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映画 キングスマン(2014) ひたすら面白い英国スパイ映画です

2018年09月04日 | 映画(か行)
 イギリスのスパイ映画と言えばジェイムズ・ボンドが活躍する007シリーズが挙げられるが、そんな50年以上も超える化け物シリーズを一瞬にして面白さで抜き去ったのが、今回紹介するキングスマン。007の方は英国政府のお抱えの諜報機関MI6にジェイムズ・ボンドは所属していたが、今回紹介するキングスマンも本拠地は同じく英国でありながら、こちらはどこの国にも属さないスパイ組織だ。
 かつての007シリーズも素っ頓狂なストーリー、小道具など出してきて、大いに楽しめたもののリアリティゼロのスパイに何となく不満を持った人もいた。そんな007シリーズだが最近はリアル路線に変更して、再びスパイ映画の健在を示すことに成功した。
 そして今回紹介するキングスマンはスパイ映画の先輩にあたる007シリーズに敬意を表しながらも、斬新なアクションシーンやビジュアルで観ている我々を大いに楽しませてくれる。先輩がリアル路線に進んでいくのを裏手にとったガジェットの数々。攻防兼用の傘型の銃、手りゅう弾の役割を果たすライター、記憶喪失、麻酔などのモードを自由に変えられる腕時計、猛毒が塗られた刃が出てくる靴など、なかなか楽しい見せ物が出てくるところは先輩のスパイ映画へのオマージュを感じさせる。しかし、先輩シリーズを遥かに面白さで超えるのがアクションシーン。とんでもないバトルで血が吹っ飛ぶかと思いきや、優雅な音楽で次々と頭が爆発していくなど、かなり突き抜けたシーンを見せてくれるのが本作の特徴だ。


 ちょっとお洒落なスパイが活躍するストーリーの紹介を。
 母親はすっかりDVの義父の言いなりで、毎日をチンピラばかり相手にしている自堕落な生活に陥ったしまっていたエグジー(タロン・エガートン)は警察沙汰で捕まってしまう。しかし、そんな彼を保釈したのがスパイ組織キングスマンに属するハリー・ハート(コリン・ファース)。実はハリーは17年前にキングスマンの候補生でエグジーの実の父親に命を助けてもらったことがある。
 ハリーはその恩を忘れておらず、不良少年ではあるがその素質を見込んで、欠員が出たキングスマンの候補生としてエグジーをスカウトする。他の候補生との争いをクリアしていくエグジーだったが、実はその裏で人類滅亡計画がIT企業の大富豪であるヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)の手によって進んでいたのだ・・・

 話は二段構成。エグジー少年がキングスマンに入るための訓練と、ヴァレンタインの野望を阻止するために戦い。けっこう笑えたのが運よく(?)キングスマンに入ることになり、急に服装がオシャレになる場面。任務を遂行する時でもスーツはもちろんのこと、いかした眼鏡までかけて、さすがは英国紳士。間違ってもハリウッドのアクションスターみたいに自らの筋肉を自慢するために裸になったりはしない。
 悪役のサミュエル・L・ジャクソンだが環境問題に熱心というIT企業の大富豪。スマホを世界中の人に配給しまくる素敵なオジサンだ。現実としてIT企業の社長のなかにはロクでも無い奴が多いが、そういう人間を悪役に持ってくることに今の時代を感じさせる。
 さぞかしキングスマンって凄い優秀なスパイの集まりなのかと思っていると、けっこう無様な姿を晒していたりで意外性があり楽しいし、そしてアメリカに対する皮肉だと思うのだが教会で繰り広げられる大バトルはキレキレで非常によくできたシーンを堪能することができる。
 他にもキングスマンの本拠地がロンドンのストリートに面していて、外見は高級紳士服屋さんというのも英国らしさ満載。あんまり小さい子供には見せたくないシーンが多いが、楽しいし笑える。これからはスパイ映画の代表と言えば007でもミッションインポッシブルでもない、と思わせるだけのポテンシャルがある。もうシリーズ化されているだけに人気作ではあるが、とにかく楽しい映画を観たい人には映画キングスマンを今回はお勧めしておこう。


キングスマン [AmazonDVDコレクション]
コリン・ファース,マイケル・ケイン,タロン・エガートン,サミュエル・L・ジャクソン,マーク・ストロング
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督はイギリス人のマシュー・ボーン。この人のお勧めはキレキレのアクションをここでも見れるキック・アス、ファンタジーのスターダストが良いです。

 

 

 
 
 
 
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映画 家族の肖像(1974) ヴィスコンティ監督の引きこもり映画

2018年08月22日 | 映画(か行)
 今や日本人の引きこもりは子供だけではなく大人にも多くみられる。その数は70万人と言われているが、もはや引きこもり大国ニッポンと言われるまでの数字の上昇だ。引きこもりの理由は色々あるだろうが、会社に行く気力がない、何もかもが面倒くさい、嫌いな人と出会うのが耐えられない・・・等あるだろうが、今回紹介する映画家族の肖像バート・ランカスター演じる老教授もこの映画を見ている限りだが、一歩も外に出歩かない引きこもりに見える。しかも、行動範囲が狭い。豪華なアパートに住んでいるが、自分の部屋とその上階をせいぜい行ったり来たり。この老教授の場合は人と会うのがどうやら苦痛。後は静かに本を読み、音楽を聴くことを楽しみ、多くの集められた絵画に囲まれて暮らすことに心の安らぎを感じている。ただ今の日本人の引きこもりと違って、どうやらカネは相当たくさん持っているようだ。
 さて、こんな老教授を主人公にした映画なのだが、果たして本当に面白いのか、そもそも観る価値はあるのか?なんて心配してしまいそうだが、静かに過ごしたい老教授にとっては有難迷惑な無礼者が押し寄せてきてからが面白い。

 それでは、描かれている舞台設計は非常に狭い空間だが、実は当時のイタリア社会を反映している奥深いストーリーの紹介を。
 ローマの中心地の豪邸に住んでいる老教授(バート・ランカスター)は絵画のコレクターを集めて、部屋中に絵画を飾っていた。絵画の中に囲まれて本を読んだり、音楽を聴いて静かに暮らすことに安らぎを覚えていた。しかし、ある日のこと教授と画商が値段の相談をしているところを利用して、大富豪夫人のビアンカ(シルヴァーノ・マンガーノ)が巧みに近寄ってきた。彼女の狙いは老教授の住んでいる上階の部屋を借りること。しかもビアンカの娘リエッタ(クラウディア・マルサーニ)、その彼氏のステファノ(ステファノ・パトリッツィ)、そしてビアンカの愛人であるコンラッド(ヘルムート・バーガー)が次々と現れてくる。
 教授はみずからの生活を壊されることを心配して上階を貸すことに反対していたのだが、あまりにもしつこく頼んでくるビアンカに根負けした教授は部屋を貸すことにする。ところがその日、上階を借りて住んでいたコンラッドは部屋を改造してしまい、下の階にいる教授の部屋は水浸しになる。あまりにも粗暴なコンラッドに手を焼いていた教授だったが、コンラッドが意外にも芸術全般に詳しいことを知り、次第に親近感が湧くようになってきた。
 ある日の夜、上階に住んでいたコンラッドの部屋で騒々しい音が聞こえる。教授が上階へ上がってみると、コンラッドが血まみれで倒れていたのだが・・・

