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映画 ルードヴィヒ(1973) バイエルン王ルードヴィッヒ二世の伝記映画

2018年10月27日 | 映画(ら行)
 古今東西において王様とよばれる人物はたくさんいるが、俺から見ればどいつもこいつもロクでも無い奴ばかり。むしろマトモな王様を探すのが大変なぐらいだ。自分の私利私欲のために権力にしがみついている王様ばかりだし、民のために自分の命を投げうつ王様なんか殆どいない。さて、今回紹介する映画がバイエルン国王であるルードヴィッヒ二世の伝記映画であるルードヴィッヒバイエルン王国なんていう国は今は存在しないが、サッカーが好きな人ならわかるが、今のドイツの一部。バイエルン王国みたいに世界には吸収されたり、分裂されたりして跡形もなく消えてしまった国家が多いが、二千六百年以上も続いている日本の凄さは世界を知ることによって理解できる。
 さて、今回の伝記映画の主要人物であるルードヴィッヒ二世の国王としての振る舞いはどのようなものだったのか?伝記映画といっても何処までが本当のことが描かれているのか疑ってかかる必要があるが、本作で描かれているのを見ると、多くの王様と同様にダメダメ。本作は4時間というメチャクチャ長い映画であるが、ルードヴィッヒ二世の駄目っぷりがずっと描かれ続けられている。そんな映画を観ていて本当に面白いのか不安になる人が多いと思うのだが、これが意外に退屈しないで観ることができる。駄目ネタは俺のような一般人から見れば浮世離れし過ぎて笑えてしまう。そして、映像から伝わってくる豪華絢爛さ。ド派手な画面を見ているだけでも退屈しない。

 それでは狂王とよばれるルードヴィッヒ二世の謎の人生とはいったいどのようなものだったのか?できるだけ簡単にストーリーの紹介を。
 1864年、ルードヴィッヒ(ヘルムート・バーガー)は18歳の若さでバイエルンの国王になる。しかし、彼は国王の仕事はそっちのけ。芸術をこよなく愛するルードヴィッヒは借金を背負って逃げ回っている有名作曲家であるワーグナートレバー・ハワード)のパトロンになって歌劇の上演に莫大な国費をつぎ込む。
 従妹であるオーストリア皇后エリザベート(ロミー・シュナイダー)との恋にのめり込んでしまい、彼女の妹のゾフィー( ソーニャ・ペドローヴァ)との婚約が破綻したり、プロイセンとオーストリアの戦争ではオーストリア側に付くのだが、戦争中ルードヴィッヒはミュンヘンを離れてべルクの城に籠って戦わずに、弟のオットー1世(ジョン・モルダー=ブラウン)に任せっぱなし。その結果弟は神経を病んでしまう。
 それ以降ルードヴィッヒは国費を更につぎ込んで豪華な城を三つも建て、しかも城に男を連れ込んで遊んでいる。すっかり城に引きこもってしまっているルードヴィッヒは更に奇行を繰り返すのだが・・・

 国王としての自覚が全くなく、政治に興味がない。現実から逃避して、ひたすらファンタジーの世界に身を委ねるルードヴィッヒの生き様を見ていると、こんな俺でも国王になれるかもしれないと急に自信が湧いてきた。しかし、俺がどんなに頑張ってもルードヴィッヒに勝てないのが、カネの使いっぷり。それも国費を次々とつぎ込むのだが、お城の中に白鳥が泳いでいるのには驚いた。
 本作を観て、ルードヴィッヒ二世の人生に感動する人は少ないと思うが、映像から伝わってくるパワーは確かに凄い。豪華絢爛なセット、建造物、そして重厚な音楽。映画はあらゆる芸術を超えていることが本作を観ればよくわかる。
 世界史に興味がある人、ヨーロッパの王様は凄いと思っている人、芸術的な映画が好きな人、4時間という長時間を我慢できる人、ルキノ・ヴィスコンティ監督作品と聞いて心が躍る人・・・等に今回は映画ルードヴィッヒをお勧めに挙げておこう。

ルートヴィヒ 復元完全版 デジタル・ニューマスター [DVD]
ヘルムート・バーガー,ロミー・シュナイダー,トレヴァー・ハワード,シルバーナ・マンガーノ,ヘルムート・グリーム
紀伊國屋書店


 監督は前述した貴族の末裔であるルキノ・ヴィスコンティ。本作を観れば貴族というのはカネを持っているんだな~と感じます。多くの名作を世に送り出した映画史上において最も重要な映画監督の1人。彼のお勧めは個人的にはアラン・ドロン主演の若者のすべて、アリダ・ヴァリ主演の女の執念が凄い夏の嵐が良いです。 
 
 

 
 
 

 
 
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映画 水の中のナイフ(1962) ロマン・ポランスキーの長編映画デビュー作

2018年10月25日 | 映画(ま行)
今や巨匠中の巨匠であるポーランド人であるロマン・ポランスキー監督。彼のデビュー作品である祖国ポーランドで撮った唯一の映画になるだろう映画が今回紹介する水の中のナイフ。登場人物がたったの3人しかいないし、舞台は殆どがヨットの中か上。極めて閉塞感を感じさせる映画だ。
 タイトルだけから内容を想像すると怖いシーンがあるのかと思ってしまいそうだが、そんなシーンは俺が見たところ全く無いように思えた。むしろ本作が描いているのは格差及び差別社会を描いたストーリー。経済格差、男女の差、世代間の差などが、たったの3人の登場人物しか出てこない中で描いている。
 
