褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 山猫(1963) 貴族社会の没落

2024年03月17日 | 映画(や行)
 そういえば山猫は眠らないというタイトルの軍事アクション映画があったが、それとはまったく関係ない。今回紹介する映画山猫は19世紀半ばの激動のイタリアのシチリア諸島が舞台。本作を理解する上で少しばかりこの時期のイタリアの状況を説明しておく必要があるだろう。現在は長靴の形をしたイタリア共和国として存在しているが、元々はバラバラの国として存在していた(サルディーニャ王国、パルマ公国、両シチリア王国等)。そんな時にイタリア統一運動に大きな働きをしたのが革命軍を率いたイタリアでは有名すぎるガリバルディ。ガリバルディがシチリア島に攻め込んでくることが本作の発端となる。
 それとシチリア島の状況も少しばかり説明しておく必要もあるか。本作では主人公であるバート・ランカスターが「シチリアは25世紀に渡って他国に支配されてきた」と言う台詞がある。そして、シチリアは色々な国の支配を受けている歴史がある(スペイン、フランス、ブルボン王朝等)。本作においてはシチリアはブルボン王朝の支配を既に長年に渡って受けていたのだが、そこへ前述したようにガリバルディがブルボン王朝を支配するべく攻め込んできたのだ。
 そんなブルボン王朝の下で甘い蜜を吸っていたのが特権階級に属する貴族たちだが、階級社会で上流にあたる彼らは王朝の庇護を受けて、ボッ~としながらでも豪華な暮らしをすることができた。ところが、王政打倒、共和制を掲げるガリバルディの革命軍がもの凄い勢いでシチリアに攻め込んできた。もしもガリバルディにシチリアを征服されると、この地にいる貴族たちは社会の変革によって彼らの特権は剥奪される恐れを抱かざるを得ない。
 そんな貴族社会がピンチに陥ってしまった事に対して苦悩するのが、長きに渡って続いた名門中の名門であるバート・ランカスター演じる老年のサリーナ公爵。

 古き社会と新しき社会の狭間で揺れる老貴族に訪れる運命はこれ如何に。
 19世紀半ばイタリアのシチリア島において。山猫の紋章を持つ貴族であるサリーナ公爵(バート・ランカスター)はシチリアのパレルモで大家族と共に暮らし、貴族らしく振る舞っていた。しかし、そこへガリバルディによる革命軍がシチリアへ上陸。そんな時にサリーナ公爵の甥であるタンクレディ(アラン・ドロン)は時代の波を嗅ぎつけ、革命軍に参加することをサリーナ公爵に告げる。まさかの申し出に戸惑うサリーナ公爵だったが、日頃可愛がっているタンクレディにお金を持たし、革命軍に参加することを許す。
 ガリバルディによってシチリアも征服され、サリーナ公爵一家は別荘へ逃れる。そこではこの混乱に乗じて資産を増やして勢力を伸ばしているブルジョワ上がりのカロージェロ(パオロ・ストッパ)が市長となっていた。
 そして、軍功を挙げて帰ってきたタンクレディだが、カロージェロの美しい娘アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)に一目惚れ。タンクレディはサリーナ公爵にアンジェリカとの結婚の後ろ楯になるように頼み込むのだか・・

 貴族社会の特性として近親での結婚が多いことが挙げられる。タンクレディも当初はサリーナ公爵の娘と婚約していたのだが、彼女を振ってブルジョワ上がりの娘であるアンジェリカに乗り換える。名門一族の貴族にとって結婚することにも相手の階級を気にしなければならないのだ。しかも、相手はまるで価値観の異なる家柄の女性。タンクレディは新時代の象徴であり、そして彼の時代を読み取る目が凄いからなのかポリシーを簡単に曲げるのだが、その辺りが俺的にはムカついた。
 そしてサリーナ公爵だが結構なエロ爺。シチリアが一大事な時でも娼婦の館に通い詰める。しかしながら、迫りくる老いと貴族社会の斜陽、それに抗うことに苦悩する。しかし、その姿に名門貴族としてのプライドや引き際の美学を感じさせられた。
 なかなか重厚な人間ドラマを感じさせ、それでいて政治的な面も描かれている。そして現在のイタリアの姿になる激動の時代を少しばかり勉強した気分になる。個人的には非常に面白く観れたのだが、3時間の長丁場。貴族だのイタリア統一運動だのシチリアの綺麗な風景などに興味が無い人には恐らく睡魔との戦いになるか。そのためにもここで述べたような知識ぐらいは予習しておきたいところだろう。更に、後半では30分以上の時間を豪快に踊りまくるシーンが出てくるだけに脱落してくる人も出てきそうなのが不安だ。
 そうは言っても本作は貴族の末裔であるルキノ・ヴィスコンティ監督。貴族の末裔がこのような貴族の没落を描くことの奥深さを感じるし、豪華セットは見所充分、ニーノ・ロータによる音楽は素晴らしいし、何と言っても格調が高い。少しばかりイタリアに興味があり、ルキノ・ヴィスコンティ監督と聞いて心が騒ぎ、3時間の長丁場に耐えられる人に今回は山猫をお勧めに挙げておこう

 監督は前述したルキノ・ヴィスコンティ。映画界に多くの名作を遺した。サスペンスの傑作郵便配達は二度ベルを鳴らす、女の情念を感じさせる夏の嵐、1960年代のイタリアの南北格差を描いた若者のすべて、骨肉の争いが凄まじい地獄に堕ちた勇者ども、本作と同じくバート・ランカスター主演でうるさい訪問者に悩まされる家族の肖像、彼の遺作であるイノセント、ひたすら豪華さを求めるならルードヴィッヒがお勧め






 



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映画 約束の土地(1975)  3人の若者達の野望を描く

2023年08月20日 | 映画(や行)
 19世紀のポーランドの工業都市ウッツを舞台にした映画が今回紹介する約束の土地。しかしながら、多くの日本人にはあまりにも馴染みの少ない地方だろう。よって、少しばかりこの当時の時代背景及び舞台設定を説明しておこう。ポーランドという国は歴史上において何回も消滅しては復活している国家。ちなみに当時はソ連、プロイセン(今のドイツ)、オーストリアによる分割統治されていた頃。本作においてもルーブルやマルクといったロシアやドイツの通貨が流通している。そして当時のウッツだが繊維工業が盛んで、多くの工場が立ち並んでいた。ちなみに本作でも工場が立ち並んでいる景観は当時の様子を感じれるし、工場での作業もド迫力の映像を見せる。
 物語は旧態依然としたウッツがこのまま続けば未来はないだろうと、資本家達に反乱する若者達の姿が描かれる。

 さて、若者達の野望とその成れの果てを描いたストーリーの紹介を。
 ウッツでは、経営困難の煽りを受けた資本家の中には保険金目当てで工場を放火する者が続出したり、自殺する者も出ていた。そんな状況下であるウッツに未来は無いと3人の若者が新しく工場を作ろうと画策する。その3人とは300年間も続く士族の末裔カルロ(ダニエル・オルブリフスキ)、商才のあるユダヤ人モリツ(ヴォイツェフ・プショニャック)、父は繊維業を営むドイツ人のマルクス(アンジェイ・セヴェリン)。彼らは古い資本家の抵抗に遭いながらも、資金集めに翻弄する。
 ある日のこと、カルロは婚約者がいながら工場主の妻ルツイ(カリーナ・イエドルシック)とも密会を重ねていたのだが、ルツイからある情報を聞かされる。それは輸入される綿の関税が近い内に引き上げられること。彼らはこのチャンスを捉えて大量に綿を買い込み、それを同業者に売り込み大金を手にする。その甲斐もあり彼らは念願の新しい工場を手に入れる。しかし、何かと敵を多く作ってしまうカルロのおかげで・・・

 ストーリー紹介だけなら登場人物が少なく思われるかもしれないが、けっこうロクでもない人間が多く出てくる。そいつ等のおぞましいエピソードのおかげで3時間の大作になっている。俺から見ればカルロが登場人物の中でも1番ダメな人間に見えたのだが。3人の新しく工場を建てるという夢が次第に私利私欲の欲望に変わっていく、と言うか最初から私利私欲だけだったように思えなくもないが、けっこう古い時代を描きながらも強欲資本主義がこの世をダメにしている現在にも通じるテーマが描かれている。しかし、その様な内容の映画を1975年というソ連の影響下にあった社会主義国家のポーランドで制作されたことに驚きと、先見の明を感じさせる。
 けっこう強烈な描写があったり、ちょっとこのタイプの映画にしては時間が長すぎると感じたり、最初の始まりがせっかく綺麗な風景で始まるのに、それを台無しにするようなピンク色を使ったタイトルバックがセンス無さすぎたり、見たことも無い登場人物達が一斉に喋り出したり等で観ていてけっこう辛く感じる部分もある。
 しかしながら、国籍も宗教も異なる者同士(ドイツ人のマルクスが大して頑張っているように見えなかったのは深読みしてしまいそうになるが)が目標へ向かって突き進むというストーリーは見所充分。ポーランドの歴史をほんの少しでも知りたい人、自らの成功のためには手段を選ばないような主人公が描かているストーリーが好きな人、何はともあれ忍耐力のある人に今回は映画約束の土地をお勧めに挙げておこう

