褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ルワンダの涙(2005) ジョン・ハートのお勧め作品です

2017年02月26日 | 映画(ら行)
 もう先月(1月27日)のことになるが、エレファントマンの主役で有名なジョン・ハートが亡くなった。他に彼が主演した映画で印象的な作品が今回紹介するルワンダの涙。1994年に勃発したルワンダ虐殺をテーマにした社会派映画だ。もしかしたらタイトル名にあるルワンダって何?と思う人がいるかもしれないが、アフリカ中部にある国のこと。実は俺だって本作の前に同じようなテーマを扱った映画ホテル・ルワンダを観るまではルワンダという国の存在を知らなかった。
 
 ここで少しばかりルワンダ虐殺に説明しておこう。ルワンダは多数派のフツ族と少数派のツチ族の2つの民族で殆んどが占められている。当時のフツ族のジュベナール・ハビャリマナ大統領が暗殺されたことを切っ掛けに、過激派フツ族が民兵を組織してツチ族を1994年の4月から7月の3ヵ月間で80万人を殺しまくったジェノサイド(虐殺)の事を言う。
 まあ、これぐらいは本作を観る前の予備知識で持っておいたほうが良いだろうし、更にアドバイスをするとしたら、途中でドッチが虐殺してるんだ?と混乱しないように『フツ族が加害者』『ツチ族が被害者』と書いた紙を用意した方が良いだろう。
 フツ族もツチ族も同じ黒人同士で見た目には殆んど違いがわからないし、片側の民族を抹殺することに何の意味があるのかサッパリわからないので日本人の常識では、なぜこのような大虐殺が起きてしまうのか理解に苦しむところだ。
 前述したホテル・ルワンダの方は黒人の視点で描かれているが、本作はジョン・ハートが主演なぐらいだから白人の視点で描かれている。黒人同士の民族争いなんかは大したことがないだろうと考えていたようなフシがあるように見えたが、実際に巻き込まれてみたらこの世の地獄だったことにビックリ仰天!白人が敬愛するキリスト教でもこの大虐殺は止められない。

 実はこの映画の原題は『Shooting Dogs』。つけられた邦題との違いが大きすぎるような気がするが、日頃から国連軍のお世話になっている我々日本人も原題の意味を観ている最中に気付いた時に愕然となるストーリーを簡単に紹介しよう。
 英語の教師であるイギリスの青年ジョー(ヒュー・ダンシー)はルワンダにやって来て、クリストファー神父(ジョン・ハート)が運営する公立技術専門学校に赴任する。ところがフツ族の大統領が暗殺される事件を切っ掛けに、フツ族で組織された民兵によって、ツチ族一掃作戦が開始。大量難民と化したツチ族の住民は平和維持のために国連軍が駐留し、人柄の優れたクリストファー神父を頼って、この学校に逃げてくるのだが・・・

 我々日本人から見ればルワンダという国は遠い異国の地であるが、実話を基にした本作を見ればルワンダという国に興味を持つはずだ。映画は歴史に埋もれた人物や出来事を教えてくれるから非常にありがたい教科書になる。しかも、本作は単なる歴史的事実を描いているだけでなく、色々なことを考えさせてくれる優れものの映画でもある。
 民族争いにより昨日の友が今日の敵になってしまうことに怒りを感じ、罪無き人間がナタで振るわれて惨殺されることに信仰心が揺らぎかけたり、国連軍のダメさを見せ付けられて『世界中が平和になりますように』と願っている俺の希望が打ち砕かれた気分になったり。
 極めつけが、ツチ族のお父さんが国連の軍人にお願いする台詞『せめて子供たちだけでも・・・』!この不条理な世の中が本当に嘆かわしい、アーメン。

 何だか絶望感に打ちひしがれた気分になるが、それでも最後の最後には感動が待っている。本作が生まれた背景には虐殺で死んだ人が居れば、生き残った人も居るということ。本編が終了した後に胸が熱くなる場面が出てくる。
 ルワンダという国に興味がある人、名優ジョン・ハートが好きというコアな人、アフリカに熱い想いを持っている人、『ホテル・ルワンダ』は観ているのにコッチは観ていない人、暗闇の中にほんの小さな希望の灯が感じられるような映画を観たい人・・・等にルワンダの涙をお勧め映画として紹介しておこう

