闇市を流れて、どうしようもないぐらいカネに困っている奴のところに流れてしまったから、さあ~大変。
 猛烈な責任感に突き動かされる若手刑事と彼をサポートする冷静なベテラン刑事がタッグを組んで犯人を追い込むストーリー。最近の刑事映画を観ていると、現場に出なくても事務所の机で昼飯を食っている最中に犯人を言い当ててしまうような適当な刑事を見かけたりすることがあるが、本作の刑事は徹底的に自分の足で歩き回り少しでも手がかりを得ようとする努力型の刑事。いくら今の時代はコンピューターが急激に進歩しているとしても、やっぱり刑事映画は何時の時代でも、コツコツと手掛かりを得るために現場を歩き回る刑事を登場させて欲しいと思う。

 さて、日本映画というよりも日本の遺産である黒澤明監督の作品。やっぱり彼はストーリーテラーだということを改めて再確認できるストーリーの紹介を。
 ある夏の暑い日の事。若い村上刑事(三船敏郎)は射撃訓練が終わって満員のバスに乗るが、その帰り道。身に付けていたコルト式拳銃を盗まれてしまう。慌てて盗人を追いかけようとするが、残念ながら見失ってしまう。コルト式の拳銃の中には銃弾が7発入っており、事の重大さに気づいた村上刑事はそれからは必死の捜索。まずは村上刑事は拳銃が売りさばかれることが多いとの情報を聞き、復員兵の姿に変装し闇市をひたすら歩き回る。ついに村上刑事は闇取引の現場を押さえることに成功するが、拳銃を持った男を捕まえるのに失敗。しかも淀橋で村上の拳銃を使われた事件が発生。責任を感じた村上刑事は辞表をだすが、先輩刑事に説得され淀橋の警察署のベテラン刑事佐藤(志村喬)と一緒に捜査をすることになる。佐藤刑事は何かと頼りになり次第に拳銃を持っている男に近づいていくのだが、村上刑事の拳銃が使われた殺人事件が起きてしまい・・・

 1949年の日本映画だから戦争が終わってから日がそれほど経っていない。闇市のシーンなんかは戦後の風景なんかこんな状態だったんだろうと感じさせる。そして戦後という舞台設定が活きているのが若い村上刑事(三船敏郎)と犯人役の木村功の2人の設定が戦争から帰ってきた復員兵であり、お互いに戦争中に生活品が入っているリュックサックを盗まれた経験を持っているということだ。そのことによってこの世の悪人を捕まえるために刑事になる道を進んだ三船敏郎演じる村上、そして逆にこの世の悪に染まっていく方向に行ってしまった木村功演じる犯人。実はこのことから善人も悪人も所詮は表裏一体なのだということがわかる。たしかに悪人への道を進んでしまった人間に同情を感じてしまったりする。しかし、本作からは絶対に社会が悪いからと言って悪人は決して許してはいけないというメッセージを感じることができる。そういう意味ではスリルを感じる娯楽映画と言えるが、社会派映画と言えなくもないだろう。
 そして村上刑事と犯人の最後の一騎打ちが印象的。2人が仁王立ちになり撃たれるか、それとも肉を斬らして骨を断つのかのにらみ合いが印象的。そんなクライマックスを盛り上げる音楽がけっこう長閑な音楽が使われていたりするのだが、これが意外に2人だけの世界を描く効果があった。さすがは黒澤明監督は凡人と目を付けるところが違う。
 そして本作はスティーヴン・スピルバーグ監督の激突!に影響を与えており、スピルバーグ監督はあるシーンをほとんどパクっている。黒澤明監督は今でも第一線で活躍する映画監督に多大な影響を与えていることは、本当に日本人として誇らしい気分になる。
 日本人なのに黒澤明監督の映画を観たことが無い人、ストーリーの良くできた刑事映画を観たい人、昔の日本映画を観たくなった人・・・等に映画野良犬を今回はお勧めしておこう。

野良犬 [DVD]
三船敏郎,志村喬,清水元,淡路恵子,木村功
東宝


 監督は日本を代表する世界の黒澤明。もう名作多数過ぎて世界にも誇れる作品ばかり。今回は同じ刑事映画として天国と地獄をお勧め映画に挙げておこう。
 

 
 

