ザ・競馬予想(儲かるかも?)

競馬予想(三連単予想)をします(主に重賞)。しかし、最近は映画の記事が多いかな?

映画 グッバイ、レーニン!(2002) ベルリンの壁崩壊前後の家族の絆を描く

2023年05月24日 | 映画(か行)
 かつては米ソ冷戦時代の象徴であったドイツを東西に隔てたベルリンの壁。今ではそんなベルリンの壁は壊され、1990年に東西ドイツは統合。西ドイツは民主主義、東ドイツは社会主義の国家体制も統合されたドイツは新しく民主主義として再出発をしたのは、皆さんご存知の通り。そんな時代背景を通して、元々東ドイツ側だった家族の絆を描いた映画が今回紹介するグッバイ、レーニン!。タイトル名はソビエト連邦の初代指導者であり、社会主義を推し進めたウラジミール・レーニンのことを指す。
 米ソ冷戦、民主主義VS社会主義なんていうのはベルリンの壁崩壊によって決着がつき、平和への道が開けたと思われていたが、今の混沌とした時代を見ると再び時代はあの時のような時代に戻ってしまったのかと悲しくなったりする。

 さて、ベルリンの壁崩壊の前後の時代を通して、東ドイツ側だった家族の絆をどことなくユーモアを持って描かれたストーリーの紹介を。
 東ドイツの東ベルリンに住むケルナー一家だが、青年のアレクサンダー(ダニエル・ブニュール)の父は西ドイツへ逃亡してしまい、そのショックで母親のクリスティアーネ(カトリーン・ザース)は精神に異常をきたしてしまう。しかし、そこからクリスティーネは回復し、今までのショックを取り戻すかのように社会主義活動の運動を猛烈に開始する。
 ある日のことアレクサンダーは東ベルリンの壁付近で反体制デモに参加していたのだが、偶然にもその様子を見かけたクリスティーネは息子がデモに参加していたことに再度ショックに陥り、心臓発作でその場で倒れて意識不明の重体になる。アレクサンダーは医者から母親の意識は回復しないだろうと宣言され、もしも意識が回復したとしても再度ショックを受けるような事があれば、今度こそ命を落とすだろうと言われる。
 母親のクリスティーネが昏睡状態に陥っている間にベルリンの壁は崩壊し、東ドイツ側の方も次々と資本主義化してしまうのだが、昏睡状態から8カ月後に奇跡的にクリスティーネは意識が戻る。しかし、今の東ドイツの状況を知ったら再度クリスティーネはショックを受けて、今度こそ本当に命を落としてしまうことを悟っているアレクサンダー。彼は母親に死なれないためにあらゆる手段を使って、東ドイツの社会主義体制が存続しているように見せかけるのだが、皮肉なことに時代は猛烈なスピードで次々に東ドイツに資本主義が入ってきてしまい・・・

 息子のアレクサンダーの母親のクリスティーネに対する愛情を感じさせる映画。とにかく母親のために嘘やハッタリ、デッチ上げを行って東ドイツがまだ社会主義体制がバリバリに存続しているように見せかけようとするのだが、誰が見てもバレるのは時間の問題だというのは理解できるのだが、それでも必死になっているアレクサンダーの行動はけっこう笑える。嘘をつけばつくほどピンチに陥っている様子が、あの人のことを思い出させる。しかし、嘘をつくのなら自分の名誉のためではなく、困っている人を助けるために嘘をつけ。
 しかし、そんな必死になっているアレクサンダーの周囲の人達の優しい気持ちが、本作では描かれているのが非常に秀逸。その中でも印象的だったのはアレクサンダーの恋人であるソ連からやってきた看護婦の交換留学生であるララ(チュルパン・ハマートヴァ)の最後の方でのある行動。この行動によって自らの嘘に苦しんでいるアレクサンダーのみならず、悩み傷ついている他の登場人物達までもが助かることになる展開が抜群だ。
 そして、タイトル名に使われているレーニンだが意外な形で登場する。少々生温い展開が続くが、ここで緊張感を走らす演出があっ晴れ過ぎて感心してしまった。色々と名作に対するオマージュが捧げられているのも楽しいし、息子の母親に対する思いだけでなく、母親の息子に対する思いも感じられる。最近は人間の心が腐っているのか思えるような出来事が世界、そして日本にも多く乱発しているが、少しぐらいは穏やかな気持ちになりたいと願う人に今回は映画グッバイ、レーニン!をお勧めとして挙げておこう




 
 
 

 

 

 

 