ルワンダの涙 [DVD]
ジョン・ハート,ヒュー・ダンシー,クレア=ホープ・アシティ
エイベックス・ピクチャーズ


 監督はマイケル・ケイトン=ジョーンズ。この監督のお勧めはやっぱりメンフィス・ベル、そしてマイケル・J・フォックス主演のハートフルなドク・ハリウッド、そしてロバート・デ・ニーロとレオナルド・ディカプリオ共演のボーイズ・ライフが良いです。


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映画 レッドクリフ PartⅠ(2008) 三国志の赤壁の戦い

2017年02月24日 | 映画(ら行)
男ならば一度は読んだことがあるだろう吉川英治原作の三国志。その面白さは、1人で何百人も倒していく豪傑、まるで妖術を使うかの如き知将、などが百花繚乱の如く登場して謀略、知力、豪腕を発揮し、読む者に血肉沸き踊る興奮を感じさせる点があげられうだろう。
 そんな全編を通して面白い三国志だが、その中でもクライマックスとでも言うべき戦いが赤壁の戦い!。赤壁の戦いに焦点をしぼったのがレッドクリフ PartⅠと続編にあたるレッドクリフ PartⅡだ。
 歴史好き、三国志ファンでないと本作を楽しめないと思っている人がいるかもしれないが、観る前の予備知識など全くの不要。なぜなら日本公開のためだけのサービスだと思うが、本編が始まる前に日本語でその時代の中国の情勢を詳しく説明してくれてるし、そもそも三国志に大して思い入れのない人の方が純粋に楽しめるような気がする。

 レッドクリフを記事にするのにPartⅠとpartⅡを一緒にして紹介してしまおうとも考えたのだが、それでは手を抜いていると批判されるような気がしたので別々に紹介するとしよう。まずはPartⅠの方から。
 中国北部を制圧した曹操(チャン・フォンイー)は、いよいよ中国全土を支配に置くべく南下する。曹操の大軍の前に劉備(ヨウ・ヨン)の少ない兵力では大した抵抗もできずに敗走。劉備は部下であり、天才軍師として評判の諸葛亮孔明(金城武)の提案にしたがい、孔明を孫権(チャン・チェン)のもとへ送り出す。
 孔明は孫権の総司令である周喩(トニー・レオン)と出会い、最初の内は警戒されるが次第にお互いが意気投合。劉備と孫権はタッグを組んで、曹操の野望を打ち砕くべく赤壁にて迎え撃つのだが・・・

 とにかく流行りものの続編ありきのシリーズ物であり、もっとも盛り上がるはずの赤壁の戦いが始まる前にPartⅠは終わる。個人的にはこのようなやり方は嫌いなのだが、今どきの商売方法としてはこれが最も儲かりやすいやり方ってか!?
 それはさておき、我々が読んだ三国志では劉備にはたいそうな徳があり、勝手に優秀な人間が集まってくるイメージを持っているが本作を観たところ藁草履ばかり編んでいて、どこにそんな人を惹きつける魅力があるのか全くわからない。天才振りを発揮する孔明にしても本作に関しては、お笑い担当みたいな扱い方で活躍しているようには俺には見えなかった。
 むしろ凄いのは劉備の部下である趙雲張飛関羽の三人。原作を読んでいてもこの3人の強さは感じることができるが、実写版を見ていると更に凄いことになっている。それこそ1人で五、六十人の相手をぶちのめし、張飛なんかは素手で刀剣を持っている相手兵の中に飛び込んでいって倒してくるのだからその強さは超人ハルク級。孔明お勧めの戦術らしきものも出てくるが、この3人が居れば戦術の良し悪しに関係なく敵を血祭りにあげてくれる。
 確かに見ていてエンターテイメントに徹していることがよくわかる。しかし、俺が本作を観ていて1番共感できたのが中国統一を掲げた曹操が戦いを挑んだ真の目的、やっぱりそうだよな~なんて思いっきり納得できた。これだから三国志は男にとっては燃える要素がたくさんあるのだと気付かされた。
 ジョン・ウー監督らしくアクション映画として楽しめるし、彼の映画の特徴である白い鳩も効果的に使われていて楽しい。アジアの大スターが達の共演が楽しめるという意味でもレッドクリフ PartⅠを今回とりあえずお勧めしておこう
 