 
 



 


 


 
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映画 ニノチカ(1939) ソビエト連邦を風刺しています

2018年08月18日 | 映画(な行)
 かつて第二次世界大戦において日本は降伏しているのに、わが北方領土を強奪したソビエト連邦と言うヤクザ以上に恐ろしい武闘派大国があった。ソ連の台頭とともにドミノ倒しのように共産党国家が誕生した。しかし、うっかり金持ちになったらシベリア送りにされるような国は流石におかしいと気づいた人が多かったのか、今では少しだけ分裂してロシアという独裁政権型民主主義国家という新しいモデル国家が登場した。しかし、それでも面積の広さは世界一であり、今日においても世界に大きな存在感を示している。
 さて、ソ連とは1917年のロシア帝国時代に起きたロシア革命によって誕生した社会主義国家。それによってロシア帝国では皇帝による専制政治は終わり、階級なんか取っ払って富と財産はみんなで分け合いましょうと言った共産主義が生まれる。
 これぐらいの知識があった方が、面白く見ることができるのが今回紹介する映画ニノチカ。何かとソ連を風刺した笑えるコメディだ。高級なホテルに泊まるだけでもビクビクしている様子が笑えるし、共産主義国家ってどれだけ貧乏が人民に染み付いた国なんだよとビックリさせてくれる。

 さて、フランスの貴族とソ連の共産党員のかみ合わない恋愛が笑える内容を紹介しよう。
 ソ連から3人の男の役人がフランスのパリにやってきた。彼らの目的はロシア革命によって貴族から没収した宝石類を売りさばいて、お金に換えること。やがて迫りくる飢饉に備えようとしていたのだ。
 3人はパリの高級ホテルに泊まり、金庫に持ってきた宝石類を隠すのだが、そこにロシアからパリに亡命していたスワナ大公妃(アイナ・クレア)のスパイが彼らの話をこっそりと聞いていた。実は宝石類はワナ大公妃がかつて所有していたものであり、その話はスパイの知らせによって彼女の耳に入ってくる。
 スワナ大公妃は所有権を主張し、彼女の愛人であるレオン伯爵(メルヴィン・ダグラス)は裁判所等に働きかけ、宝石類の売買をできないようにしていた。
 ある日のこと、ソ連側は3人の仕事が全く進んでいないことを危惧し、お目付け役としてガチガチの共産主義者である女性のニノチカ(グレタ・ガルボ)をパリに送り込む。早速ニノチカはダメダメの男3人組にテキパキと仕事の指示をする。ニノチカはエッフェル塔の建築技術を盗むために道順を模索していたのだが、その時にレオン伯爵と出会い・・・

 最初こそグレタ・ガルボ演じるニノチカはガチガチの共産主義者だったのに、次第に恋の花咲くパリの魅力にハマっていく様子が笑える。
 そしてロシアから亡命した大公妃とガルボが出会って議論をする内容が楽しい。かつてのロシア帝政時代の貴族と今やソ連の共産党員であるニノチカとの意見のぶつかり合い。聞いている俺も少々参考になり、なるほどと思ったりした。こういうシーンを見ると自分と異なる意見を聞くことは大切なんだということに気づく。
 また、この二人はレオンをめぐって三角関係だというのも笑えるし、この二人の言い争いが終わった後にニクイ演出があるのも楽しい。そして本作の良さにウィットに富んだ台詞が多く出てくるのがあり、共産主義国家の駄目さを笑いで表現したいるのも非常に楽しい。昔の映画のコメディは非常に洗練されていて観ていて気持ち良い、熟練した演出を堪能できる。
 往年の大女優であるグレタ・ガルボの名前は聞いたことがある人、エルンスト・ルビッチ監督の演出を堪能したい人、共産主義というのが今は流行らない理由を知りたい人・・・等に今回は映画ニノチカをお勧め映画として挙げておこう。


