熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

ハンガリー色のチェロ・リサイタル

2007年11月28日 | コンサート
蕎麦通や、蕎麦のプロが、人知れず隠れた名店で伝説の蕎麦を堪能するかのような。。。
そんな感じのするコンサート。
ホールもとても小さい。

で、蕎麦歴超浅のワタクシは、ニュートラルな状態で聴くことに専念。

床がフラットすぎ、頭で隠れて、普通の姿勢ではペレーニ氏がまったく見えない!
演奏中、ずっと体を左に傾斜したままで疲れました。

あれれ???演奏中、ハミングというか、うなり声が聞こえる。
感極まって、名曲をつい歌ってしまうお客がいるのか!?

気にするうちに、ワタシでもお馴染みの曲が次々と終わってしまいました。
男性的で、しっかりどっしりした演奏だけど、潤いとか、優しさがあって、包容力につつまれる幸せ。。。

休憩後、2部はハンガリー一色。

通常、知っている曲で、脳が活性化することが多いのですが、今回はこのハンガリー色が説得力ありまして、意外にも逆でした。

最初は、聴いたことない曲ばっかり・・・と睡魔を覚悟でした。
(バルトークは古川さん、マイスキー氏ほかで聴いたことがありましたが。)

しかし、なんたって現地の方ですね。
プログラムになかったピアノソロにも引き込まれました。

--ちなみに、このピアニスト氏が、ハミング、うなり声の犯人でした。
後方座席にも聞こえるくらいだから、ステージからとは。
コバケンさんも負けそう。--


コダーイ、バルトークっておもしろい。
いわゆる西洋音楽と違って、土着の愛があふれてて、生活感があります。
それを、チェロ・ピアノでこんなにも情感豊かに演奏。
2度と聴けないかもしれない、最高のハンガリー音楽です。

悲しい悲しい民族の歴史があるのですが、
そちらのメッセージよりも、
ハンガリーの大草原、駆け回る馬の群れ、
どこか東洋の香り、ジプシーの即興演奏やコミカルな民族舞踊…
コダーイの故郷の、目を見張るような美しい町並…

そんな景色が、一気にドワ~ッと怒涛のように頭のスクリーンに連写されました。

ほんとうにびっくりです。
記憶の引き出しはエライ!

昔、ハンガリーへ3泊、チェコ3泊だけですが、行ったことがあります。
単なる観光でしたが印象的な旅行でした。
コダーイが何者かもわからず、彼の故郷ケチケメートというファンタジックに美しい町にも、大草原を越えて訪れたのです。

日本に行ったことがない人が、外国で日本の音楽を聴くのはやっぱりリアリティにギャップが出るのと同様、民族的な芸術は百聞は一見にしかずで現地主義が理想ですね。

チョウ・チンさんも、ドイツに行って初めて「森の静けさ」の曲のイメージが実感できたとTVで話してたっけ。

そう言い出したら、民族的な曲は和製しか聴けない、弾けないことになってしまうけど。。。

音楽って、やっぱり作曲者、演奏者が何かを表現したいから存在するのだと痛感しました。
上手でしょう?と演奏しているわけでないのであって。。。(当たり前)

音色がどうの、右手がどうのと、気にしていましたが、最後の方になるとハンガリーの郷愁に触れたという興奮と感動で個人的にも盛り上がりました。
(実際に拍手も割れんばかりでした。)

とカッコつけてますが、実は…
あの時パプリカ買い過ぎて、結局捨てて勿体無かった。
あーっ!!!グヤーシュはスロークッカーで作ったら、イケルかな。
中央市場の奥のフォアグラがおいしくて安かった。
とか味覚の記憶まで乱入してきて、ややこしいことになってました。

ミクローシュ・ペレーニ(チェロ)
イェネー・ヤンドー(ピアノ)
シューマン:アダージョとアレグロ 作品70、
幻想小曲集 作品73
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ
休憩
コダーイ:アダージョ
コダーイ:マロシュセーク舞曲
コダーイ:ソナタ嬰へ短調 作品4
バルトーク:ラプソディ第1番 Sz88
アンコール
エルネー・ドホナーニ「ハンガリーの田園」より
アンダンテ・ルバート ジプシー風
バッハ:ソナタ二長調アンダンテ


大阪:フェニックスホール

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