 
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映画 バラキ(1972) マフィアの実態がわかります

2023年05月07日 | 映画(は行)
 タイトル名はジョゼフ・ヴァラキという人物名に由来する。ギャングとマフィアを混在している人がいるが、実はその由縁とするところは大きく異なる。ギャングというのも近寄りたくないが、マフィアというのはイタリアのシチリア諸島を起源とする犯罪集団のこと。欧州から多くの人達が新大陸アメリカを目指すが、マフィアも例外ではなく彼らもアメリカへ渡り勢力を広げた。
 そして彼らがアメリカでやっていることと言えば、人殺しのみならず麻薬、賭博など犯罪に手を染めていた。しかし、なかなか犯罪を取り締まるFBIも警察もマフィアの実態がよくわからない。そんなマフィアの実態を全国放送のテレビで放映された公聴会でバラしたのが、マフィアの構成員の1人であったジョゼフ・ヴァラキ
 なかなか内容が内容なだけに映画化となるとマフィアからの報復が怖いので、この映画の企画を持ち込まれた多くのハリウッドのプロデューサー達は断ったようだが、そこで立ち上がったのがマフィア発祥の地であるイタリア人の名プロデューサーであるディノ・デ・ラウレンティス。それでもマフィア連中からの脅迫はあったようだが、まさに命がけで撮った作品が今回紹介するバラキ。生々しい描写、マフィアの怖さ、そして死の接吻オメルタ(血の掟)、コーサ・ノストラという組織、マフィアの内部事情まで教えてくれる映画だ。

 それではマフィアの本当の怖さを知らされるストーリーの紹介を。
 1962年、アトランタの刑務所に服役していたヴァラキ(チャールズ・ブロンソン)は、かつての仲間から刑務所の中でも命を狙われる。ヴァラキの大ボスであるヴィト・ジェノヴェーゼリノ・ヴァンチュラ)も同じ刑務所に服役しており、ヴァラキは助けを求めるためにヴィト・ジェノヴェーゼに面会を求める。実はヴァラキの殺害を指示していたのはヴィト・ジェノヴェーゼであり、ある事件について密告していたのはヴァラキだと思い違いをしていたのだ。ヴァラキがジェノヴェーゼに疑いを晴らそうとするが、ジェノヴェーゼはヴァラキの首に賞金を懸け、手下に殺害を指示する。
 ヴァラキは別の刑務所へ護送され、そこでFBI捜査官のライアン(ジェラルド・S・オローリン)と面会する。ヴァラキはライアンにコソ泥をして生活をしていたことに始まり、マフィアに入る切っ掛け、最初は幹部の運転手からスタートして、やがて殺害にも加わるようになったこと、そしてマフィアの争い、コーザ・ノストラというマフィアの組織、そしてオメルタ(血の掟)で結ばれたマフィアの同士の結束等などを話していく・・・

 チャーリー・ルチアーノサルヴァトーレ・マランツァーノ等、大物マフィアも実名で登場する。ドキュメンタリータッチで描かれているだけに、生々しいシーンもあったりする。この映画の制作開始時は、まだヴィト・ジェノヴェーゼジョゼフ・ヴァラキも存命中。しかも、ヴィト・ジェノヴェーゼは刑務所の中からでも殺害指令を下すことができる等、本作を映画化しようとしたスタッフ達もマフィアの連中から脅迫されてしまい、結局はヴァラキもジェノヴェーゼも獄中で死を迎えてから本作は公開された。
 本作を観ればマフィアの怖さを知るのは当然として、一般市民の生活の中にもマフィアが入り込んでいることがわかる。一部の警察と組んでいたり、労働組合にも入り込んでいたりするので突然不当なことで仕事を解雇されたりする。そして、マフィアの世界にも時代の流れがあり、マフィアの変遷も少しは理解できる仕組みになっている。オメルタ(血の掟)なんかは、日本のヤクザとも共通点が見いだされるし、一度泥沼に嵌ってしまった人生から抜け出すことの難しさをラストで痛感する。
 今回はちょっと怖いマフィアの世界を覗いてみたいという人、マフィア映画が好きな人等に映画バラキをお勧めとして挙げておこう

 監督はテレンス・ヤング。007シリーズの初期の作品が有名。同じチャールズ・ブロンソン主演でサスペンス映画夜の訪問者がお勧め。
 
  
 




 
 
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競馬 NHKマイルC(2023)

2023年05月07日 | 競馬予想
NHKマイルCの予想
 俺の本命は前走のアーリントンCで2着に入った8番のセッション。そのレースの勝ち馬の10番のオオバンフルマイの末脚が目立ったが、セッションに乗っていた団野騎手によると、仕掛けが早すぎたとのこと。好位を取れるレースセンス、枠順も良さそう。ここは前走の敗因をジョッキーが活かして勝つと見た。

買い目 馬連一頭軸流し
軸  8
相手 2、3、4、5、6、10、13、15   合計(8点×500円)

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競馬 天皇賞(春)(2023)

2023年04月30日 | 競馬予想
天皇賞(春)の予想
 所用で予想だけです。今回はジックリと乗ってくれると信じて13番のボルドグフーシュを本命にする。
 あとは有力馬へ馬連で流す。

買い目 馬連流し
軸 13
紐  1、3、6、7、9、11、12、16 8点(各500円)   



 
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映画 エルマー・ガントリー 魅せられた男(1960) 宗教家の偽善を暴く 

