褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ボブ★ロバーツ/陰謀が生んだ英雄 (1992) トランプ大統領誕生で観たくなる

2017年01月26日 | 映画(は行)
 史上最低の大統領選挙を経て、いよいよトランプ新大統領が動きだした。就任していきなり早々に全米各地で反対デモが起こるなど厳しい船出になったが、果たして彼はアメリカ国民に恩恵をもたらすのか、そして日米関係を含む世界秩序にどのような変化をもたらすのか
 トランプ新大統領及び昨年の大統領選挙を見ていて、直ぐに頭に浮かぶ映画が今回紹介するボブ★ロバーツ/陰謀が生んだ英雄。しかもノーベル文学賞をミュージシャンのボブ・ディランが受賞したとなれば、尚更この映画を今の時期に紹介したくなってしまう。

 映画自体は大統領選挙ではなく、上院議員選挙を描いているようにスケールダウンするが、本作の主人公はけっこうトランプ大統領と似ているところが多い。例えばウヨクチックな思想を持ち、億万長者であり、ポピュリズム運動で巧みに一般ピープルを洗脳する。しかし、この映画の価値を見い出すのは主人公のキャラクター振りではなく、選挙戦の行方と結末。観ている我々に民主主義の正しいあり方を考えさせるストーリーとは如何なるものか。

 1990年、湾岸戦争前において。弱冠35歳にしてスター歌手にまで上り詰めたボブ・ロバーツ(ティム・ロビンス)がペンシルヴァニア州の上院議員選挙に立候補する。ボブ・ロバーツは選挙参謀にチェット・マクレガー(レイ・ワイズや、私的政治団体を主宰するルーカス・ハート三世(アラン・リックマン)を仲間に引き入れ選挙戦を展開する。
 当初はセンセーショナルな話題も手伝って現職候補を相手に善戦。そしてマスコミが現職のスキャンダルを報道したこともあり、中間調査で逆転。しかし、黒人ジャーナリストがボブ・ロバーツ及び、その周辺の過去を暴きたて、再逆転を許してしまうのだが・・・

 実はボブ・ロバーツのキャラクター設定が凄い。前述した以外にフェンシングの名手であり、麻薬撲滅を訴える運動家であり、投資家であり、CIAとも関係していたり、そしてギターを弾く歌手。お前は一体何者なんだよ!と思えてしまうが、案外観ている最中はティム・ロビンスの外見が周りにもいそうな雰囲気を漂わせているから突出した人間には見えないのが良い。
 しかし、こういうブラックな政治映画を観ると、我々有権者は普段から政治に興味を持つことが大切だと感じる。メディアだけの情報をうのみにして投票すると、とんでもない人間をリーダーに選んでしまうことの怖さを本作から少しは学べる。
 ドキュメンタリータッチの構成に少々取っ付きにくい面もあるが、政治映画として学ぶべき点が多くある映画。20年以上前の映画ではあるが、まさに今こそうってつけの映画として今回はボブ★ロバーツ/陰謀が生んだ英雄を紹介しておこう

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 監督は主演も兼ねるティム・ロビンス。監督としては死刑制度の是非を問うデッドマン・ウォーキングがお勧め。





 
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映画 失われた週末(1945) アルコール中毒の苦しみを描く

2017年01月06日 | 映画(あ行)
 もうお正月気分も終わる頃だが、今年も酒を飲んだくれて未だに体の中に酒が残っているんじゃないか?と思える人が俺の周りにもチラホラ居る。酒を飲んでいて注意したいのがアルコール中毒。アル中になった恐怖を名匠ビリー・ワイルダー監督がスリリングに描いたのが今回紹介する失われた週末。ちなみに本作はアカデミー作品賞、アカデミー監督賞などに輝いているように名作だ。
 本作は冒頭から凄いシーンで始まるので、最初から気を抜いて観てはいけない。ニューヨークの情景を流して、アパートの一室の窓をカメラがとらえる。そこに写しだされるのが、窓からヒモでぶら下げられた酒ビン。このシーンだけで主人公がひどいアル中男だとわかる。
 しかし、この男のアル中度がマジでやばい。周囲が彼に酒を飲ませないようにすればするほど、笑えるぐらい姑息な手段を使って酒を飲みたがる。しかし、この様子がハッキリ言って人間のクズレベル。酒を飲みたいがために金は盗むわ、酒屋の店員を脅すわ、バーで酒をタダで飲もうとしたり、自分の部屋のあらゆる部分に酒を隠していたりしている。そして何といっても一番ダメなのが、酒の飲みすぎで女性とのデートをすっぽかしてしまうこと。


 それではアル中に陥ってしまったダメ男のストーリーを簡単に紹介を。
 売れない作家のドン・バーナム(レイ・ミランド)はまだ年齢は30代前半なのだが極度のアルコール中毒。そんな彼を兄のヴィック(フィリップ・テリー)やバーナムの恋人のヘレン(ジェーン・ワイマン)が、アレやコレやと彼をアル中から立ち直らそうとするのだが、どうしようもない。
 2人はアル中のバーナムが、少しでも気が紛れるようにと週末に旅行に連れ出して、酒を忘れさそうとするのだが・・・