 週末になるとヨットで船出するぐらいの裕福な夫婦、そしてお金を持っておらずヒッチハイクをしている若者。そんな3人の中で最も欺瞞に満ちた人間をあぶり出すストーリーとは如何なるものか。
 年齢差はあるが裕福な夫婦である夫のアンドジェイ(レオン・ニェムチック)と美しい妻クリスチナ(ヨランタ・ウメッカ)は週末の休日を利用して、ヨットでクルージングするために車を走らせていた。
 運転中に若者(ジグムント・マラノウッツ)が飛び出してくる。この若者はヒッチハイクしており、アンドジェイ(レオン・ニェムチック)は少々気分を害しながらも若者を乗せ、しかもヨットにも乗せて3人でクルージングをすることになる。
 しかしながら次第にアンドジェイ(レオン・ニェムチック)と若者の間には溝が生じてくる。そして、クリスチナ(ヨランタ・ウメッカ)と若者の仲を疑い出したアンドジェイ(レオン・ニェムチック)は、若者の唯一の所有物であるナイフを海の中へ捨て、若者もナイフに気を取られて海へ落ちてしまい・・・

 最初は社会的地位もあり、ヨットを扱うことに長けており、偉そうにしていたアンドジェイ(レオン・ニェムチック)だが、若者が海へ落ちて姿が見えなくなってから、ダメっぷりを見せる。実はこの映画は前半は大して面白いようにも思えないのだが、ナイフが海の中へ落ちてからが面白い。
 特に説明はなかったのだが、この夫婦の結婚生活が夫が必要以上に自分を偉そうにしていたことがわかる。しかし、ダメっぷりがバレてから完全に主導権は妻の方に移る。最後の車の中での夫婦の会話において完全に立場が逆転してしまったことがわかるエンディングが非常に巧みだ。
 この映画の製作当時のポーランドは共産党の一党独裁国家。このような格差を描いた映画は自国では受けなかったが西側諸国においては受けた。むしろ何かと格差社会の問題を言われる現代の方が受け入れやすい内容。ポランスキー監督が本作を最後に西側諸国へ飛び出して映画を撮り続けているのも当然の成り行きだろう。
 タイトルから想像できるようにナイフが扱われるシーンが多いが、まさに若者を象徴していることが理解できる。当時弱冠30歳に届くか届かないかの年齢だったポランスキー監督自身を象徴しているのかもしれない。
 陰影のあるモノクロの画像は非常に印象的であるし、狭い空間でのブレのないカメラワークもポランスキー監督らしさが既に感じられる。また女優のヨランタ・ウメッカが美人なだけでなく、メガネフェチを喜ばせる。
 ロマン・ポランスキー監督のデビュー作品と聞いて心が躍った人、一度見たことがあるが何が言いたいのか意味がわからなかった人、何だかハッキリしない抽象的な映画を好む人・・・等に今回は映画水の中のナイフをお勧め映画として挙げておこう

水の中のナイフ [DVD]
レオン・ニェムチク,ヨランタ・ウメツカ,ジグムント・マラノヴィチ
角川書店


 監督は前述したようにロマン・ポランスキー監督。一番有名なのは戦場のピアニストだが、それ以外にもホラー、サスペンス、文芸作品と多くの分野において傑作が多数。お勧めはホラー映画のローズマリーの赤ちゃん、ジャック・ニコルソン主演のハードボイルド映画チャイナ・タウン、ジョニー・デップ主演の知的ミステリーの雰囲気を感じさせるナインスゲートが良いです。




 

 
 
 
 

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映画 肉体の冠(1952) 人生の不条理さを感じさせる 

2018年10月23日 | 映画(な行)
 俺なんかはタイトル名が『肉体の~』というのを見ると、すぐにエロ映画かと思ってしまうが、そんな発想の貧困さに自分が情けなくなってくる。ちなみに原題はフランス語でCasque d'orであり、黄金の兜の意味。
 原題の意味するところは、主演女優のシモーヌ・シニョレが長い金髪を頭上に結っているヘアスタイルから来ているのだが、邦題の付け方がダメダメ。しかしながら、タイトル名から想像できないぐらい人生の辛さを感じさせるストーリーが展開されるのが今回紹介する映画肉体の冠
 原題からしてシモーヌ・シニョレ演じる女性の生き様が中心に描かれているのかと思いきや、実は悲しき男の性を描いている映画。真実の愛を得て幸せだったのも束の間、一度罪を犯したがために悲劇へ向けて突っ走るストーリーだ。

