褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ダークナイト(2008) ジレンマに悩みまくる主人公 

2023年08月22日 | 映画(た行)
 バットマンシリーズの第2章の2作目。前作のバットマン ビギンズでは、どんなことがあっても人殺しをしてはいけないという当たり前のことを教えられ、どんな凶悪な人間に対しても鉄拳制裁はするが、けっして自らの手で殺すことはしなかった。それはバットマン自身のルールであり、正義のあり方でもあった。それは彼の崇高な精神だと言えるのだが、逆に弱点にもなりえる。その弱点を執拗に突いてくる凶悪な敵であるジョーカーとの死闘を描いたのが今回紹介する映画ダークナイト
 ゴッサムシティを犯罪から守るためにコウモリのコスプレをしながら犯罪者を叩きのめすが、そのことによって犯罪者は増えるばかりか、偽バットマンまで登場させてしまう始末。そもそもバットマンはゴッサムシティの市民を守るために行っているのだが、その行いは法の範疇を超えていて、バットマン自身が警察から追いかけられてしまう存在になっている。
 そんなバットマンの行動は新たなる強敵であるジョーカーを呼び起こし、しかも、バットマンの弱点を執拗に攻めて人殺しをゲームの如く楽しんでいる。本当は生身の人間で大金持ちの大富豪に過ぎない主人公ブルース・ウェインは、ゴッサムシティを守るためにコウモリ姿のコスプレに変身して偽りの姿であるバットマンとして犯罪者たちと戦うには体力の限界、そして強い奴が現れると更に強い奴が現れるというロジックに悩んだ末にブルース・ウェインが導きだした答えは如何なるものか。

 さて、とにかくヒーロー自身が悩みまくるストーリーの紹介を。
 前作でゴッサムシティを全滅の危機から救ったブルース・ウェインことバットマン(クリスチャン・ベイル)だが、相変わらず犯罪者は後を絶たずに、自らは寝る間も惜しんで、傷だらけになりながら犯罪者を叩きのめしては警察に出していた。
 しかし、ゴッサムシティに趣味が人殺しという常識では考えられないようなジョーカー(ヒース・レジャー)が現れる。犯罪にかけては恐ろしいほどの知能犯でるジョーカーは、「バットマンが素顔を晒さない限り殺害を繰り返す」とバットマンを挑発する。実際に宣言通り人殺しを巧みに実行していくジョーカーに対して、民衆の怒りは一向に姿を見せないバットマンに向けられる。その様子に悩んだバットマンはゴッサムシティの救世主になることを諦め、その代わりに悪を憎む熱血漢検事のバービー・デント(アーロン・エッカート)にゴッサムシティの運命を託すのだが・・・

 ゴッサムシティの腐敗の元凶であるマフィア退治に忙しいバットマンとゴッサム市警のゴードン刑事(ゲイリー・オールドマン)だが、そこへ動機なき犯罪を重ねるジョーカーと対峙してしまう。このジョーカーが非常に厄介なのが、自分が死ぬことに対しては恐れていないところ。バットマンと対峙しても「さあ、俺を殺せ、殺せ〜。」なんて挑発する。これがとにかく嫌な奴過ぎてムカつく。
 そんなジョーカーに対してバットマンは頭が固いからなのか、自分の信念が強すぎて、決してジョーカーを殺さない、と言うか殺せない。俺なんかは見ていて、さっさと殺せよ!と思ってたのだが、もしもジョーカーを殺したらバットマンの負けを意味する。この件は名作サスペンスの傑作セブンのブラッド・ピットを思い出した。まあ、強い者には強い者が必要であるという論理はアメリカという国を見ればわかる。
 そして、更に本作ではどんな高潔な人間でも一瞬にして悪の道へ叩き落とされることが可能なこと。善悪なんて表裏一体だということは色々な映画で描かれているが、本作は見事なまでに善人が悪へ突き落とされる過程を描いている。俺のことを知っている人は全員が正義感の塊だと思っているが、実は俺ってけっこう腹黒いのだと伝えておこう。
 しかし、バットマンとて黙っていない。ジョーカーみたいな狂ったような相手と戦うには法を守っていては戦えない。それをやっちゃ〜ダメだろう、なんてことにまで手を出してしまう。そして、ラストシーンでバットマンが選んだゴッサムシティに平和を持たらすための選択。これがインパクト抜群。俺がバットマンだったらこのような選択に辿り着けたかどうか?法律を遵守するのは当然のことだが、これまた良いところもあれば、悪いところもある。何事も勧善懲悪で済まされないことを本作を観ていて俺もバットマンと同じように悩まさせられた。
 できれば前作のバットマン ビギンズを観てから本作を観た方が良いとアドバイスをしておこう。アクションシーンはド派手ながら、アメコミが文学及び哲学の域にまで達していると言っても過言ではない映画として今回はダークナイトをお勧めに挙げておこう

監督は前作と同じクリストファー・ノーラン。お勧めはバットマン ビギンズを参照してください






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映画 超音ジェット機(1952) 飛行機の進歩を学べる?

2023年06月18日 | 映画(た行)
 産業革命により鉄道や蒸気船といった発達を起こし、交通の利便性に大きな変化を授けた。そんな産業革命の発祥の地であるイギリスで飛行機の進歩を描いた作品が今回紹介する超音ジェット機。ちなみに原題はThe Sound Barrier。直訳すれば『音速の壁』。時々、センスの欠片もない下手な邦題を目にすることがあるが、この邦題はなかなかイケてる。
 さて、『音速の壁』とは何ぞや?。本作の公開された年は1952年だが、それまで多くのパイロットや開発者達が早く飛行機を飛ばそうと躍起になっていた。しかし、どうしてもある音速を誰も超えることができないでいた。その限界値が『音速の壁』であり、その音速の壁によって多くのパイロットは犠牲になり、飛行機も無残な姿になっていた。その限界値がマッハ1。航空会社やパイロットがマッハ1へ到達しようと飽くなきチャレンジが描かれているのが本作の内容。それだけなら本作は単なる航空映画になってしまう。確かにそのような面を持っているのは確かだが、むしろ本作を観て心を奮えさせるのが文明の進歩における積み重ねが、さらりと描かれているところ。

 早速だが、過去だけでなく未来まで見通せそうなストーリーの紹介を。
 第二次世界大戦も終わりかけの頃、イギリス空軍のパイロットであったトニー(ナイジェル・パトリック)は航空会社を経営する大富豪ジョン・リッチフィールド(ラルフ・リチャードソン)の娘であるスーザン(アン・トッド)と結婚する。結婚後はトニーはジョンの会社のテストパイロットとして働くようになる。
 ジョンは息子であり、スーザンの弟であるクリストファーが嫌がるのを承知で飛行機の運転を学ばせ、テストパイロットに育てようとする。そして、自社開発の飛行機のテストパイロットとしてクリストファーを乗せるが、事故って死亡。実の息子を亡くしたにも関わらず、平然と飛行機開発に勤しむ父親に対してスーザンは怒りと悲しみに襲われ、夫であるトニーが飛行機を運転する度に心配することになる。
 いよいよ飛行機の速度のマッハ越えに憑りつかれているジョンだが、トニーとスーザンの新婚旅行中にもテスト飛行に失敗してしまい、パイロットの命を亡くしてしまう。飛行機の設計ではなく、テストパイロットの技術不足だと考えるジョンは、いよいよマッハ越え、すなわち『音速の壁』を突き破るためにテストパイロットとしてトニーを指名するのだが・・・

