褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 処刑人(1999) 題名は怖いですが笑えます

2014年07月28日 | 映画(さ行)
 留置所で『悪人を片っ端からぶっ殺せ!』という神の啓示を本当に聞いたのか、単なる幻聴なのかよくわからないが、その言葉にしたがって街に蔓延る悪人を次々と処刑していく兄弟の話。敬虔なカトリックでもある兄弟の行動を見ているとセブンのケヴィン・スペイシーとキャラが被っているように見える。しかし、両者共に人殺しでは共通しているのに、片方は映画史に残る悪役キャラ、本作の兄弟はちょっとばかし格好良いヒーローのように見えてしまうのはなぜだろう

 それにしても本作は処刑人なんて怖いタイトルを付けられているので目を背けるようなシーンが多いかと思いきや、ギャグのオンパレード。脇役も個性豊かな面々が揃い、大いに笑わせてくれる。現実のアメリカも古くから存在するイタリア系マフィアと新興勢力として台頭してきたロシア系マフィアなどが入り乱れて治安が悪い場所が存在する。本作もイタリア系、ロシア系マフィアが登場するが、こいつらが見た目は怖いが結構なアホばっかり。もしこんなマフィアばかりだったら簡単に撲滅できるのにと思ったりするが、警察署の連中がそれを上回るアホさ。このアホさ比べが、かなり笑える。

 しかし、ひと際強烈な個性を光らせているのがウィレム・デフォー演じるFBI捜査官。抜群の推理力はまさしく神様を上回るレベルだし、なんだか変な趣味を持っているし、『お前はそれでもFBI捜査官かよ!』とツッコミたくなるぐらい、あっさり自分の信念を曲げてしまうくだりは笑える。本当は凄いのか、実は大したことが無いのか、よくわからないキャラだが笑える場面ではけっこう顔を出してくる。
 そして主役の兄弟2人だが、こいつらも笑わせてくれるが、基本的に両方ともイケメンでアクションで盛り上げてくれる。けっこうなオッチョコチョイな面も見られるが、時々この2人には神の力が宿るようで、ありえね~!なんてシーンもたくさん用意されている。俺もこれからは信仰する宗教をあっさりカトリックに変えてしまおうかなんて本気で考えさせられた。

 他にも個性の強いキャラクターも多いが、表向きは単純明快な映画のように見えて、実はちょっと奥深い映画のストーリーとは如何なるものか。
 サウスボストン、聖パトリックの祭日において。敬虔なカトリックであるコナー(ショーン・パトリック・フラナリー)とマーフィー(ノーマン・リーダス)の兄弟は、トラブルに巻き込まれロシアンマフィアの一味を殺害してしまう。兄弟は自首して留置所に入れられるが、その時に神からのお告げらしい言葉を聞く。
 正当防衛が認められて釈放された彼らは神のお告げに従い、街に蔓延る悪人どもを次々と処刑していくのだが・・・

 基本的にはノーテンキな気分で見られる映画だが、なかなかラストシーンでの対決の場が皮肉に満ちている。従来のハリウッド映画では正義を体現する神聖な場所で処刑するとは驚いた。この世の中には法をすり抜けて、自分の私腹を肥やそうと企んでいる連中が多いが、そんな奴らに本作の処刑人を送り込んでしまえ、と言うのは冗談。
 冒頭やエンドロールで流れるアイリッシュ音楽は聞いていて心地良いし、アクションシーンも確かに血が多く飛び出るが不思議とグロさは感じないし、派手な銃撃戦は見せ場たっぷり。回想シーンを用いた構成は巧いと思わせるし、とにかく下手なコメディよりも大いに笑えるのが良い。とにかく褒めることが多い映画処刑人はお勧めだ