ニノチカ [DVD] FRT-147
エルンスト・ルビッチ,シグ・ルーマン,メルヴィン・ダグラス,グレタ・ガルボ,アイナ・クレアー
ファーストトレーディング


 監督はエルンスト・ルビッチ。いかにもな洗練された台詞まわし、そしてストーリー運びが印象的な作品が多い。ハムレットの有名な台詞をタイトル名にした生きるべきか、死ぬべきか、マレーネ・ディードリッヒ主演の天使、なんだか救われた気分になれる天国は待ってくれる、そして文通というやり取りがノスタルジックな気分にさせる桃色の店などがお勧めです。

 
 


   
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映画 甘い生活(1960) 退廃したローマが見れる

2018年08月17日 | 映画(あ行)
 イタリアのローマと言えば、日本人もそうだが世界中の人が観光旅行に行きたがる憧れの都市。あの名作中の名作である映画ローマの休日を観て、ローマに行きたいと思った人は多いはずだ。ところがイタリア人の超有名監督がローマを描くと、そこには我々のイメージをぶっ壊すようなローマが現れる。退廃的、堕落しきったローマが描かれているのが今回紹介する映画甘い生活
 冒頭からローマの上空をキリスト像を吊るしたヘリコプターが飛んでいたり、主人公のイタリア男は彼女が居るのにも関わらず、セレブの美女をナンパ、ハリウッドからやってき美人女優とはトレビの泉で戯れて水遊びをしているし、上流階級は乱痴気パーティー。反カトリックやモラル崩壊を感じさせ、ローマに住む人の心の闇をえぐり取ったスキャンダラスな内容は、戦後のイタリア映画に現れたイタリアネオリアリズモ的な作品に終止符を打っただけでなく、世界中にも衝撃を与えた。

 さて、それでもやっぱりローマへ行ってみたいと思わせるストーリーの紹介を
 作家を夢見てローマにやって来たマルチェロ(マルチェロ・マストロヤン二)だったが、すっかりゴシップ記者に成り下がり、セレブな有名人が現れる高級クラブやカフェでシャッターチャンスを狙っている。しかも恋人のエマ(イヴォンヌ・フルノー)と一緒に住んでいるのに、セレブの美女マダレーナ(アヌーク・エーメ)をナンパするだけでなく、ハリウッドからやって来た美人女優シルビア(アニタ・エグバーグ)もナンパしてトレビの泉の中に入って遊んでいたりした。しかしながら彼の心はどこか満たされない。
 ある日のこと、マルチェロはエマを連れて、古い友人のスタイナー(アラン・キュニー)の自宅に行く。スタイナーは頭も良く、妻と子供二人で幸せそうに暮らしているのを見て、マルチェロは少しの安らぎを得て、自分も将来はスタイナーみたいに幸せに暮らそうと思うようになる。
 それでも、相変わらずマルチェロの女遊びは止まらず、上流階級の人の中に入り込み遊びまくる。しかし、ある日のことスタイナーが子供二人を道連れに無理心中おこしてしまう。そのことにショックを受けてしまったマルチェロは・・・

 伊達男のマルチェロ・マストロヤンニが彼女が居りながらナンパしまくるのが印象的。特にセレブな美女を口説きまくる様子は見ていて、羨ましいとは思うが、やっぱり俺には真実の愛が欲しい。そして、我々が憧れていたローマの退廃、堕落にショックを受ける。本作で描かれるローマからは、あの隆盛を極めていた頃の、ローマ帝国のプライドなんか何も感じられない。
 すっかりローマによって心身ともに疲れ切ったマルチェロが最後に見ることになる、浜辺に打ち上げらた怪魚は何を意味するのか?きっとそれは今の自分を象徴しているのだろう。それにしてもこれほど観終わった後に空虚な気分になる映画は珍しいが、これからは競馬や風俗にお金を使うのは控えようと思った。
 三時間もある長時間映画に耐えられる人、これからローマに行きたいと思っている人、人生の厳しさを知りたい人、フェデリコ・フェリーニ監督と聞いて心が躍る人、ヨーロッパの名作映画を観たい人・・・等に今回は映画甘い生活をお勧めとして挙げておこう。