 監督はポーランド映画界の伝説アンジェイ・ワイダ。祖国に対する想いが描かれている映画が多い。名作灰とダイヤモンド地下水道カティンの森、フランスの政治家をジェラール・ドパルデューが演じるダントンがお勧め





 

 
 
 
  
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映画 欲望(1966) 写真に見えているのが・・・ 

2019年06月05日 | 映画(や行)
 もうブログを書き始めて12年が経つが、最初の頃に書いた記事を今読むと本当に恥ずかしい限り。書き始めた頃はそれほどブログを書く人も居なくて、けっこう知人から褒められたりもしたが、今改めて読むと超ダメダメ。最近は書き始めた頃のブログにコメントを書いてくれる人もいるのだが、今回紹介する映画欲望も最近コメントが多い記事。この映画を初めて見たのは10年以上前になるが、実は何が面白いのかわからなかったし、最後の方は主人公の妄想が酷くなってきたのを見せられて、何が何だかサッパリわからん映画だと思っていたのだが、本作に関する最近頂いたコメントを読んでみると、面白かっただの、本作について色々と情報を教えてくれる人がいたりで、そんなエンタメで奥が深い映画だったっけ?なんて思い今回改めて観直した。
 今さら、もう一度観る価値があるのか?なんて思ったりしたが、こりゃ~びっくり!オープニングから格好良くて、こんな冒頭から惹きつけられる映画だったことに我ながら驚いた。10年以上ぶりに観る本作だが、つまらなく思っていた映画が今回観直してみると面白く感じるとは、長い年月が俺を成長させてくれていることを実感した。
 さて、映画の方だが邦題は欲望だが、原題はBlowupで意味は『写真の引き延ばし』。えらい邦題と原題がかけ離れているように思える。しかし、前半のイケメンのカメラマンのやりたい放題の行動が邦題を表している。何かと傲慢な主人公だが、特に女性モデルを撮るシーンのドエスっぷりは笑えた。しかし、あるカップルを盗撮した写真をBlowupされるシーンから、サスペンスフルになって楽しめる。しかも、イケメンのカメラマンが段々イタイ人間になっていく展開の面白さが、今回再鑑賞してやっとわかった。

 イケメンのカメラマンと同様に、観ている者も何が何だかわからなくなってきそうなストーリーの内容を簡単に。
 1960年代のイギリス、ロンドンが舞台。若くてハンサムなカメラマンであるトーマス(デヴィッド・ヘミングス)は若い女の子の方から写真を撮ってよ~と迫られる人気者。トーマスはちょっと気晴らしに自慢の愛車を飛ばして公園へ散歩しに行くと、紳士風の男と若い女性がキスしていた。その場面を次々に写真に撮っていたのだが、若い女性が盗撮されていることに気付き、トーマスの方に近寄ってフィルムを返せと迫ってくる。しかし、彼女の方が恋人と思われる男性がいつの間にかその場を去っていることに気付き、どこかへ去って行った。
 トーマスが仕事場であるスタジオに帰ると、先ほどの彼女であるジェーン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)がフィルムを返してもらおうと突然現れた。トーマスはフィルムを返す代わりに、ヌード写真を撮らせろとジェーンに要求。ジェーンはあっさり裸になってさっさとフィルムを返してもらい去って行った。しかし、トーマスが返したのは彼女が欲していたのとは別のフィルム。裸になってまで返して欲しがるフィルムに好奇心が沸き起こったトーマスはフィルムをプリントすると、違和感のある場面を発見。そして更に写真を引き延ばしてみると、そこには草陰から銃を向けている男、そしてジェーンが逢っていた男性の死体が写り込んでいたのだ・・・

 よせばいいのに、盗撮してしまったために奇妙な出来事に巻き込まれてしまう自業自得なイケメンのカメラマン。それにしても最初の方は傲慢なぐらい自信満々だったのに、途中からは急に汗をびっしょりかきだしたり、何が現実なのか自分でも理解できないぐらいの狼狽ぶり。それにしてもこの主人公を通して作り手は観ている者に何を問いかけたかったのか?しかし、本作については色々な人がブログや様々な媒体でその謎を解き明かすことに挑戦している。本作が製作された時代のイギリスの若者文化に照らし合わせて解決しようとする人がいたり、原題の意味する写真を引き延ばすことによる現象から本作を解き明かそうとしたり、色々な意見がある。ちなみに俺なりにこの映画を解釈すると『本作を撮った監督自身も次第に何が何だかわからなくなってきた』というのが俺の一発回答。本作については公開当時から現在に至るまで世界中で多くの人が議論しているようだが、世界中で一番無責任な説明をしている人間はきっと俺だ。
 なんせ意味深な数々の描写が本作を難解に感じさせる。顔をペイントして奇声を発している集団がいたり、ロックファンには嬉しくなるようなヤードバーズ(ジェフ・ベックとジミー・ペイジがギターを演奏していた時代)がライブハウスで演奏している時の観客の表情だったり、ラケットもボールも無いのにテニスをしていたり、主人公の行動が適当過ぎるところ等、細かい部分まで挙げたらキリがないぐらい不思議なシーンが多い。それでいて音楽が格好良かったり、風景が印象画のように綺麗だったりするから惹きつけられたりする。
 何はともあれ俺のブログを見て興味が湧いた人に今回は映画欲望をお勧めに挙げておこう

欲望 [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]
バネッサ・レッドグレイヴ,デビッド・ヘミングス,サラ・マイルズ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


 本作を撮った監督はド素人かと思いきやミケランジェロ・アントニオーニ。超有名で巨匠として名を馳せるイタリアの名監督。情事に代表される愛の不毛三部作が有名だが、個人的なお勧めはさすらいです。







 
 

 

 
 
 



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映画 酔いどれ天使(1948)黒澤明の初期作品の傑作です

2019年05月18日 | 映画(や行)
 日本人で世界の〇〇と呼ばれている人間は少なかれ居るが、その中でも最もしっくりくるのが世界の黒澤。今でも世界において黒澤明の名前は燦然と輝いているのだが、なぜか日本では知らない人が多い。もう今の20代の若者たちは殆ど知らない人ばかりで、俺よりチョット世代が上の50代のオジサン達ですら知らない人の方が多いかもしれない。もはや黒澤明監督の映画は日本の文化であり、もっと多くの日本人に黒澤映画を観てもらうために俺は頑張るんだ。
 黒澤明監督の戦後間もない初期の傑作と言えば今回初回する映画酔いどれ天使。結核で死にそうになっている若いヤクザと昼間から飲んだくれている貧乏な町医者が喧嘩しながら交流を深めていくストーリー。タイトル名はもちろん後者の方を指しているのだが、俺から見れば天使というよりも小汚いオッサン。髭面で毒づきながら病人の診断をしているようなお医者さんは、今頃は見かけない。そんな場面からも戦後の時代を感じさせる。
 しかし、本作の後に黒澤明監督は次々と傑作を連発するが、彼の映画の特徴が最初に色濃く出たのが本作。社会悪を絶対に許さないテーマ、大げさな対決シーン、音楽の使い方、巧みなストーリー展開、そして三船敏郎の初の黒澤作品への出演。まさに黒澤イズムの原型が詰まっている作品だ。

 それでは戦後の混乱した時代ながらも、何かとエネルギッシュな時代の息吹を感じさせるストーリーをできるだけ簡単に紹介を。
 昼間から酒を飲み、世間に恨みがあるのか少々口が悪い貧乏な町医者である真田(志村喬)。しかし、彼には病人とは真摯に向かい合い、自分で『俺みたいなのは天使みたいなものさ』と一寸だけ笑えるギャグをかましてくる。
 そんな真田の病院に夜分遅くに、若いヤクザの松永(三船敏郎)がやってくる。真田は撃たれた鉄砲玉を取り除いてやるのだが、松永が咳き込んでいる様子から診察してやると、どうやら結核の疑いが出てきた。しかし、松永は親切な真田に対して『俺の体に悪い部分があるなんて嘘をいうな』と胸倉をつかんで詰め寄る。そんな松永を真田は『お前みたいな人間のクズはもう来るな』と追い返す。まるで子供同士の喧嘩だ。
 大きな病院で診てもらった松永はやはり結核だった。しかし、それでも血気にはやる松永は真剣に治療しようとしない。真田はヤクザは嫌いだが、なせか松永の内面には憎めない部分があり、彼の病気を治してやろうと思うのだ。
 しかしながら、松永の兄貴分の岡田(山本礼三郎)が刑期を終えて出所してきた。そこからは松永の威厳は一気に低下、情婦はすっかり自分から逃げ出して岡田の元へ走り、縄張りが自分から岡田の物に譲渡されることになる計画をチラッと聞いてしまった。すっかり落ち目になった松永は博打にのめり込み、ついに吐血。身心ともにボロボロになった松永は真田の家で養生することになる。真田の家で匿まわれていた美代(中北千枝子)はかつて岡田から人生をめちゃめちゃにされた女性だった。岡田が美代を探しており、ついに真田の病院に居ることを嗅ぎつける。
 もう色々とショックですっかり威勢を無くしてしまった松永だったが、真田に迷惑をかけてしまったことを後悔し、自ら岡田の元へ対決をしに行く・・・