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 個性的な登場人物の中でも大いに目立っていたのがFBI捜査官を演じるウィレム・デフォー。幅広い演技力が受けて多くの名作に主役から脇役まで多数出演する名優。オリバー・ストーン監督の大ヒット映画プラトーン、アラン・パーカー監督の人種問題に鋭く踏み込んだミシシッピー・バーニング、マーベルコミックの映画化スパイダーマン、デビッド・リンチ監督のワイルド・アット・ハート、アンソニー・ミンゲラ監督のイングリッシュ・ペイシェント・・・挙げていけばキリが無いです。

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映画 偽りなき者(2012) 本当に不条理です

2014年07月25日 | 映画(あ行)
 誰にでもなじみのある諺の1つに火の無い所には煙が立たぬというのがある。その意味は『まったく根拠がなければうわさは立たない。うわさが立つからには、なんらかの根拠があるはずだということ。』(goo辞書参照)。俺もずいぶん昔に聞かされ、意味を知った時はなるほど!と思った。しかも親や先生から怒られた時によく聞かされたし、俺もその通りだよな~と妙に納得したものだ。しかし、最近はどうもこの諺の信憑性を疑っている。近頃は、火が無くても煙を起こすことなど簡単に出来てしまうようだ。
 まあ、俺なんかは満員電車に乗るときは痴漢に間違えられないように、わざわざ両手で吊革を持つようにしているのだが、それでも側に居た女性から『この人痴漢なんです』なんて叫ばれたら、俺はやっぱり周囲から疑いの目を向けられるだろう。
 男性諸君にとっては、とにかく満員電車には乗るな、という教訓を得られる映画が今回紹介する映画偽りなき者。あらぬ疑惑を掛けられてしまったために、人生最大のピンチに陥ってしまった男のドラマ。ある小さな村において、周囲から孤立し、親友からも信頼されず、理不尽な暴力を受け、飼っていた犬は悲惨な目に遭い・・・次から次へと、これでもかと困難な出来事が主人公の男の身に降りかかってくる。そんな状況において、この主人公が取った選択は如何なる結果をもたらすのか?ちなみに俺がこんな目に遭ったら、間違いなく遠い場所へ引越しだ。

 さて、ホラー映画などより、よっぽど身近に感じ、リアルな出来事が題材なだけに余計に怖く感じるストーリー紹介を簡単に。
 デンマークの小さな村において。私生活がゴタゴタ続きだったルーカス(マッツ・ミケルセン)だったが、ようやく幼稚園の教師の職を得て、安定した生活を取り戻しつつあった。しかし、ある日のこと、ルーカス(マッツ・ミケルセン)の親友のテオ(トマス・ボー・ラーセン)の娘である5歳ぐらいの少女クララ(アニカ・ヴィタコプ)がとんでもないことを言い出す(内容はここでは書けません)。
 クララ(アニカ・ヴィタコプ)の言ったことは、作り話の類であったが、周りの大人達、そしてテオ(トマス・ボー・ラーセン)もすっかり信じきってしまい、ルーカス(マッツ・ミケルセン)は村中で変態扱い。そもそもクララ(アニカ・ヴィタコプ)はルーカス(マッツ・ミケルセン)の優しさを知っており、彼の事に好感を持っていたのに、なぜルーカス((マッツ・ミケルセン))を陥れるようなことを言い出したのか
 最初こそ静かに耐えていたのだが、村中の人間からの嫌がらせはエスカレートするばかり。ルーカス(マッツ・ミケルセン)は自らの尊厳を取り戻すために行動を起こすのだが・・・

 それにしても、この映画に登場する大人達はバカばっかり。確かに5歳ぐらいの女の子が嘘を言うなんて思わないが、こんなにも血のつながっていない人間同士の絆とは簡単に切れてしまう物なのか?ちなみに本作は世界一幸福度の高い国デンマークの映画。この映画のどこに幸福を感じることができる部分があったのか俺には思い出せない。
 ハリウッド映画と違い、大げさな描写は無い。しかし、絶望感すら漂う主人公に対する不条理すぎる展開は目が離せないし、そして親子の絆の固さに大いに感動できる。満員電車のシーンなんて実は一切無いのだが、それでも冤罪について大いに考えさせれるテーマが日常においてたくさん転がっていることがよくわかる。
 なんだか大味なハリウッド映画は見飽きた人、ちょっとばかり社会性のメッセージが込められた作品を観て賢くなった気分を味わいたい人、デンマーク映画はレベルが高いことを知っている人、そして主役がマッツ・ミケルセンと聞いて心が躍る女性ファンにはお勧めだ