 これぞ昔のフランス映画だと思わせる結末が訪れるストーリーを紹介しよう。
 パリにおいて。娼婦であるマリー(シモーヌ・シニョレ)はヤクザのロラン(ウィリアム・サバティエ)の女だったのだが、大工職人のマンダ(セルジュ・レオニ)と出会い、お互いに好意を抱くようになる。
 ヤクザの親分であるルカ(クロード・ドーファン)はマリーに好意を持っており、ロランとマリーの関係が冷め切っている事を知って、一味のたまり場である酒場にマリーを呼び出す。しかし、その場にマリーはマンダを呼び出していた。
 成り行きでマンダとロランは、ルカや子分でありマンダの親友であるレイモン(レイモン・ビュシェール)が見ている中で決闘をする。マンダはロランを刺し殺す。
 マンダはパリを逃げるように去るのだが、誰からともなく手紙を渡され、そこに書いてある場所に行くとマリーが居た。二人は田舎暮らしを楽しみ、愛し合う。しかし、親友のレイモンがロラン殺しの罪で警察に捕まっていることを知る。マンダは親友が自分の罪を被っているのに耐えきれずに、マリーの説得にも顧みずに、警察に自首しに行くのだが、実はルカがマリーを奪うための策略であり・・・

 とにかく大工職人のマンダ(セルジュ・レオニ)が男らしくて恰好良い。ヤクザの女だと知っていながら好き同士になったマリー(シモーヌ・シニョレ)を殺し合いの決闘をしてまで自分の彼女にしようとするだけでなく、親友レイモンとの仁義を貫き通す熱き友情にも感動する。そんな男の中の男であるマンダに訪れる運命は仕方ないのかもしれないが切ない。しかし、多くの人は知っている。人生は不条理の連続であることを。
 一方ではヤクザの親分であるルカ(クロード・ドーファン)のクズっぷりが凄い。下衆で卑怯者であり、これだけの悪人が登場する映画も珍しい。だいたいこの世の中、卑怯者がのうのうと生きていけるのがダメだ。平気でウソついて人を陥れる卑怯者の存在こそ、人間の良心を失わさせている。こんな奴が居なくなれば、犯罪なんか今よりもっと少なくなる。本作を観れば多くの人が俺と同じような考えを持つはずだ。
 人生って甘くないということを改めて感じたい人、世の中不条理の連続だと嘆いている人、なぜこの世の中から凶悪犯罪が無くならないのかと悩んでいる人、綺麗な頃のシモーヌ・シニョレを見たい人・・・等々に今回は映画肉体の冠をお勧めとして挙げておこう。

肉体の冠 [DVD]
シモーヌ・シニョレ,セルジュ・レジアニ,クロード・ドーファン,レイモン・ビュシェール
ジュネス企画


 監督はフランス人のジャック・ベッケル。個人的には彼の映画をそれほど見ていないが、観た映画は外れがないどころか傑作ばかり。ジャン・ギャバン主演のフレンチ・フィルム・ノワールの傑作現金(げんなま)に手を出すな、ジェラール・フィリップ主演で画家モディリアーニの伝記映画モンパルナスの灯、緊迫感がハンパない脱獄映画が良いです。
 

 
 

 

 



 
 
 
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映画 生きるべきか死ぬべきか(1942) ポーランド国民への応援映画です

2018年10月21日 | 映画(あ行)
 ウィリアム・シェークスピア原作のハムレットでの有名な台詞『To Be or Not to Be(生きるべきか死ぬべきか)』がタイトル名になっているが、このタイトルが本作中でも抜群の効果を発揮するのが今回紹介する映画生きるべきか死ぬべきか
 本作は1942年という第二次世界大戦中の真っ最中に製作された映画。当時ナチス・ドイツにボロボロに蹂躙されてしまっていたポーランドに対して、ハリウッドからポーランド国民に向けてのエールを送った映画だ。しかも、エールを送っただけでなく誰が観ても笑えるコメディ映画になっているところが、当時のハリウッドの底力を感じさせる。まあ、俺が言っていることを信用してもらえないかもしれないが、古今東西の数多あるコメディ映画の中でも最も笑える部類に入る映画。しかも、笑いが洗練されているのでお笑いの勉強もできる有難すぎる映画だ。

 さて、早速だが最初から最後まで笑えるストーリーの紹介を出来るだけ簡単に。
 1939年のポーランドのワルシャワにおいて。有名女優であるマリア・トゥーラ(キャロル・ロンバート)と、その夫であり自称ポーランドの名優ヨーゼフ・トゥーラ(ジャック・ベニー)の夫妻を看板スターとする劇団があり、連日満員の盛況だった。
 ある日、ハムレットを上演中に、ハムレットを演じていたヨーゼフが、ここは一番の見せ場とばかりに、有名な台詞である『To Be or Not to Be(生きるべきか死ぬべきか)』を言うのだが、その瞬間に客席にいたイケメンの若者が立ち上がってその場を去って行く。あまりのショックにヨーゼフはすっかり自分の演技力に自信を無くしてしまう。
 実は若者はポーランド空軍に属するソビンスキー中尉(ロバート・スタック)であり、ヨーゼフの長台詞中に『To Be or Not to Be(生きるべきか死ぬべきか)』を合図に、マリアの楽屋へ行き彼女に逢っていたのだ。
 ハムレットが上演される度にソビエンスキー中尉とマリアは相変わらず逢瀬を重ねていたが、いよいよナチスドイツがワルシャワに侵攻。ハムレットの舞台劇も中止を余儀なくされる。
 その後、ソビエンスキー中尉はイギリスにいてドイツへの反撃の機会をうかがっていた。仲間たちと故郷ワルシャワの事を話している時に、その場にシレツキー教授(スタンリー・リッジス)もいた。彼は近いうちに秘密任務としてワルシャワに行くことになっていた。しかし、ソビエンツキー中尉はシレツキー教授がドイツのスパイであることを見抜く。
 ソビエンスキー中尉はワルシャワヘ戻りトゥーラ夫妻たち劇団のメンバーと一緒にシレンツキー教授の狙いを阻止しようと奮闘するのだが・・・