 偉そうに威張っているヤクザだが自分の体に病気で侵されているとしると、ショボい奴になってしまう。俺の知っている議員には『だいたい市民は何でも政治家に頼り過ぎなんですよ』と偉そうなことを言っているが、それなのに道路わきで自分の名前と顔が写っている自民党の旗を持ちながら、お辞儀ばかりしている奴がいる。普段はたかが議員のくせに自民党の旗を持っている時はプライドを捨てられる卑屈さは、本作のヤクザの連中と大して変わらんと思って見てしまった。
 もう死にかけの松永の行動の結末は途中から読めてしまうが、対決シーンがなかなか凄い。黒澤明の対決シーンは泥んこになるのが特徴だが、本作はペンキまみれになって対決する。そして、この対決のケリの付いた後のショットがなかなか凄い。そして、医者の言うことを聞かずに兄貴分が居るとことろへ乗り込んで死に場所を求めているかのような生き方をしている松永と、その反対の位置づけとして女学生(久我美子)の存在があるが、この女性を持ってきたことによって陰惨な暴力の世界に、人類の希望を感じさせるエンディングが素晴らしい。これだから人間って素晴らしいし、俺も生きようと頑張れる。
 戦後の息吹のエネルギッシュさを感じ、今観ても楽しいし、面白い。黒澤明監督のヒューマニズムドラマにどっぷりハマりたい人にはお勧めだ

酔いどれ天使[東宝DVD名作セレクション]
黒澤明,植草圭之助
東宝


 監督は日本のみならず世界映画史を代表する黒澤明。彼のお勧め作品は多数あるのだが、まだ彼の作品を見ていない人は七人の侍は絶対に観ておけ。ヒューマニズを謳いあげた作品なら生きる、社会派サスペンス映画なら天国と地獄がお勧めです。




 

 



 
 

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映画 八日目(1996) エリートとダウン症の人の交流です

2018年09月30日 | 映画(や行)
 
 最初から旧約聖書の創世記の冒頭部分のナレーションが出てくる。神様は一日目に太陽を作った~、二日目に神様は海を作った~、三日目に神様はレコードを作った~、四日目に神様は・・・なんていきなり出鱈目な創世記の流れのナレーションから始める。さて、八日目に神様は何を作ったのか?
 映画の分野と言えば色々あるが、本作はロードムービー。昔からロードムービーにはたくさんの名作があった。正反対の性格だったり、黒人と白人だったり、マトモな人間とちょっと精神的に問題がある人間だったり、全く立場の異なる者同士が、主に二人で目的地にまで進み、そこで観ている者は何かしら感動を得る。
 今回紹介する映画八日目も、ロードムービーとしては王道ではあるが、組み合わせが会社のエリートとダウン症の少年の組み合わせ。しかし、昔から心身ともにマトモな人間と障害者の組み合わせのロードムービーと言えばレインマンスケアクロウと言った名作があるように、障害者の方がダウン症と言ってもそれほど珍しい組み合わせでもない。
 しかし、この映画が珍しいロードムービーであるのはファンタジーや非現実な世界が描かれている事。本作はダウン症の人に対する世間の目をありのままに描いていたりで厳しい現実が描かれていたりする。だが、神様が七日間で創り忘れていたために、八日目に創り出した物は何を意味するか?そのメタファーに気づいた時に、深く感動できる仕組みになっている映画だ。
 もしも、そのメタファーに気づかなかったとしてもガッカリすることはない。人生に必要な物とは何かぐらいはわかるだろう。

 それでは会社のエリートとダウン症の少年の奇妙な交流が描かれているストーリーの紹介をしよう。
 ダウン症の少年ジョルジュ(パスカル・デュケンヌ)は施設に暮らしているが、何年も家族が面会に来ない。何とかして大好きな母親(イザベル・サドヤン)に会いたいジョルジュは犬を連れて施設を抜け出して、母親の所へ行こうとする。
 大手銀行で教育を担当しているエリート重役のアリー(ダニエル・オートゥイユ)だが、会社では活き活きしているのだが、妻のジュリー(ミュウ=ミュウ)とは別居しており、娘二人も妻の元に行っている。
 ある日のことアリーは会社のことで頭が一杯で娘二人が遊びに来ているの忘れてしまい、迎えに行くのを忘れてしまった。
 夜中にもう死んでも良いやと、目をつぶって運転したら何かをハネてしまう。それは犬、その傍にジョルジュが立っていた。
 アリーはジョルジュを彼の母親の家に送って行くのだが、そこには別の人が住んでいて既に母親は死んでいた。アリーはジョルジュの姉の現在住んでいる住所を聞いて、そこへ送りに行くのだが・・・

 実はこの映画はダウン症の少年ジョルジュの描き方に容赦がない。非常にはた迷惑な行動を繰り返し、アリーを頻繁に悩ます。
 女性に声を掛けても恋に発展しないで思いっきり泣き叫ぶ。何かと差別的に描かれているが、しかし、観ている我々は彼の笑顔に救われる。そして、実は一番彼の笑顔に救われているのが会社一筋だったアリーだ。
 ダウン症のジョルジュは気持ちは純粋だ。アリーも次第にジョルジュに同情していくが、ジョルジュもしっかりとアリーの気持ちを慰めようとし、あるトンデモな行動を起こすのだが、これが最大の感動的な場面だ。
 しかし、結末は悲しい。それは、この世での役目を終えたことに対する神様のいたずらな導きなのか?
 ロードムービーが好きな人、ダウン症というものを少しでも考えたい人、人生で大切な物を知りたい人、どういう人間が神様に愛されるかを知りたい人・・・等に今回は映画八日目をお勧めに挙げておこう。ちなみにダウン症の少年を演じたパスカル・デュケンヌは、実際にダウン症であり、本作の監督の作品に出演していたりします。

八日目 [DVD]
ダニエルト・オートゥイユ,パスカル・デュケンヌ、,ミウ・ミウ
角川書店


 監督はベルギーの俊英ジャコ・ヴァン・ドルマル。非常に寡作で知られる監督ですが、奇想天外なアイデアや映像は見応え充分。トト・ザ・ヒーローミスター・ノーバディが良いです。

 


  
 
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映画 夜の大捜査線(1967) 人種差別の根の深さを感じる

2018年06月29日 | 映画(や行)
 1950年代から1960年代にかけてアメリカで吹き荒れた公民権運動。アメリカの黒人達が人種差別、人種隔離の撤廃を求めて立ち上がった運動だ。そんな公民権運動が盛り上がっていたグッドタイミングに登場したのが今回紹介するのが映画夜の大捜査線。黒人差別が根強いアメリカ南部を舞台に地元の白人警察署長と、たまたまその場を訪れた黒人刑事が、殺人事件を解決するためにお互いに嫌々ながら協力する話し。
 なかなか犯人捜しのサスペンス感が楽しい映画だが、それでも更にインパクトに残るのが白人が黒人を嫌う様子。黒人刑事を観ただけでその場を去ろうとしたり、黒人刑事がのっている車を追いかけまわし、ある倉庫に追い込んでリンチしようとする。その他にも見ていくとたくさん出てくる。
 さて北部からたまたまやって来た非常に頭が切れる黒人エリート刑事、そして地元のことしかわからず今まで殺人事件を担当したことのない警察署長。地元の警察の人間達も白人差別者。黒人エリート刑事と地元の白人署長が協力して犯人を探し出せることができるのか?