 なんだか今、改めて観直すとアル中の男を見ていると言うより、覚せい剤を常習している人間を描いているように見えるのは、今の日本の時世のせいなのか。しかし、観ていて不思議に思ったのがアル中の男に素敵な彼女が居ること。出会いはさておき、自らを犠牲にしながらもアル中男にトコトン想いを募らせている姿を見ていると、とっくに女性の方が先に神経を参らせても仕方なく見える。とことんダメな男に尽くす女性は、美しくも見えるが、どこか悲しくも見えてしまうのは何故だろう?
 アル中男のダメッぷりが凄いが幻覚症状に陥った時の映像シーンはホラー映画なみに怖いし、電子音楽が恐怖心を煽るのに非常に効果的に使われている。

 アル中の人がこの映画を観たら、他人に迷惑をかけているだけでなく、自分のだらしなさにも気付く。とにかくアル中だと自覚している人だけでなく、覚せい剤から抜け出せない人も今回紹介した映画失われた週末を観れば、終わった後に何となく勇気づけられるのではないだろうか?
 正月で酒を飲みすぎたと言う人も多いだろうから、今回は失われた週末をお勧め映画として挙げておこう

失われた週末 [DVD] FRT-139
フランク・フェイレン/ドリス・ダウリング/レイ・ミランド/フィリップ・テリー/ジェーン・ワイマン
ファーストトレーディング


 監督は僕の最も好きな映画監督であるビリー・ワイルダー。彼のお勧めとして今回はアパートの鍵貸しますを挙げておこう。



 
 
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映画 シザーハンズ(1990) 雪が降っている時に観たくなる

2017年01月03日 | 映画(さ行)
 俺は雪が降るのは好きではないのだが、ポカポカと温かい部屋から外の雪景色を見るのは大好き。雪が降っていて、ロマンチックな気分になりたい時に観たくなる映画が今回紹介するシザーハンズだ。主人公はタイトルから想像できるように、やたらデカいハサミが手の代わりになっているように、まだ出来損ないのエドワードと名付けられた人造人間
 ハサミで出来た手だけを見ていると、ホラー映画のキャラクター並みの怖さを感じさせるが、実はこいつがピュアでとても良い奴だ。根は良い奴なのに、手がハサミなのでうっかり自分の顔を傷つけたり、自分を愛してくれる人までも傷つけてしまったりで、そこがまた泣かせる。

 
 さて、手がでかいハサミである人造人間とちょっとヤンキーな少女の、儚くも美しいラブストーリーの紹介を。
 化粧品を売っているペグ(ダイアン・ウィースト)だが、自分の住んでいる住宅街では全く売れず、たまたま目にした住宅街に接している幽霊屋敷みたいな豪邸に化粧品を売りに行こうとする。そこでペグが見たのがエドワーズ(ジョニー・デップ)と名付けられた手がでかいハサミをした人造人間。独りぼっちでこんな寂れた豪邸に住んでいるのは可哀相だと思ったペグはエドワードを自分の家に連れて帰る。
そんな時にペグの娘のキム(ウィノナ・ライダー)が家に帰ってきて、エドワードを見て化け物だと思ってビックリ。しかし、やがてエドワードはキムに恋するようになり、キムも次第にエドワードに好意を持ち始めるのだが・・・


 手がハサミなんて全く役に立たないどころか、面倒なだけだろうと思って見ているとコレが意外に使い勝手が良い。住宅中の庭の植木を動物風に手入れしたり、人間や犬の毛もチョッキン、チョッキンと起用に素早くやるもんだから、人造人間でありながらも住宅中では超人気者、しかも心は人間よりも純粋なだけに性格の良さは申し分がない。この辺りの描写は異形物に対する愛情が溢れているティム・バートン監督らしい演出が際立っている。
 しかし、ファンタジー色が強い本作だがティム・バートン監督の凄いのは人間に対する皮肉も描いているところ。こんな素敵な人造人間エドワード君を人間が自分の欲のために利用する姿は非常に辛辣であり、多くの人もこの映画を観た後に、自らの胸に手を当てて問いかければ良いだろう。私もこの映画に登場する人間達のようになっていないだろうか?と。そして、どうしてエドワードがこんな中途半端で手抜きの人造人間になった真相を知ると、これまた泣ける。

 そしてこの映画のビジュアルセンスが良い。住宅の全てがパステルカラーの家なんて場所が本当にあるのかどうか知らないが、見た目からして楽しい映像が満載だ。氷の彫刻をエドワードが創造している時にキム(ウィノナ・ライダー)が踊っているシーンなんかは美しさを感じさせ、これが冒頭の話に繋がってきて素敵な話を盛り上げる要素になっている。
 手がハサミのために好きな人を抱きしめることができない悲しさを人造人間から教えられるという意外な展開は楽しいし、そしてチョッとアホさを発揮している人間に対するシニカルな演出はブラックユーモアを感じさせるし、恋愛の結末もこれで良かったんだと妙に納得できる。喜怒哀楽の全てを程よく感じさせてくれて、雪が降っている日にカップルで観ると更に楽しめる映画として今回はシザーハンズをお勧めとして推しておこう

