褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 グラディエイター(2000) ローマ帝国が舞台の歴史劇か? 

2017年03月30日 | 映画(か行)
 今日ではローマ帝国が始まって以来、最も平和で繫栄していたと評価される1世紀末から2世紀末にかけての五賢帝時代。優れた皇帝が五人続いた珍しい時代がローマ帝国にもあったわけだが、その中でも最後の皇帝が哲学者としても有名なマルクス・アウレリウス。その息子であり、父親とは違って皇帝の座を自らの娯楽のために利用したのがコンモドゥス。親子でありながら何かと対照的な二代にわたる皇帝が治めていたローマ帝国を時代背景に描いたのが、今回紹介する歴史映画グラディエーター
 歴史映画と聞くと世界史が苦手な人は何かと敬遠しがちで、観ていても人間関係や事実関係が把握できずに、結局は長い時間だけが過ぎてストーリーに付いて行けなかった、ということを多くの人が経験しているだろう。しかし、本作については、そんな心配は全くの無用。もちろん皇帝マルクス・アウレリウスを知らなくても大丈夫。だいたい本作は歴史的事実なんか殆んど無視して作られているし、ストーリー自体がどん底に陥った男が立ち上がるという、誰が観ても熱くなれるド定番の展開。本作から歴史を学ぼうとするのは間違った考え方で、頭の中をすっからかんにしてして観るのが正しい観賞の仕方だ。

 
 さっそくだが、歴史劇では無く、人間ドラマであるストーリーの紹介を。
 ゲルマニア遠征において、ローマ帝国軍の総司令官であるマキシマス将軍(ラッセル・クロウ)は蛮族との戦いに苦戦しながらも勝利する。しかし、その一部始終を見ていた皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)は戦いには勝ったものの味方の兵が多く討ち死にしたことにローマ帝国の衰退が近いことを感じていた。しかし、それ以上に皇帝アウレリウスを悩ましていたのが自らの老いによる後継者問題。彼には嫡男である皇太子コンモドゥス(ホアキン・フェニックス)が居るのだが、コレがとんでもない野心家で素行が悪い。けっきょく次の皇帝に最も信頼している部下であり、人望が厚く、高潔なマキシマスを指名する。
 そのことを知った皇太子コンモドゥスは父親の皇帝アウレリウスを殺害し、皇帝の座を略奪。そして自分に従わない態度をとったマキシマスを処刑しようとし、更にはマキシマスが故郷に置いてきた愛する妻子を惨殺する。なんとか処刑を逃れたマキシマスだったが、変わり果てた妻と息子を見て疲労とショックで意識を失い、気付いた時には奴隷として飛ばされていた。
 生きる目的を失ってしまったマキシマスだったが奴隷たちの中で剣闘士(グラディエーター)としてメキメキと頭角を現していき、思わぬ形で今や皇帝として暴政を行っているコンモドゥスと再会するのだが・・・


 日頃からローマ帝国のために血と汗を流して働き続けた将軍マキシマスだったが、奴隷に陥ってしまう。しかも愛する家族は無残な姿で殺されている。そりゃ~、誰だってこんな目に遭ったらショックで立ち直れない。しかし、彼を立ち上がらせたのが、誰にも止めることができない復讐という言葉。とにかく皇帝コンモドゥスの卑劣な計略をことごとくすり抜けて、対決シーンにまで持っていく展開に興奮を感じさせる。しかし、さすがはリドリー・スコットと言うべきか、復讐は本当に正義なのか?といった疑問を観ている我々に投げ掛けるような結末は考えさせられるし、人間の大事な物は何かということを感じさせる。
 冒頭からの戦争シーンからしてハートが燃えるし、豪華コロッセウムを舞台にした戦いにおいても興奮する。ストーリーだけでなく映像の面でも惹きつけられるし、勇壮な気分になれる音楽も観ている我々が戦っている気分になれる。
 とにかく勧善懲悪がハッキリしていて、迫力充分の戦いの数々はアクション映画が好きな人にお勧めできる。そして息子を持っている父親ならば大いに感動できる仕組みになっているのも好感が持てる、ということで今回はグラディエーターをお勧め作品として挙げておこう。