 色々と笑えるシーンがあるのだが、冒頭の始まり方が凄い。まだドイツがポーランドに侵攻する前なのにワルシャワの中心地にヒットラーが独りで現れる。その場にいた人々はヒットラーの出現に驚くが、当のヒットラーは何も気にせずに立っている。実は・・・なのが笑わせるし、これが最後のクライマックスの伏線になっているのに感心する。
 トゥーラ夫妻とソビエンツキー中尉が三角関係のままナチスドイツを必死で騙そうとするが、ヨーゼフが彼らの関係に気を揉んでいるために、ついつい自分の役割に集中できなくて失敗しそうになっているのが笑える。
 それとナチスドイツの描き方も笑える。特にエアハルト大佐という偉いさんがいるのだが、このオッサンが頭が悪く、自分のミスをことごとく部下に押し付ける無責任な人間。もし本当にナチスドイツの人間が、こんな奴ばかりだったらもっと早く戦争が終わっていたのにと思ってしまった。
 他にも笑える場面があるし、けっこうなスリルもあったりで本当に楽しい映画。これが第二次世界大戦中に製作されたことに多くの人が驚くはずだ。
 笑える映画を観たい人、ポーランドに興味のある人、熟練したテクニックを感じたい人、そして下ネタでしか笑わすことが出来ない人、エルンスト・ルビッチ監督と聞いて心が躍る人・・・等々に今回は映画生きるべきか死ぬべきかをお勧め映画に挙げておこう。

生きるべきか死ぬべきか [DVD]
キャロル・ロンバード,ジャック・ベニー,ロバート・スタック
ジュネス企画


 監督はハリウッド黄金期を支えたエルンスト・ルビッチ。洗練されたユーモアは多くの人を魅了した。彼のお勧めはグレッタ・ガルボ主演のニノチカ、マレーネ・ディードリッヒ主演の天使、真面目に生きようと思える天国は待ってくれる、ジェームズ・スチュアート主演で文通のやり取りが懐かしい街角 桃色の店が良いです。





 
 

 

 
 
 

 
 

 
 
 
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映画 そして誰もいなくなった(1945) 傑作推理小説の映画化

2018年10月18日 | 映画(さ行)
 ミステリー小説の女王であるアガサ・クリスティ女史の代表的作品でもある推理小説の同名タイトルを原作とする映画化作品が今回紹介するそして誰もいなくなった
 たくさんの友人が周りに居たのに、いつの間にか一人ぼっちになってしまった俺のことを言われているような嫌味なタイトル名だが、小説版とは少し違うために展開、登場人物のキャラ、そして結末も違うので原作を読んだ人でも見終わった後は新鮮な気分になれる。
 そして、監督のルネ・クレールらしいライトコメディなタッチが効いていて、たくさんの死人が出てくる割に悲惨な印象が全くない。それに冒頭からの登場人物達の紹介の方法がなかなか楽しい。

 それでは有名なストーリーを出来るだけ簡単に紹介を
 遠く離れた孤島に8人の男女が荒波の中を頼りない船に乗せられてやってくる。孤島の豪邸には予めお手伝いさんとしてやってきたロジャース夫妻の2人が既に到着していたのだが、肝心の招待者であるオーエン氏は不在だった。
 しかも、集められた10人はロジャース夫妻を除いて皆が初顔合わせ。しかも、その中には誰も招待者であるオーエン氏を見た者はなく、全員がオーエン氏から手紙で招待された者ばかりだった。
 そんな中でロジャースがレコードをかけると、それは音楽ではなく集められた10人の罪状が告発された内容だった。全員がその罪状を否定するのだが、1人が毒入りの水を飲んで死んでしまったことを切っ掛けに更に1人、また1人と殺される。
 死んでしまった者以外に、今生きている者の中に殺人者が居る事は明らか。最後に生き残った者がオーエンを演じていた者だという結果になるはずだと思われたのだが・・・