 それではストーリーを簡単に紹介しよう。
 アメリカ南部ミシシッピー州の田舎の駅に夜行列車で到着し、くつろいでいる黒人の男がいた。折しも大富豪の殺人事件が起きたその夜に巡回していた警官サム(ウォーレン・オーツ)は駅でくつろいでいた黒人を人殺しだとなぜか自信を持って逮捕。そして警察署に連れて行くのだが、なんとその黒人はフィラデルフィアの敏腕刑事ヴァージル(シドニー・ポワチエ)という殺人事件を担当する敏腕刑事。周囲の白人達から偏見を向けられながらも、圧倒的な推理力で殆ど適当に捕まえてきた容疑者たちの冤罪を即刻で示してしまう。
 殺人事件を解決するために署長であるビル(ロッド・スタイガー)はヴァージルに捜査の協力をお願いする。ところが人種差別の激しいこの土地でヴァージルといえども大苦戦。あやうく殺されてしまいそうになる始末。しかしながら、思わぬところから真犯人の手がかりを捕まえるのだが・・・

 黒人と白人の対立する映画で時々みかけるのが、白人が黒人を馬鹿にして徹底的にしごきまくるパターン。しかし、本作は黒人刑事が圧倒的推理力、行動、勇気で凄さを白人達に見せつける。人間何か一つでも他人より秀でた者があれば自分を偉く見せることができる。ちなみに今回の黒人刑事は抜群の推理力を見せつけることによって白人たちの心を少しずつ掴んでいった。
 ひたすら偏見丸出しの白人の登場人物たちがアホに見えてしまうが、なぜ白人は黒人に対する憎悪を持ち続けるのか?しかし、この映画を観れば白人と黒人の争いがなくなり、人種偏見全部がなくなる可能性を感じさせる。この映画の場合だと黒人刑事は敏腕刑事として誇りを持ち、白人署長は俺がこの地域を守るという誇り。自分に対して誇りを持ちながら相手のことを理解してやる、この相互関係がさらには世界を平和にするヒントになるだろう。真の友情を示すのに多くの言葉はいらない。黒人刑事ヴァージルと白人署長ビルが列車乗り場で別れる場面。この時ビルは何を持っていたか?そこにはビルの黒人刑事に対する尊敬の念が表れていた。静かな感動が湧いてくるラストシーンである。
 レイ・チャールズの音楽は素晴らしいし、社会問題を一級の娯楽サスペンスに仕立て上げる演出は見事。人種偏見による事件が未だに後を絶たないが、それでも人類がみんな仲良くできる日が来るのではないかと,わずかながら感じることができる映画夜の大捜査線を今回はお勧め映画として挙げておこう。


夜の大捜査線 [DVD]
シドニー・ポワチエ,ロッド・スタイガー,ウォーレン・オーツ,リー・グラント
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はノーマン・ジュイスン。サスペンスの分野で多くの傑作を残している。博打映画シンシナティ・キッド、とってもゴージャスな華麗なる賭け、老若男女とわない恋模様を描いた月の輝く夜にがお勧めです。


  
 
 


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映画 許されざる者(1992) 俺が一番の許されざる者です

2013年09月07日 | 映画(や行)
 かつてのハリウッド映画は西部劇に代表されるように、保安官や刑事が無法者を正義の名のもとにバンバン撃ち殺し、それこそハッピーエンドだとばかりに観客も大喜び。しかし、勝つことこそ正義だと信じられてきた時代はそんな映画でも大流行だが、もはや正義という言葉の意味が曖昧になってしまった現在においては、そんな映画はもう流行らない(?)。
 そんな流行にトドメを撃ったのが、今回紹介するクリント・イーストウッド監督の映画許されざる者であり、今日に到るクリント・イーストウッド監督の快進撃は本作から始まる。

 本作品の西部劇の特徴はかつてのような単なるヒーローを描いた勧善懲悪ではなく、正義、法と秩序、権力、復讐・・・等様々なテーマについての是非を考えさせられる西部劇。普段から脳ミソを使って無い人や、ただボケ~ッと観ていただけでは『あ~、面白かった』だけで終わってしまう勿体ない映画。タイトルの許されざる者とは、一体誰なのか?と考えながら観ると、この映画の凄さに気付き、さらに善と悪の境界線の引き方の難しさについて大いに考えさせられるはずだ。

 さて、西部劇の形態を取りつつも、あらゆるテーマについて考えさせられるストーリーとは如何なるものか?
 ある町において、『小さい!』と言われた流れ者のカーボーイの2人が娼婦フィッツジェラルド(アンナ・トムソン)の顔をナイフで傷つける事件が発生。アリス(フランシス・フィッシャー)や他の娼婦たちはカーボーイの2人を吊るし首にすることを望むが、町を牛耳る保安官リトル・ビル(ジーン・ハックマン)は、あまりにもの軽い刑罰で済ましてしまう。
 しかし、納得のいかないアリス(フィッシャー)達はカーボーイ2人の首に賞金1,000ドルを賭ける。
 
 その頃、かつて女や子供達を殺しまくった大悪党だったウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)は今では男1人で子供たちを育て、家畜業を営んでいたが家計がうまくいかない状態。そんなウィリアム・マニー(イーストウッド)の元にスコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)と名乗る若者がやって来る。賞金1,000ドルを手に入れるために一緒に来ないかと誘ってきたのだ。
 ウィリアム・マニー(イーストウッド)は11年前に出会い、3年前に先立たれた今は亡き妻に『決して人殺しをしない』と固く誓っていたために、最初はスコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)の申し出を断るが、あまりにもの貧乏さから抜け出るために11年ぶりに銃を持ち、相棒のローガン・ネッド(モーガン・フリーマン)を誘って、リトル・ビル(ハックマン)がいる町へ向かうのだが・・・

 この映画の面白さは、前述したように、あらゆるテーマをぶち込んでいることもあるが、登場人物たちの二転三転するキャラクター振りがあるだろう。
 この爺さん『馬にもきちんと乗れないし、銃の腕前も大したこと無いじゃん』と思っていたら何時の間にやら凄腕ガンマンに変身していたり、逆にお前『メチャクチャ、凄いガンマンじゃん』と思っていたら実はショボかったり、こいつ『今まで5人殺してるのか』と思っていたら実は人を殺したことが無かったり等、最初に思っていたキャラクター振りが裏切られる面白さを感じることが出来る。
 普通の映画ならば、正義の味方は最後も正義の味方で終わるし、ワルもワルのまま終わってしまうが、本作はなかなか単純には終わらない面白さがある。
 しかし、よ~く考えてみれば人間なんて誰しも良い所もあれば、悪い所もある。俺なんかはいつもニコニコしていて良い人に見えるが、本当は腹黒いのと同様だ。

 さて本作を観ていると『タイトルの許されざる者って、実は俺のこと?』なんて考えさせられると言うより、何だか悩んでしまいそうになるが、最初と最後の映像の美しさと見事にマッチした音楽の魅力も捨てがたい。
 そして、最初は情けないクリント・イーストウッドだったのが、銃を構えた時のクリント・イーストウッドがもの凄く格好良い。本作はイーストウッドが監督と主演を兼ねているが、彼のナルシスト振りがわかるシーンが見受けられるのも、ちょっとした遊び心を感じられたりするのもなかなか楽しい。

 本作はアカデミー作品賞にも輝くなど西部劇の傑作として今やすっかり名作としての評価を得ているが、実は同じタイトルでもうすぐ日本映画として渡辺謙主演でリメイク作品が公開される。
 最初日本映画としてリメイクされると聞いた時は、冗談だろ!と思っていたのだが、もうすぐ公開されるとなると今では期待している。日本人の魂を感じることができる作品となっていることを願うのみ。
 俺と同じようにもうすぐ公開される日本版許されざる者を観るための復習のために観るもよし、クリント・イーストウッドの名前を初めて聞くという人もよし、映画ダーティー・ハリーの主人公を演じたことがあることぐらいしか彼の事を知らない人もよし、彼の作品はよく観ているけれど、実はこの映画はまだ観ていなかったという人もよし、とにかく許されざる者はお勧めです

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 監督は前述しているように主演も兼ねるクリント・イーストウッド。彼のお勧め作品となると多すぎる。個人的に最も好きなのが衝撃的結末過ぎて余韻がバリバリ残るミスティイック・リバーをお勧めしたい。
 他に恋愛映画ならマディソン郡の橋、そしてけっこう笑えるブロンコ・ビリーもお勧め。

 保安官を演じるのが名優ジーン・ハックマン。彼のお勧めとなると大スターとなった切っ掛けのフレンチ・コネクション、他にニューシネマの代表作俺たちに明日はない、単なるパニック物で済ましてしまうには勿体ないポセイドン・アドベンチャー、法廷外バトルが楽しめるニューオリンズ・トライアル、彼にしてはユル~イ、キャラクターを演じているザ・ロイヤル・テネンバウムズがお勧め。

 そしてイーストウッドの相棒を演じたのが、これまた名優のモーガン・フリーマン。この人もお勧め作品が多数。アメリカ南北戦争の黒人部隊を描いたグローリー、年を取ることが怖くなくなるドライビングMISSデイジー、個人的にはスティーブン・スピルバーグ監督で最も好きなアミスタッド、クリント・イーストウッド監督で単なるボクシング映画だと思って観てしまうとショックを受けるミリオンダラー・ベイビー、ネルソン・マンデラの自伝インビクタス/負けざる者たち、ベン・アフレック監督で法と正義について考えさせられるゴーン・ベイビー・ゴーン、前述したジーン・ハックマン競演で、ちょっと変わった切り口で見せるサスペンスアンダー・サスピション等、他にもたくさんお勧め作品がありそうです。

 娼婦の役でフランシス・フィッシャー。そう言えば、この人クリント・イーストウッドとの間に子供が居るんでした。タイタニックの意地悪母さんが有名ですが、出演時間は短いながらも弁護士役で印象的だったベン・キングズレー、ジェニファー・コネリー競演の砂と霧の家がお勧め。

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映画 闇の列車、光の旅(2009) 希望を求めてアメリカへ