甘い生活 デジタルリマスター版 [DVD]
マルチェロ・マストロヤンニ,アニタ・エクバーグ,アヌーク・エーメ,イヴォンヌ・フュルー
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 監督は前述したようにイタリアと言うよりも世界の巨匠フェデリコ・フェリーニ。彼の作品は今回紹介した甘い生活から作風が変わってしまいますが、個人的にはそれ以前の作品が好き。永遠の聖女とでも言うべきジェルソミーナの純真な心に感動する、人生の崖っぷちに追い込まれている詐欺師の姿を描く、騙されても騙されても決して希望を失わずに生きようとするカビリアの夜がお勧めです。





 


 
  


 
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映画 ブレードランナー(1982) アクション映画ですが・・・

2018年08月14日 | 映画(は行)
 公開当時はそれほどヒットしたわけではないが、後に色々なバージョンが出たり、昨年には続編が公開されるなど今やカルト的名作としての誉れ高いのが今回紹介するブレードランナー。当時は暗い、ハッキリしない、面白くない、なんだか変だなど散々な言われようだった。SF映画としてもなんだか視覚的にゴチャゴチャしていたり、アクションシーンに期待する映画でもない。
 しかし、今観るとSF映画というと宇宙が舞台といった概念をぶち壊し、科学の発展の悪の部分を描き、生と死を考えさせられる多くのテーマが内包されていることに気づく。

 当時、この映画を高く評価した人は本当に凄いと感じさせられるストーリーの紹介を。
 舞台は2019年、すっかり地球は環境汚染が進んでしまい酸性雨が降りっぱなし。その対策として人類は見た目も人間と変わらない人造人間(レプリカント)を創り出し、惑星を人間が住めるように開発するのにレプリカントを奴隷として送り出していた。
 しかし、レプリカントは人間以上に力が強く、知能もあり、やがて感情が芽生えてくる。レプリカントは人類に反乱を起こし、地球にレプリカントがやってくるのだが、それを始末するのがブレードランナーと呼ばれる捜査官たち。
 そしてある日のこと。レプリカントの6名が植民地化された惑星から脱出して、地球にやって来たとの情報を得る。しかも、一人のブレードランナーがレプリカントによって重傷を背負わされるという事件が発生。そこへ応援の要請を受けたのが、既に引退をしていた元ブレードランナーのデッガード(ハリソン・フォード)。次々とレプリカントを始末していくデッガードだったのだが、果たしてブレードランナー達は何のために地球にやって来たのだろうか・・・

 レプリカント達が自分を製造したタイレル社にやってくるが、レプリカントの首領格であるロイ・バティ(ルトガー・ハウアー)が絶望に打ちひしがれてタイレル社長を殺害するシーンが凄い。昔に観た時はとんでもない悪役だと思ったが、実は俺の大きな勘違いだった。希望を無くしてしまった人間の悲劇をレプリカントから教わった。
 ハリソン・フォード演じるブレードランナーだが、応援を要請されるぐらいだから相当な凄腕なのかと思いきや、意外にこれが大したことがない。レプリカントを拳銃で射殺するのだが、それほど拳銃の腕が良いようには思わなかったし、格闘戦になったら半殺し状態に陥っている。彼が凄いのは人間とレプリカントを見分ける能力が凄いということ。その他の映画で見せるタフガイスターのハリソン・フォードを期待してはいけない。
 人間とレプリカントが愛し合うことになる素っ頓狂な展開も観ている最中はどことなく泣けてくるし、今や人工知能ロボットの存在を考えると本作の世界観が決して絵空事でないことがわかる。そして近未来の世界のビジュアルが今となれば印象的な物が多いし、その後の映画に影響を与えていることがわかる。
 本作を未見の人は観てほしいし、俺と同じように続編のブレードランナ2049を、まだ未見の人は復習のために観るのも良し。単純な勧善懲悪のストーリーを好まない人には結構好かれるタイプの作品。今やSF映画の金字塔作品として今回はブレードランナーをお勧め映画として挙げておこう。

ブレードランナー ファイナル・カット [DVD]
ハリソン・フォード,ルトガー・ハウアー,ショーン・ヤング,ダリル・ハンナ,ジョアンナ・キャシディ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


 監督は今や大御所的な存在であるリドリー・スコット。本作も東洋的なムードを感じさせますが、異国を舞台にした映画が多い。お勧め作品は多数ですが個人的に最も好きのはキングダム・オブ・ヘブンです。