 置物のインディアン10体が、1人死ぬごとに1体壊される。観ている人が『今何人殺されたんだったっけ?』と悩まないための親切な設計。それに誰がインディアンを壊しているのかわからないのが不気味な雰囲気を煽る。
 そして登場人物が10体のインディアンを見て、歌う音楽がブラックジョーク。その音楽の通りに1人ずつ死んでいくストーリー展開は今ではそれほど珍しくはないが、このようなストーリー展開を思いついたアガサ・クリスティは、やっぱり凄いと思わせる。
 しかし、この映画は笑えるようなシーンもある。疑心暗鬼になっている各人の部屋から鍵穴を覗いて隣の部屋の人物を覗いているシーンや、名優バリー・フィッツジェラルドウォルター・ヒューストンといったベテラン達の演技が飄々とした面白さを感じさせる。
 個人的にはサスペンスというよりも、次は誰が死ぬのか?ということをメインに楽しんだのだが、オーエン氏になりすましているのは誰か?何のために10人が集められた?実はオーエン氏は孤島のどこかで隠れているんじゃないかと考えたり、色々と楽しめるための要素がたくさんある。
 そして、結末が訪れた時にまだ残っているじゃん!なんて思っていると、最後のオチで確かに誰もいなくなったわ!と俺は感心した。
 アガサ・クリスティと聞いて心が躍るミステリーファンの人、ミステリー小説において原作と映画と見比べるのが好きな人、最近のハイテクノロジーを活かした犯罪映画よりも手作り風の犯罪映画が観たい人・・・等に今回は映画そして誰もいなくなったをお勧めに挙げておこう。


そして誰もいなくなった CCP-147 [DVD]
バリー・フィッツジェラルド,ウォルター・ヒューストン
株式会社コスミック出版


 監督はフランス人で1930年代のフランス映画黄金期を支えたルネ・クレール。ナチスの脅威にフランスを逃れてハリウッドで映画を撮るようになったのが本作。ハリウッド時代のお勧め作品として後にテレビシリーズでも人気の奥様は魔女が面白い。 
 フランス時代では、あのチャップリンにも影響を与えた自由を我らに、トーキー初期を感じさせ音楽が印象的な巴里の屋根の下、そして不器用な男とお花売りの娘の恋愛を描いた巴里祭が良いです。 


 
 



 
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映画 トプカピ(1964) 明るい泥棒映画です

2018年10月13日 | 映画(た行)
 大金や宝石を強奪する映画は昔から現在に至るまで多くあるが、そんな中でも明るく、ゴージャスな雰囲気を感じさせる映画が今回紹介する映画トプカピ。冒頭から大笑いしながら派手なメイクをした美女メリナ・メルクーリーが、きらびやかに登場するがこの始まり方が楽しい。職業は女泥棒であるメリナ・メルクーリーが今回狙っているのは、トルコのイスタンブールにあるトピカプ宮殿に陳列しているスルターンの剣。その剣に埋め込まれているエメラルドの輝きが彼女の欲望に火をつけるのだ。
 さて、泥棒映画のド定番である仲間集めが行われるが、このような映画を観ていていつも思うのだが、なんでソイツを仲間に選んだ?と思うこと。見たところしっかり吟味して仲間集めをしているように思えたのだが、本作でも結構なおっちょこちょいを仲間に加えてしまう。

 それでは世界一厳重と言われるトプカプ宮殿の警戒をくぐり抜けてスルターンの剣を盗み出せるのか!?それではストーリーの紹介をできるだけ簡単に。
 女泥棒であるエリザベス(メリナ・メルクーリー)はトプカプ宮殿に陳列してあるスルターンの剣に埋め込まれているエメラルドが欲しくたまらない。彼女は早速、元カレの腕利きの泥棒であるウォルター(マクシミリアン・シェル)を口説いて計画を立てる。
 ウォルターは早速仲間集めにかかるが、発明家、力持ち、軽業師を集める。そして彼はエリザベスと観光客を装って、武器をトルコへ持って行くドライバーを探していたのだが、イギリス人ガイドのシンプソン(ピーター・ユスティノフ)に目をつけるのだが・・・

 詐欺師で臆病で高所恐怖症のシンプソン(ピーター・ユスティノフ)が良い。ダメダメな男に思えたが意外な特技があったりする。しかし、この男を雇ってから計画が微妙に狂いだすのだが、それでも天才泥棒であるウォルター(マクシミリアン・シェル)の機転が利いて、トルコ側の官憲との対決が楽しい。トルコの官憲も泥棒達もシンプソンを利用しまくり、トプカプ宮殿に侵入前の前哨戦からワクワクさせる。ある意味シンプソンも余計なことに巻き込まれて可哀そうな感じがしないでもない。
 トプカプ宮殿に侵入してからもワクワクドキドキの連続。完璧なスペシャリストが揃っていたらそれほどドキドキすることもないのだが、泥棒チームの中に一人でもダメな奴が居るとスリルが盛り上がる。
 そしてスルターンの剣の盗み方だが、トム・クルーズの大ヒットシリーズが完全にパクっている。
 この映画を観終わると改めてトイレにはトイレットペーパー以外は入れて流そうとしてはいけないことがわかるし、窓を開けっぱなしにしてはいけないことがわかる。
 そして本作はトルコの雰囲気が充分に伝わる。トルコのレスリング競技場、トプカプ宮殿、トルコの刑務所など、少々トルコを観光した気分を味わえるのも良い。
 女泥棒であるエリザベス(メリナ・メルクーリー)の豪華な衣装も際立っている。よく考えたら、泥棒達は大して金に困っている奴がいないので悲壮感は大して感じないし、リラックスしながら観ることができる。
 トルコが好きな人、笑える犯罪映画を観たい人、明るく輝いている映画を観たい人・・・等に今回はトプカピをお勧め映画として挙げておこう