2012年04月14日 | 映画(や行)
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 アメリカの最大の悩みの1つとして、中南米からの不法移民の増加が挙げられるだろう。それにしても景気が絶不調のアメリカへ命を懸けてでも移民しようとする中南米の貧困相の暮らしは想像以上にボロボロだ。
 ストーリーはアメリカから強制送還させられたお父さんとおじさんが再びアメリカを目指すために、半ば無理矢理連れて行かれる少女がいる。彼らは屋根の上にまで乗客が満載の長距離列車に乗ってホンジュラスからアメリカの国境を目指す。しかし、よく考えたらホンジュラスからアメリカへ行くには、さらにメキシコを無事に通過しないといけなかった。

 そしてメキシコで待ち構えるのが、彼らの懐を狙うギャング団。このギャング団で行われる儀式、行動、生活が恐ろしいほどリアルに描かれている。たとえばギャング団に入るために人を殺さなければならないこと、敵のアジトのギャングを殺して飼っている犬に食わせるようなシーン、さらに殺されたギャングが四つ裂きにされているシーンなど。そしてとにかく入れ墨が怖い。これらのシーンを見てメキシコへ旅行するのは控えようと思ったりする。
 そんな恐ろしいギャング団が情け容赦なく、なけなしの金を持ってアメリカへ移民しようとする彼らに襲いかかって来る

 ところが無法っぷりが目立つギャング団の中にも、少しだけマトモな心を持った少年がいた。その少年は例の如く移民しようとしている人々を乗せた長距離列車を襲う計画を実行する一員に選ばれるが、彼は組織を裏切り、偶然にもホンジュラスから来ていた少女を助けてしまう。
 そして、この少年少女は惹かれあい、さらに長い長い国境までの逃避行が繰り広げられる。やけにギャング団の追いかけてくるスピードが速かったり、各地にギャング団のネットワークが形成されていたり、そしてとにかく裏切り者には執念深く追いかけてくるギャング団。
 そんな絶望的な状況の中でこの少年少女はまだ大人とは言えない年齢ながらも勇気と知恵を振り絞り、そして愛の力でアメリカの国境までたどり着けることが出来るのか

 逃亡劇のスリルを感じ、中南米の貧困相が置かれた状況が少し理解できた気分になり、そして生きる希望に満ち溢れたラストシーンに涙する闇の列車、光の旅を紹介します

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パウリーナ・ガイタン,エドガー・フロレス,クリスティアン・フェレール,テノック・ウエルタ・メヒア,ディアナ・ガルシア
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 メキシコ南部において、ギャング団のグループの1人であるカスペル(エドガル・フローレス)はギャング団の掟を破って、ギャング団以外の女の子とこっそり付き合っていた。しかし、そのことがリーダーの1人であるリマルゴにばれていしまい、罰としてアメリカ行きの移民列車を襲う計画に参加させられてしまう。
 一方、ホンジュラスにおいて少女のサイラ(パウリナ・ガイタン)はアメリカから強制送還された父親の再びアメリカに戻りたいという願いのために、半ば無理矢理、父親とおじさんの3人で長距離列車の屋根に乗り込みアメリカの国境へと向かう。

 サイラ(パウリナ・ガイタン)たちがメキシコに着いたとき、そこへギャング団のカスペル(エドガル・フローレス)とリマルゴ達に遭遇してしまう。リマルゴはサイラ(パウリナ・ガイタン)を犯しそうになるが、それを見たカスペル(エドガー・フローレス)はリマルゴを殴り殺す。
 サイラ(パウリナ・ガイタン)はカスペル(エドガー・フローレス)に惹かれるようになり、2人は一緒にアメリカの国境へ向かうことになる。しかし裏切り者の烙印を捺されたガスペル(エドガー・フローレス)はギャング団から猛烈な追跡を受けてしまい・・・果たして彼らは無事にアメリカの国境へたどり着くことが出来るのかは映画を観てください



 それにしても世界中を見渡せば、凄いギャング団がいることに驚きました。中南米の貧困層を描いた社会派映画であり、恋愛ドラマでもあり、逃亡劇のスリルがあり、絶望的状況の中に少しの希望を見出せる映画です。それにしてもこれだけ怖い人が襲ってきたら僕なら何もかも忘れてしまうところですが、この少女の暗記力、記憶力には驚きました。

 ちなみに監督は日系アメリカ人のキャリー・ジョージ・フクナガ。次作は文芸の名作であるジェーン・エアの映画化のようです。今後も注目したい監督です

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映画 勇気ある追跡(1969) コーエン兄弟がリメイクしたけれど

2011年03月03日 | 映画(や行)
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 ジョン・ウェインの役をジェフ・ブリッジスが演じて、この少女の役をついこの間アカデミー助演女優賞に14歳でノミネートされたという女の子が演じて、この若い兄ちゃんをマット・デイモンが演じて、この場面でコーエン兄弟ならギャグを入れてきて・・・僕が好きなコーエン兄弟の新作トゥルー・グリットが公開されるにあたって先にリメイク基を観たのだが、どうやら先述したように余計な事ばかり考えてしまった
 はっきり言ってリメイク基を先に観たのが大失敗

 今回紹介する勇気ある追跡トゥルー・グリットのリメイク基です。ジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を取ったことで有名?な作品ですが、一風変った西部劇勧善懲悪、単純明快な型に嵌った西部劇を想像していたのだが意外にコメディ感に溢れていた。

 父親を殺された14歳の少女が、アル中で初老の保安官と途中からドサクサに紛れ込んできた若いテキサスレンジャーを連れて仇き討ちに向かう忠臣蔵が大好きな日本人も喜びそうなストーリー。幼い少女が父親を殺され、いざその仇討ちと聞けばどこと無く悲劇的少女に肩入れしたくなる展開が予想されるが、全体的な印象はそのような悲劇性は感じられない。

 この映画の見所はそのような復讐劇ではなく、まだ14歳の少女がアル中の初老の保安官とドサクサに紛れて出会った若い兄ちゃんに対して偉そうな口を聞くのが非常に楽しいロードムービー14歳の少女に大の大人が振り回されるのが笑える映画

 ちなみに邦題は勇気ある追跡だが、原題がTrue Grit(トゥルー・グリット)、意味は真実の不屈の精神といったところか14歳の少女が不屈の精神を見せる勇気ある追跡を紹介します

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ジョン・ウェイン,グレン・キャンベル,キム・ダービー,ロバート・デュバル,デニス・ホッパー
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 14歳の少女マーティ(キム・ダービー)の家族は牧場を経営していて両親と弟と妹がいる。彼女はしっかり者で家計を任されていた。彼女の父が雇い人のトム(ジェフ・コーリー)を連れて商売に出かけるが、父とトム(コーリー)は道中で立ち寄った酒場で喧嘩になりトム(コーリー)は父を銃で殺害

 父がトム(コーリー)に殺された事を知らされたマーティ(ダービー)は復讐を決意しかし、トム(コーリー)は地元の法が及ばない先住民地区へ逃げてしまっていた。
 マーティ(ダービー)は酒飲みだがガッツのある初老の保安官コグバーン(ジョン・ウェイン)に目を付け、彼に先住民地区へ逃げたトム(コーリー)を捕まえる助けを頼み込む。
 初めは乗り気でなかったコグバーン(ウェイン)だったが、あの手この手で頼み込んでくるマーティ(ダービー)に根負けして、トム(コーリー)を捕まえる手伝いをすることに。またコグバーン(ウェイン)にも前から先住民地区へ逃れているならず者のネッド(ロバート・デュヴァル)を捕まえる機会でもあった。

 コグバーン(ウェイン)とマーティ(ダービー)の前にテキサスからやって来たラ・ボーフ(グレン・キャンベル)という若者が現れる実はトム(コーリー)には前科があり賞金が懸けられていた。ラ・ボーフ(キャンベル)はトム(コーリー)を追いかけていたのだった。

 マーティ(ダービー)とコグバーン(ウェイン)とラ・ボーフ(キャンベル)の三人はお互いにいがみ合いながらもトム(コーリー)とネッド(デュヴァル)を捕まえに先住民地区へ向かうが・・・続きは映画を観てください



 緑豊かな大自然そして西部劇に必要不可欠な音楽後半で見せる勇気丸出しの驚きのガンアクション。個人的にはお勧めしたい西部劇だ。しかし、ジョン・ウェインのダメキャラぶりが意外だったが1960年代後半という西部劇の終末感がこのジョン・ウェイン演じるキャラクターに感じる。
 この映画の最も大きなサプライズが非常に若いロバート・デュヴァルデニス・ホッパーが見られること無名時代のデニス・ホッパーは古い映画を観ていると思わぬところで時々見かける。
 果たしてこの映画をコーエン兄弟がリメイクするとどのような内容になるのか。西部劇のリメイクというのは意外に少ない気もするので現代的なテーマをどのように絡めてくるのか楽しみです

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映画 欲望のあいまいな対象(1977) 映画史上最も異才を放った監督の遺作