 息子の命を亡くしても、速く飛ばせる飛行機を作り出そうとする大富豪ジョンの欲望にドン引き。そりゃ~、娘のスーザンも家を出て行こうとするよね~、だって息子(ジョンの孫)までお祖父ちゃんのトチ狂った目的のために息子(ジョンと命名される)までテストパイロットにされちゃ~、毎日が心配で頭が変になりかねない。
 何でそんなに犠牲を払ってでも飛行機を速く飛べるようにしたいの?なんて質問したくなるが、実際にスーザンや研究者も俺が思うまでもなく、ジョンお祖父さんに尋ねる。その質問に対するジョンお祖父さんだが、スーザンだけでなく俺も納得できるような答えを聞かされなかった。
 しかし、本作が公開された1952年から70年を経た現在において飛行機の技術は目覚ましい進歩を遂げた。マッハ1で飛ばすのも困難を極めた時代も、最近公開されたトム・クルーズ主演のトップガン マーヴェリックではマッハ10に大きく進歩した。技術の進歩は飛行機だけでなく、あらゆる物において顕著に見られるのは多くの人が実感し、昔よりも便利になっていることに有難さを感じているだろう。
 そのように考えれば本作を観た後にぼんやりとだが理解できることがあるだろう。昔の人の知恵と勇気によって、現代を生きる人々はどれだけの恩恵を受けているかを?そして、それは未来においても変わらない。この世の中は便利になり過ぎた~!なんて、ぼやいている人もいるが、それは血と汗を流しながら働いてきた人に対して失礼極まりないこと。俺は先人に改めて感謝の意を表明したい。
 さて、本作だがスーザンの女性の心理を巧みに描いている。そして、本作に登場する英国人男子を観ていると彼らの凄さを感じることができる。いきなり「明日はお前がテストパイロットだ」なんて命令されても、嫌そうな顔を一つも見せずに「ラジャ~」と即答するところ。嫌なことや、少しでも面倒なことを頼まれると、すぐに断ってしまう俺はとことん反省させられた。
 昔の映画と言っても飛行機が飛び出すシーン、爆音も迫力があるし、ヨーロッパの方へ観光した気分に少しだけなれるのも良い。飛行機映画の基本形としてだけでなく、観る人に色々な物をうったえかける作品として今回は超音ジェット機をお勧めに挙げておこう

 監督は偉大なる名匠デヴィッド・リーン戦場にかける橋アラビアのロレンスドクトル・ジバゴなど、大画面で映える作品群で有名。他に逢引き旅情など、お勧めがたくさんあります





 

 

 
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映画 特攻大作戦(1967) 戦闘兵のキャラが面白い

2022年08月28日 | 映画(た行)
 戦争映画なんてものは履いて捨てるほどたくさんあるが、個人的に戦争映画に求めるのは生きるか死ぬかに迫られた人間の極限状態の描写。偽善的なヒーローが登場してたった一人で何人もの敵兵をバッタバッタと殺しまくるような映画は個人的にはもう見飽きた。さて、今回紹介する映画特攻大作戦だが、タイトルから想像できるようにまさしく戦争映画。そして、俺が求める人間のギリギリの極限状態に追い込まれた姿は描かれていない。この映画の特徴を挙げる前に原題を示しておくとThe Dirty Dozen。直訳すれば、『汚い12人の奴ら』といったところだが、この12人のキャラクター設定が笑える。主人公はこの12人を束ねるアメリカ兵の少佐リー・マーヴィン。笑える12人を戦闘マシーンとして鍛えて、敵の拠点を破壊しようと乗り込んでいく。女性は殆ど出てこないが、リー・マーヴィンを筆頭に登場するのは男くさい俳優ばかり。そして、こいつらが全身全霊をかけて戦う姿に俺のハートは燃えた。

 実は第二次世界大戦時を舞台に、ロクでもない奴らがナチスドイツの拠点をハラハラさせながら攻撃するストーリーの紹介を。
 少々変わり者であるアメリカ陸軍のライズマン少佐(リー・マーヴィン)がウォーデン将軍(アーグネスト・ボーグナイン)から呼び出され、ある任務を迫られる。それはアメリカ軍刑務所に収容されている囚人達の12人を選んでナチスドイツの重要拠点でありナチスドイツ兵幹部が多くいる宮殿如き建物をナチスドイツの幹部もろともぶっ壊すこと。
 アメリカ軍刑務所に戻ったライズマン少佐は早速囚人達の中から12人を選ぶ。しかし、その囚人達は間近に刑執行が迫っている死刑囚や終身刑などの罪悪人ばかり。しかし、作戦成功した暁には無罪放免されることが条件に挙げられている『大赦作戦』。生き残る可能性があり、無罪放免となるかもしれない作戦を拒否する者など居なかった。そして、ライズマン少佐は罪人達を戦闘員として鍛えることに苦労するうえに、しかも上層部からの邪魔も入り、ことは簡単に進まない。しかし、何とか12人の兵隊を鍛え上げ、ライズマン少佐と12人の兵士たちはドイツへ乗り込んでいく。念入りな作戦だったはずだったのだが、思わぬところから綻びが出てしまい・・・

 この映画が凄いのが死刑囚や終身刑といった重罪人たちを戦闘員にして、あやよくば戦闘で犠牲になってもらおうという所。なるほど、そうすれば罪人たちのせいで国民に重税を課すのを少しでも減らせる訳だ。しかし、死刑囚や重労働を課せられている重罪人をまとめて戦闘員に育てる役割を任されたら俺だったらどうしよう。この役割はリー・マーヴィンのような強面な人間にしかできない。俺みたいな柔和な表情をした優しい男では務まらない。
 訓練するシーンも面白いが、ドイツに乗り込んで戦闘が開始される前から、いきなりトラブってしまうところは笑えた。戦闘シーンに入ってからも面白いのだが、個性が強すぎる12人の中でも、テリー・サバラス演じる人種差別者、強姦魔、狂信者とダメダメな奴が選ばれているのが、ストーリーを盛り上げる。いくら重罪人の集まりでも、こいつだけは選んだらダメだろうなんて俺なんかは出てきた瞬間から思った。
 生き残る道が無いのを良いことに無罪放免をちらつかせて殆ど生きて帰れないような作戦をさせる腐ったアメリカ上層部には腹が立つし、ナチスドイツ兵の残酷さばかり知らされるが、アメリカの軍隊だって酷いことをしてるじゃないかと俺はこの映画を観て怒りを覚えた。あの爆破シーンを実行する場面は考えさせられるものがあった。
 しかし、何だかんだ言っても本作はエンタメ志向。個人的にはもう少し心に迫るような作品が好きだが、戦争映画にもエンタメを求める人には向いているだろう。そして脇役陣の重厚さが凄い。アーネスト・ボーグナインロバート・ライアンチャールズ・ブロンソンドナルド・サザーランドジョージ・ケネディテリー・サバラスと言った渋すぎる俳優陣。この武骨な面々を女性の人は観るのが苦しい映画かもしれないが、男性なら燃える映画。そして、この映画は後々の戦争映画に多くの影響を与えていることを本作を観ればわかるだろう。だいぶ古い映画だが今回は燃える映画として特攻大作戦をお勧めとして挙げておこう

 監督はロバート・アルドリッチ。戦う映画を撮り続けた巨匠。反戦映画の骨太の傑作攻撃、飛行機が砂漠に不時着してしまった飛べ!フェニックス、二大スターの対決を描いた西部劇ヴェラクルス、男のプライドを賭けた戦いが熱い北国の帝王バート・レイノルズ主演の刑務所の看守達に立ち向かうアメフトを描いたロンゲスト・ヤード、そしてこの監督には珍しい女性同士の戦いが怖い何がジェーンに起こったか?がお勧めです。

 
 
 
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映画 地下鉄のザジ(1960) 強烈なドタバタ喜劇

2022年01月28日 | 映画(た行)
 フランスのヌーヴェルバーグを代表する映画監督であるルイ・マル。多くの名作を遺した偉大なる監督であることは間違いないが、個人的に最もインパクトがあったのが、今回紹介する地下鉄のザジ。流石に何回も観ると大して笑えなくなるが、初めて観た時は抱腹絶倒にして、全てのシーンにおいて驚きの連続。今までの映画の既成概念をぶっ壊したと言われるヌーヴェルバーグの作品の中でも、とりわけ本作はヌーヴェルバーグの映画らしいエッセンスが詰まっているし、今観ても驚きの映像技法を感じさせてくれる。

 本作の主人公は、まだ10歳ぐらいの女の子のザジ。この女の子が初めてやって来たパリで、ただでさえ頓珍漢な大人達が多く出てくるが、その大人達を混乱させる様子が笑えるストーリーの紹介を。
 母親に連れてこられて初めてパリにやってきた少女ザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)。母親は愛人と会うためにパリにやって来たのだが、その間のザジの世話をガブリエル伯父さん(フィリップ・ノワレ)に任せて、サッサと愛人と一緒に去っていく。
 ザジがパリに来て楽しみにしていたのが、地下鉄に乗る事。早速地下鉄に乗ろうと駅まで行こうとするのだが、ところが地下鉄はスト中。ザジはショックを隠し切れないままガブリエル伯父さんの家に連れていかれることになるが、彼女は伯父さんの家を抜け出してパリの街を縦横無尽に駆け回り、変わり者だらけの大人達を混乱させるのだが・・・