 それにしても老人が住んでいるところに何とも我儘な奴らが侵入してきて、これは相当困った。勝手に部屋を改造するし、約束の晩餐には来ないし、若者三人が音楽をかけながらスッポンポンで踊っていたり、何かと教授を悩ませる。老教授からは考えられないジェネーレーションギャップのせいだと言いたいところだが、さすがの俺もこんな奴らが居候してきたら腹が立つ。
 それでも老教授は家族が出来なかったことへの後悔から、押し掛け四人組を夕食に呼ぶ。ところが老教授のおもてなしをこの四人組がぶち壊し。可愛い女性エリエッタはそれほど害があるように思わなかったが、残りの三人はイデオロギーの違いから言い争いから殴り合いに発展。まさに当時のイタリア社会は共産党主義的な政党が台頭してきたが、左翼が力を持てば右翼も伸びてくる。このようなイデオロギーの対立は世界中で見られるが、この夕食のシーンにルキノ・ヴィスコンティ監督の想いが出ている。ちなみにヴィスコンティ監督はヴィスコンティ家の貴族の末裔でありがら、彼は共産党主義。そのような知識があれば、より一層この映画を興味深く観ることができるだろう。
 ルキノ・ヴィスコンティ監督の名前は聞いたことがあるけれど彼の作品を観たことが無い人、家族というものをもう一度考え直したい人、この映画の制作時は共産主義が盛り上がったのになぜ今はすっかり下火になってしまったのかを知りたい人、自分が引きこもりであると自覚している人・・・等に今回は家族の肖像をお勧めしておこう


家族の肖像 デジタル完全修復版 [DVD]
バート・ランカスター,シルヴァーナ・マンガーノ,ヘルムート・バーガー
KADOKAWA / 角川書店


 当初はネオリアリズモの代表的監督として労働者を描いたこともあったが、貴族の末裔ということだけあって次第にカネが掛かっているような豪華な映画に変遷していく。貴族の滅んでいく様子を描いた映画が多い。けっこう日本でも人気のある監督だが、個人的には嫌いな作品も多い。お勧めは寛容さに心が救われる若者のすべて、女の執念の凄さを思い知ることができる夏の嵐が良いです。




 
 

 
 


 




 


 
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映画 宮廷画家ゴヤは見た(2006)ヨーロッパの歴史の怖さを知る?

2018年05月24日 | 映画(か行)
 先日のことになるが名作中の名作であるカッコーの巣の上でアマデウスを遺したチェコスロバキアが生んだ名監督ミロス・フォアマンが亡くなった。そんな彼の遺作になってしまったのが今回紹介する宮廷画家ゴヤは見た
 ベラスケスと並ぶスペイン最大の画家であるフランシスコ・デ・ゴヤ。まるでホラーを感じさせるような暗い画風の印象があるが、なぜそのような絵画や版画を制作したのか?
 さて、本作だがゴヤが王様に仕える宮廷画家として活躍していたスペインの時代が描かれている歴史映画である。

 本作を観終わった後に真っ先に思ったことは、中世のヨーロッパに生まれなくて良かったということ。改めて何事にも寛容な日本に生まれたことを、この時ばかりは感謝した。さて、マトモな神経では生きていけそうにない暗黒のヨーロッパの時代とはどのようなものなのか?それではストーリーの紹介を。

 1792年のスペインのマドリードにおいて。宮廷画家として名声を得ていたゴヤステランス・スカルスガルド)は、二人から依頼されていた肖像画の仕事中。1人は裕福な商人の娘で天使のような美しさを持つイネス(ナタリー・ポートマン)、もう1人がカトリックの修道僧であるロレンソ神父(バビエル・バルデム)。
 ロレンソ神父は失墜しかけているカトリックの権威を取り戻すために、異教徒たちを片っ端からひっ捕らえて拷問にかける。その中には居酒屋の席で豚肉を食べなかっただけでユダヤ教の疑いをかけられたイネスの姿もあった。
 イネスの父は無実である娘を取り戻すために、友人のゴヤを通してロレンソ神父を自宅に招き、取引をしようとするのだが・・・。

 絶対王政、異端審問、ナポレオンのヨーロッパ侵攻、魔女狩りなど、学生時代の世界史の授業でよく耳にした単語だが、本作を観るとそれらの言葉が持つ重要性がわかり、世界史って実はとてつもなく恐ろしい出来事を学ぶ授業だったことに気づく。
 時の権力者の私利私欲のために、一般庶民ですら理不尽に拷問にかけられ、戦争で命を失ってしまう長いヨーロッパの歴史。良心のかけらも通じない時代を生き抜くには、本作のロレンソ神父のように自らの信念を簡単に曲げ、昨日の友を裏切り、自分の身内さえ遠ざけないといけないのか!とんでもないクズ以下の人間性を見せつけられるが、こんな卑怯者が俺の身近にも見られるのが残念だ。
 ナタリー・ポートマンは綺麗だからレオン以来の彼女のファンは楽しめるだろうし、ゴヤの伝記映画ではないが彼の絵画が好きな人も芸術的な面で楽しめるだろう。少なくとも俺と同じように日本人に生まれて良かったと思えるし、信念のない人間は結局は哀れな結末を迎えるということがよくわかる。それにこれが真実の愛なのか?と思わせるエンディングは賛否両論あるかもしれないが、かなりの余韻を残す。特に世界史が大好きという人に映画宮廷画家ゴヤは見たをお勧め映画として挙げておこう。

宮廷画家ゴヤは見た [DVD]
ハビエル・バルデム,ナタリー・ポートマン,ステラン・スカルスガルド
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督は前述したようにミロス・フォアマン。冒頭の方で述べた2作品が勿論お勧めですが、エロ雑誌のハスラーの創刊者であるラリー・フリントの伝記映画でタイトルもそのままのラリー・フリントもお勧めです。  
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映画 華氏451(1966) 活字離れの人に警告です

2018年03月04日 | 映画(か行)
 最近は読書する時間が減ってしまい、新聞もスポーツ新聞の競馬のコーナーを読むだけの俺。すっかり活字離れが進んでしまっている状態だが、よくよく考えてみると本には昔からの人類の知恵が詰まっている。そして今の日本人の中には想像できない人がいるかもしれないが、時の権力者からの自由の表現への挑戦に対する制約があったっり、思想弾圧の憂き目にあったり、様々な困難な状況に陥ってしまった著者がたくさんいる。そんな血のにじむような覚悟を決めて書かれた本の数々を『面倒くさいから読んでられない』なんて言っていたら人類の進歩が止まってしまう。
 確かに最近は、金儲けのために書かれているのがあからさまだったり、自らのストレス解消のために好き放題に書かれていたり、読者を洗脳してしまおうとする悪企みの意図があったり等々のようなロクでもない本が多く存在しているような気もするが、ある程度の自由の表現が保証されている民主主義国家に生きる者の宿命として、そのような本でさえも少々は読む価値があると認める寛容な精神が必要だ。
さて、タイトルの華氏451の意味だが紙が燃えだし始める温度のことを言うそうだ。

 それでは古今東西においても見られる焚書(ふんしょ)による弾圧の世界をみせてくれるストーリーの紹介を。
 書物を読むことが禁止された世界において。書物を捜索し跡形もなく燃やしてしまうことを仕事としているモンターグ(オスカー・ウェルナー)は今日もセッセト真面目に仕事に取り組んでいた。
 ところが会社へ向かう道中の電車の中でモンターグは綺麗なオネエちゃんのクラリス(ジュリー・クリスティ)に出会った影響で本に興味をもってしまい、チャールズ・ディケンズのデイヴィッド・コパフィールドを読み出し、次第に活字の持つ魅力に取りつかれてしまうのだが・・・

 近頃でもあるSNSに事実を投稿すると危うく名誉棄損で訴えられそうになった人が居るが、何かと言論弾圧が今日でも行われているこの世の中が本当に嘆かわしい。そんな個人的なボヤキは横においておいて、冒頭からいきなり工夫の演出。本作のテーマがオープニングシーンからズバリ込められた珍しいスタイルが非常に巧みだ。俺なんかは見ていたDVDのデッキが壊れたのか心配してしまった。
 そして主人公のモンターグが所属する仕事が非常にブラック過ぎる。特に消防隊の格好をしながら火炎放射しているのには笑えた。

