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『ブラインド・サイド』マイケル・ルイス

2017-09-13 | books
「マネー・ボール」のマイケル・ルイスが記すアメリカン・フットボールの世界。

メンフィスで、親には育てられず、里親のところをたらい回しにされ、小学校を11回も転校した黒人のマイケル・オアー少年。たまたま出会った白人の裕福な家庭に受け入れられる。マイケル少年は、身長196センチ、体重154キロもあるのに、非常に素早く動くことができた…

NFL(アメリカのアメフトのプロリーグ)で、ニューヨーク・ジャイアンツのローレンス・テイラーという選手が注目を集めた。ラインバッカー(ディフェンスの選手で、クオーター・バック(=QB オフェンスでボールを持って、パスしたりするリーダー的な選手)に襲いかかる役目をしているのだが、大きくて速く、何人もクオーター・バックを病院送りにしていた。すると、右サイドのラインバッカーやディフェンシブエンド(どちらもオフェンスの左側から襲いかかる。右利きのQBの場合、左側に背中を向けるので、そちら側が「ブラインド・サイド」になる。)によって、左サイドが襲われるので、左サイドにいてQBを守ることのできるレフトタックルの選手が重要になって来る。結果このポジションにいる優秀な選手の年俸が高騰した…

もう一つは、戦術の変化。アメフトは元々は、ラン(QBが、すばしっこいランニング・バックにボールを渡して前へ走り抜けてもらう)が通常の戦術だった。しかし、後にジョー・モンタナのいるサンフランシスコ49ナーズでヘッドコーチをするビル・ウォルッシュが、パスの方が実は確実に点を取れることを証明した。パスを主体にすれば、テイラーのような選手に襲われる危険も出て来るので、レフトタックルの重要性はやはり増すということになる…

というアメフトの近年の戦術の変化と、マイケル・オアーがどう成長していくかの話…

これは面白かった。ものすごーく面白かった。

アメフトは、昔よくテレビで観ていた(大橋巨泉がBSで解説やっていた頃)のだけれど、最近は全然観てない。ジョー・モンタナがいた49ナーズが東京ドームで試合をやったのは観に行った。ルールぐらいは分かるけれど、戦術については全く分からない。

これを読んだら、アメフトの試合が観たくなった。

オアーは、数学も英語もろくに学習していないため、高校を卒業するのすら危うい。ある程度以上の成績を取れないと、大学でアメフトをするのが許されないのだそうだ。そのために、養父と養母たちが奮闘する様も面白い。

アメフトなんて興味ないという人にこそ薦めたい。

ブラインド・サイド  しあわせの隠れ場所 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

今日の一曲

何となく、SUPERCARで、"Lucky"



では、また。
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