頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『彼女について知ることのすべて』佐藤正午

2017-09-09 | books
鵜川は小学校教師。女と組んで誰かを殺そうとしている(という導入部から始まる)… 鵜川は同僚の笠松三千代と付き合っている。そろそろ結婚という時期に差し掛かっている。しかし三千代はややキレやすい女。文句ばっかり言っている。鵜川にどういうわけか、看護師の遠沢からアプローチが。彼女とそういう関係になってしまう…

うーむ。

文庫解説で、作者の佐藤正午へ読者(女性)から届いた手紙が紹介されている。その中で、佐藤が描く主人公は「第一に優柔不断で、第二に中途半端で、第三に軽薄で、第四にめめしくて、第五に自己中心で、第六に冷たくて…」と書いてあったそうだ。

当たっている。完璧に当たっている。そう。そういう主人公だからこそ読みたいのだ。優柔不断じゃない奴の話なんて読みたくない。

そしてまるで、自分のことが書いてあるんではないかと思うぐらいの親近感。そして罪悪感。鵜川に対する嫌悪感はそのまま自分への嫌悪感へと続く。

そしてさらに、ストーリー。時間軸をうまく前後に揺らして、何が起こったのか、簡単に分かるようで分からないようになっている。あの人とどうなったのだろうと思ったら、別の人との話。簡単にまとめてしまうと、女にだらしない男の話ってことになってしまうけれど、そんなに簡単にまとめてはいけん。いけんのじゃ。もっと奥深いものがあるんじゃー。

彼女について知ることのすべて (光文社文庫)彼女について知ることのすべて(新・死ぬまでにこれは観ろ! ) [Blu-ray]
↑映画にもなっているそうだが観てない。

今日の一曲

先日の「24時間テレビ」で走らされたらしい(全く観てないけれど)ブルゾンちえみのネタの元。Austin Mahoneで、"Dirty Work"




では、また。
コメント    この記事についてブログを書く
« 『さらさら流る』柚木麻子 | トップ | 『マインドフルネス最前線』... »

コメントを投稿