 しかし、小学生の時から親や先生から本をたくさん読みなさいと散々聞かされたが、なんで読まないといけないのか実は大人になってもよくわからなかった。しかし、本作に出てくる多くの有名な書物を見ていると何となくわかった気になった。前述したように本には人類の知恵が詰まっていることに気づく。
 日本人の中にも古事記や日本書紀なんかどうせ嘘だろう、と言っている者が居るがこの映画の後半の部分を観れば自分たちがどれほど恐れ多いことを言っているかがわかるはずだ。

 見た目は安っぽいSF映画だが、大いなる風刺に満ちていてテレビの世界を皮肉るなど内容的に見ごたえ充分。最近なんだが俺と同じように活字離れが進んでいる人、この世の中は本当に表現の自由が保障されているのか不満に感じている人、本が大好きな人等に今回は華氏451をお勧め映画に挙げておこう

華氏451 [DVD]
オスカー・ウェルナー,ジュリー・クリスティ,シリル・キューザック,アントン・ディフリング
ジェネオン・ユニバーサル


 これがレイ・ブラッドベリの原作本
華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)
伊藤典夫
早川書房


 監督はフランス映画のヌーヴェルバーグを代表するフランソワ・トリュフォー監督。自信を持って映画が好きだという人にはアメリカの夜がお勧め。他には大人は判ってくれない 、突然炎のごとくが良いです。
 
 




 
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映画 キャロル(2015) 同性愛をテーマにした映画ですが・・・

2017年12月11日 | 映画(か行)
 ゲイをテーマにした映画と聞くと、すぐに拒否感を示す人がいるが本作においてはそんな心配は全くの無用。男性同士の恋愛は正直なところ個人的には気持ち悪いが、女性同士の恋愛はなぜかくも美しいのか?それにしても同性愛をテーマにした映画を観て、これほど感動するとは思わなかった。
 ちなみに本作は『太陽がいっぱい』『見知らぬ乗客』などで知られ、映画化も多数されているミステリー作家女史パトリシア・ハイスミスの自伝的小説『The Price of Salt』を原作とする映画化。1952年に出版されているが、実はこの時はパトリシア・ハイスミスではなくクレア・モーガン名義で出版されている。なぜ、自らの名前を隠して出版しないといけなかったのだろうか?
 それは当時の同性愛に対する考え方が大いに関係する。今でこそ同性愛者であることをオープンにする人はいるが、この当時は同性愛を告白すると病人扱い。実際に1950年代を代表するあの二枚目俳優は仕事が無くなる事を恐れてゲイであることを公表しなかった。
 
 さて、1950年代のアメリカにおいて禁断とされている女性同士の恋愛は、いかなる結末を観ている我々にみせるのか?それではストーリーの紹介を簡単に。
 1950年代のニューヨークが舞台。テレーズ(ルーニー・マーラー)は結婚しようと言ってくれる彼氏がいて、将来は写真家になりたいという夢を持っている。公私ともにそこそこ順調なはずだが、どこか満たされない日々を送っていた。
 玩具屋でアルバイトをしていたテレーズは、クリスマス直前のある日に、高貴な婦人の雰囲気を漂わせているキャロル(ケイト・ブランシェット)を見かける。そのことを切っ掛けに二人は親しくなるが、テレーズはキャロルには一人娘がおり、旦那と離婚調停中であることを知る。キャロルの深い悩みを知ったテレーズは、彼氏をすっぽかしてキャロルの誘いに応じて女性二人の旅立ちに出るのだが・・・

 同性愛、そして不倫にも及ぶストーリー。何だか共感できないような2人の女性の行動に思えるが、実際に観ると全くそんなことはない。彼女たちの行動は決して単なる我がままだけでなく、お互いを思いやる優しさに満ち溢れている。そんな優しさが観ている者の身に染みる。そして、本当の愛情とはコレだったんだと理解できる仕組みに本作はなっている。映画の作りはどことなく古さを感じさせるが、1950年代の雰囲気を感じさせる。そして名女優2人の大胆な演技に目が釘付け。こういう映画が誕生するのだから同性愛者は胸を張って堂々と生きていけるし、未来は明るい。
 いつもなら最後にお勧めの対象者を紹介するのだが、本作に限ってはそんなことは意味がないように思える。あえて言うならば、本当の愛に飢えている人にはキャロルはお勧め映画として挙げておこう

キャロル [DVD]
ケイト・ブランシェット,ルーニー・マーラ,カイル・チャンドラー
KADOKAWA / 角川書店


 監督はトッド・ヘインズエデンより彼方にが本作と見比べてみると共通点があって面白く感じられるかもしれないです。





 
 
 

 
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映画 攻撃(1956) 戦争映画ですが・・・

2017年09月19日 | 映画(か行)
 戦争映画において弾丸が降り注ぐ戦闘シーンを期待する人が多いかもしれないが、本作は戦闘シーンよりも人間同士の争いに比重を置いた映画。軍隊内の対立が非情なタッチで描かれており、そこには甘ったるい感傷的な気持ちが入る余地がない。
 次々に味方を犠牲にしてしまう小心者で卑怯な上官と、正義感が強く仲間想いの部下の対立が主に描かれているが、もう一人私利利欲にまみれたトップクラスの人間が登場する。
 無能でもコネさえあれば自分の能力以上に出世し、真面目に働く人間はいつも出世のために利用される。本作に描かれる世界は何も軍隊だけに限らず、我々の社会でも思い当たるような事が描かれている。

 女性が1人も出てこないのでお色気には欠けるが、そんなことはまるで気にならないような骨太の戦争ドラマのストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 第二次世界大戦の末期のヨーロッパ戦線において。戦闘中においてジョー・コスタ中尉(ジャック・パランス)の部下たちは、上官のクーニー大尉(エディ・アルバート)の無能さのおかげで犠牲になってしまっていた。クーニー大尉に対してコスタ中尉は怒りを露わにするが、実はクーニー大尉はバートレット大佐(リー・マーヴィン)という後ろ盾がいた。
 バートレット大佐は戦争終結後に政界進出を企んでおり、彼はクーニー大尉と幼馴染であり、しかも彼の父親が地元の有力者でもあることから、クーニー大尉を出世させて自らの野望を達しようという思惑があった。コスタ中尉だけでなく、他の部下からもクーニー大尉の無能さ知らされるが、私利私欲のために無視するような状態だ。
 さて、再度クーニー大尉は出撃命令をコスタ中尉に下す。あまりにも危険な任務であり、無謀な作戦計画だったために、コスタ中尉は『今度こそ、部下を1人でも亡くしたら殺しに戻る』とクーニー大尉に言い放ち、出撃するのだが・・・

 戦争映画と言えばド派手な撃ち合いを期待する人が多いと思うが、俺ぐらい人生を哲学的に考えるぐらいの域に達すると、戦場の中で生死の極限まで追い詰められた人間性を描いてほしいと思う。本作はそんな俺の期待に応えてくれる傑作だ。
 上司が馬鹿だとわかっていながら最前線で命を投げ捨てて戦う者の悲哀、自分の手を全く汚さずに自らの保身を優先する者、何でも利用しまくって自らの出世につなげようとする強欲な者。戦場じゃなくても俺の身の回りにも、卑怯者で私利私欲のために生きている奴が居る。あ~、いつの時代にも、何処にでもこんな奴が居る事が嘆かわしいと感じながらも、どうすることもできない自分が情けない。

 クーニー大尉を演じるエディ・アルバートがハンパなく人間のクズっぷりを見せてくれるが、コスタ中尉を演じるジャック・パランスの執念が凄い。どんなに負傷しても戦車に轢き殺されそうになっても命の限界を超えても銃口を向ける。
 戦争においては正義もプライドも、そして神への祈りも通用しない。反戦映画の部類に入ると思うが、人間性、男同士の醜い争い、友情、誇りが描かれていて気分が熱くなれる要素もある。モノクロであり、ド派手なアクションがあるわけではない。命を懸けた戦場において極限の人間ドラマが観れるお勧め作品として今回は攻撃を挙げておこう。