トプカピ [DVD]
メリナ・メルクーリ,ピーター・ユスティノフ,マクシミリアン・シェル
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督はジュールズ・ダッシン。元々はハリウッドで活躍していた監督ですが、赤狩りでハリウッドを去り、ヨーロッパに渡って映画を撮ることになってしまいました。
 ハリウッド時代の作品では裸の町深夜復習便が良いです。
 ヨーロッパに渡ってからは本作以外にも日曜はダメよが良いです。その他にも名作多数の偉大な映画監督です。 
 
 

 
 
 
 

 
 
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映画 かくも長き不在(1961) 戦争の悲劇が伝わります

2018年10月10日 | 映画(か行)
 よく主人公が記憶喪失に罹っている映画を観ることがあるが、そのような映画には傑作が多い。その中でも今回紹介する映画かくも長き不在は、派手な場面は無いが観る者に悲哀を感じさせる傑作だ。戦争による悲劇は命を失うだけではない。本作の場合だと幸せな思い出もぶっ壊してしまうのが戦争の悲劇として描かれている。

 ド派手なシーンは無いが、充分に戦争の悲劇を感じさせるストーリーの紹介を。
 パリの郊外で喫茶店を営む女主人のテレーズ(アリダ・ヴァリ)は店をお手伝いの少女を雇い切り盛りしていた。周りの住人が夏休みのバカンスで殆ど人が居なくなり、テレーズも恋人らしきピエールと一緒にバカンスに出かけて、いったんお店を休みにするつもりだった。
 そんなある日のこと、いつも朝と夕方になると歌を口ずさみながら店の前を通る浮浪者(ジョルジュ・ウィルソン)の姿を初めて間近で見る。それは16年前にナチスドイツの秘密警察であるゲッシュタポに強制連行されてから行方不明になっていた夫アルベールとそっくりだった。
 テレーズはアルベールとそっくりの浮浪者を追いかけてつぶさに観察するのだが、実は彼は記憶喪失になっていて今までのことを殆ど覚えていなかったのだ。
 その浮浪者はもしかしたら夫ではないのかもしれなかったが、夫だと確信しているテレーズはあらゆる手段を使って彼の記憶を取り戻さそうとするのだが・・・

 さて、浮浪者は本当にアルベールなのか、それともただ似ているだけの人物なのか?。すでに女盛りも過ぎてしまい独身を貫きとおしたテレーズに希望を抱かせる。前半は大したシーンは無かったように思うが、テレーズがこの浮浪者を見る瞬間から惹きこまれる。彼の記憶を取り戻そうとするシーンは希望と絶望の両方を感じさせる。
 特にテレーズが河辺のボロボロの小屋に住んでいる彼を自分の店に誘い、彼女はドレスアップして一緒に食事をしたり、音楽を聴いたりするシーンは何とか彼の記憶を呼び起こそうとするシーンで美しくも、どこか切ないシーンだ。そして、二人きりでダンスをするシーンにおいてはもう見ていて涙がボロボロ出そうになる。本来なら幸せを感じさせるのがダンスシーンなのだが、ここでテレーズは戦争の現実を知ってしまい、彼の記憶が戻る可能性がゼロに近いことを知ってしまう。
 さて、彼は本当にアルベールだったのか、やはりソックリさんだったのか!最後にそれまでの流れとはうって変わって衝撃的なシーンが訪れるのだが、その時の浮浪者(アルベール?)はいったい何を悟ったのか?
 だけどこの映画が凄いのは最後の最後に語るテレーズの台詞。絶望感しかないような結末だが、それでも暗闇の中にほんの小さな希望の灯をを感じさせる台詞だ。今にも消えそうなぐらいの弱々しい灯だが、それでも生きている限りこの灯は消せないのだ。
 フランス映画の名作を見たい人、映画第三の男を見ている人で、その映画の女優さんが気になった人、当たり前のことだが戦争ってダメだよな~と改めて感じたい人、女の執念を感じたい人等に今回は映画かくも長き不在をお勧めしておこう。

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アリダ・ヴァリ,ジョルジュ・ウィルソン,ジャック・アルダン,シャルル・ブラヴェット
KADOKAWA / 角川書店


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KADOKAWA / 角川書店


 ちなみに監督はアンリ・コルピ。監督としては本作しか知られてないようですが、主に編集者として活躍していたみたいです。

 それよりも今回の主演女優のアリダ・ヴァリ。本作に出演していた時は40歳ぐらい。若い頃からそれほど綺麗だと思いませんが、名作に何本か出演しており、しかも息の長い女優さん。彼女が出演しているお勧め作品としてキャロル・リード監督の不朽の名作第三の男、ルキノ・ヴィスコンティ監督の女性の怖さを思い知らされる夏の嵐、ベルナルド・ベルトルッチ監督の1900年が良いです。


 
 


 