グラディエーター [DVD]
ラッセル・クロウ,ホアキン・フェニックス,コニー・ニールセン,オリヴァー・リード,リチャード・ハリス
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は今や名作、傑作を多く残しているリドリー・スコットエイリアンブレードランナーといった古典的SF映画作品はお勧めできるし、戦争映画であるブラックホーク・ダウン、中東で暗躍するスパイ映画ワールド・オブ・ライズ、本作と同じく歴史劇であるが奥深いテーマが隠されているキングダム・オブ・ヘブンが良いです。




 
 




 

 
 

 
 

 
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映画 翼よ!あれが巴里の灯だ(1957)リンドバーグの自伝です

2017年03月26日 | 映画(た行)
 人類史上、初めて無着陸飛行でニューヨークからパリまで大西洋横断に成功したのが、日本の音楽グループの名前の由来にもなっているチャールズ・リンドバーグ。そんな彼の伝記映画が今回紹介する翼よ!あれが巴里の灯だ。名匠ビリー・ワイルダー監督の演出の巧みさが光る傑作だ。
 リンドバーグが単独飛行で大西洋を横断したことぐらいは多くの人が知っているが、そのいきさつについてはあんまり知らないだろう。なんせその偉業が達成されたのは今から90年前の1927年のこと。そんな時代の飛行機でニューヨークからパリまで無着陸で、しかも一人ぼっちでたどり着こうなんて現在に生きる我々が想像しても無謀という言葉がすぐに浮かんでくる。

 なぜ彼は命を懸けてまでチャレンジ精神を発揮することができたのか?、そして彼はなぜ奇跡的に大西洋横断に成功したのか?それでは行動力抜群のアメリカ人らしさを大いに感じさせてくれるストーリーの紹介を。
 1927年において、ニューヨークからパリまで(パリからニューヨークまでもオッケイ)を無着陸飛行で、最初に成功した飛行士に贈られる2500万ドルの賞金を目指してリンドバーグ(ジェームズ・スチュアート)は挑戦することを決意する。しかし、彼の前にも何人もの飛行士が挑戦するのだが多くのパイロットが志半ばで失敗していた。
 その時は郵便配達の飛行士に過ぎなかったリンドバーグは全くの無名であり、スポンサー募集、飛行機設計に苦労するのだが、誰もが大西洋横断に成功していないうちに、ようやく飛び立とうかというところまできた。
 自らが設計に携わった飛行機にスピリットオブセントルイス号と名付け、いよいよニューヨークを飛び立ちパリを目指すのだが、前日から興奮して寝れなかったことによる睡魔に襲われたり、飛行機全体に氷が付着して重さで墜落しそうになったり、今どこを飛んでいるのかわからなくなって迷子同然になったり、様々な困難に飛行中に出遭うのだが・・・

 当時の飛行機の様子が映画の中でも見られるが、これがかなり危ない。機械工学や物理学などなんだか非常に怪しい当時において、こんな飛行機で飛んだのかと唖然とする。だいたい飛行中に前が見えない飛行機って何だ!
 しかし、アメリカ人のでっかい賞金をぶら下げられて飛びついてしまうチャレンジ精神はあんまり褒められるような気がしないが、優柔不断で奥ゆかしい性格の俺から見れば少し羨ましい気になったりする。
 しかし、リンドバーグは運が良いのは確かだが、それだけでは寝ずに33時間以上も掛かって大西洋を横断できるわけがない。
 飛行機を運転しながらも地図を見て、距離、時間、燃料の必要数をアッと言うまにしてしまう計算力、どこを飛んでいるかわからなくても経験と知識によって導かれる方向を把握する力、まるまる三日間ぐらい寝なくても一人で飛行機を操縦してしまう(当時の飛行機は二人乗りが常識)恐るべき体力、どれだけ孤独でもハエ一匹とでも仲良くできる交友力・・・等によって彼は偉大な功績を遺すことができた。彼の一人だけの力では無理だったということだ。