攻撃 [DVD]
ジャック・パランス,エディ・アルバート,リー・マーヴィン,ウィリアム・スミサーズ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はロバート・アルドリッチ。男の熱い争いを描いた映画が多いのが特徴。ゲーリー・クーパー、バート・ランカスター競演の西部劇ヴェラクルス、列車の車掌とただ乗りを企むおっさん同士の熱い戦いが繰り広げられる北国の帝王、女同士の怖い戦いを描いた何がジェーンに起こったか?、砂漠のど真ん中に不時着してしまった飛べ!フェニックス、戦争アクション映画特攻大作戦など、お勧め映画が多数あります。 
 



 

 

 
 
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映画 ガルシアの首(1974) 死体の首争奪戦

2017年07月17日 | 映画(か行)
 ギターばかり弾いて、ロクに働いていないように見えるダメ男が、急に銃さばきが上手くなるアクション映画。バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー監督が自身の最高傑作と豪語するだけあって、本作はロバート・ロドリゲス監督のエル・マリアッチやシン・シティに多大な影響を与えていることが、よくわかる作品だ。
 それにしてもアメリカ人というのは一攫千金が大好きな国民だ。本作にしても命がけで大金を得ようとする飽くなきその欲望は、もうすっかり貧乏人に慣れてしまった俺としては非常に見習いたいところ。
 しかし、大金を得るのに死体を墓から掘り起こして、首を切断するというのは倫理的な問題としていかがなものか。まあ、そんなことを言ってたらアクション映画なんて成り立たないってか。

 さて、賞金稼ぎ達が、死体の首をめぐって争奪戦を繰り広げるストーリーの紹介を。
 大地主が妊娠中の愛娘を痛めつけて、相手の男性の名前を聞き出す。そいつの名前はアルフレッド・ガルシア。
 早速大地主は生死に関わらずガルシアを捕まえて連れてきた者に100万ドルのボーナスを与えると宣言。そのことは回り回ってしがない店でギター弾きをしているベニー(ウォーレン・オーツ)の耳にも入る。実はガルシアはベニーの彼女であるエリータ(イセラ・ヴェガ)の知り合いでもあり、彼女の口からすでにガルシアは死んでいることを聞かされる。
 一刻を争うベニーはエリータを連れて、ガルシアの故郷へ向かうのだがその道中に、暴漢、殺し屋たちとの銃撃戦に巻き込まれてしまいエリータも犠牲になってしまい・・・

 死体を掘り起こして大金を得ようなんて、俺だけでなく多くの人がドン引き。しかし、こいつが自分の彼女エリータが死んでから、ガルシアの首を持って帰っていく道中、次第にマトモになっていく様子に非常に好感が持てる。
 しかし、バイオレンス描写が多く、観ている最中はけっこう暑苦しい。しかも、乗っていた車は次第にボコボコになるし、ベニーも着ていた白いスーツは泥や血が付いたりして、だんだんみじめな姿になっていくのが、可哀そうでイタイ。
 そして暑苦しいメキシコを車で突っ走るのだが、隣の座席にガルシアの首が入っている汚い袋が置いてある。ハエが飛び回り、画面からも悪臭が漂ってくる感じが観ていて伝わってくる。
 貧乏人がいきなり金持ちになろうとすると、如何に大きな犠牲を払うことになってしまうかが、よく理解できる映画。すぐに給料が良い仕事に転職したがる人が多いが、余程のブラック企業でない限り、転職せずにその仕事を続けた方が、給料は微増でもアップし、そこそこ幸せな人生を送れると思う。

 まあ~、基本的にはバイオレンス描写において見どころが多く、心が熱くなれる映画。本作から上記のような人生訓を感じながらの観賞の仕方は実はナンセンスに近い。銃撃戦を観ていると心が震える人、ダメ男がまっとうな人間になっていくストーリーが大好きな人、格好良い若いイケメンよりもチョッと渋いオジサンが好きな人・・・等に今回はお勧め映画として久しぶりにアクション映画のガルシアの首を挙げておこう

ガルシアの首 [DVD]
ウォーレン・オーツ,イセラ・ベガ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はバイオレンス映画の巨匠として多くの傑作映画を遺したサム・ペキンパー。なんてったってワイルドバンチは始まりから激しい銃撃戦が繰り広げられ、ハートがとにかく燃える映画として最高にお勧め。他にはスティーヴ・マックウィーン主演の至近距離で撃ち合いが見れるゲッタウェイ、ダスティン・ホフマン主演のこれまたバイオレンス映画の傑作わらの犬、戦争映画戦争のはらわたがアクション系ではお勧め。
 実はこの監督はヒューマン系の映画にも傑作が多い。これまたスティーヴ・マックウィーン主演のジュニア・ボナー/華麗なる挑戦、ハートフルコメディタッチの砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラードがお勧めです。 



 
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映画 外人部隊(1933) ラストシーンが素晴らしい

2017年06月13日 | 映画(か行)
 フランスの外人部隊といえば、そこに集まってくる人間の背景は色々。純粋に軍人として入ってくる人間よりも、犯罪者が最後の逃げ場としてやってくるイメージが俺にはある。そんな外人部隊の中で過去に傷を背負った者同士が友情でつながることはあっても、お互いの素性については暗黙の了解で干渉してはならない。今回紹介する外人部隊は、そんな内情が描かれている事にも興味が惹かれるが、実は男女の微妙な心理が描かれている人間ドラマ。
 タイトル名にもなっている外人部隊だが、実は単なる背景としての役割を与えられているに過ぎない。男女の恋愛模様及び男女関係がメインテーマとしてあるのだが、その中でも男の馬鹿っぷりが凄すぎる。しかし、多くの男性はその馬鹿さを自らに照らし合わせ、確かに俺もそうだよな~!なんて妙に納得するだろう。
 本作はメチャクチャ古いフランス映画であり、俺も色々と多くの映画を観てきたつもりだが、ラストシーンが最も印象に残っている映画と言えば本作になる。それは何故か?

 さて、決してラストシーンが素晴らしいだけでなく、人生の厳しさを描いている点にも惹きつけられるストーリーの紹介をしよう。
 ピエール(ピエール・リシャール・ウィルム)はパリでフローランス(マリー・ベル)と贅沢三昧の遊びを楽しんでいる。とことんフローランスに貢ぎまくるのだが、実は会社の金を横領していた。
 そんなピエールの悪行もついにバレてしまい国外へ逃亡する羽目になってしまうのだが、金にしか興味のなかったフローランスは彼の頼みも聞き入れることなく、彼に付いて行くことなく姿を消してしまった。
 すっかり自暴自棄になってしまったピエールはアフリカのモロッコでフランスの外人部隊に入る。地獄のような暑さと厳しい行軍の毎日に嫌気がさしていたが、そんな彼の慰めの拠り所は外国人部隊で知り合い友人になったニコライと行軍中の休憩場として訪れる酒場でいつも慰めてくれる女将のブランシュ(フランソワーズ・ロゼー)。
 ある日のこと、ピエールはニコライと酒場で飲んでいると、フローランスとそっくり顔立ちのイルマ(マリー・ベルが二役)と出会い、二人は愛し合うことになるのだが・・・

 冒頭からダメっぷりを発揮してくれるピエールだが、そんな彼にも幸運が舞い降りる。ようやく外人部隊での厳しい日々をイルマと一緒に抜け出せるかと思ったのに、なぜ神は悪戯な状況をピエールに作り出してしまうのか?しかし、男なら馬鹿丸出しのピエールの気持ちがわかるよな~。昔、愛した女性の面影は男をとことん狂わせる。
 一人二役を髪の色、声、性格を変えて熱演するマリー・ベルのカワイ子ちゃんには確かに惹かれる。
 しかし、それ以上に興味深いのが年増の域に入っているフランソワーズ・ロゼー演じる酒場の女将。実はダメ男のピエールを支えていたのはコッチの女性。彼女の優しさはまるで聖母マリア様のようである。彼女の得意のトランプ占いはイカサマもインチキも無くて当たりまくる。このトランプ占いがラストシーンで抜群の効果を発揮する。そして、観ている者の想像力を刺激するエンディングは本当に素晴らしい。
 1930年代から40年代にかけての甘く切ないフランス映画が好きな人、今まで名作と呼ばれる映画を何本か観たがどれも面白くなかったと感じている人、人生を感じさせる映画を観たい人等に今回は外人部隊をお勧め映画として挙げておこう

