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映画 超音ジェット機(1952) 飛行機の進歩を学べる?

2023年06月18日 | 映画(た行)
 産業革命により鉄道や蒸気船といった発達を起こし、交通の利便性に大きな変化を授けた。そんな産業革命の発祥の地であるイギリスで飛行機の進歩を描いた作品が今回紹介する超音ジェット機。ちなみに原題はThe Sound Barrier。直訳すれば『音速の壁』。時々、センスの欠片もない下手な邦題を目にすることがあるが、この邦題はなかなかイケてる。
 さて、『音速の壁』とは何ぞや?。本作の公開された年は1952年だが、それまで多くのパイロットや開発者達が早く飛行機を飛ばそうと躍起になっていた。しかし、どうしてもある音速を誰も超えることができないでいた。その限界値が『音速の壁』であり、その音速の壁によって多くのパイロットは犠牲になり、飛行機も無残な姿になっていた。その限界値がマッハ1。航空会社やパイロットがマッハ1へ到達しようと飽くなきチャレンジが描かれているのが本作の内容。それだけなら本作は単なる航空映画になってしまう。確かにそのような面を持っているのは確かだが、むしろ本作を観て心を奮えさせるのが文明の進歩における積み重ねが、さらりと描かれているところ。

 早速だが、過去だけでなく未来まで見通せそうなストーリーの紹介を。
 第二次世界大戦も終わりかけの頃、イギリス空軍のパイロットであったトニー(ナイジェル・パトリック)は航空会社を経営する大富豪ジョン・リッチフィールド(ラルフ・リチャードソン)の娘であるスーザン(アン・トッド)と結婚する。結婚後はトニーはジョンの会社のテストパイロットとして働くようになる。
 ジョンは息子であり、スーザンの弟であるクリストファーが嫌がるのを承知で飛行機の運転を学ばせ、テストパイロットに育てようとする。そして、自社開発の飛行機のテストパイロットとしてクリストファーを乗せるが、事故って死亡。実の息子を亡くしたにも関わらず、平然と飛行機開発に勤しむ父親に対してスーザンは怒りと悲しみに襲われ、夫であるトニーが飛行機を運転する度に心配することになる。
 いよいよ飛行機の速度のマッハ越えに憑りつかれているジョンだが、トニーとスーザンの新婚旅行中にもテスト飛行に失敗してしまい、パイロットの命を亡くしてしまう。飛行機の設計ではなく、テストパイロットの技術不足だと考えるジョンは、いよいよマッハ越え、すなわち『音速の壁』を突き破るためにテストパイロットとしてトニーを指名するのだが・・・

 息子の命を亡くしても、速く飛ばせる飛行機を作り出そうとする大富豪ジョンの欲望にドン引き。そりゃ~、娘のスーザンも家を出て行こうとするよね~、だって息子(ジョンの孫)までお祖父ちゃんのトチ狂った目的のために息子(ジョンと命名される)までテストパイロットにされちゃ~、毎日が心配で頭が変になりかねない。
 何でそんなに犠牲を払ってでも飛行機を速く飛べるようにしたいの?なんて質問したくなるが、実際にスーザンや研究者も俺が思うまでもなく、ジョンお祖父さんに尋ねる。その質問に対するジョンお祖父さんだが、スーザンだけでなく俺も納得できるような答えを聞かされなかった。
 しかし、本作が公開された1952年から70年を経た現在において飛行機の技術は目覚ましい進歩を遂げた。マッハ1で飛ばすのも困難を極めた時代も、最近公開されたトム・クルーズ主演のトップガン マーヴェリックではマッハ10に大きく進歩した。技術の進歩は飛行機だけでなく、あらゆる物において顕著に見られるのは多くの人が実感し、昔よりも便利になっていることに有難さを感じているだろう。
 そのように考えれば本作を観た後にぼんやりとだが理解できることがあるだろう。昔の人の知恵と勇気によって、現代を生きる人々はどれだけの恩恵を受けているかを?そして、それは未来においても変わらない。この世の中は便利になり過ぎた~!なんて、ぼやいている人もいるが、それは血と汗を流しながら働いてきた人に対して失礼極まりないこと。俺は先人に改めて感謝の意を表明したい。
 さて、本作だがスーザンの女性の心理を巧みに描いている。そして、本作に登場する英国人男子を観ていると彼らの凄さを感じることができる。いきなり「明日はお前がテストパイロットだ」なんて命令されても、嫌そうな顔を一つも見せずに「ラジャ~」と即答するところ。嫌なことや、少しでも面倒なことを頼まれると、すぐに断ってしまう俺はとことん反省させられた。
 昔の映画と言っても飛行機が飛び出すシーン、爆音も迫力があるし、ヨーロッパの方へ観光した気分に少しだけなれるのも良い。飛行機映画の基本形としてだけでなく、観る人に色々な物をうったえかける作品として今回は超音ジェット機をお勧めに挙げておこう

 監督は偉大なる名匠デヴィッド・リーン戦場にかける橋アラビアのロレンスドクトル・ジバゴなど、大画面で映える作品群で有名。他に逢引き旅情など、お勧めがたくさんあります





 

 

 

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