褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 戦火の馬(2011) 戦場を駆け回る馬の物語?

2012年12月29日 | 映画(さ行)
 戦争の愚かさを、世にも奇妙な馬の運命を通して描いた感動的ドラマが今回紹介する戦火の馬。きっと誰もがこの馬の恐るべき精神力、肉体的なタフさに吃驚するはずだ。

 イギリスの貧しいながらも農場を営む家に1頭の馬がやってくる。その馬はジョーイと名付けられ、その家の少年アルバート(ジェレミー・アーヴァイン)とジョーイは固い友情で結ばれる。
 しかし、第一次世界大戦が勃発。ジョーイは軍馬としてイギリス軍に売られ、ドイツ軍と戦うためのフランスの最前線に送られる。激しい激戦の最中において、ジョーイはイギリス軍とドイツ軍の間を行ったり来たりして駆け回るが、ジョーイのツブラな瞳には、人間という生き物がどのように映るのか

 ジョーイの精神力、体力にも驚かさせられるが、強運の発揮振りがもっと吃驚。とんでもない極悪人の手に落ちてジョーイもこれまでかと思いきや、すぐさま心優しい人が現れて救われる。
 そんな心優しい人間と馬のジョーイのやり取りには心が暖まり、やがて訪れる奇跡的な出来事に見ている我々は大いに感動するのだ。そんなの有りえね~と思えることが後半連発してしまうのが、お涙頂戴過ぎるような気もするが、心の中が真っ白で純粋な人ならば自然に涙がこみ上げてくる。

 うっとりするぐらいの綺麗な風景、逆にボロボロの戦場シーン等、スティーヴン・スピルバーグ監督らしい映像へのこだわりは勿論のこと、弱者の立場から描かれた視点はまさにスピルバーグ監督の真骨頂。スピルバーグ監督作品としては中の上ぐらいの出来栄えだが、全体的には高水準のレベルをキープ。ちょっと時間が有り余ってる人にはお勧めしたい映画です

戦火の馬 DVD+ブルーレイセット [Blu-ray]
エミリー・ワトソン,デヴィッド・シューリス,ピーター・ミュラン,ニエル・アレストリュプ,トム・ヒドルストン
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


 監督は今や巨匠的な存在であるスティーヴン・スピルバーグ監督。多くの名作、ヒット作を生み出している監督。個人的にはアミスタッドが彼の作品の中では最も好きな作品です。

 キャストではアルバートのお母さん役でエミリー・ワトソンが出演しています。ラース・フォン・トリアー、ロバート・アルトマン、ポール・トーマス・アンダーソンなど個性的な作品を撮る監督から引っ張りだこ。その中でもラース・フォン・トリアー監督の奇跡の海の彼女は凄いです

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映画 わが心のボルチモア(1990) アメリカンドリームの崩壊を描きます

2012年12月26日 | 映画(わ行)
 一攫千金の大チャンスが転がっていると言われるアメリカ合衆国だが、そんな物はハッキリ言って嘘。戦後の日本を支配したGHQの占領政策によって、アメリカは良い国だと多くの日本人は教えられた。そして多くの人がアメリカン・ドリームという言葉に憧れを持った。
 しかし、今は昔ほどでは無いにしても実際はあの国はWASP(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)と呼ばれるエリート意識を持った白人連中が牛耳る極めて排他的な社会であり、アフリカ系の黒人は奴隷として扱われ、白人でもアイルランド系、イタリア系、ユダヤ系等のマイノリティに属する人たちは社会的に虐げられて、中国系、日系の黄色人種も単に労働力としての扱い。誰もが平等にチャンスがあるなんて言われるが、これだけ差別がまかり通っている国においては、チャンスを手に入れる前に潰される。

 だいたいゴールド・ラッシュにおける金を採掘したり、石油を発見したなどのような一攫千金で大金持ちなんて話に至っては、それこそ天文学的な確率での中からの成功者の人たちのことであり、その確率はジャンボ宝くじで1等を的中させるよりも、その数百倍(それ以上か?)は低い。
 個人的にはそんな低い確率を巡って争って勝ち上がっていく事をアメリカン・ドリームとして憧れる事など、ほとんどボケた人の戯言ぐらいにしか思えない。しかし、洗脳とは恐ろしいもので今やあの国は今日でも路頭に迷う生活者が増えているのに、日本人の中にはまだアメリカンドリームに憧れている人が多いのは本当に驚き。

 さて、今回紹介するわが心のボルチモアは東欧からアメリカに渡って来た家族の三世代の時の流れをユーモア、悲哀を交えつつ描かれる。
ストーリー構成は東欧からアメリカに渡って来たお祖父ちゃんが、まだ幼い孫にアメリカに来てから現在に至るまでの出来事を語るという構成。ところがこのお祖父ちゃんが孫に聴かせる話は、同じ話の繰り返しが多く、そして微妙に記憶がアヤフヤだったりでゆる~く笑わせる。

 果たして、東欧から夢と希望を抱いてアメリカに渡ってきたお祖父ちゃんのアメリカの暮らしとは如何なる物だったのか?
 1914年の7月14日、サム(アーミン・ミューラー=スタール)が東欧からアメリカに渡ってきたのはアメリカの独立記念日。その華やかな様子に、彼は夢と希望でいっぱいだった。
 彼は先にアメリカに渡ってきた兄弟たちと一緒に暮らし、壁紙職人としてくらしていた。
 やがてサム(アーミン・ミューラー=スタール)は同じ東欧出身の移民であるエヴァ(ジョーン・プローライト)と結婚し、息子ジュールス(エイダン・クイン)をもうける。
 さらにジュールス(クイン)はアン(エリザベス・パーキンス)と結婚し、2人の間にはマイケル(イライジャ・ウッド)が生まれる。
 それ以来、サム((アーミン・ミューラー=スタール)は孫のマイケル(ウッド)に東欧からアメリカにやって来てからの苦労話を語るのが日課となっていた。
 やがてジュールス(クイン)はいとこのイジー(ケヴィン・ポラック)と共同で家電販売店を経営するが、宣伝効果もあり、大繁盛しようとしていたのだが・・・

