陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

六月の読書 夜に星を放つ

2024年06月24日 | slow culture

第167回直木賞受賞作である。タイトルに惹かれて読む。

紹介文をそのまま紹介すると「かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集」である。

婚活アプリで出会った二人、早世した双子の妹の夫との交流、学校でいじめにあっている父子家庭となった少女と亡き母親との交流、離婚して再婚した父に引き取られた男の子のけなげな孤独…。

どの短編も現代のどこにでもあるかもしれない日常の人間関係の綾が静謐に展開されてゆく。込み入った展開もない。日常を写生するだけでもこんなに物語となるのか?その底辺に流れる人の心の揺らぎ、平明にして余韻のある物語。そのプロット、勉強いたしました。

◇夜に星を放つ 窪美澄 文藝春秋 2022年5月初版

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