IVC BEST SELECTION 外人部隊 [DVD]
マリー・ベル
IVC,Ltd.(VC)(D)


 監督は戦前を代表するフランス映画界を支えたジャック・フェデー。本作にも出演しているフランソワーズ・ロゼーは彼の奥さん。彼女を出演させた作品に名作が多い。ミモザ館女だけの都がお勧めです。 
 

 
 
 
 
 
 
 





 


 

 


 
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映画 危険な関係(1988) 貴族の気分が味わえます

2017年06月04日 | 映画(か行)
 18世紀のフランスの作家であるコデルロス・ド・ラクロの同名タイトル小説を原作とする映画が今回紹介する危険な関係。フランスの貴族社会を描いているが、今まで色々な国で何度も映画化されているように、世界中の映像作家に人気のある古典的小説だ。
 貴族社会を描いているだけに、豪華な衣装は一度は着て身に着けたいと思わせるし、真面目に働かなくても贅沢ができる浮き世離れした生活ぶりは羨ましいと思わせる。そして男性にはナンパの成功方法がわかる非常に有難い映画だ。

 本作で描かれている貴族社会だが、すっかり性の風紀が乱れてしまっている。元カノから『あの生娘の処女を奪って!』と頼まれたり、社交界のプレイボーイである男の口から『俺は今はガードが堅いと評判の美人の未亡人を狙ってるんだ』なんて会話が飛び出す。
 何だかコスプレ衣装の官能小説の映像化を見せられている気分になったりするが、嫉妬、謀略、裏切りが渦巻く不純な愛欲の世界がゲーム感覚で描かれており、見ていてなかなか楽しい映画だ。

 さて、エロスを求めて心理戦が展開されるストーリーの紹介を。
 メルトゥイユ侯爵夫人(グレン・クローズ)は元カレで社交界のプレイボーイとして浮き名を流すヴァルモン男爵(ジョン・マルコヴィッチ)を呼び出し、セシルの処女を奪うように持ち掛ける。
 ヴァルモン男爵はセシルのような小娘とエロスに溺れていたんでは社交界の恥さらしになると断ったうえで、今は社交界の中で美人で貞淑の誉れが高いとして知られているトゥールベル夫人(ミッシェル・ファイファー)を口説き落としてエロいことをする計略があることを打ち明ける。
 当初は思惑の異なる二人だったが、メルトゥイユ侯爵夫人はあらゆる手段を尽くして自らの野望を達成しようとするのだが・・・

 ヴァラモン男爵のナンパの方法だが、貧しい人に手を差し伸べて良い人に見せておいて、狙った女性の前では自らを可哀相な男性を演じて、徹底的な泣き落とし戦術。俺なんかは女性の前では偉そうな人物を装っているのだが、かえって逆効果だったことに気がついた。
 しかし、本当に怖いのはメルトゥイユ侯爵夫人の女の執念。しかも、演じているのが危険な情事でマイケル・ダグラスをとことん追い詰めるグレン・クローズだから恐怖が倍増する。
 しかし、エロスに快楽を求めながらも、男女の仲に次第に恋愛感情が芽生えてくると、そりゃ~、このような結末を迎えてしまうよね~と妙に納得させられた。
 けっこう笑えたのが、エロい関係になったことを証明する手段として手紙のやり取りをしていること。今のネット社会の時代を生きる我々から見ればこのようなやり取りが、どうしても古臭く感じてしまう。原作が今まで本作を含めて何回も映画化されているのだから、ぜひ現代社会に合わせて再度リメイクして欲しいものだ。
 ヨーロッパの貴族生活にあこがれている人、男女のエロスと恋愛に関わる高度な心理戦を楽しみたい人、今でも活躍している豪華キャスト陣の演技を楽しみたい人、若きキアヌ・リーブスのヘタレな役を見たい人、まだ初々しいユマ・サーマンのオッパイを見たい人・・・等に今回は危険な関係をお勧め映画として挙げておこう

危険な関係 [DVD]
ジョン・マルコビッチ,グレン・クローズ,ミシェル・ファイファー,ユマ・サーマン,キアヌ・リーブス
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント



危険な関係 [Blu-ray]
クリストファー・ハンプトン
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督はイギリス人で傑作を多く残しているスティーヴン・フリアーズ。詐欺師一家の皮肉な運命を描いたグリフターズ/詐欺師たち、ダスティン・ホフマン主演のハートフルコメディのヒーロー/靴をなくした天使、ロンドンに暮らす不法移民たちを描いた堕天使のパスポートがお勧めです。 
 

  
 




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映画 ゴーン・ガール(2014) フィンチャー節が炸裂です

2017年04月10日 | 映画(か行)
 多かれ少なかれ結婚生活に憧れる人はいるが、今回紹介する映画ゴーン・ガールを観れば、理想的な結婚生活とはどういうものかよくわかる、と言うのは嘘。実はこの映画の主人公達は誰もがうらやましがる様なロマンチックな出会いをし、愛し合いながら結婚したはずの素敵なカップル。幸せになるしかないように思われた夫婦は一体どこで歯車が狂ってしまったのか、偽りに満ちた結婚生活が暴かれた時に、夫婦の絆ってかくも弱いものだったのかと、観ている我々は知らされる。
 しかし、突拍子もない展開をたどって行くのを見せられて、こんな夫婦はいね~よ!なんて思ったりしたのだが、観終わった後に俺の思っていることが180度変わってしまった。夫婦の関係ってこんなものだよね~って。サスペンスタッチの映画の宣伝文句に衝撃の結末というフレーズがよく使われるが、本作の結末は普通の家族が望んでいるところに落ち着いたことに、ある意味で衝撃を受けた。

 次々に驚きの展開が連続するだけにネタバレ厳禁のタイプの映画。実は前述していることですらネタバレの可能性が少々あるのだが、ほんの少しだけストーリーの紹介を。
 ミズリー州の田舎が舞台。非常にめでたい五回目の結婚記念日において、ニック(ベン・アフレック)は家に帰ってみると、その光景に驚く。妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が失踪したことに気付いたのだ。警察も直ぐに駆けつけ、エイミーは有名人の娘でもあり、家の中で争った形跡があることから事件の可能性があると捜査を始める。
 ニックは勧められるままにテレビの記者会見に出て、エイミー失踪の手掛かりを呼びかける。しかし、なぜかニックにとって不利になる証拠が次々に出てくる。やがて彼は警察や世間から犯人じゃないのかと疑われてしまい・・・

 外見からして魅力的な美人妻はどこへ消えてしまったのか?というミステリー感で楽しませてくれるのかと思いきや、大体的なマスコミ報道でわかってくるのは、美人妻がどこへ消えてしまったのか?ではなく、ニックのいい加減な結婚生活。マスコミによる1人の人間に対する集中砲火を浴びせるかの如くのような報道の仕方は日本でも最近見られるが、まさにニックがそんな状態。捏造、印象操作、大衆を煽るこの報道の仕方は、もし自分の身にかかったとなると怖い。
 他にも警察は殆んどニックを犯人と決め付けて捜査をするし、雇った弁護士は無罪を晴らすことよりもカネに興味のある奴だったり、社会に対する警報を同時に描いてしまうあたりなんかは、さすがセブンの監督であるデヴィッド・フィンチャー。凶器を使ったシーンも含めてフィンチャー節が炸裂している。しかし、なんて言ったってドン引きさせるのは女性の恐ろしさ。5年間夫婦をやってきて、奥さんの本性を知らなかった旦那のアホさも相当だが、あらゆる面で旦那を上回る頭のキレが凄い。
 サスペンス映画が好きな人を充分に満足させる面白さがあり、大人の男女なら満足できる。それに「俺は女の事は全てわかっているんだ」と豪語している男には特にお勧めできる。更に、あんまりいい加減なことは書けないが、個人的には夫婦で一緒に観るのがお勧めの方法。観終わった後に議論すればきっと白熱すること間違いなし。いずれにしろ最近のサスペンス映画では味わえない余韻に浸ることができるゴーン・ガールを今回はお勧め映画として挙げておこう。

ゴーン・ガール(初回生産限定) [DVD]
ベン・アフレック,ロザムンド・パイク,ニール・パトリック・ハリス,タイラー・ペリー,キャリー・クーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督は前述したデヴィッド・フィンチャー。凝ったビジュアル、脳ミソを刺激するような作風が俺のお気に入り。セブンファイト・クラブの有名どころはお勧めだし、衝撃的な結末という点ではゲームが良いです。




 
 
 



 
 

 

 
 
 
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映画 グラディエイター(2000) ローマ帝国が舞台の歴史劇か? 