2010年07月02日 | 映画(や行)
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 あるときはくそ真面目な映画を撮り、そして観ている側に挑発的な映画を撮り続けたルイス・ブニュエル監督は、名監督と呼ばれる中において彼の存在感は巨匠たちのなかでも、ひと際ユニークさが強調される監督であるのは間違いない
 アンダルシアの犬でシュールリアリズムの巨匠と呼ばれるが、彼ほど作品の幅が広い人間はいないだろう
 ジェラール・フィリップ主演の彼の遺作としても知られる熱狂はエルパオに達すでは、政治と恋愛を絡めた普通の映画だったが、忘れられた人々でメキシコの貧民街に生きる青年たちを描いた社会派映画を撮るかと思えば、ブルジョワ階級が集まったパーティーにおいて、パーティーが終わった後も誰一人何故か帰ることが出来ずに、そうしている間に体調を悪くして死んでしまう人が出たり、究極の空腹においてその屋敷で飼っていた羊を食べてしまったりする、まさに召し使い、部下が居ないと何も出来ないかのようなブルジョワ達を皮肉った不条理映画の傑作皆殺しの天使
 他にもブルジョワたちの食にありつこうと思うと、その瞬間にあり得ないことが起こり、なかなか食にありつけない、ブルジョワ達の豪華な食事、そしてキリスト教の神父を批判するようなシーンを入れた食欲を題材にしたコメディであるブルジョワジーの密かな愉しみ、そしてスペインにおいてナポレオンが進軍した時代に処刑されそうな兵士がいきなり自由なんか、くたばれという台詞から始まり、現代の盛んに叫ばれる自由と言う意味を問いかけるかの如く、世の中規律が無かったら、どのような世界が出来上がるかを”自由な発想”が展開する自由の幻想など彼の映画は本当に一筋縄ではいかない、宗教批判、強烈なブラックユーモア、ブルジョワ批判、エロ、不条理と言った非常にスキャンダラスな内容の映画を撮り続けた彼の遺作が今回紹介したい欲望のあいまいな対象である。
 しかしブルジョワジーの密かな愉しみがブルジョワ達の食欲を批判した映画ならば、今回紹介する欲望のあいまいな対象は、男にとってどうしようもない性欲を笑えるシーンを盛り込んだ作品
 そしてこの映画を観て驚くのが、”一人二役”と言うのはよくある設定だが、なんとこの映画では二人一役という未だにこの映画でしか観られないようなことを用いて、観ている側を混乱に陥れようとする悪意といったものをこの映画のブニュエル監督から感じる
 この映画を撮ったときには既に彼は77歳の高齢に達していたが、性欲に対するエネルギーが衰えていない事を知らしめた欲望のあいまいな対象を紹介しよう
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 大富豪である老人のマチュー(フェルナンド・レイ)は、スペインのテロ多発区のセビリアからフランスのパリへ行こうと電車に乗り込む
 コンパートメント席においてマチュー(レイ)は一組の親子、精神科学者、判事と一緒になる
 電車の出発が遅れている間にマチュー(レイ)は駅を歩いている女を見かけ、その女に対してバケツで水をぶっかける
 席に戻ってきたマチュー(レイ)に対して、一緒の席にいた人々は彼のその行動に対してどうしてそのような行動をしたのか聞いている
 マチュー(レイ)は彼女はとんでもない悪だと言い放ち、その理由を一緒の席の人たちに語る果たしてマチュー(レイ)はどうして女の人に頭からバケツの水を被せる行動に出たのか?
 
 マチュー(レイ)の家に新しく召し使いとしてコンチータ(キャロル・ブーケアンヘラ・モリーナの二人一役!)がやって来た
 マチュー(レイ)は一目でコンチータ(ブーケ/モリーナ)に惚れこみ、その夜コンチータ(ブーケ/モリーナ)をベットに誘おうとするが、失敗
 翌日、コンチータ(ブーケ/モリーナ)は姿を消してしまった
 
 それから数年間、ずっとコンチータ(ブーケ/モリーナ)の事が頭から離れないマチュー(レイ)だったがパリで偶然にもコンチータ(ブーケ/モリーナ)と再会する
 パリでコンチータ(ブーケ/モリーナ)は母親と貧乏暮らしをしたいたのだが、マチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親にお金の援助をしていたが、彼の頭はコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスすることばかり考えていて、パリに居る間ずっとコンチータ(ブーケ/モリーナ)の家に通い続けるが、なかなかマチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスできない
 マチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)を自分の家に引き取ろうと、彼女の母親に大金を渡そうとするが、愛をお金で買おうとするマチュー(レイ)の態度に怒ったコンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親は姿を消してしまった

 レストランでマチュー(レイ)は従兄と高級レストランで一緒に話している会話は相変わらずコンチータ(ブーケ/モリーナ)の事が忘れられないということ
 ところがまた偶然にもレストランで受付をしていたコンチータ(ブーケ/モリーナ)と出会う
 しかもマチュー(レイ)は今度こそはコンチータ(ブーケ/モリーナ)を自分の別荘に連れて行き、いよいよコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスできるかと思いきや、コンチータ(ブーケ/モリーナ)は驚いたことに・・・付けていた
 必死でコンチータ(ブーケ/モリーナ)が付けていた・・・を引き裂こうとするマチュー(レイ)だったが

 ある日コンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親は理由も無いままフランスから国外追放されてしまい、マチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)の事がずっと気になっていたが、またまたマチュー(レイ)は偶然にもセビリアでコンチータ(ブーケ/モリーナ)と母親に出会う
 コンチータ(ブーケ/モリーナ)はバーでフラメンゴの踊りをしていたその舞台を見ていたマチュー(レイ)だったが、なんと彼女はマチュー(レイ)が見ている前で若者とセックスを始める
 ついにマチュー(レイ)はコンチータ(ブーケ/モリーナ)とセックスすることを諦めたそして自分は処女だと言い張るコンチータ(ブーケ/モリーナ)に対して、マチュー(レイ)は殴る蹴るの暴行をする

 そんなマチュー(レイ)の話を聞いた同じ乗客の人々は、彼に対して同情するそして、その席に顔面キズだらけのコンチータ(ブーケ/モリーナ)が現れ、マチュー(レイ)に対してバケツに入った水をぶっ掛けるが・・・続きは映画を観てください

 今回はセックスばかり書いて記事にするのが恥ずかしいねところでコンチータ役の二人の女優はおとなしい感じのキャロル・ブーケといかにもラテン系の激しい感情を持ったアンヘラ・モリーナの使い分けが、絶妙
 エロ親父のフェルナンド・レイも、このような馬鹿馬鹿しい役を真面目に演じているのが非常にコミカル

 彼はルイス・ブニュエル作品の常連的存在だけれど、ジーン・ハックマン主演のフレンチ・コネクションの憎たらしい悪役が有名
 それにしてもルイス・ブニュエルは本当に意地が悪い監督だ
 ストーリー展開だけでなくラストシーンも観客を完全に食ってしまったそれにしてもこの映画が彼の遺作になるとは惜しいね僕も彼の映画を全部観ているわけではないけれど、もっとたくさんルイス・ブニュエル監督の映画を改めて観たいと思ったし、彼の作品に注目すると映画の奥深さを感じると思う

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映画 やかまし村の子どもたち(1986) 自然の中に生きる子供たち

2010年06月06日 | 映画(や行)
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 現在、僕の最もお気に入りの映画監督と言えるのがスウェーデン人監督のラッセ・ハルストレムです
 彼が監督した映画なら外れが無いという安心感がある現在はハリウッドでギルバート・グレイブショコラサイダーハウスルールのような心暖まる作品を連発しているけれど、僕に取って彼の映画作品は癒し系の映画です
 彼がハリウッドで映画を撮る以前の母国スウェーデン時代の最も有名な作品はマイライフ・アズ・ア・ドッグだろう
 まだ小学生の男の子の成長する姿を犬の死、少女との出会い、母との別れを通してみずみずしく描かれていたこの映画は、まさにラッセ・ハルストレム監督らしい、淡々と見せるストーリー、ユーモアなどハリウッドに拠点を移してからも見られる作風があった
 そして今回紹介したいのが、彼のスウェーデン時代の映画で『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の次作にあたるのがやかまし村の子どもたちです。 
 実は彼のスウェーデン時代の監督作品は『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』しか観ていないというか、知らなかったけれど最近、彼の映画を観ていなかったので何を観ようかと調べたら、日本のホラー映画みたいなタイトルに惹かれて観たけれど・・・それでは作品紹介をしよう
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 スウェーデンの田舎のやかまし村そこには3世帯しか家が無く、小学校に行っているのは子供たちは6人だけ(男3人、女3人)しかいないあと1人まだ小学校にも入れない幼い子供が1人いるだけ
 そして小学校では今から夏休みに入ろうとしている夏休みを楽しみにしていた、やかまし村の子どもたち6人は、長い休暇を利用して湖や冒険などをして遊ぶことになる
 そのやかまし村の子どもたち6人を中心に、大人たちが絡んでストーリーは淡々と進むだけの話で、夏休みを通して子どもたちの活き活きとした姿は映画を観てください