2023年04月21日 | 映画(あ行)
  もう最近どころか今年に入ってブログは殆ど放置状態。これからはもう少し更新頻度を上げていきます。さて最近は日本でも政治と宗教の結びつきの問題が取り沙汰されたが、なかなか宗教と人間との関係は難しい。そもそも「私は無宗教です」なんて言う人もいたりするが、世界中の多くの人が宗教にすがりついているのが実際のところ。しかし、悲しいことにこの世の中には、とんでもない悪徳なインチキ宗教家やマインドコントロールされて騙される一般人も多くいる。それにしても、なぜアメリカにおいてキリスト教の人が多いのか?そんな疑問が少し理解できる映画が今回紹介する映画エルマー・ガントリー 魅せられた男。そして、更に言えば宗教と人間の関係、宗教とカネ、人間の欲望、神の存在・・・等など宗教について多くのことを学べる有難い映画であり、本作を観れば多くの人が宗教についてもっと詳しく知りたくなるはずだ。

 単なる宗教としてではなく、人間ドラマとしても見応えたっぷりのストーリーの紹介を。
1920年代の大恐慌のアメリカにおいて。トークは上手くて、酒に女好きの自堕落なセールスマンであるエルマー(バート・ランカスター)は旅回りをしているセールスマン。かつては神学校に通っていて、教会を見るとすこしだけ首を突っ込んでは、すぐに旅回りにでる生活を送っていた。
 ある日のこと、信仰復興を目指して大きなテントを張って、そこに集まってくる人々を相手に説教をしている女伝道師であるシャロン(ジーン・シモンズ)の姿を見て、エルマーは一目惚れ。シャロンが次の場所へ行くのに、無理矢理エルマーも付いて行って宗教団体に入り込み、やがて持ち前のトークとアグレッシブな動きで幹部としてのし上がっていく。そんなエルマーに対して聖女シャロンは心も体も奪われて愛し合うようになってしまう。
 やがて彼らは次第に信者を増やし、不動産との金銭のやり繰り行い、宗教界の中でも大きな勢力を成すようになる。今や聖人君子として崇められるようになったエルマーは伝道師としての仕事だけでなく、訪れた町に蔓延る賭博、売春を警察と組んで木っ端みじんに撲滅させようとするのだが・・・

 何と言っても悪い奴なのか、良い奴なのか、わかりづらいエルマー・ガントリーを演じるバート・ランカスターのもの凄い大熱演が楽しい。トークは巧みで教会に訪れた人々を脅すようなことを言ったり、オーバーな行動にでたりするのだが、逆にジーン・シモンズ演じるシスター・シャロンは人々に優しく問いかける。この2人の真逆の説教の仕方の対比が非常に巧みで、俺も洗脳されてしまったのか、プロテスタントの宗派に信仰を変えようかと思った。
 しかし、宗教団体のスキャンダル探しに引っ付いてくる新聞記者とエルマー・ガントリーが神の存在について議論しあったりするシーンは短いながらも興味深いやり取りが見れるし、神の遣いである伝道師はどこまで聖人君子として振る舞わないといけないのかを考えさせられるし、過去の過ちは永遠に追いかけてくるかのような展開において人生の厳しさを知らされ、大きな過ちをした人間がいかに更生しようとも苦難の道が待っていることを本作から伺い知れる。
 小さい頃に現実だと思っていたお伽噺が、実はそんな物は適当な作り話だと大人になってから目の当たりにした時に崩れ落ちていく人間の姿を見て、神の存在について考えさせられ、宗教とは何たるかを永遠に考え込むようになってしまう結末。俺ぐらいピュアな心を持った人間はこの世には殆ど居ないと思いながらも、やっぱりお金が欲しいと思ったりする卑しい心を反省したりする今日この頃である。
 宗教映画であり人間ドラマとして見応えがあり、アメリカの1920年代における旅回りを続けるセールスマンの存在、そしてキリスト教の広まり方が理解できたりして、少しばかりアメリカと言う国が理解できるエルマー・ガントリー 魅せられた男を、今さらながら今年一発目のお勧め映画に挙げておこう

 監督はリチャード・ブルックス。有名監督なのだが、個人的にそれほど観てないのだが、エリザベス・テーラー主演の文芸作品雨の朝巴里に死す、テネシー・ウィリアムズの戯曲の映画化でありポール・ニューマンとエリザベス・テイラーが共演した熱いトタン屋根の猫がお勧め




 
 
 
 
 
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競馬 日経新春杯予想(2023)

2023年01月15日 | 競馬予想
 遅ればせながら明けましておめでとうございます。最近は私事ながら心身ともに少しだけ疲弊してしまい久しぶりのブログの更新になりました。とりあえずは競馬の予想は馬連を中心に予想します。しかし、最近は重賞レースも少頭数が多いので、予想をする気が失せていましたが、今年の日経新春杯はとりあえず10頭以下という少頭数は免れることができた。14頭ぐらい出てくれば予想のしがいもある。
 
日経新春杯の予想
 ◎ 1 ヤマニンゼスト
 △ 2 ヴェルトライゼンデん
 △ 3 ロバートソンキー
 △ 4 ハヤヤッコ
 △ 9 プリマヴィスタ
 △12 プラダリア
 △14 サンレイポケット