 








 
 

 
 
 
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映画 サムライ(1967) クールな殺し屋が見れます

2017年02月19日 | 映画(さ行)
 冒頭からなんだか意味深な文句が出てくる。『サムライの孤独ほど深いものはない・・・、武士道』。ちょんまげの格好をした侍(サムライ)が登場するのかと一瞬思ったが、本作は当時絶世のイケメンンの大スター、アラン・ドロン主演のフランス映画。フランスの大スターがカツラをかぶって、袴姿で刀を差して登場するわけがない。なるほどフランス人から見た日本のサムライ像とは、このようなものだったのかと少々わかったような気になる映画だ。
 アラン・ドラン演じるタイトル名のサムライとは拳銃一丁で人殺しを請け負う暗殺者のこと。とにかく寡黙で表情をほとんど変えず、高い報酬をもらう代わりに人殺しの任務を忠実に遂行するその様子は、まさに仕事のできる男の見本を見ているような気になる。それにしても暗殺者の行いから学ぼうとする俺の頭の中はどうかなってしまったのか?

 一匹狼の暗殺者の行動が丹念に描かれたフレンチ・フィルム・ノワールの傑作のストーリー紹介を。
 寂れたアパートの一室に、小鳥を一匹だけ飼っている孤独な暗殺者であるジェフ・コステロ(アラン・ドロン)。高い報酬を得るためにソフト帽にトレンチコートのいでたちで出かけて、今日もせっせと人殺しの任務を遂行する。
 いつも通りにひと仕事を終えたジェフ・コステロだが、帰り際にナイトクラブの女性歌手であるヴァレリーに見られてしまう・・・

 最初から暗い画調で台詞が無いまま結構な時間が過ぎるのだが、退屈など全くしない。それは殺し屋の主人公の不安、孤独、寂しさを表現する抜群の演出効果をもたらす。
 まあ、見た目はクールで、ストイックなアラン・ドロン演じる殺し屋だが、けっこうなオッチョコチョイな行動も見られたりする。俺から見れば全く信用できない奴にアリバイを頼んでいたり、まるでワザと誰かに見られてしまうように人殺しを行っていたり、孤独と言いながら綺麗なネエチャンの存在がいたり、カネの受け渡し場所にしてもソリャ~駄目だろうと思えたり・・・!それに数人の目撃者にしても目が悪すぎたり、たった一人の暗殺者を捕まえるのに、パリの警察はよほどヒマなのか笑えるぐらいの人数を動員したりでツッコミどころが多い。このように書いてしまうとボロボロの映画なのかと思えてしまうが、実はブログを書いていて思い返すと気づいたようなレベルで、観ている最中はアラン・ドロンが格好良いので全く気にならない。
 そしてラストのオトシマエのつけ方が、まるで侍の切腹シーンを感じさせ、しびれるぐらいに格好良い。この世の中、言い訳ばかりで行動が全く伴わない無責任な男が多すぎるが、本作を観れば男の美学を学べるわけだ。
 部屋の小鳥、輪っかに掛けられた大量の車のキー、ナンバープレート、札束、包帯など小さい事にも気を使われていて、繊細な描写はフランス映画らしく心地良い。
 すっかりドハデなドンパチする映画に飽きた人、フランス製の渋いサスペンス映画を観たい人、ペラペラ冗談ばかり話したがる男が嫌いな女性、男の美学を感じたい人に、映画サムライを今回は紹介しておこう

サムライ [DVD]
アラン・ドロン,フランソワ・ペリエ,ナタリー・ドロン,カティ・ロジエ
KADOKAWA / 角川書店


サムライ [Blu-ray]
アラン・ドロン,フランソワ・ペリエ,ナタリー・ドロン,カティ・ロジエ
KADOKAWA / 角川書店


 監督はジャン=ピエール・メルヴィル。渋いタッチでフィルム・ノワール作品に手腕を発揮するフランスの映画監督。ナチスドイツが占領していたフランスでのレジスタンス活動の様子を描いた影の軍隊がお勧め。



 
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映画 ショコラ(2000) バレンタインデーといえばこの映画です