 ストーリーはザジが初めてやってきたパリでの行動を描いただけ。しかし、この映画の見所はたくさんある。とりわけまだ10歳ぐらいの女の子のザジのキャラクター設定が笑える。女の子なのだが、大人が答えられないような事を言ってくる。例えば『ホモって何?』『あなたはロリコン?』等、他にも俺が言ったら気味悪く思われるようなことをガンガン大人に向かって言う。言葉だけでなく行動もやりたい放題。それでいてなかなか憎めない女の子だ。
 勝手な行動が多いザジをオッサンが追いかけるシーンが2つあるのだが、この追いかけっこのシーンが2つとも爆笑もの。ジャンプカット、早回し、瞬間ワープ・・・等など、あらゆる映像テクニックを駆使して描いているが、これが驚きと笑いの連続。大人を馬鹿にしたザジの行動がとにかく笑わせる。
 いつ事故が起きても不思議ではないような車の交通量の多さの中でのシーンや、ちょっとしたパリの観光気分を味わえるエッフェル塔でのシーンなど一つ一つのシーンが笑えるし、しかも無駄にハチャメチャな展開になっていくのも楽しい。最後の方ではザジが一人だけ寝ている中で、他の出演者が一斉に集まって戦争さながらの大喧嘩が始まるが、これが初めて観た時はマジで笑えた。少しばかり深読みすると、全体的に大人達の行動をシニカルに描いているように思えたりする。
 たくさん笑わせてくれる大人達が出てくるが、個人的に印象に残っているのがガブリエル伯父さんの美人な奥さん。唯一マトモな大人の出演者だが、けっこう無表情なのがこの映画ではけっこう笑える。他にも音楽の使い方にも特徴があったり、ここで全部を紹介できないぐらい多く笑えたり、驚けるシーンがたくさん出てくる。とにかく一生に一度ぐらい観ておけ!ということおで今回は地下鉄のザジをお勧め映画に挙げておこう

 監督はジャン・リュック=ゴタール、フランソワ・トリュフォー達と並ぶヌーヴェルバーグを代表するルイ・マル監督。彼が弱冠25歳で撮ったデビュー作品であるサスペンス映画の傑作死刑台のエレベーター、自殺を決意した男がパリを彷徨う様子を描いた鬼火、ナチス占領下におけるパリを舞台に子供同士の友情に感動できるさよなら子供たちがお勧め。

 









 
 













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映画 手紙は憶えている(2015) ナチスへの復讐? 

2021年11月14日 | 映画(た行)
 欧米諸国にとって戦時中におけるナチスドイツの残虐行為は大きなトラウマとして残っているのは、現在に至っても多くのホロコースト(大量虐殺)を題材として扱っている映画が撮られ続けていることから理解できる。今回紹介する映画手紙は憶えているもその分野の作品で、しかも戦時中の恨みを果たそうとするナチス・ハンターを描いている。そのナチス・ハンターを演じるのが今年の2月に91歳で亡くなった名優クリストファー・プラマー。本作の公開時で既に85歳の老人だったのだが、更にインパクトを持たせるために90歳という年齢設定になっている。

 さて90歳になる老人は果たして、自分の家族をアウシュビッツ収容所で殺害したナチスの兵士を見つけ出して、復讐を果たすことができるのか?ストーリーの前半だけ少しばかり紹介をしよう。
 ニューヨークの介護施設で暮らしている90歳になるゼヴ(クリストファー・プラマー)だが、1週間前に長年連れ添った最愛の妻ルースを亡くしていた。しかし、ゼヴはすっかり認知症が激しく進んでおり、ルースが亡くなっていることを忘れてしまっている始末である。
 ある日のこと、同じ施設で暮らしている友人で車椅子生活を余儀なくされているマックス(マーティン・ランドー)から一通の手紙を渡される。実はゼヴとマックスの2人は戦時中にアウシュビッツ収容所に強制収容されていた過去があり、2人とも家族を殺されていたという共通点があった。
 さて、手紙の内容だが2人の家族を殺してアメリカに逃亡し、身分を偽って生きているルディ・コランダー、本名オットー・ヴァリッシュというナチスの兵士を見つけて殺すこと。そして物忘れが激しいゼヴのために詳しいアドバイスが手紙に記されていた。ルディ・コランダーという候補者は4名まで絞られており、ゼヴは親友のマックスとの約束を果たすため、そして自らの家族を惨殺したルディ・コランダーことオットー・ヴァリッシュに鉄槌を下すために、施設をこっそり抜け出して復讐の旅にでるのだが・・・

 御年90歳の老人だが、体力の無さに加えて、物忘れが激しいので、見ていてハラハラドキドキさせる。頼れるのは親友のマックスから預かった手紙に書かれたアドバイスのみ。実際に旅の途中で恐ろしいことにでくわしてオシッコを漏らしてしまうシーンもある。こりゃ~、いくらなんでも無謀すぎるチャレンジだと誰もが思うはず。しかし、未だにのうのうと生きているナチスの残党を許せない怒りが老人を復讐への道を突っ走らせる。
 まあナチスを描いた映画なんかは多くあるし、ナチスハンターを描いた内容の映画にしても結構見受けることがある。しかし、本作もそのような前例を踏襲しているように思わせているような作りになっているのだが、実はなかなか味わい深いサスペンス映画だということに気付かされる作品。ちなみに原題は日本人でもよく知っている映画の単語である Remember。映画を観終えた後、この原題が意味することを理解させられ非常な驚きを得られることになるのだ。ナチスドイツに対する興味や知識が無くても楽しめる映画。出演者の平均年齢が異常に高いので若いギャルやイケメンを期待することは全くの無理だが、サスペンスタッチの映画が好きな人には映画手紙は憶えているを今回のお勧め映画として挙げておこう

 監督はカナダ人のアトム・エゴヤン。けっこう当たり外れがあるタイプの映画監督だが、お勧めというか個人的には気に入ってる作品として、まだ10代半ばのサラ・ポーリーが出演しているスウィート ヒアアフターを挙げておこう。
 
 
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映画 天国は待ってくれる(1943) 女好きの男の一生が笑える

2021年01月28日 | 映画(た行)
 本当に天国と地獄があるのならば、俺は果たしてどっちに行くのだろうか?残念ながら今のところ、地獄に送られてしまうことしか想像できない。これから徳を積んだとしても、もう手遅れのような気がする。そんな俺と同じように後悔だらけの人生を送ってしまったと嘆いている人に希望を与えてくれる映画が天国は待ってくれる。1943年という第二次世界大戦の最中に作られた映画だが、白黒画面じゃなくて綺麗なテクニカラーだし、古さを感じさせない。テンポの良いストーリー展開とユーモア溢れる会話は非常に洗練されており名匠エルンスト・ルビッチ監督によるテクニックを感じることができる。

 少しばかり度が過ぎた女好きの人生を過ごしてしまった男性が行き着く先は天国か地獄か、それではストーリーをできるだけ簡単に。
 冒頭からいきなり死後の世界から始まる。ヘンリー・ヴァン・クリーヴ(ドン・アメチー)は地獄への受付けにやって来る。そこには閻魔大王(レアード・クリーガー)が居て、死者に対して天国か地獄かの行き先を決めるのだが、ヘンリーは自分でもこれは酷いことばかりしてきたと悟っていたので、いちいち裁決されるのを待つまでもなく地獄の受付けにやってきたのだ。そんなヘンリーに興味を持った閻魔大王は、とりあえずヘンリーが進んで地獄の受付けにやってきた理由を聞いてやると、ヘンリーが自らの人生を回顧するのだが、出てくるのは女性遍歴の数々。流石にこれは間違いなく地獄へ行かされるのかと思いきや・・・