 本命は1番のヤマニンゼスト。このレースは4歳馬が有利と言うのが定説。その中でも出走馬の4歳馬では最先着に来ている1番のヤマニンゼストを本命にする。内枠だが2200Ⅿの距離があれば最後の直線は狙いすましたように馬場のど真ん中から突き抜けてくるだろう。昨年の神戸新聞杯で好走した舞台でありコース、距離適性には問題ないし、馬場も外差しが決まり出してきたのも良い。レジェンドジョッキーである武豊が先週に引き続き重賞制覇を手繰り寄せる。
 馬券の方だが馬単でいきたい気持ちを抑えて確実に馬連で勝負する。

買い目 馬連軸1頭流し
軸  1
相手 2、3、4、9、12、14          合計6点
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競馬 有馬記念の予想(2022)

2022年12月25日 | 競馬予想
 最近はカタールW杯のサッカーで忙しくて、すっかりブログの更新もできず。競馬の予想も最近で目立ったところでは香港スプリントCを馬連で万馬券をとったことぐらい。しかし今年は大損だな。
 
有馬記念の予想
 今年の有馬記念はタイトルホルダーの単騎逃げが濃厚。凱旋門賞での大敗は影響は気になるが、ジャパンCを飛ばしたぐらいだから、休養は充分だろう。今年は展開に恵まれる利が大きい。ここも勝って名馬への道を進むだろう。

◎ 13 タイトルホルダー
〇  5 ジェラルディーナ
▲  9 イクイノックス
△  3 ボルドグフーシュ
△  6 ヴェラアジール
△ 10 ジャスティンパレス
△ 16 ディープボンド
×  2 イズジョーノキセキ
×  7 エフフォーリア

 〇の5番ジェラルディーナは完全に本格化。一流牡馬をなぎ倒す末脚を発揮できるか、そして中団より前の位置で競馬が出来れば本命を逆転か。▲の9番のイクイノックスは中山よりも東京コース向き。その点だけが不安。能力は世代を超えて一番だと思うのだがどうしても位置取りは後方からなだけに想像以上に苦しい戦いになるか。

買い目 三連単フォーメーション
1着 13
2着  3、5、6、9、10、16
3着  2、3、5、6、7、9、10、16

買い目 三連単フォーメーション
1着 5、9
2着 13
3着 2、3、5、6、7、9、10、16

買い目 三連単フォーメーション
1着 5
2着 3、6、9、10、16
3着 13                   合計 61点
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映画 街の野獣(1950) 最低の主人公ですが・・・

2022年11月15日 | 映画(ま行)
 本作は1992年にロバート・デ・ニーロが主役で『ナイト・アンド・ザ・シティ』でリメイクされているほどの名作。ロバート・デ・ニーロが好きな俺は『ナイト・アンド・ザ・シティ』を観ていないのだが、確かに今回紹介する映画街の野獣は面白いし、リメイクしたくなるのも理解できる。特に本作で印象に残るのが主役のリチャード・ウィドマークの強烈なダメっぷり。貴方の周りにも居るだろう、一発当てて大儲けしようとしてドンドン深みに入って借金で首が回らなくなっている人を。俺の周りにも酒が飲みたくてもカネが無いために、飲み代をピンハネしてタダ同然で飲んでいる奴を見かけるが、本当に格好が悪いし、せこ過ぎる。
 しかし、本作では泥沼から這い上がるために一発逆転を狙って人生を賭けた勝負にでる登場人物が出てくる。やばい投資話や献金を迫る奴がこの世の中には多いが、本作を見ればそんなインチキに引っかかることを避けることができるだろう。

 それでは欲望渦巻くロンドンを舞台に一発逆転を夢見る人間模様を描いたストーリーを紹介しよう。
 インチキで酒場の客引きをしているハリー(リチャード・ウィドマーク)だが、騙した相手から常に追いかけられている。しかし、彼には酒場で踊り子をしている恋人メアリー(ジーン・ティアーニ)がおり、彼女はハリーに堅気になってもらいたいと思いながらも、ついついお金を貸してしまう。
 ある時、ハリーはプロレス興行の客引きをしていると、試合内容に大いに憤慨しているかつての名レスラーであるグレゴリウス(スタニスラウス・ズビシュコ)を見かける。ハリーは上手くグレゴリウスに取り入り、彼の知名度を生かしてプロレスの興行で一旗立てようとし、酒場の店主であるフィル(フランシス・L・サリヴァン)に投資話を持ち掛けるのだが、一笑に付される。しかし、それに食いついたのがフィルの妻ヘレン(グーギー・ウィザース)。彼女はフィルと別れたがっていて、自分の店を持ちたいという企みがあったのだ。運はハリーに味方するかと思われたのだが・・・