 
 この映画の大きな流れの見所として、アメリカに渡ってきた当初は兄弟四人を中心に結束が固かったのだが、故郷から父親を呼び寄せたり、それぞれが結婚して子供が産まれ、驚くほどの大家族になるにつれて、次第に家族がバラバラになってしまう所。
 兄弟の中でも勝ち組、負け組みが存在し、それが嫉妬を生み出し、つまらないことを切欠にバラバラになっていく様子は核家族化している日本社会に生きる者たちが見ても決して他人事ではない切なさを感じる。

 時々悲惨な事が起こったりするが、すぐにオチを入れて笑わせるなど暗い雰囲気は全く無い。最終的にはアメリカンドリームの崩壊を見せつけられるが、どことなくラストシーンはほんの少しの希望を感じさせる。
 ちょっぴり笑えて感動し、家族って良いなと思わせられるのは勿論のこと、移民としてのアイデンティティーが世代を重ねるごとにアメリカナイズされていく描写は上手いです。大家族って良いな~と感じることができるわが心のボルチモアはお勧めです

わが心のボルチモア [DVD]
バリー・レビンソン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 監督は多くの名作を撮っているバリー・レヴィンソン。ロビン・ウィリアムズ酒主演のグッドモーニング、ベトナム、ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ競演のレインマン、ウォーレン・ベイティー主演のバグジー、ロバート・レッドフォード主演のナチュラル等、ノスタルジックな作品を撮らせると良い映画を作ります。
 他にマイケル・ダグラス、デミ・ムーア競演の大企業内でのパワハラ、セクハラを描いたディスクロージャーもお勧めです。

 主役のサムを演じるのがアーミン・ミューラー=スタール。大ベテランの俳優ですが最近でも悪役などで存在感を発揮しています。
 デヴィッド・クローネンバーグ監督のイースタン・プロミスがお勧め。他にトム・ティクヴァ監督のザ・バンク 堕ちた巨像、トム・ハンクス主演の天使と悪魔がお勧め。

 孫のマイケル役でイライジャ・ウッドがまだ少年ですが出演していました。代表作はロード・オブ・ザ・リングシリーズ。他にロバート・ロドリゲス監督のシン・シティでは無口な殺し屋を演じていたのが印象的です。

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映画 ナイト&デイ(2010) 大爆笑アクション映画です

2012年12月25日 | 映画(な行)
 アクションシーンはハイレベル、腹を抱えるぐらい笑えて、美男美女の大スターがとってもロマンチックで、スリル満点のシーンが炸裂。きっと誰もがこんな映画が観たかったと大いに納得できる映画が今回紹介するナイト&デイ
 次々に起こる有り得ないシーンが連続する様子は、明らかに馬鹿映画の部類に入るが個人的にはこういったジャンルの映画は決して否定しないし、もっともっと笑えるアクション映画が増えれば良いとさえ思っている。

 
 さて、大いに笑えるアクション映画のストーリーとは如何なるものか
 妹の結婚式のために飛行機で向かおうとしたジューン(キャメロン・ディアズ)は、空港でイケメンのロイ(トム・クルーズ)とぶつかり、飛行機の中でも近くの座席。見た目が格好良いだけでなく、チョイチョイ面白いことも言ったりするロイ(クルーズ)にすっかり心を奪われたジューン(ディアズ)は、ここは逆ナンのチャンスとばかりに化粧室で心を落ち着かせようとするが、ところが座席に戻ってみればビックリ仰天。元々少なかったお客さんたちはロイ(クルーズ)以外はすっかり殺されており、しかも操縦士までもが撃たれて死んでいる。

 ジューン(ディアズ)は、せっかく理想の男性を見つけたと思ったのに彼の正体はトラブルに巻き込まれたスパイ。しかもロイ(クルーズ)と一緒に居れば、次々と危険な目に遭ってしまう。これ以上、怖い思いをしたくないジューン(ディアズ)はロイ(クルーズ)から逃れようとするのだが、ロイ(クルーズ)は何故かジューン(ディアズ)が逃げる所を察知して、彼女の前に現われてくる。しかもロイ(クルーズ)は笑顔を見せながら『君は僕の側に居るのが1番安全なんだ』とワケのわからないことを言いながら、強引に同行を押しつけるストーカー振りを発揮する。
 ひたすら迷惑なロイ(クルーズ)のお陰で、武器商人やCIAなどからも追いかけられる羽目になってしまうジューン(ディアズ)だったが・・・

 どことなくアルフレッド・ヒッチコック監督の名作北北西に進路を取れを思い出させるような内容、シーンが連発するが突き抜けている馬鹿さが新鮮で大いに笑える。
 そしてこの映画は主演の2人が大スターの貫禄を見せる。トム・クルーズのアクションシーンは切れがあるし、キャメロン・ディアスは劣化度が少し気になるが抜群のコメディーセンスを発揮。両方とも魅力が活かされているので、どちらか片一方のファンでも大いに楽しめる。

 ハイテンポな展開は心地良く、音楽もムードが出ているし、有り得ないアクションシーンの数々はアホらしいと思うどころか大いに笑える。アクションとコメディーが両立した映画は意外に少ないが、ナイト&デイお笑いアクション映画として大いにお勧めできる映画です

ナイト&デイ(エキサイティング・バージョン) [DVD]
トム・クルーズ,キャメロン・ディアス,ピーター・サースガード,ビオラ・デイビス
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP)


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 監督はジェームズ・マンゴールド。サスペンス映画ではアイデンティティー、西部劇では3時10分、決断のとき等、あらゆるジャンルにおいて傑作を撮っています。まだ40歳代でもあり、今後も注目の監督です。

 主役の2人は誰もが知っている大スターなので、こんな所でいちいち説明しません。
 脇役で注目したいのが、若き発明家を演じたのがポール・ダノ。この人の印象的な作品は心暖まる大家族を描いたリトル・ミス・サンシャイン、そしてダニエル・デイ=ルイス主演のゼア・ウィル・ビー・ブラッドがお勧めです。