 

 
 

 
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映画 タロットカード殺人事件(2006) なかなかオチが決まってます

2018年08月13日 | 映画(た行)
 かつてはニューヨークを舞台にした映画を撮り続けてきたウディ・アレン監督。しかし、ニューヨークに飽きてしまったのか、それともニューヨークでの居心地が悪くなってしまったのか、一時のことだがロンドンを舞台にした映画を三作連発で撮ることになる。今回紹介するのは三連発の二作目にあたるタロットカード殺人事件。サスペンス仕立てであるが、遊び心満載の笑える作品になっている。
 ニューヨークからロンドンを舞台に変わったからと言って何かが変わるわけでもないだろうと思っていたが、さすがは名匠ウディ・アレン。イギリス特有の階級社会を見事に活かしきった作品を作り上げてしまった。そして、お得意の自虐的ギャグは本作でも絶好調。更に楽しいのはボインの女の子のスカーレット・ヨハンソンが観ている者の目を楽しませてくれること。

 まるでお爺ちゃんとお孫さんぐらいの年の差コンビニよる素人探偵2人組が難事件に挑むストーリーとは如何なるものか。
 休暇でロンドンにやって来ているジャーナリスト志望の女子大生サンドラー(スカーレット・ヨハンソン)はマジックショーを見に行くと、身なりの冴えない老マジシャンであるシド(ウディ・アレン)からいきなり指名され、人体が消える魔防箱の中に入れさせられる。
 驚いたことにサンドラーは魔法箱の中で先日亡くなった有名ジャーナリストの亡霊と遭遇。そして亡霊から巷を騒がしているタロットカード殺人事件の犯人が貴族階級に属するハンサムなピーター(ヒュー・ジャックマン)であることを知らされる。
 犯人探しに興味をもったサンドラーは嫌がるシドを巻き込んでピーターに近づくのだが・・・

 幽霊が時々現れて犯人の名前を教えてくれるだけでなく、証拠品のタロットカードの場所も教えてくれたりで、けっこう簡単に事件解決といきそうなものだが、これがそうは簡単に行かない。サンドラーの美貌とコスプレを活かしてピーターに近づくことには成功するのだが、なんせ老マジシャンのシドだが言っていることは面白いが、行動がトロくて、やる気が中途半端。俺から見ればサンドラーの足を引っ張っているようにしか見えなかった。そんな訳で庶民のくせに高貴な人物を装って、マジで富豪の犯人ピーターに近づくのだが、正体がバレそうでひやひやする。そこが本作の一番のスリルってか。
 それはそうと微妙なスリルがずっと続くので緊張感はあるし、登場人物が少ないのでサスペンスに付きものの誰が誰なのかわからないまま終了~なんてことになる心配もない。そして大した捻りはないが、連続でオチがつくところなんかは流石だと思わせる。
 とにかくわかり易い映画が観たい人、肩の力を抜いて映画を観たい人、ウディ・アレン監督の熟練のテクニックを堪能したい人、スカーレット・ヨハンソンが好きな人、そしてヒュー・ジャックマンが好きな人等に今回はタロットカード殺人事件をお勧め映画として挙げておこう。


タロットカード殺人事件 [DVD]
スカーレット・ヨハンソン,ヒュー・ジャックマン,イアン・マクシェーン,フェネラ・ウールガー,ケヴィン・R・マクナリー
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


 監督は前述したとおりウディ・アレン。お勧め映画多数だが、本作と同じくスカーレット・ヨハンソンが妖艶なマッチポイントを今回は挙げておこう。
 

 
 
 



 
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映画 静かなる男(1952)アイルランドの誇りを感じさせます

2018年08月11日 | 映画(さ行)
 よくアイリッシュ魂という言葉を聞くが、実は俺には何のことを言うのかよくわからない。しかし、本作を観れば何となくだがアイリッシュ魂を感じれることができる。だいたいアメリカ合衆国においても警察や消防隊で活躍するのはアイルランド系アメリカ人が比較的多い。なぜならケルト民族でありゲール語という語源を持っている彼らは体がデカくて、心が広い。そして本作に登場するアイルランド人はバーに通って酒やビールを呑み、歌をよく歌い、よそ者にも気さくに話しかけてくる。それでいて古いしきたりに拘ような頑固な部分も持ち合わせている。そしてこれは本当なのかどうか殴り合いが好き。本作でもそのようなアイルランド人の特徴が描かれているが、そこにはジョン・フォード監督らしい人情劇に仕立てて、全体的に詩情豊かに描かれているのが本作の特徴だ。