 
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映画 成功の甘き香り(1957) 骨太の社会派映画

2018年10月07日 | 映画(さ行)
 金や富の匂いがするニューヨークを舞台に野心家の男たちが成功を求めて暗躍する。マスコミの裏側を暴露した社会派映画の傑作が今回紹介する成功の甘き香りだ。
 バート・ランカスタートニー・カーティスの当時の大スターの二人が、両方とも悪役を演じている。
 人気コラムニストとして権勢を誇るバート・ランカスターの傲慢さ、成功するために大物に媚びを売り、弱みを握った相手を卑怯な手段をつかってでも陥れたりする姑息で小物のトニー・カーティス。両者ともに悪役ながら正反対のキャラクターで魅せる。
 日本でコラム二ストと言ってもあんまりピンとこないが、本作を見る限りアメリカのコラムニストはかなりの凄さを本作では見せてくれる。豊富なネタを持っているために政治家にも脅しをかける。そして同業者のライバルが弱みを見せたら、それを脅しに利用して成り上がっていこうとしたり、自分のネタを新聞に載せてもらうために生活苦にあえいでいる女性も利用する卑怯っぷりが見れる。
 
 それでは良心の欠片もない人間のクズっぷりを見ることができるストーリーの紹介を。
 ニューヨークを中心に活躍する人気コラムニストであるJJ・ハッセンカー(バート・ランカスター)は政治家にも顔が利く超大物。目障りな相手が居ると電話一本で陥れることができるので、誰も彼に対して表立って批判する者はいない。
 そんな彼でも悩ませているのが最愛の妹スーザン(スーザン・ハリソン)がナイトクラブでバンドのギター弾きであるスティーヴ(マーティン・ミルナー)と恋仲であること。妹を溺愛するJJ・ハッセンカーは自分に媚びを売ってくるシドニー(トニー・カーティス)を利用して妹スーザンとスティーヴの仲を引き裂こうとする。
 シドニーはスティーヴを陥れるためにウソの記事を新聞社に卑怯な手段を使って売り込むのだが・・・

 ニューヨークは俺の物だと言いかねない傲慢な男が、妹を結婚させまいとする内輪揉めの小さな話がメインストーリーになっているのが少々残念だが、それでもウソやでっち上げで他人を陥れる様子を見ているとマスコミの怖さを感じるし、保守と言われる政治家、書評が大いに叩かれて陥れられている何処かの国を見ていると、本作のストーリーが決して日本人にも絵空事でないことがわかる。
 男の野望、欲望の犠牲に立つのは常に女性。本作を見ているとそのように感じるが、ラストシーンは女性の強さを簡潔にだが上手く描いていると思う。
 モノクロの画面に写し出される夜のニューヨークの雰囲気は渋くてジャズが似合う。そして、絶対に嘘やデタラメを言って人を騙してはいけないと心に誓おうと思える映画だ。
 渋いモノクロの映画を観たくなった人、悪役が活躍する映画観たい人、ニューヨークが好きな人・・・等に今回は成功の甘き香りをお勧めしておこう。

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 


 

 
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映画 第十七捕虜収容所(1953) 脱走映画と言えばこれ

2018年10月04日 | 映画(た行)
 戦争映画を扱った映画には陸軍や空軍の戦いを描いたものが多いが、捕虜を扱った映画が無いのが不満だ、とナレーションが出てくるが、あれっ、そうだったっけ?と俺なんかは思ったが、よく考えたら今回紹介する映画第十七捕虜収容所は1953年に公開されている事を考えると、確かにその通りだろう。本作以降において捕虜たちを描いた映画に大脱走戦場にかける橋などがあり、脱走を描いた戦争映画が出てくることになる。
 捕虜だけでなく獄中からの脱走を描いた映画はたくさんあるが、大いに笑えて、しかもサスペンスフルな楽しさの両方を備えている映画と言えば本作になるだろう。
 よく練られた脚本、多くの登場人物が出てくるがしっかりとキャラクター設定が描かれており、また電灯、チェスの駒など小道具の使い方が上手い。

 それでは何かと名人芸を感じさせる脱走を描いたストーリーの紹介を。
 第二次世界大戦の末期、ドイツにある第十七捕虜収容所だがアメリカ人兵士ばかり集められていた。ある日のこと、二人の兵士が脱走を実行するのだが、待ち受けていたドイツ兵によって二人とも射殺。あまりにも脱走計画がバレバレの失敗だったために、この収容所の中にスパイがいるのではないかと皆が疑心暗鬼に陥る。
 そんなアメリカ人捕虜の中でもセフトン(ウィリアム・ホールデン)は、他の捕虜と付き合うこともなく一匹オオカミ的存在。しかも、何かとドイツ兵と上手くやっているので、みんながセフトンがドイツ側のスパイだと疑っていた。
 ある時、列車爆破の容疑でダンバー中尉(ドン・テイラー)が一時的に第十七捕虜収容所にやってくる。ダンバー中尉はドイツ軍の列車爆破をした英雄としてみんなから歓迎されるのだがセフトンは何故かダンバー中尉と気が合わないために、益々スパイとしての容疑が高まる。
 しばらくすると収容所の所長シェルバッハ(オットー・プレミンジャー)が列車爆破の証拠を掴んだとダンバー中尉を連れ去っていく。
 セフトンは皆から完全にスパイだと疑われリンチを喰らう。ようやくセフトンは自らスパイ探しを開始するのだが・・・ 