 この映画を観ていて一番不思議だったのが、なぜジーン・ティアニーみたいな美人で心も綺麗な女性が、究極のダメ男を好きになってしまうのか!ということ。しかし、こういう不憫な女性が登場するから映画の方も面白くなり、少しばかり悲しい気分を味わえる。
 俺なんかは金持ちになりたくないし、まあ明日を生きることができるカネさえあれば充分に幸せを感じる男なのだが、ハリーが俺とは真逆の人間。一攫千金という言葉は響きは良いが、命を懸けまで一気に成り上がろうとしてはダメだということが本作を見ればよくわかる。こういう人間は周りの人間まで不幸にしてしまうから、ロクでもない。自分で汗をかいて稼いだカネでビールを呑むのが、美味しいし幸せを感じる。
 ちなみに本作は当時のプロレスシーンを見れるし、ロンドンの裏社会の厳しさを知ることが出来る。仕事をすることの有難さがわかり、とことんダメになる人間の姿を知ることが出来るし、インチキな宗教に騙されないための教訓にもなる映画として今回は街の野獣を紹介しておこう 

 監督はハリウッドで活躍しながらも赤狩りにあってしまってアメリカ国外で映画を撮らざるをえなくなってしまったジュールズ・ダッシン。ハリウッドよりもアメリカ国外で映画を撮るようになって、更に名声を広めた。多くの映画に影響を与えた泥棒映画トプカピ。当時撮影所を飛び出してオールロケを敢行した裸の町、バート・ランカスター主演の刑務所脱獄を凄い迫力を持って描いた真昼の暴動がお勧めです。
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競馬 天皇賞(秋)(2022)

2022年10月30日 | 競馬予想
天皇賞(秋)予想
 なかなか面白いメンバー構成なのでじっくりと俺の予想の考察を述べたいのだが、所用で忙しいので印と買い目のみ。

 8 ◎ シャフリヤール
 1 △ マリアエレーナ
 2 △ カラテ
 3 △ パンサラッサ
 5 △ ダノンベルーガ
 7 △ イクイノックス
 9 △ ジャックドール
14 △ ユーバーレーベン

買い目 馬連1頭軸流し 
 軸 8
相手 1、2、3、5、7、9、14      合計 7点




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映画 キング・オブ・コメディ(1983) 映画史に遺る最強コンビの傑作

2022年10月27日 | 映画(か行)
 映画史においてよく監督と俳優の名コンビによる作品が多々ある。我が日本においては黒澤明監督と三船敏郎、小津安二郎と笠智衆なんかはその代表であり多くの傑作を生んできた。映画の都ハリウッドでいえば、ジョン・フォード監督とジョン・ウェインのコンビなんかは多くの傑作、名作を生みだしてきた。そんな名コンビでも、たまに失敗作を作ってしまうことがあるが、マーティン・スコセッシ監督と名優ロバート・デ・ニーロのコンビは、名作ばかりで外れがない。特にこのコンビは人間の狂気をあぶり出す作品を多々生み出し、まさに一時代を築いた名コンビと言えるだろう。そして、今回紹介する映画キング・オブ・コメディだが、タイトルだけ聞くと笑えるコメディかと思えたりするが、実は本作こそ人間の狂気をあぶり出し、そして欲望を描き出した傑作だ。
 まあ、俺なんかは目立たないようにコッソリと生きていることに満足しているタイプの人間だが、この世の中には目立ちたがり屋で、必死で寄付金を募ったり、ピンハネをしたりして自分の飲み代にしようとしている馬鹿を見かける。私利私欲に走る人間の愚かさを目の当たりにして、ひたすら驚くばかりの今日この頃だ。

 さて、この世の中には売れない芸人なんか数多と存在するが、売れたいがために狂気に走ってしまう中年芸人のストーリーの紹介を。
 売れない34歳のコメディアンであるパプキン(ロバート・デ・ニーロ)は何とかして自分を売り込もうと、有名コメディアンであるラングフォード(ジェリー・ルイス)に、あの手この手を使って近づこうとするが、突きっ放されてばかり。
 どうしても売れたいパプキンは、ついにラングフォードを拉致して、放送局を脅し、番組に出演してネタを披露することに成功するのだが・・・

 前述した目立ちたがり屋と、この売れないコメディアンの共通点は妄想が大きすぎること。前述した俺の知っている目立ちたがり屋は、偉そうなことばかり言っているが、すっかり本性がバレて仲間がドンドン減るばかり、もしかしたら今でも自分は人気者だと勘違いしているかもしれない。
 しかし、本作のロバート・デ・ニーロ演じる主人公の誇大妄想っぷりも半端ない。拉致するまでに数々の迷惑行為を行っているのだが、コメディアンのくせにシャレが全くわかっていないことに俺はドン引きしたと同時に笑えた。本作を観れば妄想は狂気を呼び覚ますことが理解できる。俺の近くにも妄想に憑りつかれている奴が居るので、俺も被害に遭わないように気をつけないといけない。
 本作品はそれほど怖さは感じないが、古い映画でありながら今でも通じる部分はある。しかし、今なら自分を売り込む方法としてSNSの活用があるし、実際にその活用によって人気歌手がたくさん誕生した。とにかく時代を経ても変わる物があったり、変わらない物があることを再認識させられた映画である。
 なんだかんだ言ってもタイトル通り笑えるシーンもあったり、犯罪映画でもあり、けっこう人を選ばずに楽しめる映画。名監督と名優のコンビによる傑作作品として今回はキング・オブ・コメディをお勧め映画として挙げておこう