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競馬 有馬記念予想 GⅠ初制覇のチャンス

2012年12月23日 | 競馬予想
 

有馬記念予想



 毎年有馬記念を迎える度に『オレって、有馬記念を予想するために生きているんだよな~』なんて事を考えている俺は本当に幸せ者。かつて最小不幸社会の実現をスローガンにして本当に不幸な人を多く産み出してしまった日本の総理大臣が居た。そんなスローガンを日本の総理大臣が堂々と言う度に、せっかく希望を胸に抱いていた人々までもが絶望的な気分にさせられた。しかし、そんなスローガンに打ち勝って毎年楽しみな1日を迎えることができる俺は本当に幸せ者なんだと今年も有馬記念の出馬表を見ながら感慨に耽っている。

 さて、今年の有馬記念はドリームレースと謳われながら、最強馬の称号を得ているオルフェーヴルジェンティルドンナが出走しないなどチョッと物足りないメンバー構成。さらに中山2500Mコースというトリッキーなコース形態で馬に器用さが求められる。それなのに上位人気しているのは出遅れ癖をもっている馬(ルーラーシップ)、スタートから押しても前に進もうとしない馬(ゴールドシップ)のように、不器用過ぎるぐらいの馬。なんだか例年は上位人気の馬が勝つ印象のレースだが今年はちょっとひねって予想を考える必要がありそうだ。

◎ 10 ダークシャドウ
▲  2 エイシンフラッシュ
▲ 15 ナカヤマナイト
▲ 16 ルルーシュ
△  3 スカイディグニティ
△  9 ルーラーシップ
△ 13 ゴールドシップ
×  1 ローズキングダム
×  6 オーシャンブルー
× 14 ビートフラッグ

 僕の本命は10番のダークシャドウ。まさに鬼の居ぬ間にGⅠレース初制覇のチャンスがやって来た。しかも、有馬記念で。この秋のGⅠレースは4着、4着と善戦止まり。しかし、その末脚の破壊力はGⅠ級であることは疑いようがない。今回人気馬として出走するルーラーシップにはその2戦において先着されているが、東京コースの最後の長い直線コースで力で捻じ伏せられた。しかし、今回は器用さが求められる中山コースではルーラーシップよりも前でレース運びが出来そうなのは好都合。今回はまたまた出遅れそうなルーラーシップよりは上位に来るのならば勝つチャンスは充分にある。
 3コーナー過ぎから動きたい馬が多いだけに、前残りが考えづらい展開になりそうなのもこの馬には好都合。俺の自信の本命馬だ

 単穴には3頭挙げる
 まずは2番のエイシンフラッシュ。天皇賞(秋)は内がポッカリ開いたラッキーな勝利のように思われているが、それでも抜け出る脚は鋭かった。ジャパンCは大敗したが、元々走ったり、走らなかったりを繰り返す馬。脚が矯った時の破壊力は実証済みだし、今回の内枠はその点からも好都合。ちなみに去年のこのレースではオルフェーヴルに次ぐ2着。今回はその強敵が居ない事を考えると勝つ可能性はある。

 次に15番のナカヤマナイト。東京コースだと後方からレースを進めて、チョッと前に居る馬を抜いて着順を上げるだけのレースばかりだが、中山コースではレース振りが少し違う。中山コースだと4コーナーでは先団に取り付く器用なレース運びを見せてくれる。有馬記念を勝つ馬は中山コース巧者の馬が多いが、この馬もまさしくそんな馬。距離に対する不安も無いし、ジャパンCをすっ飛ばすローテーションも好印象。GⅠレース初制覇が有馬記念でも驚けない。

 次に16番のルルーシュ。元々の期待馬だったが、ようやく体がしっかりして来た。この馬の持ち味は先行力と持久力。前走のアルゼンチン共和国杯がまさに本格化を告げる好内容。最後の直線の長い東京コースで早め先頭から堂々と押し切る内容は、将来のGⅠホースの仲間入りを感じさせる。もしかしたら今はまだ成長途上かもしれないが、名門藤澤厩舎、名手横山ジョッキー。今回GⅠホースの仲間入りをされても驚けない。

 2着には押さえておきたい穴馬として菊花賞2着馬の3番のスカイディグニティを挙げたい。前走は完敗の2着だったが、ジョッキーが途中で肩の脱臼をしてあの着差。もし脱臼していなければ・・・?距離は良いし、4コーナーでは先団に取り付ける器用さもある。勝つのは厳しいと思うが2着にはマークする必要がある。

買い目 三連単フォーメーション
 1着 10
 2着  2、3、9、13、15、16
 3着  1、2、3、6、9、13、14、15、16

買い目 三連単フォーメーション
 1着 2、15、16
 2着 10
 3着 1、2、3、6、9、13、14、15、16          合計 72点

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映画 TIME/タイム(2011) 寿命イコールお金の世界が笑えます

2012年12月19日 | 映画(数字、アルファベット)
 世界中の資本主義国家に襲いかかる不況の波。しかし、不況でもビクともしないどころか、さらに金を巻き上げて私腹を肥やす大富豪がいるかと思えば、今日を生きる糧を探すのに必死になっている貧乏人もいる。大方の人は後者だと思うが、ちなみに俺も当然のごとく後者の人間。常々俺はこの世の中、平等にお金が分け与えられる世界だったら良いのにと思っているのだが、なかなか人生は俺の思うようにならない

 そんな格差社会をもたらす資本主義を大いに皮肉った映画が今回紹介するTIME/タイム
 しかし、一瞬社会派の小難しい経済の内容かと思われるが、世の中のしくみが通貨イコール寿命という素っ頓狂なアイデアが笑える映画。すなわちバスを乗るのにおカネを支払うのではなく、自分の持っている寿命を支払うのだ。例えばバスを乗るのに寿命の内、30分ぐらい支払ったり、他にも例え話を挙げると、フランス料理を食うのにお金ではなくて、持っている寿命の3日分を支払ったりする。この場合、寿命を1日分しか持っていない人は当然フランス料理は食えない。
 大富豪は時間を有り余るほど持っていて、貧乏人は時間無し。まさに時は金なりの諺を地で行くストーリーが楽しめるSFアクション映画だ。