 ナチスドイツの収容所を舞台にした映画だと残酷なシーンを見せつけられるのに辟易している人も多いと思うが、本作は残酷なシーンなんか全く出てこない。捕虜の中にはコンビみたいなお笑い担当がいて結構笑わせてくれる。こいつらのお陰で捕虜収容所での生活も楽しそうに描いている。
 スパイ探しのシーンもなかなか楽しい。スパイと所長の伝達の方法なんかなるほど!と思わせるし、ラストも気持ち良くなる終わり方が良い。ナチスドイツの収容所を描いた映画と聞くと暗い作品が殆どだが、これはとにかく明るく描いているのが本作の優れたところだ。
 ユーモアとサスペンスが融合している映画を見たい人、脱走映画が好きな人、ビリー・ワイルダー監督作品と聞いて心が躍る人、名人芸を感じられる玄人っぽい映画を観たい人等に今回は第十七捕虜収容所をお勧め映画に挙げておこう。

第十七捕虜収容所 [DVD] FRT-050
ロバート・ストラウス/ピーター・グレイヴス/ウィリアム・ホールデン/オットー・プレミンジャー/ドン・テーラー
ファーストトレーディング


 監督は前述したビリー・ワイルダー。社会派、コメディ、サスペンスなど幅広い分野に傑作を遺している名監督。お勧め映画を挙げていけば本当にキリがない。個人的に彼の作品で最も好きな映画としてアパートの鍵を貸しますを今回は挙げておこう。

 

 
  

 

 
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映画 トレインスポッティング(1996) 社会の底辺でもがきます

2018年10月03日 | 映画(た行)
 イギリスというのは階級社会が未だに残っていて、ド底辺で暮らしている貧困層の人間はなかなか抜け出せない。しかも、イギリスの一部であるスコットランドはこの映画が公開されたときは不況の真っただ中。そんなド底辺でもがきながらも、なぜかそれほど悲惨な状況に見えない若者たちを描いた映画が今回紹介するトレインスポッティング
 ヘロイン、アル中に罹っているダメダメな若者達の青春が不謹慎なぐらい明るく、ポップに、そしてスタイリッシュに描かれていて斬新な映像で見せてくれる。

 何をやってもダメダメな若者達の日常生活を描いているストーリーの紹介を。
 スコットランドのエディンバラが舞台。ヘロイン中毒に罹っているしまっているレイトン(ユアン・マクレガー)は、気が弱くて少し頭が弱そうなスパット(ユエン・ブレムナー)、007オタクのシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)、恋人とセックスばかりしているトミー(ケヴィン・マクキッド)、ヘロインには手を出さないがアル中の勢いに任せて喧嘩ばかりしているペグミー(ロバートー・カーライル)らと、働きもせずに遊び、ヘロイン、ナンパ、盗み等を繰り返して毎日を過ごしている。
 レイトンは何度目かのヘロインを止めようとするが、皮肉なことにそのことを切っ掛けに彼らに不幸な出来事が次々と起こる。
 恋人に振られたショックに麻薬をはじめてしまうトミー。シック・ボーイの赤ん坊が死んだり、スパットは盗みから刑務所に行ったりする。
 今度こそレイトンはつらいヘロインのリハビリを乗り越えて、ロンドンへ出て真面目に仕事に就く。レイトンのロンドンでの生活は絶好調に思われたが、まるで疫病神の如くペグミーとシック・ボーイがロンドンにやって来る・・・

 どいつもこいつもダメダメボーイ。俺もなかなかの駄目男だと思っていたが、本作のダメダメな奴らを見てたら、急に自信が出てきた。俺も明日からは早起きをして、頑張ろう。
 本作の映像や音楽の使い方が凄いのだが、特にレイトンのリハビリのシーンが凄い。リハビリの辛さが伝わってくる映像を見ることができる。さらにインパクトがある映像がスコットランドのトイレ。何かと驚きのシーンで一杯だ。
 ヘロインを止めたら性欲が異常に増したためにナンパした綺麗な女の子の正体も笑えたり、ペグミーの暴れっぷりも笑わせるし、他にもブラックユーモアでたくさん笑わせてくれる。そしてこの映画の少しばかり明るい未来を感じさせる結末も良い。
 昨年に公開された本作の続編T2トレインスポッティングを俺はまだ観ていないのだが、今回は復習を兼ねて見た。もう20年以上前の映画なのに映像は斬新。古さを全く感じさせない。
 ダメダメ人間に愛着を感じる人、映像にこだわった映画を見たい人、洋楽が好きな人、ユアン・マクレガーが好きな人、スコットランドに興味がある人には今回はトレインスポッティングをお勧めしておこう。注意事項としてはご飯を食べながら観ないように気をつけること

トレインスポッティング [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]
ユアン・マクレガー,ロバート・カーライル,ケリー・マクドナルド,ジョニー・リー・ミラー,ユエン・ブレンナー
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


 監督はダニー・ボイル。スタイリッシュな映像、ブラックユーモアが特徴。そして悲惨なストーリーでも明るく、ポップに描いてくれる。
 お勧めは腕がでかい岩で挟まれてしまった男の脱出劇127時間、デビュー作品の傑作サスペンスシャロウ・グレイヴ、感染軍事映画28日後・・・、アカデミー作品賞、監督賞を獲り名匠になることになったスラムドッグ$ミリオネアが良いです。 

 
 

 





 

 
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