 アイルランドの緑豊かな風景が綺麗でありノスタルジックを感じさせ、それでいてアイルランド人の誇りを感じることができるストーリーの紹介を。
 アメリカからショーン(ジョン・ウェイン)が幼少期を過ごしたアイルランドのイニスフリー村に帰ってきた。彼は人手に渡っていた生家を買い取ろうとするのだが、地主の粗暴なレッド(ヴィクター・マクラグレン)もこの家を買い取ろうとしていたので2人の間には険悪な雰囲気が流れる。
 ある日のこと、ショーンは赤毛の女性メアリー(モーリン・オハラ)に一目惚れ。彼女もショーンのことを好きになるのには時間は掛からなかったが、実は彼女はレッドの妹。もちろんレッドが妹のメアリーとショーンの結婚を許すわけがないが、今や村中の人気者であるショーンは村人達のおかげもあり、ショーンとメアリーは結婚することになる。しかし、アイルランドでは奥さんになる方は持参金を持って嫁入りするという風習があるのだが、兄のレッドは持参金をメアリーに持たさなかった。アメリカの生活になれたショーンは持参金なんかどうでも良かったのだが、メアリーにとっては一大事。メアリーはショーンに兄のレッドから力づくで持参金を奪うように背中をおすのだが、ショーンはある事件を切っ掛けに二度と拳を使わないことを決めていたのだ。
メアリーはショーンが意気地なしだと思い、列車に乗ってダブリンへ行こうとする。それを見てショーンはついに意を決してレッドに殴り合いの喧嘩を挑むのだが・・・

 自然の豊かさに目が行き勝ちだが、ショーンとレッドが殴り合うシーンが素晴らしい。アイルランドの野原から小川を超えての怒涛の殴り合い。男同士のプライドを賭けた殴り合いが本当に気持ち良い。しかし、この殴り合いのシーンを女性が見たらきっと阿保らしいと思われないかちょっと心配。世の中の風潮として殴り合いの喧嘩なんて問題外なんて言う人が多いだろう。しかし、男のプライドを賭けた殴り合いは時に真の友情を育むことがある。
 しかし、こんなシーンを撮れる監督はもう居ないな。ジョン・フォード監督の人情、ユーモア、抒情詩的な部分が最も活かされた映画であり、彼の数多い名作群の中では個人的に最も好きな映画が本作。観終わった後の爽快感は本当に良い映画を観た気分にさせてくれる。
 ジョン・フォード監督の作品は西部劇しか観たことが無い人、アイルランドに興味がある人、男ってやっぱり馬鹿だと思ってる人、人情喜劇のような映画が観たい人、男にとって一番大事なのは命よりもプライドだと信じている人・・・等に今回は静かなる男を紹介しておこう。


静かなる男 [DVD] FRT-190
フランシス・フォード/ウォード・ボンド/ジョン・ウェイン/ヴィクター・マクラグレン/モーリン・オハラ
ファーストトレーディング



 監督は前述した西部劇の神様と呼ばれるジョン・フォード。多くの傑作を世に遺した実績はまさにハリウッドの大巨人。西部劇の代表作駅馬車、スタインベックの原作の同名タイトルの怒りの葡萄、本作以上に詩情豊かな我が谷は緑なりきを今回はお勧め映画として挙げておこう。





 



 

 


 

 

 

 
 



 




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映画 インファナル・アフェア(2002)2人の男の葛藤が描かれています