 さて、世の中お金による通貨の概念はなく、自らの寿命を売り飛ばしたり、激しく奪い合ったりする世界観とは如何なるものか
 遺伝子操作によって人間の成長が25歳で止まり、そこから等しく一日の余命を与えられる。そして、その瞬間から人々の腕には、何年何日何時間何秒と寿命時間が刻まれる。
 常に朝起きた時に余命24時間しか持っていない若者であるウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)はスラムゾーンで住んでいる。
 毎日、彼は重労働で寿命時間を稼ぎ、そして他人と触れ合って寿命時間をもらったり、あげたりしているが、スラムゾーンの中には他人に襲い掛かって寿命時間を力づくで奪い取っている者も居た。
 そんなある日において、ウィル(ティンバーレイク)はスラムゾーンにおいて、大富豪層に属するはずの人間と出会う。心優しいウィル(ティンバーレイク)は思いやりから、大富豪の男にスラムゾーンから逃げるようにアドバイスをするのだが、大富豪の男は実は自殺願望者。ウィル(ティンバーレイク)は一晩寝ている間に大富豪から100年以上の寿命時間を譲り受けて、大富豪の男は意味深なことを呟いて死んでしまう。

 どうしてこの世の中において、直ぐに死んでしまう貧困者(時間無し)と永遠の如く生き永らえることが出来る大富豪(時間あり過ぎ)の両極端な人間が存在するのか?
 その謎を解くためにウィル(ティンバーレイク)はスラムゾーンを抜け出て、防壁で囲まれている大富豪ばかりが生活している富裕ゾーンへ向かうのだが・・・

 腕に表示される寿命時間が0になった瞬間に即死する様子、昨日までは1時間分支払ったら乗れていたバスが値上がりして2時間分払わないといけないことになってバスに乗れずに寿命時間の少なさに驚いてパニックに陥ったり、ポーカーゲームにおいて『五十年、百年、千年・・・』という感じで自分の寿命時間を賭けるシーンなど、シュールな笑いで満ち溢れている。
 そして通貨がおカネではなく時間という世の中において、警察の存在は大して意味が無く、その代わり時間監査員なんて者が登場するなど、設定がとにかく面白い。

 基本的には恐ろしいほどの美男美女、いや貧乏人と富豪のお嬢様の2人の逃亡劇。別の言い方で書けば、とにかく時間が無くて忙しい男とヒマ過ぎるほど時間が有り余っている女のカップルによる逃亡劇。
 まるで違う境遇に生まれた2人が、逃亡中に次第に理解しあっていく展開はステレオタイプ過ぎるが、寿命時間が切迫している状況が加えられたことで大いに楽しめる斬新なアクション映画になった。
 そして、ただひたすら逃げるだけでなく、格差社会の歪を正すために次々と時間を貯め込んでいる大銀行を襲撃して、貧困者(寿命時間の少ない人)にばら撒き、そしてラストシーンでは更なる銀行の総元締めを襲撃しようとする。
悲しいことに俺の経済知識では、ラストシーンの意味するところが理解不能。こんなことで経済格差は解消されるのかと個人的には思ったが、この映画を観た人はどのような感想を持つのか。
 
 すっかりデフレ状況で苦しんでいる日本人だが、この映画を観るとやっぱりインフレよりもデフレのままで良いじゃんと勘違いしそうになってしまう人もいると思うが、インフレであろうがデフレであろうが貧乏人はやっぱり辛いと言うのが当たり前の結論。しかし、大企業にとっては?
 だいたい経済学者と言われる人でも、経済を良くする方法などわかっていない人が多いので、一般の我々のような凡人には理解できないし、とっつき難い。そんな経済のことを勉強したくなるTIME/タイムは、知性的な大人の鑑賞にも堪えられる娯楽映画です

TIME/タイム [DVD]
ジャスティン・ティンバーレイク,アマンダ・セイフライド,アレックス・ペティファー,キリアン・マーフィ,オリヴィア・ワイルド
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 監督は傑作を連発するアンドリュー・ニコル。特に遺伝子操作で人間の優劣が決まる世界を描いたSF映画ガタカがお勧め。
 他にニコラス・ケイジ主演の実在した武器商人を描いたロード・オブ・ウォーは冒頭から面白い。他にもアル・パチーノ主演のシモーヌも良いです。

 主役の格好良い男ウィルを演じるのがジャスティン・ティンバーグ。本業は歌手みたいですが、最近はソーシャル・ネットワークに出演する等、映画界においても活躍が期待されます。

 大富豪の娘シルヴィアを演じるのがアマンダ・サイフリッド。この人は抜群に美人で最近は乗りに乗っている。マンマ・ミーア!親愛なる君へ,そして現在では日本でも大ヒット間違い無しのレ・ミゼラブルに出演しているなど、更なる活躍が期待できます。

 他には逃亡する2人を追跡する役でキリアン・マーフィーが出演しています。ダニー・ボイル監督の28日後...、クリストファー・ノーラン監督のバットマン ビギンズインセプションのようなヒット作品にも出演しています。個人的にはケン・ローチ監督の麦の穂をゆらす風がお勧めです。 

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映画 ダークナイト ライジング(2012) 立ち上がれ、バットマン!

2012年12月14日 | 映画(た行)
 前作ダークナイトからの8年後を描いた続編。その前作のダークナイトでは、正義の味方であるはずのバットマンがゴッサムシティの平和を保つために、自らが罪を被って警察から逃亡するという観客の度肝を抜くような結末を見せた。
 正義のヒーローの存在意義を充分に考えさせてくれる名作であり、アメコミでありながら子供向けのお気軽さはまるで無く、もはや大人向けの文学と言っても決して大げさな表現ではないだろう。
 そんな前作のダークナイトでは法を超越してしまった正義について大いに考えさせられる映画であったが、今回のダークナイト ライジングでは、更なる衝撃的な結末を用意して観ている我々に世界中の諸問題について考えさせられる、と言うのは大げさか

 強敵ジョーカーとの対決から8年後、大金持ちのブルース・ウェインことバットマン(クリスチャン・ベイル)は心身ともにボロボロ。豪邸から一歩も外へ出ることも無く、ヒゲ伸びっ放し、さらに歩くのに杖が必要。ご老人の隠居同然の生活を送っていた。
 バットマン(ウェイン)は地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)の悪行を被って犯罪人として汚名を受け入れ、しかも本来はその資格の無いハービー・デント(エッカート)を英雄に奉ることでゴッサム・シティは平和を保たれていた。
 