偽りなき者 [DVD]
マッツ・ミケルセン,トマス・ボー・ラ―セン
角川書店


 監督はトマス・ヴィンターベア。デンマーク映画のレベルの高さを世界中に広める担い手として今後も活躍が期待できる。この監督のお勧めは、ちょっとマニアックな内容ですがラストの銃撃戦は楽しいディア・ウェンディ、いくらデンマークが社会福祉が発達していると言っても、やっぱり働かないと生きていけないことがわかる光のほうへ
 比較的寡作ですがまだ年齢は40歳台半ば、今後は大いに活躍しそうな才能溢れる映画監督です。

 主演はマッツ・ミケルセン。ハリウッド映画の大作で見かける時がありますが、やっぱりデンマークで主役級の役を演じると奥の深い演技を見せてくれます。
 この人のお勧めはスサンネ・ビア監督の個人的には最も好きな恋愛映画のしあわせな孤独、同じくスサンネ・ビア監督のアフター・ウェディング、ナチスドイツに対するレジスタンスを描いた誰がため、珍しく悪役を演じているダニエル・クレイグ主演の007 カジノ・ロワイヤルもお勧め。

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映画 デジャヴ(2006) なかなか斬新なカーチェイスシーンが見られます

2014年07月15日 | 映画(た行)
 タイトルのデジャヴとは既視感のこと。もう少し説明すると、実際は一度も体験したことが無いのに過去に体験したことがあるように感じること。まあ、俺なんかは毎日がデジャヴの連発みたいなものだ。例えば、街を歩いていて綺麗な女性を見掛けると、『確か、この女性出会ったことがあるような気がするんだけれど、どこかでナンパしたんだったけ、アリャ?』と感じたりすることがあるが、ナンパした女性の事など忘れるはずが無く、このような感覚をきっとデジャヴと言うんだろう。
 比較的最近の映画でブルース・ウィリスとジョゼフ・ゴードン=レヴィットが共演したLOOPER/ルーパーと言うタイムトラベルを扱ったSF映画があったが、あの映画に出てくるタイムマシンは30年前の過去、そして同じ場所にしか行くことができないような欠陥製品みたいな物。しかし、行きたい時や場所を自由に行けるような、とても優秀なタイムマシンを扱うよりも、ちょっと使いにくそうなタイムマシーンを登場させる方がストーリーとしては面白い発想が生まれやすいということがわかる映画だった。そして今回紹介する映画デジャヴも、かなり欠陥品に近いタイムマシーン及び、過去を覗き見することが出来るのだが実際はかなり使い勝っての悪いハイテク(?)機器が登場する面白いSF映画だ。
 個人的には本当にタイムマシーンが存在するならば、チョッと乗ってみたいと思ったりするのだが本作のような下手すると命を落としかねない運まかせのような乗り物には乗りたくないし、また過去を覗き見できる機器にしても犯人探しや憧れの女性の着替えシーンを見るために『バッチリ使えるじゃん』と思ったりするのだが、実際は有益な情報を探そうとすればするほどイライラしそうな機器。面白いストーリーを考え出すのに、あえて欠陥製品を登場させるアイデアが抜群だ。