2018年08月08日 | 映画(あ行)
 巨匠マーティン・スコセッシ監督がリメイクしたように抜群に面白い映画が今回紹介するインファナル・アフェア。香港アクション映画であり原題は無間道。この原題の意味するところは、仏教用語でいう無間地獄のこと。つまり、一度入ると抜け出せない、絶え間なく続く苦しみを指す。この原題の意味を知って本作を観れば、主人公である格好いい2人の男が善と悪の狭間で葛藤する様子に切なさが込みあがってくるはずだ。
 潜入捜査官としてマフィアの組織に入り込み、ボスから厚い信頼を得るまでになるトニー・レオン、そのマフィアの組織から警察に入り込み内部調査課の課長まで上り詰めたアンディ・ラウ。相対する境遇の2人の男。2人とも何かと優秀であるために違う世界でも出世してしまうが、それが地獄の苦しみの始まりだ。
 警察であるのに警察から追われるという矛盾に苦しみ、それ以上にいつ正体がバレてしまうかという不安から精神病院通いをする羽目になり、もう一方はマフィアの手先ながら刑事として過ごしていくうちに何時しか善人になりたいと願う気持ちが芽生えてくる。そんな2人に果たして未来はあるのか?やがて彼らは導かれるように宿命の対決を迎えるのだが。

 早速だが自らの正体を偽って生きていくことの辛さを思い知らされるストーリーの紹介を
 マフィアに拾ってもらった青年ラウ(アンディ・ラウ)は組織の親分であるサム(エリック・ツァン)によって警察学校に送り込まれる。また警察学校でその優秀さをウォン警視(アンソニー・ウォン)から認められた青年ヤン(トニー・レオン)は警察学校を退学処分になるが、それはもちろん建前。実はサムのマフィア組織へ潜入捜査官として送り込まれたのだ。それから10年後、ラウは内部調査課の課長にまで昇進し、ヤンは親分サムの厚い信頼を得ることに成功していた。
 ある日のこと、ウォン警視はヤンから麻薬の密売が行われるとの情報を得る。警察側は密売現場を押さえようとするが、警察の情報はラウによってマフィア側に筒抜けになってしまう。マフィアの組織にしてみれば麻薬の密売に失敗、警察にすれば現場を押さえることができずに検挙に失敗。そのことによりお互いの組織にスパイがいることが判明。両者がスパイ探しをしていく内に警察とマフィアの争いもエスカレート。お互いにおびただしい犠牲者が出るが、それはラウとヤンの宿命の対決が近づくことを意味するのだが・・・

 いつ正体がバレるかのドキドキ感が非常に心地いい。香港映画といえばカンフー、銃撃戦のような見た目から派手な展開で楽しませることが多いが、本作は心理戦で楽しませる。それでいてインパクトのある死人も出てきたり、意表をついた展開もあったりで、香港映画にしては脚本がしっかりしているように感じた。
 しかし、本作を観ていて思うのは悪人が善人になろうとしても決してなり切れないこと。俺には本作の結末は、それは無いんじゃないの~!?なんて思えたが、これからも自分の正体をバレずに一生を過ごさないといけないことを考えると、まさに無間地獄。本作は三部作なのでその後の展開が楽しみだ。
 主役の2人は格好良くてアジアのスターと呼ばれることはあるし、個性的な脇役陣も良い。それに待ち合わせ場所がどうしてスターバックスじゃなくて、ビルの屋上なんだ?なんて疑問も湧いたが、考えてみれば誰も目に触れない場所といえば、なるほど屋上がうってつけだと妙に感心してしまった。
 ド派手なドンパチなんか無くても、スリルを味わえる映画なんか充分に作れる見本のような映画。ガラス、エレベーター、文字、携帯電話といった道具が巧みに使われているのも演出の妙を感じることができてポイントが高い。いつも当ブログでは小難しい映画ばかり紹介しているような気がするが、今回は誰が観ても面白い映画としてインファナル・アフェアをお勧め映画として紹介しておこう。

インファナル・アフェア [DVD]
トニー・レオン,アンディ・ラウ
ポニーキャニオン




 


 

 
 

 

 


 

 


 

 


 

 

 


 
 
 


 

 


 

 



 

 

 

 

 

 
 



 

 
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映画 日の名残り(1993) これぞプロフェッショナルの仕事です 