2017年02月11日 | 映画(さ行)
 もうすぐバレンタインデーがやってくるが、そんな時にパッと思い浮かぶ映画が今回紹介するショコラ。たくさんチョコレートが出てきて、一見したところ美味しそうに思える映画だ。バレンタインデーと聞くとなぜか心がウキウキする男性が多くなるような気がする。しかし、バレンタインの日こそ、実は男性にとっては勝ち組みと負け組みがハッキリと別れる1年で1番の特別な日。ダンボールに何箱分も詰め合わされているチョコレートをもらうウハウハな男性がいると思えば、何年も身内から義理チョコしかもらえない悲しい男性も多くいる。愛がこもったチョコレートしかもらったことがない俺には、義理チョコをもらう気持ちがわからないのだが・・・。
 そんな俺の自慢話なんかはどうでもよく、実際に本作に関してもチョコレートを多くもらったとか、もらってないといったような話は全く関係ない。チョコレートという甘い素材を活かしながら、人生に思い悩み、苦しんでいる人々に多くの癒しを与えてくれる映画だ。

 タイトルのショコラはフランス語であり、チョコレートの意味。何だかとっても甘~い恋愛映画を想像する人も多いと思うが・・・。それではストーリーの紹介を。
 1959年のフランスのある村において。そこは昔から閉鎖的で、鉄壁な規律、風習、思い込み、偏見等で、村長であるレノ伯爵(アルフレッド・モリーナー)をはじめ、村の人々も古くて、堅い考え方に捉われていた。
 ある日のこと、北風とともにヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)とアンヌ(ヴィクトワール・ティヴィソル)の母娘が赤いコートをまとってやって来る。ヴィアンヌはチョコレート店を開店し、村人達から好奇の目で見られながらも彼女が作る不思議な力を秘めたチョコレートは、次第に村の人々に癒しと希望を与えていく。
 しかし、それは彼女を快く思わないレノ伯爵とヴィアンヌの対決につながっていくのだが・・・

 まるで独裁的に振る舞う村長の圧政に苦しむ村人たちを、他所からやって来た風変わりな女性が助けるヒロインの活躍を描いたストーリのように思えたりする。しかし、実のところ悪人に思える村長は昔ながらの時代遅れの規律を守っているに過ぎないどころか、頑なに断食を守るところなんかはナイスガイに見えたりするし、保守的過ぎる村に対して改革者の役割を担っているかのような女性にしても旧い因習に捉われている事がわかってくる。
 この世の中において古き良き伝統を守ることは良いのだが、昔からの悪い点が改善されないのはいかがなものか?まあ、日本で言えばサービス残業がその類に当てはまるか。
 本作の村の住人は、宗教の教えにがんじがらめだったり、男尊女卑の考え方にしがみつき過ぎている夫婦、閉鎖的過ぎて寛容さが欠けている人、子供をしばりつけている親などである。このような登場人物を見ていると、ちょっと考え方を考えれば良いのに、本当の幸せを見失っていることに気付く。現実の世界においても、まるで何かに取り付かれたかのように頭の中が頑固な考え方に支配されてしまって損をしている人を見かけるが、この映画を観ればきっとそんな人達も幸せな生き方を見つけられる、って本当かよ。

 なんだか堅い紹介になってしまった気がするが、途中から登場してくるジョニー・デップは格好良くて大人の恋愛映画として楽しめるし、そしてユーモアがあって笑えるし、何と言っても人生に悩んで、傷ついている人を癒してくれるのが良い。
 チョコレートがいっぱい出てくるいう浅はかな考えだけで、バレンタインデーで思いつく映画として挙げてしまった気がするが、何はともあれ恋人同士が素敵なバレンタインデーを過ごせるために観てほしい映画として今回は映画ショコラをお勧めしておこう

ショコラ [DVD]
ジュリエット・ビノシュ,ジョニー・デップ,ジュディ・デンチ,アルフレッド・モリーナ,レナ・オリン
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督はスウェーデン人のラッセ・ハルストレム。癒し系の感動する映画を撮ってくれる個人的にお気に入りの映画監督の1人。彼のお勧めはギルバート・グレイブサイダーハウス・ルールが良いです。


 
 


 


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