2017年03月30日 | 映画(か行)
 今日ではローマ帝国が始まって以来、最も平和で繫栄していたと評価される1世紀末から2世紀末にかけての五賢帝時代。優れた皇帝が五人続いた珍しい時代がローマ帝国にもあったわけだが、その中でも最後の皇帝が哲学者としても有名なマルクス・アウレリウス。その息子であり、父親とは違って皇帝の座を自らの娯楽のために利用したのがコンモドゥス。親子でありながら何かと対照的な二代にわたる皇帝が治めていたローマ帝国を時代背景に描いたのが、今回紹介する歴史映画グラディエーター
 歴史映画と聞くと世界史が苦手な人は何かと敬遠しがちで、観ていても人間関係や事実関係が把握できずに、結局は長い時間だけが過ぎてストーリーに付いて行けなかった、ということを多くの人が経験しているだろう。しかし、本作については、そんな心配は全くの無用。もちろん皇帝マルクス・アウレリウスを知らなくても大丈夫。だいたい本作は歴史的事実なんか殆んど無視して作られているし、ストーリー自体がどん底に陥った男が立ち上がるという、誰が観ても熱くなれるド定番の展開。本作から歴史を学ぼうとするのは間違った考え方で、頭の中をすっからかんにしてして観るのが正しい観賞の仕方だ。

 
 さっそくだが、歴史劇では無く、人間ドラマであるストーリーの紹介を。
 ゲルマニア遠征において、ローマ帝国軍の総司令官であるマキシマス将軍(ラッセル・クロウ)は蛮族との戦いに苦戦しながらも勝利する。しかし、その一部始終を見ていた皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)は戦いには勝ったものの味方の兵が多く討ち死にしたことにローマ帝国の衰退が近いことを感じていた。しかし、それ以上に皇帝アウレリウスを悩ましていたのが自らの老いによる後継者問題。彼には嫡男である皇太子コンモドゥス(ホアキン・フェニックス)が居るのだが、コレがとんでもない野心家で素行が悪い。けっきょく次の皇帝に最も信頼している部下であり、人望が厚く、高潔なマキシマスを指名する。
 そのことを知った皇太子コンモドゥスは父親の皇帝アウレリウスを殺害し、皇帝の座を略奪。そして自分に従わない態度をとったマキシマスを処刑しようとし、更にはマキシマスが故郷に置いてきた愛する妻子を惨殺する。なんとか処刑を逃れたマキシマスだったが、変わり果てた妻と息子を見て疲労とショックで意識を失い、気付いた時には奴隷として飛ばされていた。
 生きる目的を失ってしまったマキシマスだったが奴隷たちの中で剣闘士(グラディエーター)としてメキメキと頭角を現していき、思わぬ形で今や皇帝として暴政を行っているコンモドゥスと再会するのだが・・・


 日頃からローマ帝国のために血と汗を流して働き続けた将軍マキシマスだったが、奴隷に陥ってしまう。しかも愛する家族は無残な姿で殺されている。そりゃ~、誰だってこんな目に遭ったらショックで立ち直れない。しかし、彼を立ち上がらせたのが、誰にも止めることができない復讐という言葉。とにかく皇帝コンモドゥスの卑劣な計略をことごとくすり抜けて、対決シーンにまで持っていく展開に興奮を感じさせる。しかし、さすがはリドリー・スコットと言うべきか、復讐は本当に正義なのか?といった疑問を観ている我々に投げ掛けるような結末は考えさせられるし、人間の大事な物は何かということを感じさせる。
 冒頭からの戦争シーンからしてハートが燃えるし、豪華コロッセウムを舞台にした戦いにおいても興奮する。ストーリーだけでなく映像の面でも惹きつけられるし、勇壮な気分になれる音楽も観ている我々が戦っている気分になれる。
 とにかく勧善懲悪がハッキリしていて、迫力充分の戦いの数々はアクション映画が好きな人にお勧めできる。そして息子を持っている父親ならば大いに感動できる仕組みになっているのも好感が持てる、ということで今回はグラディエーターをお勧め作品として挙げておこう。

グラディエーター [DVD]
ラッセル・クロウ,ホアキン・フェニックス,コニー・ニールセン,オリヴァー・リード,リチャード・ハリス
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は今や名作、傑作を多く残しているリドリー・スコットエイリアンブレードランナーといった古典的SF映画作品はお勧めできるし、戦争映画であるブラックホーク・ダウン、中東で暗躍するスパイ映画ワールド・オブ・ライズ、本作と同じく歴史劇であるが奥深いテーマが隠されているキングダム・オブ・ヘブンが良いです。




 
 




 

 
 

 
 

 
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映画 恋人たちの食卓(1994) 豪華料理に目を奪われます

2016年11月24日 | 映画(か行)
 今やアジアの人間で最もハリウッドで成功した映画人であるのが台湾人のアン・リー監督。彼の台湾時代の映画の代表作といえば今回紹介する恋人たちの食卓だろう。冒頭から華麗で手際の良い手さばきで料理を作っているシーンから始められるのを見ていると、まさか料理のドキュメンタリー映画をみせられるのかと個人的に不安(ドキュメンタリー映画は嫌いなんです)になったが、実際の映画の内容は出てくる料理と同様になかなか味わい深い一品になっていた。
 最初の方から、ある一家の四人で囲まれた食卓の上にある料理の豪華さにビックリし、その半端無い物量に大食いの俺もドン引き。よく子供の時に親から、食べ物は残さず食べなさい!なんて教えられたが、全部残さず食べろといわれても、殆んど拷問に近い多さ。しかし、この映画の本筋は食事がメインではなく、男親と3人娘のホームドラマが骨格にあり、家族というものを大いに考えさせられるストーリーなのだ。

 それでは早速ストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 台湾の一流ホテルのシェフだったチュ氏(郎 雄)はその腕を奮いにかけて料理中。彼は妻を早くに亡くし、3人娘を男親1人で育ててきた。1週間に1回だけ集まって4人揃ってチュ氏の料理を食べるのがこの家族のしきたりだった。
 ところが家族4人揃って楽しく料理しながら会話も弾むのかと思いきや、何やら不穏なムードが漂う。3人の娘たちは仕事、恋愛に悩み、特に次女は父親に対してもある種の不満を持っており、各々の怒りが爆発するのだが・・・