 前述したハエ、女性から渡される手鏡など小物の使い方が抜群にうまいし、ところどころでリンドバーグの過去の出来事を挿入したりする構成が非常に巧みな映画。丹念に描かれ、重苦しい感じはなく、ユーモアも入れたりで、それでいてちょっとしたスリルも味わえたりで、この手慣れた演出は流石はビリー・ワイルダー監督だ。
 今まで自分はチャレンジすることがなかったと思ってる人、スリルと笑いと感動を一つの映画の中だけで求めている人、お金にどん欲な人等に今回は翼よ!あれが巴里の灯だをお勧め映画として挙げておこう

翼よ! あれが巴里の灯だ [DVD]
ジェイムズ・スチュワート,マーレイ・ハミルトン,バートレット・ロビンソン
復刻シネマライブラリー


 監督は前述したビリー・ワイルダー。サスペンス、コメディ、社会風刺など幅広い分野で名作を残しているのが凄い。とりあえず俺の大好きな映画として今回はアパートの鍵を貸しますを挙げておこう。
  

 
 

 
 
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映画 レッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-(2009) 赤壁の戦いがついにクライマックスへ

2017年03月24日 | 映画(ら行)
日本でも大人気の三国志。その中でも前半のハイライトである赤壁の戦いを描いた実写版のレッドクリフ。前フリの余興はレッドクリフ PartⅠで描かれたが、いよいよ本作のレッドクリフ PartⅡでクライマックスが訪れる。
 吉川英治の三国志に慣れ親しんだ日本人には三国志の主役って劉備、途中からは孔明だったような印象があるが、映画版のレッドクリフシリーズにおいてはアジアの大スターであるトニー・レオンが演じる周喩だ。総司令官の役割のような周喩だがレッドクリフ PartⅠの最後の方の戦いで、関羽、張飛、趙雲に戦いを任せておけばいいのに、後ろの方で黙って椅子に座っていることが出来ずに猛然と敵に戦いを挑んでいくシーンに周喩ってこんなに武闘派だったけ?、と三国志好きの俺も驚いた。もちろん本作でも剣を持って戦うし、アクロバチックなアクションを見せてくれる。
 PartⅠに比べて火薬の量を増やしたかのようなアクションは見ていて俺のハートが熱くなるし、それ以上に俺の気持ちを燃えさせてくれるのが、どれだけ身体に矢が突き刺さっても立ち上がって戦う武将たち。微熱ぐらいですぐに寝込んでしまう俺は大いに反省させられた。

 さて、これぞジョン・ウー監督だと思わせるストーリーを簡単に紹介を。
 中国全土制覇と絶世の美女である周瑜(トニー・レオン)の奥さんの小喬(リン・チーリン)を我が物にしようと南下してきた曹操(チャン・フォンイー)の80万の大軍が赤壁に押し寄せてくる。それを迎え撃つ孫権・劉備の連合軍はわずか5万。しかも、曹操の卑劣な疫病作戦で苦境に追い込まれる。
 すっかり怖気づいてしまったのか劉備(ヨウ・ヨン)は部下を引き連れて撤退。しかし、孫権(チャン・チェン)と部下である指揮官の周瑜、そして天才軍師として誉れ高い孔明(金城武)は曹操の降伏の要求にも屈せず、自らの命よりも大切な物を守るために戦うことを決意。そして三国志最大の戦いである赤壁の戦いの幕が切って落とされるのだが・・・

 最初の方は頭脳戦が繰り広げられる。金城武演じるチョッとひょうきんな孔明が知力、知識を活かして流石は天才軍師だと思わせてくれる。そして決戦に突入してからの水面までも火でいっぱいになる戦いは見るからに熱い。しかし、それ以上に俺が熱く感じたのがデブ助と呼ばれる孫権の妹(ヴィッキー・チャオ)と敵方曹操の部下との友情。まるまるストーリーから消しても良さそうな二人の関係が描かれているが涙が出そうになるこの熱さが流石はジョン・ウー。彼の映画はこうでなくっちゃならない。
 また、その奇麗さから単なるビジュアル担当に思えたリン・チーリン演じる小喬も、祖国への熱い想いが突き動かす行動も見ていて感動するし、我らが日本代表の中村獅童にもとっておきの場面があったりで興奮する。
 ジョン・ウー監督の映画が好きな人はもちろんのこと、ド派手なアクションが好きな人にはお勧めできるし、三国志について大して興味のない人にもお勧め。もしかしたらPartⅠを観ていなくても、いきなり本作から観ても楽しめるか。今回はレッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-をお勧め映画として挙げておこう。