 監督は前述したマーティン・スコセッシ。ロバート・デ・ニーロとのコンビ作品ではレイジング・ブルミーン・ストリートタクシー・ドライバーケープ・フィアカジノがお勧め。ロバート・デ・ニーロが出演していない作品ではアフター・アワーズがお勧めです。
 

 

 









 
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競馬 菊花賞の予想(2022)

2022年10月23日 | 競馬予想
菊花賞予想
 今年の菊花賞は皐月賞、日本ダービー馬の連対馬が不出走。何とも寂しいメンバーになったが、出走馬のバランスは取れていてなかなか面白いレースが見れそうだ。阪神内回りコースの3000Ⅿコース行われるが、やはり内回りなだけに先行馬が有利。しかも逃げそうな馬も6番のビーアストニッシドぐらいしかいないのでペースはスローペースになりそうだ。しかし、13番のディナースタの出方が気になる。この馬が今までのように捲る競馬に出ると差し馬にもチャンスが出てくるか。結局は展開を考えても難しいが、ポイントは阪神内回りコースだということ。何回もコーナーを回るコースなだけに外を通る馬は相当な距離損を強いられる。長丁場の3000Ⅿのレース。インをコースの好位で脚を矯めて出来るレースをする馬には絶好。と言うわけで俺の本命馬は最内枠のこの馬だ。

◎ 1 ガイアフォース
△ 3 プラダリア
△ 4 ポルトグフーシュ
△ 5 ヤマニンゼスト
△ 8 マイネルトルファン
△11 ドゥラドーレス
△12 ヴェローナシチー
△14 アスクビクターモア
△16 フェーングロッテン
△17 ジャスティンパレス

 俺の本命は1番のガイアフォース。絶好枠を引いたし、前走のセントライト記念でアスクビクターモアを競り落とした内容は圧巻。このメンバーで春一番の実績馬を打ち破ったのだからこの馬の能力の高さを認めるところだろう。能力的には心配ないし、スライドの大きい走りっぷりから3000Ⅿは望むところ。サッと好位をとれるレースセンスも良い。心配なのは前述した13番のディナースタが早めに捲ってきたときに、内で押し込められて追い出しが遅れること。しかし、今や松山ジョッキーは信頼できるし、阪神の内回りコースならこの馬なら早めに動いて後続を追い込みを抑え込むことができそうだ。迷いなく本命。

 △は前走の内容の内容、実績を中心に選択する。

買い目 馬連軸1頭流し
軸  1
相手 3、4、5、8、11、12、14、16、17   合計9点

 
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競馬 秋華賞予想(2022)

2022年10月16日 | 競馬予想
秋華賞の予想
 今年の秋華賞の注目はスターズオンアースの三冠牝馬なるか。どうやら調教の動きは申し分いが、オークス後の両足前骨折明けというのはどうか?個人的には非常に本命にはし難い状況だ。まあ、オークスの内容からここでも圧勝してもおかしくないが、右回りはけっこうモタレルのでその点でも不安。名手ルメールがどう克服するかだが、しかし今回は色々と困難な状況を克服しなければならない。
 さて、メンバーを見渡すと内からタガノフィナーレラブパイローが逃げそうだし、しかも外からブライトオンベイスだが、短距離でも逃げるなど早い。もうこれはハイペースだろう。ここは差し馬を狙いたいところだ。
  
◎ 8 ナミュール
▲ 1 ウインエクレール
▲ 2 ライラック
▲ 5 ストーリア
▲ 7 スタニングローズ
▲ 9 スターズオンアース
▲10 アートハウス
▲11 エグランタイン  
▲12 ウォーターナビレラ
▲16 プレサージュリフト

 俺の本命は8番のナミュール。強烈な末脚はハイペースの展開を利するか。オークス以来のぶっつけ本番だが、休養明けでも走れる馬だからこれはマイナスにならない。舞台は阪神内回りで、外回りよりラストの直線が短いのは少し残念だが、阪神内回りだと言っても小回りコースではないので、差しはかつて秋華賞が行わていた内回りコースより利きやすい。しかも、最後の直線のラストの坂があるのはこの馬にはプラスだ。この馬が三冠牝馬達成に待ったをかける。

買い目 馬連1頭軸流し
軸 8
紐 1、2、5、7、9、10、11、12、16          合計 9点
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映画 勝手にしやがれ(1959)ジャン=リュック・ゴタール監督の長編デビュー作にして最高傑作 

