頭の中は魑魅魍魎

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『人参倶楽部』佐藤正午

2017-09-27 | books
スナック「人参倶楽部」をめぐる連作短編集。水商売を17年もやっているオーナー兼バーテンのいさむ。女に目がなく、妻子がいても様々な女に手を出している。店にやって来る、ホステスの話や客の小説家の話などが、うまくつながって…

必ずしもいさむの目線ではなく、短編によっては客の女性の手紙だけだったり、女性の電話の会話だけだったりする。これでもかと工夫されていて、飽きない。

佐藤正午作品の主人公は女性にだらしないケースが多いようだが、今回も同じ。女性にだらしないということはどういうことか考えるというより、むしろ最初から決まった「衣装」のようなものの気がしてきた。つまりそのこと自体については特に判断しない。

小粋な大人の恋愛小説とも言えるし、ラストの章なんかはホラーとして読むこともできる。いさむもそれ以外の登場人物も、「こういう人っているよなー」「こういう事件てありそうだよな」と思わせてくれるリアル生活小説とも読める。

特に評判になってはいないよう(直木賞を取ってから、佐藤正午作品がずらっと並んでいるのと書店で見かけるが、この作品はなかったような気がする)だけれど、評判になってないのに、こんなに面白い作品があるとは。正午、侮りがたし。

人参倶楽部 (光文社文庫)

今日の一曲

曲と言うより、ダンス。最近話題だった、登美丘高校ダンス部のパフォーマンス。



初めて観たとき、ぶっ飛んだ。では、また。
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