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ジョニー・デップ,ウィノナ・ライダー,ダイアン・ウィースト
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 もちろんブルーレイもあります
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ジョニー・デップ,ウィノナ・ライダー,ダイアン・ウィースト
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督は前述したとおりティム・バートン。ちょっとグロイ映像もあるけれど、アニメ色豊かな映像及び意外性のあるストーリー展開は多くのファンを持っている。お勧めは、最近再ブレイクしているマイケル・キーンが怪演を見せるビートル・ジュース、ジャック・ニコルソンがやりたい放題のバットマン、個性的な登場人物が多く登場するビッグ・フィッシュ、チョコレートがやっぱり食いたくなるチャーリーとチョコレート工場等が良いです。

 

 
 
 

 

 
 






 

 
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映画 わが谷は緑なりき(1941) モノクロの映像の凄さを感じます

2017年01月01日 | 映画(わ行)

 映画史に名を残す巨匠ジョン・フォード監督。西部劇の神様と呼ばれるぐらいだから駅馬車荒野の決闘など西部劇の名作が多い。しかし、彼の詩情豊かな映像はヒューマンドラマにこそ生かされると思っているのは俺だけではあるまい。そんなヒューマニズムを謳いあげる彼の頂点に立っている映画が今回紹介するわが谷は緑なりきだ。 
 19世紀末のイギリス、ウェールズの炭鉱の町を舞台に、家族、善意、ノスタルジー、信仰、生と死など、名作なだけに多くのことを見ている我々に問いかける。

 さて、炭鉱町を舞台に描かれる人間模様のストーリーとはいかなるものか。
 かつては炭鉱の町として栄え、緑の谷だったロダンの谷。今や炭鉱の町として成り立たなくなり、すっかり緑も消えて砂塵が吹いていて、町の住民の心からも善意が消えてしまっていた。50年間この場所で暮らしていたヒュー・モーガン(少年時代:ロディ・マクドウォール)は故郷を離れることを決心した。彼が少年だった頃、まだ彼の家族が揃っており、ロダンの谷に緑が溢れ、人間の善意が成り立っていた頃を懐かしみ、回想する。
 モーガン家の男達は、まだ少年のヒュー(ロディ・マクドウォール)以外は炭鉱で働き、女性達は家庭を支える。ロダンの谷は緑に恵まれ、町には常に歌が流れ、人々の善意で溢れていた。しかし、ロダンの谷にも炭鉱業の不景気の波が押し寄せられ、同時に住民の心もどこか荒んでいくにしたがい、モーガン家もバラバラになっていき・・・

 ストーリーはそう単純なモノでもなく、色々なエピソードがモーガン家を中心に積み重なっていく。モーガン家のしきたり、ロダンの谷にやってきた牧師とモーガン家の長女の恋愛、炭鉱場で起きる事故、ヒュー少年に対するイジメなど、悪いことが起きれば良い事も起きるのだが、そのサジ加減のバランスが良くて、非常に落ち着いた気分で観ることができる。
 そしてこの映画がタイトルからは受けるイメージとは異なり、映像はモノクロ。しかし、このモノクロの映像から映し出されるロダンの谷は美しく、見ている我々の想像力をかき立てる映像は歴代映画の中でも群を抜く素晴らしさ。
 そして見る人によって本作について色々な感想がありそうだ。俺が本作を観て、最も感銘を受けたのが、『今の記憶が消せても、過去の記憶は消せない』というフレーズ。確かに過去の出来事においての家族や愛する人との別れの悲しみは一生消せない。しかし、それは決して悪いことばかりではない。逆に言えばいつまでも家族や愛する人は自分の心の中に生き続けるのだ。
 そんな前向きに生きるメッセージを得られるのが本作の良さであり、信仰は自らに重大な決断を促し、歌からは大きな力を得ることができて、愛する故郷をたとえ離れても自らの心の中に在り続けることを本作を観れば理解できる。誰にとっても大切なモノを失った悲しみは大きいだろう、しかし失くして大切なことに気付くことも多くあるはずだ。
 今年最初に観る映画として、今年はどんなに辛いことがあっても前向きに生きるんだという強い気持ちになれて、大いに感動できる映画として、わが谷は緑なりきをお勧めしておこう

わが谷は緑なりき [DVD] FRT-113
ロディ・マクドウォール/アンナ・リー/ウォルター・ピジョン/ドナルド・クリスプ/モーリン・オハラ
ファーストトレーディング


 監督は前述したとおり巨匠ジョン・フォード。映画史に名を残す偉大なる監督なだけに名作かつお勧めは多数。スタインベック原作のヘンリー・フォンダ主演の怒りの葡萄、西部劇の範疇にとどまらず映画史に残る大傑作駅馬車、アイルランドを舞台にチョッと恋愛にブキッチョな男をジョン・ウェインが演じる静かなる男が良いです。


 
 

 
 


   
 
 
 
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