 ヘンリーと閻魔大王の地獄の受付け場所のセットがなかなか新鮮さを感じる。さぞかし恐ろしい場所かと思ってたら、広々とした会社の事務所みたいな感じ。しかも閻魔大王の格好がビジネススーツと言うのがけっこうシュールに感じられて怖さはゼロなのが少し笑える。ドボケた味わいを持ち合わせているヘンリーの風情も重なり、2人の会話はけっこう楽しい。
 主にヘンリーの生まれてから死ぬまでの回顧録が展開されるのだが、少年時代からお祖父さん(チャールズ・コバーン)に甘やかされて、放蕩息子ぶりを発揮してくれる。結婚は略奪婚だし、浮気癖は妻のマーサ(ジーン・ティアーニ)が死ぬまで治らない。妻の亡き後も女遊びは止まらず息子にまで注意されるほど。そして死ぬ瞬間での出来事も笑わせる。
 現実においては、女癖の悪い男のすることはドン引きさせるようなことばかりだが、ところが本作を観ていると気色悪さを感じさせないどころか、まるでお伽噺のようなファンタジーな世界を感じられる。超一流の映画監督の手に掛かると、ロクでもない男のはずが伊達男に見えてしまうから不思議だ。
 しかし、女好きの男を演じるドン・アメチーだが、この人の声のトーンが渋くて、見た目もダンディ。そして洒落たことを言うので、そりゃ~モテる。俺もこんな男を目指そうと心の底から思った。
 そして、閻魔大王の判決の粋な計らいが非常に良い。自分の人生の良し悪しなんか自身で判断なんかできないし、どれだけ他人から感謝されるかによって価値が決まるのだ。俺もこれからは目一杯に周囲の人を楽しませてあげられるように努めよう。そして天国を目指すのだ。
 正直なところ女性がこの映画を観たら腹立つかもしれない。しかし自責の念に駆られて自分自身を、追い詰めてしまっている人がこの世の中は多い。そんな人にとって本作は、きっと笑いと心の安らぎを与えてくれると思う。

 監督は前述したエルンスト・ルビッチ。ハリウッド黄金期を支えた偉大なる監督。共産主義を笑いで皮肉ったニノチカ、正義感溢れるキャラクターが似合うジェームズ・スチュアート主演の桃色の街角、当時ナチスにボロボロにされていたポーランド国民への応援賛歌的な意味を込めた生きるべきか、死ぬべきかがお勧めです。
 
 

 

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映画 テキサスの五人の仲間(1966) ギャンブル映画の傑作

2021年01月12日 | 映画(た行)
 この世の中ギャンブルが好きな男が多い。俺の近くでも休日になると競馬やパチンコに熱心な旦那連中が居るが、奥様方はそのことについて大変嘆いている。コロナも重なり、ますます家計が苦しくなる家庭が多いが、そんなご時世にぜひとも紹介したい映画が今回紹介するテキサスの五人の仲間。我ながらダメっぷり満載の競馬予想を公開していながら、本作のような映画を紹介するとは自分でも少なからず気が引けるのだが、これを観ればギャンブルで負け続きの旦那さん連中は自分の嫁さんの見る目が変わるはずだ!って本当かよ。

 それではネタバレなしでストーリーの紹介を。
 アメリカ西部のテキサス州において。西部きっての5人の金持ちによる、年に1回盛大に行われるポーカーの大勝負がホテルの奥の一室で行われている。外野では誰が勝つのかワイワイ騒いでいる。そこへ旅をしているメレディス(ヘンリー・フォンダ)という男とその妻メリー(ジョアン・ウッドワード)、そしてまだ幼い息子ジャッキーが休憩のために立ち寄る。
 メレディスはポーカーの大勝負が行われていることを知り、見学したいと言い出す。しかし、メリーは必至で反対する。実はメレディスはとんでもないギャンブル好きで、過去にそのことが原因で痛い目に遭っているようだ。しかしながら、メリーは用事があったので、息子のジャッキーを監視役として見学を許し彼女は外出する。やっぱりと言うべきか、メレディスが我慢できたのはホンの一寸だけ。無類のギャンブル好きが災いして、息子の監視を振り切りポーカーに参加してしまう。残念なことに5人の金持ちにカモられ、しかも一家で貯めたカネを全て使い込んでしまう。
 そんな最悪のタイミングで帰ってきたメリーはびっくり仰天。それでもメレディスは今までの人生で最高の手札が来たことに人生最大のチャンスが巡って来たとメリーに言い張り、借金をしてまで勝負を続けようとするのだが、何とメレディスは持病の心臓マヒに襲われ別室へ退場。このままでは家族で路頭に迷うことになってしまうため、意を決したメリーが夫に代わって勝負に臨もうとするのだが、実は彼女はポーカーのルールを全く知らなくて・・・

 こういう映画を観ると家族を支えるのは夫ではなくて、奥さんの方だということがよく理解できる。ダメパパのおかげで不幸のどん底に叩き落とされそうになっているだけに、誰もが奥さんに声援を送りたくなるはずだ。そもそも賭けるお金がもう無いのに、どうする?なんて思ってたら、そんな物を担保にするのかと驚いた。
 ヘンリー・フォンダ演じるメレディスのギャンブル好きも凄いが、5人の金持ちの面々のギャンブル狂振りも凄い。今日のポーカーの大勝負のために娘の結婚式を放り出して参加している奴が居たり、公判中なのに裁判を放り出して参加している弁護士が居たりで、5人のキャラクター設定が凄い。そして、こいつらのメレディスに対して容赦しないドSっぷりが金の亡者の浅ましさを感じさせる。きっと悪い大人達を目の前で見ていたジャッキー少年は将来は立派な大人になるだろう。
 キャストは演技で見せるし、特にヘンリー・フォンダなんかは、アホかと思わせながらもギャンブルになると我を忘れてしまうタイプの男を説得力抜群で演じてくれる。そして、一発逆転に賭ける最後の手役は何だったのかを最後までしっかりと目に焼き付けて欲しいとアドバイスをしておこう。ウェスタン風ではあるが西部劇が好き嫌いに関わらず楽しめるし、ギャンブル依存症の人にはそこから抜け出す切っ掛けになるかもしれない。そして、この映画の結末は気持ち良いし、邦題の意味を観終えた後から考える楽しさが本作にはある。そしてギャンブルを背景にした映画に外れは無いと改めて俺自身も確認できた。これだから映画は楽しいと思わせるテキサスの五人の仲間を今回はお勧めに挙げておこう
 
 
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映画 地下室のメロディー(1963) 全編に渡って流れる音楽が良いです

2020年05月26日 | 映画(た行)
 当時のフランスの二大新旧大スターであるジャン・ギャバンアラン・ドロンが共演した大金強奪を描いたクライムサスペンス映画の傑作が今回紹介する地下室のメロディー。冒頭からラストまで幾度と流れる(テーマ音楽←聴きたい人はググってください)が渋くて、格好良い名曲だ。
 当然のことながら音楽が良いだけの映画ではない。ハリウッドのようなド派手な銃撃戦や爆発シーンなんか全くなく、全編に渡って静謐に進行する。カジノから大金を強奪するシーンにしても、少しばかりの緊張感があるだけで大きな見所ではない。しかし、映画史上の名シーンに値するクライマックスが最後の最後にやって来る。
 
 人生の黄昏を迎えつつも残りの人生を大富豪として暮らそうと画策する老ギャングであるジャン・ギャバン、もういい年をしていながら不良で仕事もせずに母親からカネをせびっている青年のアラン・ドロン。このロクでもない親子ぐらい年の差が離れた2人のダメ男たちが人生の一発逆転を賭けてカジノから大金を奪おうとするストーリーの紹介を出来るだけ簡単に。
 5年ばかりの刑期を終えて家へ帰宅した老ギャングのシャルル(ジャン・ギャバン)は、待ちわびていた嫁さんのアドバイスも聞かずに再度大金強奪を企む。それは南フランスのカンヌのカジノから大金を強奪すること。自分だけでは成功できないために、かつて刑務所で一緒だった自分よりも30歳ぐらい若い青年フランシス(アラン・ドロン)と彼の義兄ルイ(モーリス・ビロー)を誘い込む。念入りに計画、準備を進めて実行するのだが・・・