 何だか途中から何処かのオバサンが娘を連れてアメリからやって来たりで、けっこう多くの登場人物が出てくる。しかし、それぞれキャラが立っているので人物把握で混乱することはないだろう。それに全体的なムードはホノボノとしたコメディ調だから、観ていて飽きたり、ダレルようなことはないと断言しておこう。
 三姉妹の中では次女がキャリアウーマンで、しかもスタイルが良くて美人。もちろん三姉妹の中で俺の好みはこの次女。まあ、そんな個人的な話はどうでも良いが、この三姉妹の結末がチョッとした驚きがあるのも楽しい。料理を作るのも奥が深いとしたものだが、人生はもっと奥が深い。父親と娘の絆の深さに、あ~やっぱり家族って素敵だな~と思わせるエンディングは素晴らしい。
 料理番組が大好きな人には大いに楽しめるシーンが多いし、年頃のお嬢さんとの接し方がわからないお父さんはこの映画を観るとヒントを得られるかもしれない。他に優しい笑いに飢えている人、結婚願望が大きすぎて他のことが手につかない独身女性などなど、幅広い層にお勧めできる映画として恋人たちの食卓を今回は紹介しておこう

恋人たちの食卓 [DVD]
ロン・ション,ヤン・クイメイ,ワン・ユーウェン,シルヴィア・チャン,ウィンストン・チャオ
ジェネオン エンタテインメント


 監督は前述したアン・リー。文芸作品からアクション、そして同性愛、エロい映画まで幅広い分野の映画を撮る名監督。お勧めは多数ありますが今回はライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日をお勧めしておこう。



 
 

 

 
 
 
 
 
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映画 恐怖の報酬(1953) メガトン級のスリルを味わえます 

2016年11月04日 | 映画(か行)
 俺が最もハラハラドキドキ感を味わった映画が今回紹介する恐怖の報酬。手に汗握る映画を撮るのに最先端テクノロジーなんか使わなくても、演出の腕があれば充分に撮ることができることを証明している映画だ。ニトログリセリンを一滴垂らして爆発させるだけで、観ている者にその威力のイメージを植え付けて、恐怖とスリルを極限状態にまで高めてくれる。
 こんなことを書いておきながら、前半は全くスリルなんか感じない。どいつもこいつも暑いだの、腹減っただのグダグダ言う奴ばかりが登場する。お前ら少しは働けよ!と言いたくなるが、実は街自体がボロボロの状態で働きようがないし、劣悪な環境。どん底状態に陥ってしまった人間が流れてくる場所だということが直ぐにわかる。
 このように前半は観ていると全く楽しくないし、なんだか息苦しくさえ感じられたりするが、これが怒涛のメガトン級のスリルを味わえる後半へ向けての前フリ。とことんボロボロに陥ってしまった人間の性格描写が丹念に描かれることによって、少々気が狂ったように思える男達が、目的に向かって邁進する姿にスリル、興奮、ド根性、笑い(?)に疲労など、観終わった後に様々な感情を起こさせてくれる映画だ。

 すっかり命よりも大金に目が眩んでしまった男たちの意外な運命は果たして?それでは簡単にストーリーの紹介を。
 南米の国のある街において。そこはすっかりボロボロに陥ってしまった人間が流れてくる場所になってしまっているが、マリオ(イヴ・モンタン)もその1人。なんとか極貧生活から抜け出したいと思いながら、ダラダラした生活を続けていた。そこへ文無しでありながら態度が横柄なジョー(シャルル・ヴァネル)がやって来る。彼らは故郷が同じフランスであることを知り、直ぐに仲良くなる。
 そんなある日のこと、500キロメートル離れた街で油田が爆発するという大惨事が起きる。石油会社は大火災を消すためにニトログリセリンの爆風を利用して消火することを思いつく。大量のニトログリセリンを安全装置のないトラック2台で運ぶことを、2000ドルの大金を褒賞として運転手を四人募集することを決定。
 一発逆転の人生が向こうから転がり込んで来たことに、喜び勇んでマリオとジョーは手を挙げて、他にルイージ(フォルコ・ルリ)とビンバ(ペーター・ファン・アイク)の2人で、トラック2台に分かれて、大量のニトログリセリンを運びだすのだが・・・

 後半はドキドキの連続。ボロボロのトラックでニトログリセリンを運ぶだけでも恐怖なのに、途中の障害がまた凄い。特に途中でドデカイ岩がトラックの行く手を邪魔しているシーンには、俺は一瞬笑ってしまった。手に汗握るスリルが楽しいのは勿論だが、大金にすっかり魅了されてしまった人間の本性の描写が凄い。単にハラハラドキドキするだけの映画なら掃いて捨てるほどあるが、そこへ人間の欲望をこれほど意地悪く描いた映画はなかなか見られない。特に命知らずの強者だと思われていた男が、急にショボイ奴に成り下がっていく様子はアリャ?と思いながらも、けっこう身近にも居ることに気付いたりする。
 全体的に汗まみれ、泥まみれ、埃まみれで清潔感のない映画だが、もっと汚いのが強欲さ。このような映画を観ると、何でもホドホドが良いよね~という事に気付かしてくれる。

 まあ2時間半ぐらいの長い映画だが、細かいところでの演出は楽しめるし、後半の怒涛のスリルの面白さは文句なし。そして、観終わった後に極度の疲労感に襲われるのはドMの人間にはたまらない。モノクロで昔のフランス映画だと聞くと退屈に思われる人が多いと思うが、こんな面白い映画をそんなことで見逃しているとすれば非常に勿体ない。今回は超お勧め映画として恐怖の報酬を紹介しておこう。

恐怖の報酬 CCP-174 [DVD]
イヴ・モンタン,シャルル・ヴァネル
株式会社コスミック出版


 監督はアンリ=ジョルジュ・クルーゾー 。フランス映画を代表する偉大なる名匠。他にお勧めはどんでん返しの妙を感じさせる悪魔のような女、やたらラストシーンが強烈な情婦マノン、個人的にはかなりの推理サスペンスの傑作だと思っている犯罪河岸が良いです。




 

 

 







 
 
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映画 現金に体を張れ(1956) 脱力感に襲われます

2016年05月09日 | 映画(か行)
 時間軸が過去に戻ったり、アッチコッチに行ったりして描く手法の映画は最近ではそう珍しくもないが、当時の映画の手法としてかなり画期的な作品が今回紹介する映画現金に体を張れ。競馬場を舞台にした大金強奪犯罪の意外な顛末を描いた傑作だ。
 人生の負け犬たちが一発大逆転を狙って大金強奪を企むストーリーの映画なんてワンサカあるが、最近アップしたアスファルト・ジャングルも同じようなタイプの映画。だいたいどの映画も結末は欲に目が眩んで仲間割れを起こしてしまい、悲劇的な結末が訪れるパターンが殆んど。しかし、俺に言わせれば結末以前に計画段階から既に破綻が生じてしまっているために、そりゃ~ダメだろうと思える映画ばかり見せられている気分になったりする。特にこのような映画を観て思うことはアメリカ人は本当にチームワークが悪い。

 さて、本作だが強盗そのものは緻密で計画バッチリ。首謀者の人望が厚いようで、なかなかのリーダーシップを発揮してうまくチームを纏め、しかも分単位どころか秒単位での事細かな時間割まで決められていたり、非常に細かいところにまで気を遣った競馬場での大金強奪の様子が見ることができる。まあ、見ているとチョッと失敗しそうな場面も出てきたりするのだが、これが緊迫感を高める効果を生み出したりしている。
 しかしながら、数名がチームを組んでいると必ず1人はどうしようもない奴が出てくる。本作においても例外ではなく、競馬場の売上金200万ドルを強奪しようすうる大それた犯罪計画なのに、それをバラしてしまう口が軽い奴が登場。また、個人的な事情があるとは言え、バラす相手が悪過ぎ。この映画を観ているとお金って人をダメにすることだけでなく、性悪女ってとんでもない災いを招くことを人生訓として感じることができる。

 さて、競馬場での大金強盗の一部始終だけでも面白く描かれているが、実はそこからの二段落ちに衝撃が走るストーリーを簡単に紹介を。
 刑務所から出たばかりのジョニー(スターリング・ヘイドン)は数名の落ちこぼれや貧困にあえぐ男達を集めて、競馬場の売り上げ金を強奪する話を持ちかける。間違いなく成功するはずの緻密な計画を立てたはずなのだが、メンバーの1人であるジョージ(エリシャ・クック)は美人な妻であるシェリー(マリー・ウィンザー)に近日中に大金が入ることをバラしてしまう。
 さて、いよいよ決行の日がやって来て、まんまと競馬場から大金を強奪することに成功したジョニー達だったのだが、シェリーのとんでもない悪企みの前に事態は意外な方向へ転がっていくのだが・・・