 かなり短い内容になってしまったけれど、子供たちの夏休みの姿を色々な出来事を通して描かれているストーリーこれが非常にユーモアにあふれ、美しい自然を背景にストリーが進むだけ
 しかし、この村のまだ小学生の6人の子どもたちの逞しく自然と戯れる姿は、現在の日本の子どもたちに見られない姿がある
 子どもたちが釣りに行ったり、隣の村へ買い物に子どもたちだけで行くのに親たちは少しも心配していないこの映画で描かれている社会には子供の誘拐事件は全く存在しないかのようだ
 子供たちがザリガニを大量に取るシーンでは小学校の女の子でも平気でザリガニを捕まえたり、子供たち6人が噂で水の精が居ることを聞いて夜中に(スウェーデンの夜は日本と違って明るい)森の中へ入っていったり、またこの6人の子供たちだけで家を出て、近くの藁が敷いている納屋に寝に行ったりする姿に子供たちの逞しさを感じる

 そしてこの6人の子供たちに絡む大人たちが非常に魅力的である優しい親たちや、優しい隣村の商店を営む主人のやかまし村の子どもたちに対する優しさ、酒ばかり飲んでいて、怖そうな靴職人のおじさんも魅力的な人物である
 このような大人ばかりなら、子供たちが自由にのびのびと育つのもよくわかる
 大自然と溶け合う子供たちのユーモアや逞しさがあり、日本のひ弱な子供たち、また日本の口うるさい、しつけか虐待かわからないような親の教育、そして大人たちの子供に対する接し方
 今の日本人が理想とする姿がこの映画に見れることが出来ると思います

 そして今回紹介したやかまし村の子どもたちは児童小説の映画化です
 興味のある人は下記からお願いします
やかまし村の子どもたち (岩波少年文庫(128))
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岩波書店

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映画 ヨーク軍曹(1941) 実在の人物の恐るべき活躍を描く

2009年10月16日 | 映画(や行)
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 僕のお気に入りの監督にハワード・ホークス監督がいる。
 僕の中では彼のイメージはリオ・ブラボー赤い河のような、豪快アクションのイメージがあったけれど、ブログを始めてから赤ちゃん教育ヒズ・ガール・フライデーのようなコメディー映画にも抜群のセンスを発揮しているのには驚いたあのケイリー・グラントがたたみかけるマシンガントークが笑わすね
 そんな彼が実在の人物である、アルヴィン・ヨークと言う名前の実在人物の映画を撮ったのが今回紹介するヨーク軍曹である
 前半はヨークの人物を描き、後半の第一次世界大戦におけるドイツ軍との戦いにおけるアルゴンヌの戦いにおいての、アルヴィン・ヨークの超人的活躍を描く
 流石は、ハワード・ホークスらしく、ユーモア、そして後半の戦闘シーンはうまく描けているそれではヨーク軍曹を紹介しよう

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 テネシー州の田舎において、若きヨーク(ゲイリー・クーパー)は、仲間と酒は飲み、喧嘩を繰り広げる放蕩息子として描かれている
 しかし、ある日一つの事をきっかけにクリスチャンとして宗教に目覚める
 彼は一生懸命に土地を耕し、やがて働き者に変わっていく

 しかし、そんな彼も戦争に召集される/ee_1/}実は司祭の職に就くものは兵役は許されると思っていたヨーク(クーパー)だったが、そんな思いとは反対に軍隊で訓練を受ける事になる

 ヨーク(クーパー)の射撃の腕は凄い彼は地元のテネシー州において、射撃のうまさを披露している
 そんなヨーク(クーパー)は出世して、射撃の訓練を部下に施すが、彼にもやがて出征命令が下る
 ヨーク(クーパー)は敬虔なクリスチャンであるキリスト教の教えの中に人を殺してはならない という教えがあり、戦争に行って人を殺せるかというクリスチャンとしての自分と、祖国アメリカのために戦争に行くべきか悩む

 そんなヨーク(クーパー)は上官からテネシー州に帰ってどうするか考える時間を与えられる
 そしてヨーク(クーパー)が選んだ道は、戦争に参加する事だった

 そして彼はアルゴンヌの戦いにおいて、ドイツ軍と対峙するがここでのヨーク(クーパー)は超人的活躍をする
 ドイツ軍の隙をついて、彼は少数の部隊でドイツ軍を攻撃するが殆ど一人で彼は戦功を得る
 その彼の活躍はドイツ人20人を射殺、捕虜が100人以上
 
 彼がアメリカに凱旋帰国した時は、英雄扱いそして、彼はヨーク軍曹となる
 そんな国民的ヒーローに対してアメリカは彼に名誉を与えようとするが、ヨーク軍曹(クーパー)には、名誉も富も必要なかった
 彼が選んだ道は・・・映画を観てください

 軍人を描いた伝記映画といえば、パットン大戦車軍団という映画があった確かにこの映画も戦闘シーンの迫力とジョージ・パットンという良くも悪くも軍人としての魅力が描かれている
 そして、今回のヨーク軍曹で、描きたかったことは
 自らの宗教心に対して忠実であろうとするが、戦争に行ってしまうヨーク軍曹が製作された1941年といえば、第二次世界大戦の真盛りの時である
 そういう意味では、アメリカ軍に対する戦争高揚映画として製作された可能性もある

 しかし、ヨーク軍曹の人柄がどこまで脚色されているかわからないけれど非常に魅力的な人物に描かれているし、このような人がアメリカに居たということを知るだけでもこの映画を今でも見る価値はあると思う

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映画 汚れた顔の天使(1938) ギャングムービーにヒューマニズムを叩き込んだ傑作

2009年07月23日 | 映画(や行)
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 長い(短い?)人生において、人間は気づかないうちにターニングポイントを迎える時がある
 また、親友同士が一瞬の出来事で善の道へ進む事になる時があれば、もう一方が悪の道へ行ってしまうことがある
 ギャングムービーと言えば、マフィア同士の縄張り争いや、派手なドンパチ(銃撃戦)を思い浮かべる人も多いと思うが、確かにそれもギャングムービーの楽しみの一つだ
 確かにマフィアと言う世界は、映画やテレビの影響かもしれないが、僕も格好良いと思う
 しかし、今回紹介する汚れた顔の天使は、人生は良くも悪くも紙一重という事を教えてくれるギャングムービーの傑作
 ちなみに監督はカサブランカマイケル・カーティス
 そして、主演にギャングムービーに欠かせないジェームズ・ギャグニー彼は体は小さいけれど、特異な風貌から見せる存在感は今回の作品でも印象度は抜群だ
 それでは作品の紹介をしよう

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 幼い頃からの親友同士であるロッキー(ギャグニー)とジェリー(パット・オブライエン)は、盗みをはたらいたりする悪ガキ同士だ
 しかし、ある日二人はいつもの如く盗みを企むが警察に見つかり逃亡しようとするが、ここでジェリー(オブライエン)は逃げる事に成功するが、ロッキー(ギャグニー)は捕まってしまう
 ここが二人にとっては運命の別れ道
 その後大人になった二人の運命は、ロッキー(ギャグニー)はギャングの大物として頭角を現し、また運良く警察に捕まらなかったジェリー(オブライエン)は、神父として、かつて自分と同じ境遇に置かれた子供たちに勉強、スポーツを教えていた
 ロッキー(ギャグニー)は、久しぶりに刑務所を出てくると、預けておいた大金を取りに、弁護士のフレジャー(ハンフリー・ボガード)の所へ向かうが、このフレジャーは悪徳弁護士フレジャー(ボガード)は市の大物政治家と手を組んで、ロッキー(ギャグニー)から預かった大金を横領しようとしていた
 その場はうまく丸め込まれたロッキー(ギャグニー)は、フレジャー(ボガード)達の悪者と手を結ぶ

 そして、彼は今や神父になったジェームズ(オブライエン)とも出会うが、そこには変わらぬ友情があった
 しかし、ジェームズ(オブライエン)の教え子達が、次第にギャングとして名を馳せるロッキー(ギャグニー)に憧れを抱き、また崇拝するようになって来た
 この事を快く思わないジェームズ(オブライエン)は、ロッキー(ギャグニー)に対して子供たちに近づかないように忠告するが、今や子供たちはロッキー(ギャグニー)に対して尊敬の念すら持ってしまっていた
 ジェムーズ(オブライエン)は、この市の闇社会を牛耳るフレジャー(ボガード)や悪徳政治家を告発しようとするが、そんなジェームズ(オブライエン)を殺害する計画を知ったロッキー(ギャグニー)は、親友のためにフレジャー(ボガード)や悪徳政治家を射殺する
 そして、ロッキー(ギャグニー)は倉庫内に閉じ込められながらも警察と銃撃戦を繰り広げてしまう
 しかしロッキー(ギャグニー)は単身で乗り込んだジェームズ(オブライエン)に自首を勧められるが、ロッキー(ギャグニー)は逃げようとする
 ついに警察に捕まり、死刑を宣告されたロッキー(ギャグニー)だが、子供たちは多数の警察を相手に銃撃戦を一人で挑み、死刑を宣告されても弱音を吐くどころか、まるで死刑になるのを楽しんでいるかのようなロッキー(ギャグニー)に対して、子供たちはロッキー(ギャグニー)に対して増々憧れる
 そして、ついにロッキー(ギャグニー)に死刑の日が来たそれでもロッキー(ギャグニー)は恐怖心を持つどころか、電気椅子へ堂々と向かって行こうとするが・・・そこへジェームズ(オブライエン)が、最後のお願いをロッキー(ギャグニー)に対して頼みに来た