 しかし、そんな虚構の上に成り立った平和をあざ笑うかのごとく凶悪テロリストのベイン(トム・ハーディー)がゴッサム・シティに現れ、そして女泥棒カイル・セリーナ(アン・ハサウェイ)の仕業によってブルース・ウェイン(ベイル)は貧乏人に叩き落とされる。
 ゴッサム・シティに平和を取り戻すべくブルース・ウェイン(ベイル)はバットマンとしてベイン(ハーディ)と戦うために、立ち上がるのだが・・・。
 ところがベイン(ハーディー)が強過ぎるのか、または豪邸に引き篭もっていた8年間のブランクがバットマン(ベイル)をショボイ男に変えてしまったのか、まるでバットマン(ベイル)はベイン(ハーディー)に歯が立たない。フルボッコ状態にされたバットマン(ベイル)は奈落の底に落とされる。

 すっかり独裁者気分のベイン(ハーディー)は、やりたい放題でゴッサムシティを恐怖のどん底に陥れる。果たしてバットマン(ベイル)は再び蘇ることが出来るのか、それともゴッサムシティはこのまま破滅してしまうのか。立ち上がれ、バットマン

 冒頭の方で『世界の諸問題について考えさせられる』なんて事を書いてしまったが、実は大げさでも何でもない。資本主義がもたらした経済格差、独裁者が名乗りを上げる共産主義革命、デタラメを信じ込まされた住民の平和ボケ、そして核兵器・・・。
 おっと、今書いていて気付いたが実は日本が抱える問題点ばかり描かれてるじゃん。これは果たして偶然か

 
 メメントプレステージといった作品で、観ている側を驚かせる映画は得意のクリストファー・ノーラン監督らしくドンデン返し的な要素が有り、前述したような小難しいことに全く気付かなくてもド派手な演出が多くて楽しめる。アメコミは知的な娯楽作品が多く大人でも観賞に耐えられる作品が多いのが良い。
 実は今回はDVDで観たのだが、映画館でも観ているので今回が2回目の観賞。映画館で観ていた時は、音がでか過ぎて鼓膜が破れるかと思ったが、DVDなら音のでかさは気にならないし、この映画は奥が深いから2回以上観るべきだというのが僕の感想。

 それにしてもダークナイトではヒーローの存在意義について考えさせられたが、今回はそんな疑問に対して明確な答えが用意されている。それはバットマン自身から語られるし、またこの映画の結末からも答えが明示されている。
 既に映画館で観た人は近い内に再観賞することをお勧めするし、まだ観ていない人にもお勧めだ。当然のことながらバットマン ビギンズ、そしてダークナイトは必見です

ダークナイト ライジング Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)
クリスチャン・ベール,マイケル・ケイン,ゲイリー・オールドマン,アン・ハサウェイ,トム・ハーディー
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督は前述したクリストファー・ノーラン。まだまだ若いが傑作を連発する監督。デビュー作のフォロウィング、そしてメメントは必見のお勧め。比較的最近の作品ではインセプションはアイデアは面白いし、大いに楽しめる。特にインセプションに出演していたキャストの連中は、本作品においてたくさん出演しています。

 今回も相当豪華なキャスト達で占められています。本作品から登場している注目したい俳優だけ述べるだけでも相当字数を裂いてしまいます。

 女泥棒でバットマンの敵か味方か?セリーナ・カイル役でアン・ハサウェイ。最近はノリノリの女優。大抵の人はプラダの悪魔を代表作品に挙げる人が多いと思いますが、個人的にはゲット スマートの彼女が僕のお気に入り。他にレイチェルの結婚がお勧めです。

 凶悪犯のべインを演じるのがトム・ハーディー。声が印象的な俳優ですが、インセプションでの他人に成りすます能力を持っている役が非常に印象的です。今回のべイン役は大抜擢と言えるでしょう。

 当初は飾り物的なイメージがありましたが実は非常に重要な役で出演していたのがフランス人女優のマリオン・コティヤール。個人的にはかなり気に入っている女優。大ヒットカーアクションシリーズのTAXiシリーズのヒロイン役が有名。他にはアカデミー主演女優賞にも輝いたエディット・ピアフ~愛の賛歌~は個人的には大して面白いと思いませんが、それまでのイメージを変えるような彼女を見ることができます。
 他ではジョニー・デップ主演のパブリック・エネミーズインセプションではレオナルド・ディカプリオの奥さん役で出演しているように、この人も現在ノリノリの女優です。

 正義感に燃える刑事ブレイクを演じたのがジョゼフ・ゴードン=レヴィットインセプションにおけるレオナルド・ディカプリオの相棒役が格好良かったです。今後は要注目の若手俳優です。

 そして昔からの映画ファンで忘れてならないのが、ちょっと根性が足りない警察の副本部長を演じたマシュー・モディン。最近はほとんど見かけませんが20年前ぐらいは若手演技派として活躍していました。彼のお勧め作品はスタンリー・キューブリック監督のフルメタル・ジャケット、アラン・パーカー監督のバーディー、ロバート・アルトマン監督のショート・カッツなど名監督の作品に多く出演しています。

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映画 巴里の空の下セーヌは流れる(1951) パリの1日の人間模様を描く

2012年12月12日 | 映画(は行)
 最近は絆(きづな)という言葉をよく耳にし、また漢字をよく見かける。あの3.11の大震災以来それは顕著なような気がする。人間同士のつながりの関係が希薄になってきたと言われて久しいが、孤独死など色々な問題点が浮き彫りになってきた。そういう意味では、知り合いになった人とのご縁は非常に大事なんだと痛感する日々を送っている。
 そして今回紹介するフランス映画巴里の空の下セーヌは流れるは、パリを舞台に、知らない人間同士が出会うことによる悲喜交々が描かれている。
 知らない人同士による助け合い精神に涙する映画だ、と書きたかったのだが、時に映画は現実よりも残酷な問いかけを観ている我々に突きつける。