2022年10月12日 | 映画(か行)
 先日ヌーベルバーグの最後の生き残りであるジャン=リュック・ゴタール監督が91歳で亡くなった。他にも面白い映画があったと思うのだが、やっぱり彼を有名にし、最高傑作といわれるのが、今回紹介する映画勝手にしやがれ。元々は映画批評家から出発したのだが、映画を自分で撮ってみたいとの熱い想いが本作を産んだ。ジャンプカットと呼ばれる編集技術は当時の映画界を驚きの渦に巻き込み、街に飛び出してのロケ撮影は当時の映画では珍しくあり新鮮さを与え、そして破滅へ向かって一直線に進む刹那的に生きるジャン=ポール・ベルモンド演じる青年の主人公象は、その後の映画の主人公のあり方にも大きな影響を与えた。そして、主人公が画面越しに観客へ語り掛けるなど、従来の映画の作り方に対して革命を起こしたのが本作。
 これまでの映画の既成概念をぶっ壊し、当時の映画ファンは困惑しながらも大絶賛し、今でも名作として誉れ高い。しかしながら、本作が公開されてから60年以上経った今となっては、果たして本作を初めて観る人はどう思うだろうか?ハリウッド映画の大金を使ったアクションやアドベンチャー映画を見慣れた人が観ると、少しばかりどころか大いに不満を持つ人も出てくるかもしれない。

 さて、早速だがヌーベルバーグの決定打とも言うべき作品のストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 日常茶飯事に車泥棒を繰り返すミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)だが、盗んだ車で飛ばしている時に白バイ警官に追いかけられる。しかし、ミシェルはたまたま持っていた銃で警官を射殺して逃亡。そのままパリに向かって、数日前に仲良くなったアメリカの留学生であるパトリシア(ジーン・セバーグ)と再会し、一緒にイタリアへ逃亡しようとする。仲間から金を返してもらって早くパリを脱出したいミシェルと、記者として成功するためにパリに居続けたいパトリシア。将来に対する考え方の違う2人だったが、燃え上がった愛はパリからイタリアへ向けての逃避行になるはずだったのだが・・・

 愛し合った男女の逃避行の話であり、当時にしてもそれほど珍しい題材ではない。むしろストーリーよりもその撮影方法に当時の人は驚いた。本作でよく言われるのは前述した編集技法であるジャンプカット。正直なところ個人的にはそれがどうした!って感じ。むしろ俺なんかは編集に失敗してるんじゃねぇ、何て勘違いしてしまった。
 それよりも俺が最も面白く思ったのが街中のロケ撮影。ベルモンドとセバーグが街を歩いていたりするシーンの周りの人があからさまに振り向いたり、驚いたり、背中を撃たれてフラフラになりながら走っているベルモンドを通行人がビックリして見ているのに笑えた。また全く関係のない通行人が明らかに撮影カメラに気を取られてたリしていて、そのような適当かつアマチュアっぽさが俺にはウケた。
 男女の会話がずれていてグダグダだったり、その内容も言葉遊びみたいなのが入ってくるが大して笑えないし、また会話のシーンが長すぎたりでダレてしまう人もいるだろう。なんだかくだらないシーンが多いと思いきや、所々では面白いシーンも入ってくる。後半は結構楽しいシーンが多かったような気がする。最初の方でたまたま持っていた拳銃で警官を殺したのと対比して、ラストは拳銃を持たされたせいで撃たれる羽目になってしまうのだが、その辺りはけっこう笑えたし、ゴタール監督の非凡さを感じさせる。
 最初から最後の最後までかみ合わない男女の会話、ダレてしまいそうなくだらない会話があったりするが、ジャンプカットによる副次的産物のおかげで妙にテンポが良かったり、突発的なシーンが多く出てきたりで、映画史に遺る金字塔的な作品ではあるが、なんだかド素人が映画を撮ったらこんな失敗作品が撮れてしまうのかなんて俺は思ったのだが、俺の持っている感覚を超えた作品なんだろうと思う。
 そもそも当時のゴタールは金を持っていないから映画を撮ろうとするのが無理があった。しかし、世の中は何が成功するかわからない。本作がまさかヌーベルバーグの決定打になり、この作品以降はジャン=リュック・ゴタールは売れっ子の花形監督になるのだから何が幸いするかわからない。ある意味では本作が登場するまでフランス映画がいかにマンネリ化に陥っていたかわかるとしたものだろう。
 ジャン=リュック・ゴタール監督の名前をニュースで初めて聞いた人は、まずは本作から観ることをお勧めする。これ以降の作品は殆どが本作の特徴を継承しているからだ。ゴタール監督の映画をこれからドンドン観たい人にはまずは映画勝手にしやがれを見ることをお勧めする。

 ジャン=リュック・ゴタール監督のお勧めだが正直なところ観る人を選ぶが、本作が面白いと思った人には女と男のいる舗道気狂いピエロは楽しめるか。個人的にはゴタール監督がやりたい放題で撮ったようなウイークエンドは面白かった。











 
 
 
 
 








 
 
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競馬 スプリンターズSの予想(2022) 内枠の馬が怖い

2022年10月02日 | 競馬予想
スプリンターズSの予想
◎ 13 メイケイエール
〇  1 テイエムスパーダ
▲  7 ウインマーネル
▲  9 ナムラクレア
△  2 ジャンダルム
△  6 ナランフラグ
△ 11 トゥラヴェスーラ
× 12 ヴェントヴォーチェ
× 15 シュネルマイスター 