 ジャン・ギャバンの貫録、アラン・ドロンのイケメンだがオッチョコチョイ。こんな2人のキャラ設定が衝撃的な結末へ導く。大金強奪のシーンはそれほどスリルも感じないのだが、ダイハードやミッションインポッシブル等の大ヒットアクション映画に影響を与えているシーンを見るとチョット楽しい。最後のクライマックスシーンは2人の台詞はないのだが、ジックリ時間を掛けて描かれている。それにしてもジャン・ギャバンという俳優はただ座っているだけのシーンでも妙に存在感がある。,
ジャン・ギャバン、アラン・ドロンのどちらかでも名前の聞いたことがある人、フランス映画のサスペンス映画を観たい人、カネばかりを追い求めている人、映画音楽が好きな人等などに今回は地下室のメロディーをお勧めしておこう。

監督はアンリ・ヴェルヌイユ。本作と同じくジャン・ギャバンを主演に迎えたヘッドライトがお勧めです。


 
 
 


 

 
 
 
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映画 タッカー(1988) アメリカの自動車産業がボロボロになった理由がわかる 

2019年07月10日 | 映画(た行)
 かつてはビッグスリーと呼ばれ隆盛を誇ったアメリカの自動車メーカー(フォード・GⅯ・クライスラー)だが、今ではそんな面影は全くなく、アメリカ国内でさえ日本車が走り回っているのが現状だ。1940年代の後半ごろは当然のことながらビッグスリーだけではなく他にも自動車メーカーはあったのだが、その中でも車好きの人もそうでもない人もタッカー社という自動車メーカーをご存知だろうか?タッカー社を設立したものの、結局は僅か51台しか生産できなかったプレストン・トマス・タッカーの実話に基づく伝記映画が今回紹介するタッカー
 よくアメリカ社会は実力があれば成功者になれる、なんて知ったかぶって言う奴がいるが、そんなのは俺に言わせれば嘘。このプレストン・トマス・タッカーという男は決して単なる思い付きや趣味で自動車会社を起業したわけではない。発想は斬新で来るべき新しい時代に必要な車の理想像を思い描ける極めて優秀な男。情熱や夢を持ち続ける男の魅力をこの男から感じることができる。しかしながら、突出した才能が現れるとそれを潰しにかかるのは何処も一緒。大企業と政治家がつるんで一個人を叩きまくることの愚かさがよくわかる映画だ。

 巨大すぎる既得権益の圧力に屈することなく、戦いを挑んだ格好良い男(プレストン・トマス・タッカー)のストーリーの紹介を。
 1945年の第二次世界大戦の終戦間際において。デトロイト郊外で軍事産業の製造の仕事をしていたプレストン・タッカー(ジェフ・ブリッジス)はついに小さい頃からの自分の夢に向かった動き出す。それは、自分で新しい車を作ること。家族や友人の協力を得て安全性、機能、デザインに優れたタッカー車を作り上げる。そして巧みな宣伝が功を奏し世間の注目を浴びることに成功。しかし、そのような状況が面白くないアメリカを牛耳る自動車産業ビッグスリーや自動車産業と癒着しているファーガソン上院議員(ロイド・ブリッジス)がタッカーを陥れるべく動き出し・・・

 タッカーが製造した車は1947年の後半から1949年の前半にかけてのみで、その殆どは1948年に作られた。当時の車にしては非常に画期的だったのだが、本作で印象的だったのが安全性の面でシートベルトの採用。当時の車はシートベルトが無かったんだと驚いた。皆さん、シートベルトは忘れずに着用しましょうね。
 確かにこの映画は伝記映画として観ても面白いが、法廷映画としても非常に興味が惹かれる。被告人として法廷に立たされるタッカーの台詞が非常に印象的。特に『このような理不尽なことが許されるのであれば、我々は敗戦国である日本から車を買うことになるだろう』。1988年の映画であるが、この時期の日米の貿易関係を考えると非常に意味深であり、あまりにも予言が的中しているので思わず笑ってしまった。頭の固い人間達によって、個人の自由、考えが圧し潰される様子を見ていると、その結果が今のアメリカの自動車産業の成れの果て。自動車産業で栄えたデトロイトだがすっかり犯罪都市に様変わりした理由がわかるとしたものだ。
 時々なのか日常茶飯事なのか日本にも素っ頓狂なことを言いだす政治家や実業家が存在するが、そのような人たちの言動も少々ぐらいは受け容れてあげようとする広い心を身に付けたいと本作を観て考えさせられた。
 そして、タッカー車が登場することにも触れておかないといけない。撮影時は47台の車が実存していたのだが、その殆どが華麗に登場。ストーリーと相まってなかなか感動させる。自由、正義、アイデアが時の権力に潰されてしまうことが殆どであることは歴史が証明しているが、その想いは熱ければ熱いほど未来へ向かって繋がっていくものなんだというメッセージを感じさせる。
 車が好きな人、なぜアメリカの自動車産業がボロボロになったのか理解したい人、今後のアメリカ経済の動向が気になる人、熱い夢を持っているが実行できない人、人生を太く短く生きたい人・・・等に今回は映画タッカーをお勧め映画として挙げておこう

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 監督はフランシス・フォード・コッポラ。たびたび大コケして映画が撮れなくなってしまう印象があります。しかし、この監督は映画史に残る作品多数。ゴッドファーザー地獄の黙示録カンバセーション…盗聴…コッポラの胡蝶の夢等、お勧め多数です。



 

 

 

 

 


 
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映画 テス(1979) 美人も辛いです

2019年03月06日 | 映画(た行)
 イギリスの文豪トーマス・ハーディの小説『ダーバヴィル家のテス』を原作とする映画が今回紹介するテス。美人だからと言って幸せになるとは限らないどころか、不条理なほど不幸のどん底に叩き落とされる女性主人公テスを当時まだ10代後半だったナスターシャ・キンスキーが演じる。しかし、彼女の本作の撮影時の年齢が18、9歳だったことに驚き。その美貌、演技は完成された大人の女優としての風格すら感じさせる。それにしても本作以降においてロクな主演作品が無いことが非常に残念だ。
 なぜこんな美人な女性に不幸な出来事が重なってしまうのか?と俺なんかは観ている最中はそのように感じた。実はそれこそが本作の大きなテーマ。例えば現代においても必ずしも法律が人間の役に立たないどころか、法律が足枷になって損をしている人生を送っている人もいたりする。さて本作の女性主人公であるテスをとことん苦しめるのは何なのか?

 それではナスターシャ・キンスキーを見ているだけでも楽しめるが、いかにも英国らしい映像が見られるストーリーの紹介を。
18世紀のイギリスが舞台。非常に貧しい暮らしをしていたジョン一家。ところがジョンは突然にも、実は自分の家系が貴族のダーバビル家に連なっていたことを知る。早速ジョンとその妻はまだ若くて美しいテス(ナスターシャ・キンスキー)を金銭目的のために、ダーバビル家の農場へ奉公に行かさせる。しかし、そこの女主人の息子であるアレック(リー・ロンソン)に強引に犯されてしまう。テスはダーバビル家から逃げるように去り、実家へ帰ってアレックとの間の子供を産むのだが、子供は直ぐに死んでしまう。
 再度テスは別の農場へ奉公に行くのだが、そこで金持ちの牧師の息子であるエンジェル(ピーター・ファース)と出会う。2人が恋に落ちるのは早かったが、テスは自分の過去をエンジェルに伝えることができなかった。そして、2人は結婚したその夜の事。エンジェルはテスに自分の過去の女性関係を告白する。テスはエンジェルを許し、テスもエンジェルに自分の過去を告白するのだが・・・