 時間軸がアッチコッチに飛ぶ構成が当時の観客はどう思ったのかわからないが、記憶力の悪い俺にすれば非常に親切な設計。よくサスペンス映画で、コイツ誰だったけ?なんて余計なことを考えさせられて細かい中味が抜けたまま映画を見てしまうハメになることがショッチュウあるが、本作は時間軸が行ったり来たりするおかげで、コイツはそう言えばあの悪徳警官だったよな~って感じで思い出せる仕組みになっている。各々の強盗メンバーの決行当日の行動状況が非常に丁寧かつスピーディーに描かれているために、全くだれるところがない。
 しかし、実はこの映画の見せ場は競馬場での大金強奪シーンが終わってから。メンバー達が大金強奪の祝勝会をあげる前に集まっていたのに、その場が一瞬にして血みどろの地獄絵巻と化すシーンはかなり衝撃的。そして、運良く集合場所に遅れた首謀者のジョニーだったが、彼に訪れる結末は映画史に残るラストシーンを見せてくれる。
 しかし、強奪計画はそこそこ上出来だったのになんでこんな結果で終わってしまったのか?口が軽い男のせいなのか、欲の面の皮が推定30センチの性悪女のせいなのか、それともいきなり飛び出てくる犬が悪いのか。まあ、俺の出した答えは、もっとしっかりしたスーツケースを買っておけ!ということになる。
 犯罪映画が好きな人には大いにお勧めしたいし、スタンリー・キューブリック監督作品と聞いて心が躍る人、そして汗水垂らして働いて手に入れたお金だからこそ価値があることに気付ける映画現金に体を張れを今回はお勧めしておこう

現金(ゲンナマ)に体を張れ [DVD]
スターリング・ヘイドン
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


 監督は前述したスタンリー・キューブリック。彼のお勧めはたくさんありますが、薄っすら笑える博士の異常な愛情を今回は挙げておこう。


 

 

 

 
 

 

 
 


 
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映画 コックと泥棒、その妻と愛人(1989)  芸術的な作品?

2016年05月04日 | 映画(か行)
 タイトル名だけ見ると、ただ登場人物を羅列したような何とも味気ない雰囲気が漂うが、中味はなかなかパンチの効いた映画が今回紹介するコックと泥棒、その妻と愛人マイケル・ナイマンによる音楽は素晴らしく、ジャン=ポール・ゴルチエによる衣装は華やかで、天使のような歌声は幸せな気分になり、めくるめくシーンごとにセットや衣装などの色彩が変わっていく場面転換は非常に鮮やか。それに主な舞台は高級料理店の中なので美味そうな料理が出てくる。これだけの情報量だと芸術的で優雅な気分に浸れる映画なのかと思える。
 しかし、実際に本作を観てみるとアラ、ビックリ!暴力、残酷、罵声、エロ、グロのオンパレード。美と醜悪の対比する要素が取り入れられているのだが、鑑賞中も見終わった後も印象に残るのは醜悪の方ばかり。そりゃ~、そうだ、最高の絵を制作しようと、その達人を10人集めて描かさせようとしても、その中に1人でもド下手が存在するとロクな絵が完成するように思えないのと一緒のこと。まあ、多くの人が本作を見終えた後は、もう二度とこんな映画を見るものかと思ってしまうだろう。
 ならば観る者に不快感を与えるだけの内容の映画かと思いきや、これが現在の我々の身近でも思い当たるような節があり、それどころか古今東西に渡って通じる奥深いテーマ性が込められているから、非常に深読みのしがいがあるのだから困ったものだ。まるで金持ちしか行けないような高級レストランを舞台にしただけなのに、人間の食に対する欲望、権力者の横暴、思惑が絡む人間関係、説明できない男女の愛など、実は哲学、政治、社会、道徳、愛など幅広く考えさせれるのだから、本作を観れば観るほど賢くなれる、って自分でも書いていてホントかよ!

 さて、いくら高級で美味い料理が出るとわかっていても、絶対にこんなレストランには行きたくないと思わせるストーリーの紹介を簡単に。
毎晩の如く、妻のジョージナ(ヘレン・ミレン)と部下を連れて、自らがオーナーを務める高級フレンチレストランにアルバート(マイケル・ガンボン)がやって来た。大泥棒であるアルバートは非常に乱暴者で身勝手な人間。ところかまわず大声を出し、気に入らない人間がいると殴る蹴るの暴行を働き、時には残忍な方法で人殺しもする。妻のジョージナは彼のことを嫌っているが、その恐ろしさのおかげで虐待を受けていても逃げることができない。高級レストランのシェフであるリチャード(リシャール・ボーランジェ)も他のお客様にとっては非常に迷惑なアルバートに対して恐れから追い払うこともできない。
 今日も夫のアルバートに連れられて高級フレンチレストランに来ていてジョージナは、常連のお客であり、いつも片隅で本を読んでいるマイケル(アラン・ハワード)と目が合う。ジョージナとマイケルはどちらから誘うともなくトイレへ直行し、エロ行為。
 それからはこの2人は高級レストランで出会うたびに、アルバートの目をこっそり盗んでは、リチャードが厨房近くの一室を貸してくれるおかげもありエロ三昧の日々。ところが2人の関係がアルバートにバレテしまい、彼の暴力を恐れた2人は高級レストランを逃げ出し、マイケルの部屋で愛し合う幸せな時を過ごすことになるのだが・・・

 冒頭から暴れまくるアルバートだが、これが自称”美食家”という、もの凄い勘違い野朗。俺の回りにも、自分で自分の事を何の根拠も無く、俺は凄いんだと言っている奴をチラホラ見かけるが、そういう奴と知り合いになると本当に迷惑すぎることこの上ない。そんな人間が権力を持ってしまった時の怖さをこの映画からは特に感じる。
 だいたい歴史上において良い意味でも悪い意味でも名を遺す人物はけっこうな愛食家が多い。そういう意味では食というのは欲望の象徴でもあるのだが、本作の食欲に対する描き方がなかなか興味深い。アルバートの残忍な人殺しの方法は食べることに対して暗喩的に描かれ、また自称”美食家”の前に出される料理は、そこら中に居るグルメと呼ばれる人も恐らく食ったことがない珍品物。他にも冷凍庫や厨房にある食材がえげつない。俺もマンマと演出家の狙い通りに一瞬食欲が失せたが、しばらくするといつも僕に美味しい料理を提供してくれる人に感謝の気持ちが芽生えてきたのは何故だろう?
 映像美を感じさせながらもグロテスクである映画コックと泥棒、その妻と愛人は、ちょっとばかり他の映画にない魅力に惹かれる珍品中の珍品である映画。ゴールデンウィーク中に見て欲しい映画として今回はこいつをお勧めしておこう

コックと泥棒、その妻と愛人 [DVD]
リシャール・ボーランジェ,マイケル・ガンボン,ヘレン・ミレン,アラン・ハワード,ティム・ロス
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は奇才中の奇才であるピーター・グリーナウェイ。その作風は不思議な映像はもちろんですが、難解な作品が多い。個人的には今回紹介したコックと泥棒、その妻と愛人が1番のお勧めですが、他に僕が観た中ではベイビー・オブ・マコン(当時観た時はボカシが多かったですが)は良かったと思います。

 再見して驚いたのはジョージナ役が今やベテラン女優として確固たる地位を築いているヘレン・ミレンだったこと。ロバート・アルトマン監督のゴスフォード・パーク、スティーヴン・フリアーズ監督のクィーンがお勧めです。




 
 
 
 
 
 


 
 
 

 
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