2018年08月06日 | 映画(は行)
 もう昨年の事になるがノーベル文学賞を受賞したのはカズオ・イシグロ。その受賞者の名前を聞いて、日本人が受賞したのかと思った人が日本列島には多くいた?ようだが、実際は日系イギリス人。しかしながら、日本で生まれて、幼少期は日本で育ったのだから、日本と決して無関係ではない。そんな彼がイギリス文学の最高の栄誉とされるブッカー賞を受賞したのが日の名残り。今回紹介するのは同名タイトルの原作の映画化作品ということになる。

 貴族社会の雰囲気が漂い、俺も住みたいと思わせる豪華な屋敷、俺が欲しいと思わせる食器の数々、多くの使用人の中には可愛い子がいたり、俺もこの屋敷の主になってバラダ(僕の本名じゃないよ)さんなんて呼ばれずに、バラダ卿と貴族風によばれたいものだと思わせる。
 しかし、本作の独壇場を飾るのは名優アンソニー・ホプキンスが演じる屋敷の持ち主に仕える執事。この執事の仕事っぷりのストイックな姿勢が本当に素晴らしい。決して情に流されることなく、職務に邁進する姿勢はまさにプロフェッショナルそのもの。俺も仕事中は可愛い女の子の方ばかり見ていないで、もっと仕事に集中しようと思った。

 しかしながら何かとストイックな姿勢振りは、時に後悔を呼び起こすこともある。それではストーリーの紹介を簡単に。
 1958年のオックスフォードの大豪邸のダーリントンホールは前の持ち主のダーリン卿(ジェームズ・フォックス)から アメリカ人のかつては議員だったが今は引退している大富豪のアメリカ人のルイス(クリストファー・リーヴ)の所有になっていた。二人に仕えてきた執事のジェームズ・スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)だったが、かつての使用人はすっかち減ってしまい、スティーヴンス執事の力では手に負えない状況になっていた。
 ある日のこと、かつて使用人として優秀で自らを助けてくれたベン夫人(エマ・ワトソン)から手紙がくる。その手紙の内容から彼女を再び使用人として向けえることが出来ると思い、また別の想いを胸に彼女と待ち合わせの場所へ向かうのだが・・・

 実は映画は回想部分が殆ど。まだ前の主でありダーリン卿に執事として仕えていた時代のシーンが多くある。確かに色々と印象的なシーンがあるがジェームズが父親のウィリアム・スティーヴンス(ピーター・ヴォーン)使用人に雇うが、重大な国際会議でへまをしそうに思ったら、容赦なく格下げ。そして父親のウィリアムが仕事中に倒れて亡くなっても、彼は仕事をこなすことが第一だとお客さんを世話することを優先する。
 恋愛に臆病なジェームズだが、ひそかにミス・ケントン(結婚後はミス・ベン)(エマ・ワトソン)に恋する気持ちがあり、ミス・ケントンも彼に恋をしていたのだが、とにかく情にながされないジェームズはいかなる時でも恋をしてしまうと仕事に差し障りがあるとばかりに、ひたすら仕事に打ち込む。
 そして使える主人のダーリン卿がナチス擁護する立場に少し違和感があるようだが、それでも彼はダーリントン卿の人間性を否定することはせずに、一生懸命に彼のために仕事をする。ストイックな仕事ぶりはまさにプロフェッショナル。
 仕事よりも遊びが好きな俺も少しぐらいはアンソニー・ホプキンス演じる執事を見習わないといけないと反省した。
 しかしながら、そのストイックさはやがて悲哀へと導いてしまう。時代の変遷、残酷な時の流れ、時代と言うものをなかなか読めないが、そこに対応できなかった者の悲劇を感じさせられた。
 カズオ・イシグロと聞いて興味が惹かれた人、ストイックに仕事をする男って恰好良いと思っている人、中年の大人の恋愛映画を観たい人、イギリスらしい上品で洗練された映画を観たい人・・・等などにお勧めです。

日の名残り コレクターズ・エディション [AmazonDVDコレクション]
アンソニー・ホプキンス, エマ・トンプソン, ジェイムズ・フォックス, クリストファー・リーヴ, ヒュー・グラント
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督はイギリス人監督のジェームズ・アイヴォリー。英国社会を風刺的に描き、なかなか洗練された作品を撮るイメージがあります。お勧めはハワーズ・エンド眺めのいい部屋が良いです。 

 





 

 

 
 

 

  

 

   
 
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