レッドクリフ PartⅠ&Ⅱ スペシャル・ツインパック [DVD]
トニー・レオン,金城武,チャン・フォンイー
エイベックス・ピクチャーズ


 監督は前述したようにジョン・ウー。この人のアクションの見せ方は俺のような単細胞の男には感動させてくれる。男たちの挽歌狼/男たちの挽歌・最終章フェイス/オフ、戦争アクションウインドトーカーズ、SFアクションペイチェック 消された記憶などお勧めありすぎです。 
 

 

  
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映画 泳ぐひと(1968) 海パン一丁で出ずっぱり

2017年03月17日 | 映画(あ行)
 変な奴を主人公にした映画は多いが、その中でもかなり突出しているのが今回紹介する映画泳ぐひと。この映画の主人公のオジサンは最初から海パン一丁の姿で登場し、最後までその格好で出ずっぱり。そりゃ~、タイトルが泳ぐひとだからと思いきや、確かにプールで泳ぐシーンは多いが、山の中や野原や自動車の通る道をその格好で走っているシーンが出てくる。一目変な奴だと感じるが、思いつきで言い出すことが更に周囲をドン引きさせる。さて、この主人公は海パン一丁で何をやらかそうとするのだろうか?

 さっそく単純ながらも非常にシニカルな内容に富んだストーリーの紹介を。
 ある夏の郊外にある高級別荘地において。海パン一丁の姿でネッド(バート・ランカスター)が林から現われる。そこはネッドの友人夫婦の別荘であり、夫婦は前夜のパーティーで疲れていて、夫の方はプールの側で横たわっていた。
 ネッドは友人夫婦と少しばかり会話をした後に、その場所から眼下に見渡せる景色を眺めて、アホらしくなるようなことを言い出す、「友人の家のプールを全て泳いで、自分の家に帰ろう」。自分の家にたどり着くまでに様々な人と出会うのだが・・・

 もっと簡単にストーリーの紹介をすると、知り合いの人の家に勝手に入って、勝手にプールを泳いで、自分の家まで帰るだけ。極めてシンプルなストーリーだが、隠されたテーマは非常に奥が深い。海パン一丁だけで現われる主人公が家に帰るまでに様々な人に出会うのだが、彼らの態度の様子が観ている我々になんだかおかしいぞ!と感じさせる。最初に出会った友人夫婦とは好意的に話しているのだが、後の方になるにつれて出会う人の態度が威圧的になってくる。この展開が意味するところは、欺瞞に満ちた今までの主人公の人生が音を立てて崩れていく様子だ。最後には恐ろしい現実を突きつけられるのだが、これが切ないというか、怖い。海パン一丁の姿でいるのが何を意味するか何となくわかる気がしてくるだろう。
 時々自らを成功者のように見せる人間を見かける。しかし、そういう人こそ案外幸せの仮面を被っているだけで、実際はボロボロだったということがバレている時が多い。実際に俺だって周りからは聖人君子のように思われているが、今までの人生を振り返るとまさに偽善者としての自分が浮かび上がってくる。まあ、最近は逆にアホなふりをして生きてる方が楽に感じているのだが。
 この主人公は年がいも無く女の子と一緒に走って嬉々としているのが気持ち悪く感じたり、どうでもいい様な目標を思いついて実行したり、偽りに満ちた人生を過ごしていたり、かなり痛い人間。しかし、コレって実は俺も大して変わらないじゃんと思い反省させられた。
 メンタルが弱っている時にお勧めできる映画ではないが、何時までも余韻に浸れる映画として今回は泳ぐひとをお勧めとして挙げておこう

泳ぐひと [DVD]
バート・ランカスター,ジャネット・ランドガード,ジャニス・ルール
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント





 
 
 
 
 

 










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