 ド派手な爆発シーン、斬新でドキドキさせるカーチェイスシーンなど見せ場たっぷりの映像が堪能できるストーリーとは如何なるものか。
 海軍の水兵及びその家族を乗せた豪華フェリーが運航中に大爆発。そこへATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)捜査官であるダグ(デンゼル・ワシントン)が、とても格好良く登場。現場を捜査したところテロ事件だと判明。しかも爆発現場近くで女性の遺体を発見するが、実はその遺体は殺害されて遺棄されたことも判明。事態を重く見たFBI捜査官のポール(ヴァル・キルマー)からダグ(デンゼル・ワシントン)は、ある監視モニターを見せられる。
 しかし、その監視モニターはそこら辺に取り付けられているような普通の機器ではなく、FBIが極秘裏に開発しようとしている未完製品の監視モニター。ところがこのモニターには驚くような仕掛けがあるのだが・・・

 このモニターだが、前述したように犯罪対策用としてはまだまだ完璧ではないレベル。なんせ色々と制限があり過ぎる。この映画の前半は殆んど不良品に近いモニターの説明書を読んでいるかのようなシーンが続き、少々脳ミソを使い慣れていない人は疲れる。しかし、この映画が面白くなるのは説明書を読み終わった後。
 ここから斬新なカーチェイスシーンが観ることができる。何が斬新かと言うと右目と左目で違うシーンを見ること。自分でもよくわからない説明だが、このシーンは実際に映画を見てもらえれば、その凄さに感動するはずだ。何だか冒頭から変な感覚に襲われるが、斬新なカーチェイスシーンからはノンストップの面白さ。爆発、撃ち合い、痛覚、タイムリミットなどの要素がスリル感を満足させてくれる。そして、なんだか素敵な気分になれる結末も良い。今、考えるとツッコミどころも多いような気がするが、ちょっとばかしアクション映画に見飽きた人、もちらんアクション映画好きの人には映画デジャヴはお勧めだ

デジャヴ [DVD]
デンゼル・ワシントン. ポーラ・パットン. ヴァル・キルマー. ジム・カヴィーゼル. アダム・ゴールドバーグ
ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント


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ジェリー・ブラッカイマー
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン


 監督はトップガンを始め、ビバリー・ヒルズコップやウィル・スミス主演のエネミー・オブ・アメリカなど大ヒット作品多数のトニー・スコット。これだけ大ヒットを飛ばす映画監督ですが、なぜか自殺してしまったのが本当に惜しい気がします。他にもお勧め作品多数ですが、本作と同じくデンゼル・ワシントンとコンビを組んだ作品ではサブウェイ123 激突をお勧めしておきます。

 主演は名優デンゼル・ワシントン。今さら説明不要の大スター。お勧め作品多数ですが今回はロバート・ゼメキス監督と組んだ重厚な人間ドラマを味わえるフライトをお勧めしておきます。

 FBI捜査官の役でトップガンでトム・クルーズのライバルあるアイスマンを演じたヴァル・キルマーが出演しています。しかし、本作ではマジか役作りがわかりませんがかなり太った。この人のお勧めはファンタジー映画ウィローを挙げておきます。

 犯人役でジム・カヴィーゼル。この人のお勧めは、本作と同じくタイムトラベル的な感覚を味わえるオーロラの彼方へがお勧め、そして心臓に強い人はメル・ギブソン監督のパッションもお勧めです。

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映画 セブン(1995) 今さら語ることのない映画だと思いますが・・・

2014年07月07日 | 映画(さ行)
 ラストが衝撃的だったとか、犯人役の人が凄かったとかさんざん言われるように、今さら改めて語ることなど無いような気がするぐらい有名な映画。簡単に言うと、キリスト教の七つの大罪(暴食、強欲、怠惰、肉欲、高慢、嫉妬、憤怒)に基づく殺人事件を追いかける定年退職を一週間後に控えたベテラン刑事と、まだまだ荒削りの新米の若手刑事のコンビの姿を描いた映画。
 ちなみに本作は七つの大罪をすっかり犯しまくっているアメリカ本国では大ヒットを記録したし、アメリカ人以上に日常茶飯事的に七つの大罪を犯しまくっている俺は非常に反省させられる、と言うよりも心底から恐怖を感じた映画。もしも、こんな殺人鬼が居たら俺なんかは真っ先に狙われるし、既に何回殺されているか数え切れない。
 それにきっと俺のブログを見ている人ならば競馬好きが多いと思うが、そのような人にとっては非常に痛いところを突いている。そのことについては後述する。