 本作でテスを苦しめるのは、古い因習、そして宗教。貴族としての家柄は何の役にも立たず、宗教は何の救いももたらさない。それどころかテスに不幸をもたらすばかり。しかし、俺に言わせると本作における美しい女性であるテスを苦しめる要因は他にもある。それは現在にも通じるが馬鹿男の存在。俺なんかはこの世の中が幸福な世界になるためには、女性の笑顔が必要だと感じているのだが、何時の世でも女性から笑顔を奪い去ってしまっているのが、ロクでもない男。とくに本作においては、エベレスト級の馬鹿男が登場する。我がまま、思い上がり、卑怯、・・・等など、こんな男がテスをとことん苦しめる。
 そんなバカ男と引っ付いたり、離れたりを繰り返すテスもどうなんだ?と思う人もいるかもしれない。しかし、テスの弱みに付け込む馬鹿男の狡賢い奴らを責めるべきだろう。まあ、女性の弱みに付け込む男が俺の周囲にもいるが本当にサイテーだな。そういう奴が、また人を騙すのが上手いし、特に良い人はコロッと騙されやすい。
 あんまりメンタルが弱っている時に観る映画でもないが、田園が広がる風景は綺麗だし、最後の方ではイギリスの観光名所を見せてくれるように映像面でも魅せてくれる映画。不幸などん底に叩き落とされても、決して美しさを失わない(ナスターシャ・キンスキー)に女性として誇りを感じさせるのが良いです。
 昔のヨーロッパを舞台にした映画が好きな人、ナスターシャ・キンスキーと聞いて心が躍るオジサン達、文芸作品の香りを感じたい人に今回はテスをお勧め映画として挙げておこう。

テス [DVD]
トマス・ハーディ
ハピネット・ピクチャーズ


 監督は名匠ロマン・ポランスキー。彼の長編デビュー作品となる水の中のナイフ、残酷なシーンを一切見せないホラー映画のローズマリーの赤ちゃん、ジャック・ニコルソンが私立探偵を好演するチャイナ・タウン、ジョニー・デップ主演のアカデミックな雰囲気とホラーを融合させたナインスゲート等お勧め映画がたくさんです。





 
 

 
 

  
 


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映画 ドクトル・ジバゴ(1965) 大河メロドラマです

2019年01月18日 | 映画(た行)
 ソ連時代の代表的作家であるボリス・パステルナークの同名タイトル小説の映画化作品が今回紹介するドクトル・ジバゴ。ちなみに小説の方は1957年に出版されているが、自国ソ連においてはその内容がソ連共産党のお偉方の逆鱗に触れて発禁処分になってしまい、外国で先に出版されて人気がでた。
 さて、本作の時代背景はロシア革命の動乱期。皇帝専制か共産主義革命かで揺れ動いていた時代のうねりの真っ只中を医者であり詩人である一人の男であるジバゴの生涯を描いている。このジバゴという男だが、ついつい不倫に走ってしまう以外は優しい気持ちを持っている本当に良い人。しかし、時代の波と厳しいロシアの大自然が容赦なくジバゴに襲い掛かってくる。この映画を観ているとこんな時代のロシアに産まれなくて良かったと自分の運の良さに感謝した。
 
 次から次へと災難ばかりやってくるジバゴの人生から観ている我々は何を感じれば良いのか!それでは三時間を超えるストーリーをできるだけ簡単に紹介しよう。
 幼い頃に両親を亡くしたユーリー・ジバゴ(オマー・シャリフ)は、父の知り合いだという人に引き取られて育ち医者になる傍らとして詩人としても知られるようになる。やがてその娘であるトーニャ(ジェラルディン・チャップリン)と愛し合い結婚する。
 一方で若き女性ラーラ(ジュリー・クリスティ)は母親と二人暮らし。母親にはコマロフスキー(ロッド・スタイガー)という愛人がいたのだがコマロフスキーが狙っていたのはラーラ。ラーラには共産主義に燃える革命に生きようとするパーシャ(トム・コートネイ)という彼氏がいたのだが、コマロフスキーに犯されてしまう。
 ある日のクリスマスの夜のパーティーにおいて。コマロフスキーが居るところにラーラが銃を持って現れる。ラーラはあの時の恨みを晴らすためにコマロフスキーに向けて発砲するが、腕を撃つが命を奪うことができなかった。コマロフスキーの負傷を治療したのがユーリー・ジバゴだった。
 それから数年後、ロシア革命の内戦において従軍看護婦として戦場に参加していたラーラ。そこに軍医として野戦病院にいたのが医者として働いていたジバゴ。ラーラはジバゴのことを全く覚えていなかったのだが、ジバゴはクリスマスの日のことを鮮明に覚えていたので彼女のことを一目でわかった。今では二人とも結婚しており子供もいる身だったのだが、この再会を切っ掛けにして・・・

 実はこの映画はユーリー・ジバゴが出ている場面を含めて全て回想シーン。ユーリー・ジバゴの義兄であり共産党の偉いさんであるエフグラフ(アレック・ギネス)が少女を呼び出して、お前のお父さんは・・・!と詰め寄るが、それは観ている我々も『この女の子は何で?』なんて興味も持たしてくれる。
 しかし、本作の多くの見せ場はジバゴの生き様。ロシア革命の波にさらわれて、次々に悲惨な出来事に襲われながらも人間としての良心を持ち続けることができたのは何故なのか?俺に言わせれば、きっとそれは愛があるからだな。しかし、この世の中において愛をカネで売り飛ばす奴がいるのが本当に嘆かわしい。
 そしてこの映画はデヴィッド・リーン監督の作品なだけに映像が素晴らしい。ロシアの大自然を描きだすだけでなく、列車の中で人がぎゅうぎゅう詰めにされていたり、寒そうな家の中など狭い空間にも配慮されたシーンも注目して欲しいところだ。そして名作には名曲が付きものだが『ラーラのテーマ』の音楽が良い。映画のタイトルは聞いたことが無いという人でも音楽は耳にしたことがあるって言う人は多いはずだ。
 けっこうな登場人物が出てくる割に、幸せそうな人は俺が見たところ出てこないが、バラライカと呼ばれる弦楽器の使い方が上手くて少しばかりの希望を感じさせるのが素敵だ。
 ロシアを舞台にした映画が好きな人、大自然が好きな人、ロシア革命に興味を持っている人、現在不倫中である人・・・等などに今回はドクトル・ジバゴをお勧め映画として挙げておこう

ドクトル・ジバゴ 特別版 [DVD]
オマー・シャリフ,ジュリー・クリスティ,ジェラルディン・チャップリン
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督は前述したようにデヴィッド・リーン。彼の奥行きを感じさせる映像は大画面でこそ観たいと思わせる。そして、不倫映画の傑作が多いのも特徴。彼が描く不倫映画として旅情ライアンの娘をお勧めに挙げておこう。そして、この監督の普及の名作としてアラビアのロレンスも挙げておこう。
 
 


 

 
 
 
 
 
 
 


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映画 天使と悪魔(2009) 宗教VS科学の戦いが現代に蘇る

2018年12月12日 | 映画(た行)
  やたらマニアックな知識が豊富なハーバード大学の教授であるロバート・ラングドンが名探偵さながらの大活躍する映画ダ・ヴィンチ・コードの続編が今回紹介する天使と悪魔。ちなみに小説の方はこちらの方が時系列的には先になっている。
 前作のダ・ヴィンチ・コードでは最大のミステリーの謎解きとの謳い文句に期待を煽られ過ぎた感もあるが、ルーヴル美術館を上手く活かせなかったことにもガッカリさせられた人も居ると思う。そんな前作の悪かった点を反省したのか、本作はバチカンやローマの遺跡を上手く活かした風光明媚なサスペンス映画になっている。
 しかも、今回は世界で10億の人が居るとされるカトリック最大の儀式であるコンクラーベが描かれている。コンクラーベとはバチカン市国の宮殿で行われるローマ教皇を決める選挙のこと。世界で最も信者の多いカトリックのトップを決める選挙であり、世界中で注目されているので日本人にも馴染みがある。しかし、初めてこの言葉を聞いた時、日本語だと思った自分の馬鹿さを思い出して笑える。
 さて、本作で描かれているメインテーマは宗教と科学の対立。本作も宗教や科学の専門用語が飛び交うが、ロバート・ラングドン教授が懇切丁寧に説明してくれるのでそれほど難解には感じない。しかも、サスペンスを盛り上げるためのタイムリミットが設けられているので、否が応でも盛り上がる。タイムリミットが過ぎてしまうとバチカン市国全部が吹っ飛んでしまうので、さあ大変だ。