 この映画に登場する人物は様々。文通相手に出会うためにパリに出てきた女の子、お金が無いのに猫を飼いまくっているお年寄り、医者になるための試験に落ちまくっているインターンの医学生、スト中の工場で働くお父さん、テストで0点をとってしまって家に堂々と帰れない女の子、そして彫刻家兼人殺し等々がパリの1日を舞台にそれぞれの人間模様が重なりあう展開が描かれている。
 それぞれに違った悩みを抱えた登場人物たちだが、不思議なご縁によってお互いが癒されていく。この癒されていく過程が物凄く良い。
 しかし、この映画はみんながみんなハッピーエンドで終わらない。良い出会いもあれば、偶発的に最悪な出遭いもある。個人的には、この世の中お互いに助け合うためにはご縁が大切だと言うことは大いに賛成するのだが、どれだけ運が悪くても人殺しとは、くれぐれもが無いことを祈るはかり。

 登場人物は多いが決して見分けが付かないことは無いし、なんだか聞き覚えのある音楽が良い気分にさせてくれる。そしてモノクロですがパリの街並みが良い感じ。凄い事が起こっている割に淡々とストーリーが進む印象がありますが、この世の中において独りぼっちで生きていくことの惨めさ感じることができる巴里の空の下セーヌは流れるは、こんな時代だからこそお勧めしたい映画です

巴里の空の下セーヌは流れる [DVD]
ジュリアン・デュヴィヴィエ,ルネ・ルフェーブル
アイ・ヴィ・シー


 監督はフランス、いや世界映画史に名を遺すジュリアン・デュヴィヴィエ。この人のお勧めはジャン・ギャバン主演の名作望郷。よくあるのが名作と呼ばれる映画が必ずしも面白いとは限らないこと。しかし、この映画は名作の風格を残しながらも決して飽きることが無いし、人生の奥深さを感じさせます。
 そして舞踏会の手帖も人生の奥深さを感じさせる名作で、女性の人にはお勧めです

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映画 普通の人々(1980) 見たところ普通の人は居ませんが

2012年12月06日 | 映画(は行)
 最近のハリウッド映画は家族の絆を強調した映画が多い。失業者が続出でお金ない、車ない、家もない。そんなアメリカの貧乏人を惹きつける映画を描くとなると、手っ取り早いところで家族を礼賛することであり、そんな内容の映画ばかりが流行ってしまうのか。
 しかし、現状のアメリカは離婚率が高い国。そんな国が製作する映画としては、家族礼賛では無く、家庭崩壊を描いた内容の方がリアリティがある。

 
 突然に予測しない不幸が起きて、もろくも家庭が崩壊していく様子が描かれた映画が今回紹介する普通の人々
 しかし、派手なシーンがあるわけでも無く、淡々と進んでいく印象。よってアクションは無いし、笑いも無い、熱い感動があるわけでもない。ハリウッド映画に有り勝ちな大げさな表現は全く無い。本当はかなり大変なことが起こっているのだが、そんなところには時間を掛けずに、人間描写を丁寧に描いた映画だ

 
 アメリカ人の印象として、喜怒哀楽の気持ちをストレートに表現するイメージがあるのだが、この映画の登場人物たちは心の中に悩み、葛藤、怒りを押し殺している。家族同士においても、自分の気持ちを言葉で伝えることをしない。
 特にこの映画の主人公である青年は、ある大きな事件に対して、とことん自らを責めまくる。ところが自らを責めれば責めるほど、自分への癒しにならずに、満足感も得られず、さらに苦しみもがくことになってしまう。しかも、自分の悩みを全く他人に打ち明けることができない。
 日本人のような奥ゆかしい民族から見ても、そんな主人公にイライラするぐらいだ。果たして、この主人公は永遠に自らを責め続けるのか?この主人公に本当の癒し、安らぎが来るのか?
 さて、そんなイライラさせる青年が主人公のスト-リーとはどのような内容か

 ボート遊びをしていた兄弟のバックとコンラッド(ティモシー・ハットン)だったが、ボートの転覆事故により、兄のバックが死んでしまう。兄を死なせてしまったのは自分だと、罪の意識に悩まされていたコンラッド(ハットン)は手首を切って自殺を図るが、未遂でおわる。

 そんな事件があって以来、兄のバックをひたすら愛していた母のベス(メアリー・タイラー・ムーア)はコンラッド(ハットン)に対して愛情を示すことはなく、ひたすら冷たく当たる。コンラッド(ハットン)も心を閉ざしてしまって誰とも話そうとしない。そんな上手くいかない母子関係、何も話したがらないコンラッド(ハットン)に父親のカルビン(ドナルド・サザーランド)は、大そう悩んでいた。

 ひたすら罪悪感に支配され、悪夢にうなされていたコンラッド(ハットン)だったが、カルビン(サザーランド)の忠告もあり精神科医のバーガー(ジャド・ハーシュ)に診てもらう事を勧められるが、コンラッド(ハットン)はバーガー(ハーシュ)に対して打ち解けることが出来ないでいた。
 
 相変わらずベス(ムーア)はコンラッド(ハットン)に対して冷たいが、コンラッド(ハットン)は同じ合唱隊に所属するジェニン(エリザベス・マクガヴァン)と親しくなる。やがてコンラッド(ハットン)は様々な困難、ショックを乗り越えて、自ら閉ざしていた心を開けつつあったのだが・・・

 有能な弁護士だが頼りなさそうな父親のカルビン(サザーランド)、冷淡で家事よりもゴルフばかり行く母親のベス(ムーア)、そして神経質過ぎるコンラッド(ハットン)の三人が織り成すホームドラマ。それぞれに欠点があるが、誰がどう見ても母親のベス(ムーア)が一番悪い存在だろうと思うのだが、観る人によっては母親の立場に同情できるのか。

 救いようの無い3人家族に対して、暖かい気持ちで接する周囲の人たちの存在が唯一の救い。家族同士が顔を突き合わせると感情的になってしまうが、家族以外の他人と一緒に居るほうが自分らしく振る舞える様子が描かれているが、妙に納得できるし、人間関係の難しさを浮き彫りにする。
 そして絶望と再生を同時に見せる結末は、色々なことを考えさせられ、余韻がいつまでも残ります。