 多くの他の映画ブログや映画関連の媒体で述べられていることの無い、俺らしい斬新的な切り口で映画セブンを紹介してみよう。そもそも、なぜこの映画はアメリカで大ヒットしたのか?アメリカ社会なんてものは少数の大金持ちである富める者と路頭に迷う大勢の貧しい人と二極化されているように非常に貧富の格差が大きい国。あの国では努力すれば誰でも報われるというのは大きなたわ言だし、だいたい富める者は貧しき者を踏みにじって成り上がっていき、貧しき者から何から何まで貪り尽くして胡坐をかいている。こんな不条理な世の中においては、真面目に生きる人間は馬鹿を見るだけ。
 そんな不条理さによって、愚直なぐらい真面目に働き、正しいモラルをもって一生懸命に生きても報われない多くのアメリカ人の溜飲を下げるかの如く大活躍してくれるのが、本作に登場するちょっとばかりユニークな殺人鬼だ。何がユニークって『人殺しをしているのは俺だよ~』っと血糊を付けて刑事達の前に登場するが、そんな登場の仕方をする殺人鬼なんて多くの映画を観ている俺でも今のところ最初で最後だ。この殺人鬼の人殺しの方法は残酷すぎて決して褒められた物ではない。しかし、この殺人鬼が後半で刑事たちに語ることをボケッ~と聞いているだけでは何をグタグタ言っているのか理解できないが、しっかり耳を澄まして聞いていると現代社会の不条理さに悩まされる人達にとっては『そのとお~り!』と納得できることをしゃべっている。そしてこの殺人鬼の決着のつけ方が、まさに俺も含めて多くの人間が抱えている七つの大罪の内の1つを見事に表現している。多くの観客はこの殺人鬼の行いに大きく共鳴したというのが、この映画の大ヒットした大きな要因だ。
 さて、この映画を観た人は俺の意見に賛同する人は果たしているのか?どう考えても居ないだろう

 この映画のジャンルはサスペンスだが、この映画の凄さはサスペンス的な面白さではなく宗教的な面を含めて哲学的な側面を感じ取れることだろう。定年退職を控えたベテラン刑事はすっかり堕落したこの世に対して絶望感を抱き、まるで今までの長年における刑事人生がまるで無駄だったかのような無常観を醸し出している。彼の長年の刑事生活で出した答えは、不正や犯罪が蔓延る世の中に対しては静かなる傍観者であること。しかし、定年間際になって出会うことになってしまうのが、自分の感覚では理解できないような殺人鬼と自分とはタイプの異なる野心家である若手刑事の2人。そんな2人との出会いが、この世の中の傍観者である事を許さない。このベテラン刑事の困惑振りから、やっぱり悪い事から目をつぶったらダメなんだということがよくわかる。
 さらに犯罪が多い都会にわざわざやって来る若手刑事のキャラクターもなかなか意味深だ。とにかく刑事として手柄を立てようと英雄になりたがる様子はいかにもアメリカ人らしさを感じる。観ている誰もが『お前が1人で解決できる事件じゃないだろ~』とツッコミを入れたくなってしまうが、なぜか自信満々。根拠無き自信あり気な様子が、いかにもアメリカっぽい。
 そしてそんな最もアメリカらしさを感じさせるこの若手刑事にラストで言わるシーンが『オ~、神よ』。この台詞を言う時のブラッド・ピットの演技は凄い。カメラ目線であの表情、行動をもっと誰か褒めてやれ。犯人役の人ばかりが褒められることの多い映画だが、ブラッド・ピットの演技を誰も褒めないのが本当に不思議だ。