 それではバチカン、ローマをちょっと旅行した気分になれるストーリーの紹介を。
 ローマ教皇が死んでしまい、バチカン市国ではコンクラーベが行われようとしている。そんな時にロバート・ラングドン(トム・ハンクス)をバチカンの警察が訪ねてきた。その理由は次期ローマ教皇の有力者である枢機卿である4人が誘拐されて、殺害予告の犯行声明がバチカン警察に届けられたのだ。すっかり困ってしまったバチカン側は前作のダヴィンチ・コードでキリストの謎を解いたラングドンを頼ってやってきたのだ。
 時差ボケの疲れも全く感じさせずにバチカンにやって来たラングドンを更に驚かせる犯行声明を聞かされる。『コンクラーベが行われる今晩の20時から1時間ごとに4人の枢機卿が殺害し、その後にバチカンを吹っ飛ばす』。犯人はスイスの研究所からバチカンを丸ごと吹っ飛ばせる反物質を盗み出し、バチカンの何処かに隠しているのだ。爆発する時間は枢機卿の4人が殺されてから、約1時間後。
 ラングドンは枢機卿たち及びバチカン、そしてコンクラーベでバチカンに集まってきた多くの命を救うために、女性科学者であるヴィットリア・ヴェトラ(アイェレット・ゾラー)、バチカンを守るスイス衛兵隊の隊長であるリヒター(ステラン・スカルスガルド)、バチカン警察のヴィットリア・ヴェトラ(アイェレット・ゾラー)達の協力を得て、限られた時間の中で解決しようとするのだが、・・・

 バチカンに来たらとんでもない破壊力を持つ発明品が仕掛けられてビックリ。そんなことを聞かされたら俺なんかは、さっさと逃げることを考える。しかし、何事にも好奇心旺盛なラングドンは決して逃げない。ラングドンだけでなくキリストに仕える枢機卿たちもコンクラーベを放り出して逃げてしまうような無責任なことはしない。とんでもない発明品を作ってしまった科学者も自分の命をかえりみずに必死で捜索する。その他の人間も同様で命を懸けて責任感を見せつける。超適当に生きている俺なんかは本作の登場人物たちを見て大いに考えさせられた。
 ラングドン教授が枢機卿の処刑現場に犯人より先回りするために、秘密科学組織がどうのこうの言ったり、ベルニーニの彫刻がどこそこにあるだの、あの彫刻の指があっちを指している等と言ったりで、理解力の足りない者にもわかり易い説明が非常に有難い気分にさせてくれる。そして時々突っ込みどころ満載のシーンがあったりするが、ラングドンの登場シーンが水泳しているところから始まることを思い出せば納得できる?
 バチカンやローマの美術品を見たい人、宗教も科学も大切であることを理解したい人、コンクラーベの現場を味わいたい人、このシリーズの作家である原作者ダン・ブラウンのファンの人等に今回は天使と悪魔をお勧めに挙げておこう。

天使と悪魔 [AmazonDVDコレクション]
トム・ハンクス,ユアン・マクレガー,アイェレット・ゾラー,ステラン・スカルスガルド
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督は前作のダ・ヴィンチ・コードと同じくロン・ハワード。お勧めは前の記事を見てください。

 
 

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 

  

 
  
 
  

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映画 ダ・ヴィンチ・コード(2006) 名画の謎を解く? 

2018年12月09日 | 映画(た行)
 ダン・ブラウン原作の世界的ベストセラー小説の映画化作品が今回紹介するダ・ヴィンチ・コード。大学教授であり、宗教、美術にやたら詳しく、幼い頃のトラウマで閉所恐怖症になっているロバート・ラングドンが命からがら名探偵ぶりを発揮して大活躍するシリーズ物の一遍だ。考古学者が大活躍するインディ・ジョーンズシリーズと似ている気もするが、こちらはアクション控え目だが、よりアカデミックに思わせられる作風。
 実は今回は本作の続編の続編にあたる映画インフェルノを観る機会があったのだが、その前に復習の意味で本作を観なおした。よく本作のように小説を原作とする映画を観ると、先に小説を読むか、映画を観るかで悩む時があるが果たして、どっちが良いのか?ちなみに俺の場合は本作を初めて観たのはだいぶ前のことになるが、小説を読んでから映画を観たパターン。
 ちなみに原作はメチャクチャ面白い。謎解きの醍醐味を味わえるし、文庫本で上・中・下とかなりページ数が多いのだが次の展開がどうなるんだろう?と惹きつけられてしまうので寝る間を惜しんで読めてしまう。

 さて、原作の面白さを映画は超えることが出来たのか、否か。それではストーリーの紹介を。
 たまたま講演のためにパリを訪れていたハーバード大学の教授であるロバート・ラングドン(トム・ハンクス)は、フランス警察のファーシュ(ジャン・レノ)に呼ばれてルーヴル美術館に向かう。そこで目にしたのは、奇妙な格好をした館長のソニエールの死体。実はラングドンはソニエールと会う約束をしていたのだが、その場所にソニエールが現れなかったのだ。ソニエールは死ぬ間際に何かを伝えたくてダイイングメッセージを残したようなのだが、彼と大して面識のないラングドンは困惑するばかり。
 そこへ現れたのが暗号解読を専門とする女性捜査官のソフィー・ヌヴー(オドレイ・トトゥ)。彼女はラングドンに驚くことを告げる。それはラングドン自身がソニエール殺しの犯人だと疑われており、ファーシュはラングドン逮捕に異常なまでに執念を燃やしていること。更にソニエールはソフィーのお祖父さんであることを知らされる。
 危機一髪でルーヴル美術館を脱出した2人は、ソニエールが伝えたかったメッセージを探りながら、警察とカトリックの過激派から追われる羽目になってしまい・・・

 ストーリー全体のメインは、運命で巡り合わされたかのように出会った男女の逃亡劇、キリスト教に伝わる聖杯は何処に存在するのか?の二本柱。そして、なかなか姿を見せないヒットマンを操る導師の正体は何者なのか?ということにも興味を抱かせる。
 実は映画の方は2時間半もある長丁場なのだが、これが回りくどく猛スピードで謎々を出してくるし、またそれに対する解答が早口で説明されている気分になるので観ている側はジックリと考える余裕が全くない。原作の部分を多く詰めて映画化した割に、謎解きの面白さを映画では表現できてないような気がする。そもそも本当にキリストは存在したのかも怪しいのだが、この映画の話題性が大いに盛り上がったのが更なるデッチ上げ。しかし、大してキリスト教に興味が無い人にはデッチ上げの効果も半減。どんでん返しにしても何回も起きると驚けないし、謎が明らかになっても大して感動できないのが非常に残念。
 そして西洋美術に興味が無い人にとってはレオナルド・ダ・ヴィンチ作のあの名画の説明をされても面倒なだけ。そうかと言って興味がある人にとっても初めて許可が下りたルーヴル美術館のロケ撮影だが、その素材が活かされていないことにがっかりするだろう。だいたいタイトル名からレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画が凄い役割を果たしているのかと想像するかもしれないが、多くの人が観ている途中からレオナルド・ダ・ヴィンチのことなんか忘れてしまった人が殆どだろう。
 本作の出来が良いか、悪いかは各自で判断して頂くとして個人的にはストーリーよりも登場人物のキャラクター設定に惹かれた。ドエムのヒットマンと神父様の師弟愛、キリストおたくのお年寄りは説明上手だし、胡散臭い刑事の馬鹿さには失笑する。そして一緒に逃げてくれる女性がとても可愛い。
 映画は果たして原作を超えることが出来たのか?の問いかけだが、ここまで読んでくれた人には答えはわかるだろう。しかし、どんな映画でも再見すると一度観ただけでは理解できなかったり、気づかなかった点が明確になってスッキリした気分になるのも事実。しっかり原作を読み込んでる人が本作を観たら、製作者のチャレンジ精神に拍手を送りたくなる。
 映画の記事を書くときは、とにかく褒めて褒めて褒めまくり、お勧めの映画しか載せないことをコンセプトにしているのだが今回はその趣旨から少し外れた。まあ、過大な期待をしないで観れば楽しめるか。そして本作を観る気が無くなってしまっても原作である小説は面白いから、ぜひ読んで欲しい。ロバート・ラングドンが活躍する映画化シリーズとして本作は一発目の作品でもあるし、その、続編に当たる天使と悪魔インフェルノの映画化作品は面白いので、とりあえず今回はお勧め小説としてダ・ヴィンチ・コードを挙げておこう。