 ちなみにこの映画は町並みを映し出す風景が綺麗、そして音楽(よく耳にする音楽ですが、タイトルがわかりません)が良い。映画における風景、音楽の役割は改めて重要だと言うことに気づきます。
 絶望的な中に、ほんの少しの希望を感じることができる映画を観たい人、最近のハリウッド映画のハッピーエンドの結末が家族の絆ばかりに飽きてきた人には普通の人々はお勧めです

普通の人々 [DVD]
ドナルド・サザーランド
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


 監督は明日に向かって撃て!スティング等の出演で知られる、大スターロバート・レッドフォード。今ではメル・ギブソン、クリント・イーストウッド等大スターとしてだけでなく、映画監督としても優秀な作品を撮る人が出てきましたが、もしかしたらその先駆けとなったのがロバート・レッドフォードだと思います。
 個人的にはノスタルジックな作品を撮るイメージがあります。リバー・ランズ・スルー・イットモンタナの風に抱かれて等がお勧め。さらに社会派映画にも才能を見せる監督でクイズ・ショウ大いなる陰謀も良いです。
 ちなみに個人的に彼の作品で1番好きなのはミラグロ/奇跡の地。環境破壊をテーマにしながら、どこかお伽噺のような雰囲気のある映画です。

 ひたすら自分を責めまくるコンラッド役はティモシー・ハットンタップスメイド・イン・ヘブン等、若い時は演技派として売れていました。最近はロマン・ポランスキー監督のゴースト・ライターで健在なところを見せています。

 悩める父親のカルビンを演じたのが名優ドナルド・サザーランド。主役からチョイ役まで出演しまくっているイメージがあります。
 ロバート・アルトマン監督のM★A★S★H マッシュ、クリント・イーストウッド監督のスペース・カウボーイがお勧めです。

 ちょっと懐かしいところではティモシー・ハットンの恋人役でエリザベス・マクカヴァンが出演しています。彼女の出演作品ではロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ共演のワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカがお勧めです。今のところ彼女の代表作だと思います。

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映画 桜田門外ノ変(2010) 日本を愛する人にお勧めです

2012年12月04日 | 映画(さ行)
 尖閣諸島、竹島、北方領土、そしてアメリカが自国経済浮上の切っ掛けのために吹っかけてきた日本に対するTPP参加への強要。現在の日本は外交問題に対する難題が山積み状態。しかも外交問題は内政にも大きく関わっているように我々国民の生活にも大きく響いてくる。
 そんな時こそ政治家は己を犠牲にしてでも日本を守るために私利私欲を捨てなければならないはずなのだが、政治家の先生の中には自分が当選するための戦略で頭の中が、いっぱいいっぱいの人も居るようだ。

 そんな時に果たして我々国民はどうすれば良いのか?最低限の事として、とりあえず選挙に行って投票はするべき。「どうせ誰に投票しても、わたしの生活が良くならないから」と言って選挙に行かないのは最悪。
 そんな事ではさらなる日本の政治の劣化を招き、強いては民主主義国家の根源に関わってくる。選挙の無いお隣の国の現状を考えたら理解できるだろう。
 だいたいそんなわかった風な事を俺が能書きを垂れるまでもなく、この国難に際してまさか選挙の投票に行かない無責任な日本人は居ないはずだ。

 現在における外国からの領土、経済に対して圧力を掛けてくる状況は江戸時代末期における黒船来航と極めて似ている。果たして、その時我々の先人達はどのような行動をとったのか?過去の出来事を振り返ることは決して無駄な事ではなく、その事から現代を生きる我々も見習うべき点が多いはずだ。
 そんな有意義な時間を過ごすことができる映画が今回紹介する桜田門外ノ変この映画を観るときっと誰もが、この時代の人々の日本を愛する気持ちに心が震えるはずだ。

 さて桜田門外の変とは水戸藩、薩摩藩の浪士たちが時の最大権力者である大老井伊直弼を暗殺する事件のこと。そのような事件がなぜ起きたのか?

 隣国の清国(中国)が欧米の列強からアヘン戦争を仕掛けられ侵略を受けていた。鎖国政策を行っていた徳川幕府も欧米列強のアジア進出に脅威を感じ始めていた。
 そして1853年、ついに浦賀沖にペリー提督率いる黒船が来航。その事によって徳川幕府の世継ぎ問題も絡んで国論は真っ二つに分かれる。すなわち、強い外国人と戦うのでは勝ち目が無いと穏やかに対応しようとする井伊直弼(伊武雅刀)らを中心とする開国路線、どれだけ強かろうが強圧的な態度の外国人には武力対決でシロクロつけようとする水戸藩主・徳川斉昭(北大路欣也)を中心とする攘夷路線。

 権力争いに勝ち、大老となった井伊直弼(伊武雅刀)だったが外国から次々と不平等条約を結ばされてしまう。そんな弱腰な外交路線に不満を募らせる攘夷派達を大老・井伊直弼(伊武雅刀)は次々捕まえ、処刑していく(安政の大獄)。

 そんな暴行的な政策を推し進める大老・井伊直弼(伊武雅刀)を抹殺するべく、水戸藩を脱藩した浪士達は関鉄之介(大沢たかお)を中心として暗殺部隊を立ち上げ、桜田門外にて井伊直弼(伊武雅刀)を暗殺することに成功するのだが・・・

 実は桜田門外での壮絶な斬り合いは前半のハイライトに過ぎない。確かに真っ白な雪の中で、真っ赤な血が飛び散る様子は迫力があり、そしてビジュアル的に美しさもあり、この映画の最大の見せ場であるのは確かだ。しかし、この映画は時の権力者を殺害して終わり、と言うような単純すぎる内容では無いのだ。

 桜田門外の変に至るまでの登場人物達の心理、そしてその後の生き残った暗殺実行部隊の逃亡劇。桜田門外の変の前後を丁寧に描くことによって、開国派も攘夷派も日本のことを真剣に憂い、己の信念に従って行動したと言うことが観ていてよくわかる。
 