能力は圧倒的に13番のメイケイエール。本命は迷わなかったが、現在の中山コースはインコースを通る馬が相当有利。1番のテイエムスパーダはこの枠なら一目散に逃げる。しかも無理して追いかける馬もいないのでこの馬の一発があっても驚けない。そういう意味では2番のジャンダルムも警戒は必要だろう。

買い目 三連単フォーメーション
1着 13
2着  1、2、6、7、9、11、
3着  1、2、6、7、9、11、12、15

買い目 三連単フォーメーション
1着 1、7、13
2着 13
3着 1、2、6、7、9、11、12、15

買い目 三連単フォーメーション
1着 1
2着 2、6、7、9、11
3着 13                     合計 68点



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映画 薔薇の名前(1986) 中世の修道院を舞台にしたミステリー

2022年09月18日 | 映画(は行)
 名優ショーン・コネリーが亡くなってから、もうすぐ2年が経つのかと思うと時の流れは早い。かつては007シリーズでジェームズ・ボンドを演じ、そのまま続けていればもっと大金が自分の懐にザックザックと入っていただろう。しかし、彼の役者魂が自分のキャリアをジェームズ・ボンドだけで終わらせることを許さなかった。ジェームズ・ボンドのイメージを完全に拭い去ったと個人的に思っているのが、今回紹介する映画薔薇の名前。それにしてもジェームズ・ボンド役では女たらしのスパイを飄々と男臭く演じていたイメージがあるが、ジェームズ・ボンド役を自ら降板してからは名優の貫録が抜群。本作においても色々と個性的な脇役陣が登場するが、その中でも抜群の存在感を発揮する。
 さて、本作は1300年代の中世、そして修道院を舞台にしたミステリーというのが珍しい。カトリック教会における宗教の知識や歴史に疎い人は観ている間は少し重苦しいと感じるかもしれないが、逆に言えば少しばかり中世の歴史とカトリックについて少しばかり学べた気分になれる。現在世界中にカトリック信徒が12億人いると言われる。キリスト教から派生した中でも最も多いのがカトリックだ。しかしながら、本作を観ればわかるがカトリックもこの時代になると教会において、腐敗、魔女狩り、免罪符を売りつけたり、徐々に本来の教義を忘れて私利私欲に走る人間が修道院の中にも、外にもたくさんいることがわかる。

 さて、ヨーロッパの中世、修道院を舞台にした本格的ミステリーのストーリーの紹介を。
 1327年の北イタリアにおいて。フランシスコ会のウィリアム修道士(ショーン・コネリー)は弟子であるアドソ(クリスチャン・スレイター)を伴って、高台にポツンと建っている修道院を目指していく。この修道院において、他の修道院の修道士もやって来て、ローマ教皇と今後の財産を含めたカトリック教会の方向を議論することが目的だった。
 しかし、頭脳明晰、観察力抜群のウィリアムは最近において、この修道院で殺人があったことを察知する。そのことを修道院長であるアッボーネ(ミシェル・ロンスダール)に問いかけると、アッボーネは驚きながらもそのことでウィリアムに相談して、殺人の真相を調べることを依頼する。しかし、瞬く間に殺人事件が再度発生。ウィリアムとアドソは調べれべ調べるほど複雑な人間関係がわかってくる。ようやく事件の真相とウィリアムのこの修道院に来た目的を達しようとしたときに過去に因縁のある異端審問会のベルナール・ギー(F・マーリー・エイブラハム)がやって来る・・・

 我ながら西欧の中世の時代に産まれなくて良かったと思えた。異端審問官なんて酷すぎる。こいつ等の行っている裁判なんかやばすぎて、うっかり宗教の自由なんて叫んでしまったら火あぶりの刑に遭ってしまう。俺なんかは今まで笑いの力は世界を平和にすると思っているのだが、ここに登場する修道士の中には『笑い』を許さない奴まで出てくる。どれだけカトリックというのは厳しいんだ。
 そんなカトリックの厳しさを見せつけられながら、ウィリアム修道士とアドソが殺人事件を捜査するのを見ているとシャーロック・ホームズとワトソン君のような関係で本格ミステリーとして楽しめる。そして、この修道院にはキリスト教圏内で一番大きな図書館があるというのが本作を面白くしている要素として挙げられる。この図書館の中がまるで迷路。ウィリアム修道士だからこっそり入って、抜け出すことができるが、俺がこんな図書館に入ってしまったら迷子になって死んでしまうだろう。なかなかのゴシック風で少々怖さを感じさせるサスペンス。タイトルの意味が俺にはよくわからなかったのだが、そのことを考えながら観るのも一興だろう。ちなみに本作はウンベルト・エーコの同名タイトルの小説の映画化。一度は読んでみたいのだが、なかなか文量が多いので根気のある人は小説を読んでください。

 監督はフランス人のジャン=ジャック・アノー。ブラッド・ピット主演のセブン・イヤーズ・イン・チベット、スナイパーの対決を描いたスターリングラードがお勧め。




 
 


 

 
 


 
 
 
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