 親友のジェームズ(オブライエン)の頼みに対しても堂々と電気椅子へ向かうロッキー(ギャグニー)だが・・・ジェームズ(オブライエン)が、ロッキー(ギャグニー)に対しての頼みごととはそして結末は映画を観てください

 しかし、この世の中、善悪をギリギリの所で生きている人間がいる特に今の政治家やお役所の人たちにはこの映画を観て、善と悪の区別をして、しっかり自分を省みてほしいね
 ちなみに僕は逆の意味で善悪の区別をつけられない、普通過ぎる人間です

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映画 やさしくキスをして(2004) 題名は甘すぎるけれど、社会的な作品

2009年05月13日 | 映画(や行)
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 タイトルのやさしくキスをしてから、想像するとアマ~イ、メロドラマを思い浮かべる人が多いかもしれない
 確かにこの映画恋愛映画のジャンルに入るだろうしかし、この映画は根本的に宗教というものを、批判的に描いているように感じるのは僕だけかな
 それと、アメリカは移民大陸の国であることはわかるが、実はイギリス〈この映画はスコットランドが舞台)という国も実は移民族国家である事を知った確かにイギリスは世界征服をした国だから、植民地にした国、自治権を持っている国がたくさんあるから、言われてみれば移民族国家である理由もわからないではないが・・・
 それでは、やさしくキスをしてを紹介しよう
やさしくキスをして [DVD]

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 スコットランドのカトリック系の学校で、妹が通う学校に兄のカシムが、迎えに来る実はカシムには、姉と妹の兄弟がいるがパキスタンからの移民2世である父親は厳格なイスラム教徒

 カシムは妹の音楽の先生でありアイルランド人のロシーンと出会い、2人は恋に落ちるロシーンは非常に聡明な女性であるが、現在は夫と別居中しかし、ロシーンはカシムとの恋愛にこれからの自分の人生の生きがいを見出そうとしている


 ある日、ロシーンはカシムをスペインの旅行に誘い、二人は一緒にスペインへ行くそれは、楽しい旅行になるはずだったが・・・その時カシムはロシーンに秘密を打ち明ける実はカシムは婚約中だったのだしかし、この時僕はイスラム教の厳格さを知る事になる
 カシムの婚約者というのは、実は父が決めた相手でありしかも、その相手は従姉妹という関係さらにカシムはその婚約者の顔も知らない
 その秘密を聞いたロシーンは、驚きと戸惑いを隠せないしかし、そんなロシーンを見て、カシムはロシーンに対してさらに愛するようになる
 しかし、イスラム教の家族にとっては、イスラム教の結婚する相手はイスラム教ということが、その家族にとって名誉でもあり、家族のためでもあるカシムはロシーンを愛する気持ちはあるが、そのことによって家族がバラバラになる事を恐れている
 また、ロシーンの方もカトリックであるにも関わらず、イスラム教徒の人間と付き合っているいうことで、学校をクビになってしまう 
 そんなロシーンに対してカシムの姉がロシーンに近づく
 カシムの姉はロシーンを自分の自宅へ連れて行くそして外からカシムの姉は、イスラム教徒である家族の姿を見せる
 そのロシーンが目にした家族はカシムがちょうど見知らぬ婚約者と出会ったところだったこの時カシムの姉はロシーンに弟(カシム)と別れるように、忠告するカシムはロシーンよりも家族〈イスラム教徒同士の結婚)を選ぶはずだカトリックのロシーンにとって、イスラム教の不思議なしきたりが理解できずにいたそして、カシムも結局は婚約者と結婚しなかった彼は、宗教の壁を乗り越え、ロシーンの元へ行く
 この映画の監督はイギリス人のケン・ローチ彼の作品は上流階級を批判し、労働階級に目を向けた作品が多い彼の映画ではアリルランド独立と内戦を、悲劇的に描いた麦の穂を揺らす風をいう名作がある
 僕の注目している監督の一人これからも彼の作品から目が離せないです 

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映画 妖精たちの森(1971) 題名からは想像できないストーリー

2009年01月11日 | 映画(や行)
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 映画を観ていると、この俳優は凄い俳優だなあと思って見る時がある僕がこの俳優は最初に凄いなあと感じた人物は、ゴッド・ファーザーでのマーロン・ブランドの演技
 色々な映画を観ていて、わざわざこの俳優を高いギャラを払って使わなくても、誰を使ったとしても一緒だろうという僕が思っていた考えを、変えてくれたのがマーロン・ブランドだと言っても良いそれほど、彼の演技は凄かった
 今回はそんなマーロン・ブランドが出演している妖精たちの森を紹介します
妖精たちの森 (ユニバーサル・セレクション2008年第7弾) 【初回生産限定】 [DVD]

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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 題名は妖精たちの森という、ファンタジー映画を期待させる内容だけれど実際は子供達の純真さの恐ろしさを、描いている純真さが間違った方向へ行くことの怖さ子供達にとって、大人たちというのは素晴らしい人間だという考えを持っている実際、僕は40歳に近くなってきたが、僕が少なくとも高校生の時ぐらいまでは大人たちを見ていて、特に学校の先生を見ていると立派な人間だと思っていたしかし、自分が20歳を迎えるとまだまだ大人の仲間入りをしていないと感じ、30歳になるとこんな頼りない30歳になってしまった自分に驚く事があるそして、40歳を近くにして焦りを感じるこんな頼りない40歳、まだ気持ちとか、言っていることは学生のような幼稚さニュースは殆ど見ずに、お笑い番組を見て大笑いしている自分に気づく時の僕は、本当に馬鹿な大人になってしまったことに驚きすら感じる
 この映画のまだ子供の姉弟は大人たちを尊敬しているし、大人たちの言うことは絶対だと思っているしかし、尊敬している大人が言った事、行いを何でも真似して実行しようとするそして、そのため最後に悲劇的な結末を迎える
 大人になっていくにしたがって、実は世の中にしても、自分の欠点にしてもわかっていく事が多くなってくるしかも、自分の心の中に欲望が生まれ、そしてその欲望を満たす時、悲劇が起こるのは昔も今もこの地球上では変わっていない
 ストーリーはイギリスの大邸宅から、この家の後見人が出て行く実はこの大邸宅の主人達(この映画に出て来る姉弟の両親)が死んでしまったのだそして、この後見人はこの家の後を家政婦に任せる事になるそしてこの大邸宅に残されたのは、姉弟、家政婦、姉弟の家庭教師であるジェスル(ステファニー・ビーチャム(画像下)、そして、下男のクィント(マーロン・ブランド)である

 クィント(ブランド)は、後見人から嫌われていたしかし、この大邸宅に男が1人も居なくなっては、危険だと思われ、後見人はクィント(ブランド)をこの大邸宅に残す事になる
 しかし、クィント(ブランド)は、この大邸宅の姉弟から親しまれているそれは、彼が色々な遊びを教えてもらい、また面白い話をしてくれるからだ

 しかし、クィント(ブランド)は実は下品で粗野な人物であることを、心配する家政婦だったが、クィント(ブランド)にとっては、後見人がこの大邸宅から出て行ったことは、追い出されるものと覚悟していたクィント(ブランド)にとって、嬉しいことであった
 ある日の夜にクィント(ブランド)は、姉弟の家庭教師のジェスル(ビーチャム)の部屋に忍び込む実はクィント(ブランド)は、前々からジェスル(ビーチャム)の事が好きであり、二人は性行為に及びそのシーンを弟が一部始終見ていたのだった
 翌日、弟は姉にクィント(ブランド)とジェスル(ビーチャム)が、行った行為を教え、弟は姉にその行為を実践する
 そこへ家政婦がやって来て、それ以来クィント(ブランド)とジェスル(ビーチャム)は、会う事が出来なくなる
 姉弟はクィント(ブランド)に聞く好きな人同士はどうしたら出会う事が出来るのその時クィント(ブランド)は好きなもの同士が死ねば、出会う事が出来るこのクィント(ブランド)の答えが、クィント(ブランド)を絶対的に信用している姉弟に対して恐ろしい計画、そしてそれを実行した時悲劇が、起こる
 正直後味の悪い映画だけれど、子供の純粋な心をこのような形にした映画は見たことが無いね純粋さゆえに、このような恐ろしい行動を起こしてしまった姉弟たち僕にはこの子供達の行動を非難できないね悪いのは大人たちだからね
 そして、大人たちのどろどろした世界を知った子供たちの心理をこのような形で映画にしたのは、僕は素晴らしいと思う(でも嫌いな人の方が多いだろうね)
 僕は面白いと言ったら語弊があるけれど、見ていて飽きる事が無かったねマーロン・ブランドもこの時はまだゴッド・ファーザーに出演する前の作品だけれど、流石の演技を見せてくれる

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