 今回は原作である小説を載せておきます
ダ・ヴィンチ・コード(上中下合本版) (角川文庫)
ダン・ブラウン,越前 敏弥
KADOKAWA / 角川書店


 監督はヒットメーカーとして知られるロン・ハワード。すっかりトム・ハンクス主演にした映画が多くなりましたが、その中でもスプラッシュがお勧め。他ではメル・ギブソン主演のサスペンス映画身代金、実話を基にした大物と小物の対決が楽しいフロスト×ニクソンをお勧めに挙げておきます。 
 
 
 
 

 
 

 

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映画 トプカピ(1964) 明るい泥棒映画です

2018年10月13日 | 映画(た行)
 大金や宝石を強奪する映画は昔から現在に至るまで多くあるが、そんな中でも明るく、ゴージャスな雰囲気を感じさせる映画が今回紹介する映画トプカピ。冒頭から大笑いしながら派手なメイクをした美女メリナ・メルクーリーが、きらびやかに登場するがこの始まり方が楽しい。職業は女泥棒であるメリナ・メルクーリーが今回狙っているのは、トルコのイスタンブールにあるトピカプ宮殿に陳列しているスルターンの剣。その剣に埋め込まれているエメラルドの輝きが彼女の欲望に火をつけるのだ。
 さて、泥棒映画のド定番である仲間集めが行われるが、このような映画を観ていていつも思うのだが、なんでソイツを仲間に選んだ?と思うこと。見たところしっかり吟味して仲間集めをしているように思えたのだが、本作でも結構なおっちょこちょいを仲間に加えてしまう。

 それでは世界一厳重と言われるトプカプ宮殿の警戒をくぐり抜けてスルターンの剣を盗み出せるのか!?それではストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 女泥棒であるエリザベス(メリナ・メルクーリー)はトプカプ宮殿に陳列してあるスルターンの剣に埋め込まれているエメラルドが欲しくたまらない。彼女は早速、元カレの腕利きの泥棒であるウォルター(マクシミリアン・シェル)を口説いて計画を立てる。
 ウォルターは早速仲間集めにかかるが、発明家、力持ち、軽業師を集める。そして彼はエリザベスと観光客を装って、武器をトルコへ持って行くドライバーを探していたのだが、イギリス人ガイドのシンプソン(ピーター・ユスティノフ)に目をつけるのだが・・・

 詐欺師で臆病で高所恐怖症のシンプソン(ピーター・ユスティノフ)が良い。ダメダメな男に思えたが意外な特技があったりする。しかし、この男を雇ってから計画が微妙に狂いだすのだが、それでも天才泥棒であるウォルター(マクシミリアン・シェル)の機転が利いて、トルコ側の官憲との対決が楽しい。トルコの官憲も泥棒達もシンプソンを利用しまくり、トプカプ宮殿に侵入前の前哨戦からワクワクさせる。ある意味シンプソンも余計なことに巻き込まれて可哀そうな感じがしないでもない。
 トプカプ宮殿に侵入してからもワクワクドキドキの連続。完璧なスペシャリストが揃っていたらそれほどドキドキすることもないのだが、泥棒チームの中に一人でもダメな奴が居るとスリルが盛り上がる。
 そしてスルターンの剣の盗み方だが、トム・クルーズの大ヒットシリーズが完全にパクっている。
 この映画を観終わると改めてトイレにはトイレットペーパー以外は入れて流そうとしてはいけないことがわかるし、窓を開けっぱなしにしてはいけないことがわかる。
 そして本作はトルコの雰囲気が充分に伝わる。トルコのレスリング競技場、トプカプ宮殿、トルコの刑務所など、少々トルコを観光した気分を味わえるのも良い。
 女泥棒であるエリザベス(メリナ・メルクーリー)の豪華な衣装も際立っている。よく考えたら、泥棒達は大して金に困っている奴がいないので悲壮感は大して感じないし、リラックスしながら観ることができる。
 トルコが好きな人、笑える犯罪映画を観たい人、明るく輝いている映画を観たい人・・・等に今回はトプカピをお勧め映画として挙げておこう

トプカピ [DVD]
メリナ・メルクーリ,ピーター・ユスティノフ,マクシミリアン・シェル
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はジュールズ・ダッシン。元々はハリウッドで活躍していた監督ですが、赤狩りでハリウッドを去り、ヨーロッパに渡って映画を撮ることになってしまいました。
 ハリウッド時代の作品では裸の町深夜復習便が良いです。
 ヨーロッパに渡ってからは本作以外にも日曜はダメよが良いです。その他にも名作多数の偉大な映画監督です。 
 
 

 
 
 
 

 
 
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映画 第十七捕虜収容所(1953) 脱走映画と言えばこれ

2018年10月04日 | 映画(た行)
 戦争映画を扱った映画には陸軍や空軍の戦いを描いたものが多いが、捕虜を扱った映画が無いのが不満だ、とナレーションが出てくるが、あれっ、そうだったっけ?と俺なんかは思ったが、よく考えたら今回紹介する映画第十七捕虜収容所は1953年に公開されている事を考えると、確かにその通りだろう。本作以降において捕虜たちを描いた映画に大脱走戦場にかける橋などがあり、脱走を描いた戦争映画が出てくることになる。
 捕虜だけでなく獄中からの脱走を描いた映画はたくさんあるが、大いに笑えて、しかもサスペンスフルな楽しさの両方を備えている映画と言えば本作になるだろう。
 よく練られた脚本、多くの登場人物が出てくるがしっかりとキャラクター設定が描かれており、また電灯、チェスの駒など小道具の使い方が上手い。

 それでは何かと名人芸を感じさせる脱走を描いたストーリーの紹介を。
 第二次世界大戦の末期、ドイツにある第十七捕虜収容所だがアメリカ人兵士ばかり集められていた。ある日のこと、二人の兵士が脱走を実行するのだが、待ち受けていたドイツ兵によって二人とも射殺。あまりにも脱走計画がバレバレの失敗だったために、この収容所の中にスパイがいるのではないかと皆が疑心暗鬼に陥る。
 そんなアメリカ人捕虜の中でもセフトン(ウィリアム・ホールデン)は、他の捕虜と付き合うこともなく一匹オオカミ的存在。しかも、何かとドイツ兵と上手くやっているので、みんながセフトンがドイツ側のスパイだと疑っていた。
 ある時、列車爆破の容疑でダンバー中尉(ドン・テイラー)が一時的に第十七捕虜収容所にやってくる。ダンバー中尉はドイツ軍の列車爆破をした英雄としてみんなから歓迎されるのだがセフトンは何故かダンバー中尉と気が合わないために、益々スパイとしての容疑が高まる。
 しばらくすると収容所の所長シェルバッハ(オットー・プレミンジャー)が列車爆破の証拠を掴んだとダンバー中尉を連れ去っていく。
 セフトンは皆から完全にスパイだと疑われリンチを喰らう。ようやくセフトンは自らスパイ探しを開始するのだが・・・ 

 ナチスドイツの収容所を舞台にした映画だと残酷なシーンを見せつけられるのに辟易している人も多いと思うが、本作は残酷なシーンなんか全く出てこない。捕虜の中にはコンビみたいなお笑い担当がいて結構笑わせてくれる。こいつらのお陰で捕虜収容所での生活も楽しそうに描いている。
 スパイ探しのシーンもなかなか楽しい。スパイと所長の伝達の方法なんかなるほど!と思わせるし、ラストも気持ち良くなる終わり方が良い。ナチスドイツの収容所を描いた映画と聞くと暗い作品が殆どだが、これはとにかく明るく描いているのが本作の優れたところだ。
 ユーモアとサスペンスが融合している映画を見たい人、脱走映画が好きな人、ビリー・ワイルダー監督作品と聞いて心が躍る人、名人芸を感じられる玄人っぽい映画を観たい人等に今回は第十七捕虜収容所をお勧め映画に挙げておこう。

第十七捕虜収容所 [DVD] FRT-050
ロバート・ストラウス/ピーター・グレイヴス/ウィリアム・ホールデン/オットー・プレミンジャー/ドン・テーラー
ファーストトレーディング


 監督は前述したビリー・ワイルダー。社会派、コメディ、サスペンスなど幅広い分野に傑作を遺している名監督。お勧め映画を挙げていけば本当にキリがない。個人的に彼の作品で最も好きな映画としてアパートの鍵を貸しますを今回は挙げておこう。

 

 
  

 

 
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