 それにしても理不尽な人間が、ノウノウと生きていることが許されることが多いこの世の中において本当に神は存在するのか?なんてことを個人的に考えさせられる映画セブンのストーリーを簡単に紹介しよう。
 定年退職を1週間後に控えたサマセット刑事(モーガン・フリーマン)とまだまだ荒削りの新米のミルズ刑事(ブラッド・ピット)は殺人事件の現場に急行する。そこには恐ろしいほど太った男が顔面を容器の中に突っ込んでいる姿。何者かに銃を突きつけられ、永遠に食わされていたことが判明。そして現場には暴食と書かれた文字が残されていた。
 翌日、著名な弁護士が自分の高級オフィスの自室で血まみれになって殺害されている姿が発見される。その現場には『強欲』の血文字が書かれていた。
 サマセット刑事(モーガン・フリーマン)は犯人はキリストの七つの大罪をモチーフにして更に犯行を重ねることを断定。さらに犯人の犯行は続くのだが、捜査線上にジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)の名が挙がってくる。
 サマセット刑事(モーガン・フリーマン)とミルズ刑事(ブラッド・ピット)はジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)のアパート部屋を訪れるが、ちょうど買い物から帰ってきたジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)に発砲され、逃がしてしまった上に、ミルズ刑事(ブラッド・ピット)は大怪我を負わされてしまう。
 その後も次々と殺害を繰り返すジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)だったが、七つの大罪のうち、『嫉妬』と『憤怒』の2つを残して、突然サマセット刑事(モーガン・フリーマン)とミルズ刑事(ブラッド・ピット)の前に現われる。果たしてジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)の目的は何なのか、やはりただの頭が狂った奴なのか、そして想像を超えた出来事が2人の刑事の前に・・・

 この映画を作った人たちは、当時の傲慢なアメリカ自身に対する警句の意味を込めて撮ったと思うが、まさにそれから次々とアメリカをショックのどん底に突き落とすような出来事が続く。9.11テロ、リーマンショック、まだまだこれらはアメリカに天罰を降す予兆に過ぎないだろう。だからこそ本作は今観ても非常に楽しい。

 さて前述したように本作はアメリカ人のみならず競馬好きにも非常に色々と思い当たる所のある映画だ。俺なんかは競馬場に行った時、まさに七つの大罪を犯しまくっている。レースとレースの合間には30分間ぐらい時間があるが、その間常に俺はたこ焼き、牛丼、お好み焼き、うどん等を食いまくっているが、このことは暴食の罪に当たり、馬券を買うときは常に一攫千金で万馬券を狙っている俺は強欲の罪に当たり、自分の家族は忙しくしているのに競馬場で遊んでいる俺は怠惰の罪に当たり、馬券で儲けたら夜の街に出かけて風俗に行ってしまう俺は肉欲の罪に当たり、他の人の意見を参考にせずに自分の競馬予想が1番優れていると思っている俺は高慢の罪に当たり、他人が万馬券を取ったと聞くとその人を祝福するどころかなんだかムカつく気分になる俺は嫉妬の罪にあたり、自分の買った馬券が外れた時にジョッキーや馬に悔しさをぶつけてしまう俺は憤怒の罪に当たる。俺は何たる罪深き人間なのか、オ~、マイ、ゴッド

 何だか映画セブンについて斬新的な紹介をするつもりが、結局は俺が世界で最も罪の深い人間だということを告白しただけのような内容になってしまったが、本作の醸し出すダークな雰囲気、映像は観た者に対して大きなインパクトを残すはず。まだ観たことがない人にはもちろんお勧めだし、観たことがある人も再見することをお勧めします

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 本作の監督は本作のセブン以降、新作を出すたびに注目されるデヴィッド・フィンチャー。この人のお勧めはファイトクラブゾディアックドラゴン・タトゥーの女等のようなダークな感覚で刺激的な映像表現は見応え充分。他作品とは作風が異なる感動的作品としてベンジャミン・バトン 数奇な人生もお勧めに挙げておこう。

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