 それにしてもこの映画を観た後に思うのは、今の日本人には愛国心がまるで欠けていると言うこと。今の政治家は日本の将来よりも自らの保身に奔る者が多く、しかもひたすら国益を損なうことに邁進する売国奴が権力の中枢に居座るなど非常事態に陥っている。
 しかも、日本の国益のためではなく、『ちょっと総理大臣になってみたいから』と言う理由だけで本当に総理大臣になってしまうことが現実に起きてしまう。
 そして政治家だけでなく選挙にも行かずに自分の国の行く末を、ただ傍観している日本人が多く居ること。
 本当に命を賭けて日本を守ろうとした先人達は今の日本の状況をどのように見ているのだろうか

 崇高な武士道精神、美しき日本人の心、そして昔の日本人には国のためにひたすら熱く、そして純粋な心を持った人達が多く居た事に大いに感動することができる桜田門外ノ変は日本を愛する全ての人にお勧めです

桜田門外ノ変【DVD】
大沢たかお,長谷川京子,柄本明,生瀬勝久,渡辺裕之
東映


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競馬 ジャパンCダート予想 まだまだ若者には負けぬ 

2012年12月02日 | 競馬予想
 

ジャパンCダート予想


 昨日のステイヤーズSを見ていたら勝ったのはトウカイトリック。10歳馬の勝利に心底驚いた。いくら他の馬がダラシナイとは言えこの馬のことは賞賛されるべきだろう。ちなみにこの馬の同期には三冠馬ディープインパクトがいる。ちなみに2着に負かしたファタモルガーナが、ディープインパクトの子供。同期性には全く歯が立たなかったが、時を経てその息子に雪辱を果たすストーリー。日本の社会は高齢化社会が問題になっているが、馬の世界では高齢馬が勝つことは大歓迎。馬の場合は世代のサイクルの入れ替わりが早いが、トウカイトリックのように高齢になっても頑張る馬が出てくるというのは、これまた楽しい。
 さて今回のジャパンCダートだが、まさに3歳馬VS高齢馬の激突。なかなかダートの世界では高齢馬が活躍しているが、その牙城を3歳馬が突き破ることができるのか?個人的には昨日のステイヤーズSを見習って、高齢馬・・・と言うのはよく考えたら非常に失礼。ここはベテランの馬を中心に馬券を組み立てる。

◎ 12 ワンダーアキュート
○  4 エスポワールシチー
▲  9 ホッコータルマエ
▲ 10 ローマンレジェンド
△  1 ハタノヴァンクール
△  8 イジゲン
△ 15 ソリタリーキング
×  6 ナムラタイタン
× 14 ニホンピロアワーズ

 僕の本命は12番のワンダーアキュート。10歳のトウカイトリックには年齢的には及ばないが、6歳のワンダーアキュートは充分にベテランの部類に属する。去年のレースでは2着だったが、最悪の位置取りから猛烈な追い込みを見せての2着。マトモにスタートを切っていたら勝てただろう。その後、調子を崩してしまったが前走のJBCクラシックでは地方GⅠとは言え、2着以降を1秒も差を付けるぶっちぎりでの勝利。もう完全復活と言って間違いないだろう。
 和田ジョッキーは中央ではGⅠレースを7勝しているが、全てが名馬テイエムオペラオーと組んでの勝利。もうそろそろ他の馬でもGⅠレースを勝ちたい気持ちが強いだろう。今回はまさに絶好のチャンス。去年は非常に勿体ないレースだったが、今年は去年の悔しさを晴らす絶好のチャンスだ

 対抗には4番のエスポワールシチー。主戦の佐藤哲三ジョッキーが7ヶ所も骨折するという重傷。乗り替りに指名されたのが武豊。果たしてこの乗り替りはプラスかマイナスが?武ジョッキーはフェブラリーSでもピンチヒッターで乗ったが、相当乗り方についた悔しい思いをした。二度続けてへまをするジョッキーではない。
 馬の方も全盛時の力を取り戻しつつある。前走の南部杯は、相手が弱かったと言ってしまえばそれまでだが、ぶっちぎり勝ち。それよりも2走前のエルムSで、今回1番人気が予想されるローマンレジェンドと大接戦したレースが非常に価値がある。しかもこの時のレースは59キロを背負わされて、ローマンレジェンドとは3キロ差のハンデ。これだけのハンデ差があって、あれだけの接線を演じて、今回はローマンレジェンドとは同斤量。これなら今回はローマンレジェンドよりも上位の評価にしなければならない。

 単穴には2頭挙げる
 3歳馬の筆頭候補として9番のホッコータルマエを挙げる。好位で運べるレースセンスの良さは安定感抜群だ。前走のみやこSは3着だったとは言え、接戦だったし、しかも休養明け。前走よりも更に力を発揮できるだろう。人気はあまりしていないが、同世代のイジゲンに対して2戦2勝。個人的にはどうしてイジゲンの方が人気があって、こっちの人気がこんなに無い理由が全くわからない。3歳馬の中でならこの馬が勝っても驚けない。

 次に10番のローマンレジェンド現在6連勝中。今回はGⅠレースといえ、ここもアッサリクリアしてしまうようだと完全にダートの王者として君臨する。エスポワールシチーの所でも書いたが今回は同斤量になるので少し厳しいと思う。しかし6連勝は並みの馬では出来ない。GⅠ級の能力があるぐらいで無ければ達成できない数字だ。ギリギリ勝つというレースが続いているが、それはこの馬の勝負根性がしっかりしていることの表れ。勢いにのってGⅠ制覇ありえる。

 穴馬で警戒したいのが1番のハタノヴァンクール。今年の3歳馬のダート馬では最強と思っていたのだが、前走のみやこSは大敗。休養明けで初の古馬との対戦と言うことを考えれば、完全に切ってしまうのは早計すぎる。前走の内容から勝てる気はしないが、2着なら突っ込んで来ても驚けない。

買い目 三連単フォーメーション
1着 12
2着  1、4、8、9、10、15
3着  1、4、6、8、9、10、14、15

買い目 三連単フォーメーション
1着 4、9、10
2着 12
3着 1、4、6、8、9、10、14、15

買い目 三連単フォーメーション
1着 4
2着 1、8、9、10、15
3着 12                                   合計 68点

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