陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

八月の読書 ハックルベリー・フィンの冒けん

2018年08月19日 | slow culture

八月の読書、夏休みなのでやはり冒険もの。
という訳ではないが、新訳が出たというので
マーク・トゥエインの名作
「ハックルベリー・フィンの冒けん」を読む。
この本結構分厚い。読み応えがあると言えば
あるが、決して少年少女向けの児童文学だけの
域ではない小説である。

いかだでミシシッピ川を下ってゆく。
その間に様々な出来事に遭遇する
(詐欺、ペテン、殺し合い、なりすましetc…)
物語なのだが、(勿論人々の素朴で温かい光景もある)
1800年代前半のアメリカが、しっかり
描写されていて、なかなか奥が深い物語だ。

特に一緒にいかだに乗って逃げる黒人ジム
(ニガーという表現がされている)とハックの友情を
描きながら、当時の奴隷制度、詰まるところ
当時のアメリカの人種差別の実態を描いている。

それにしてもハックの何と機転の利く少年なことか。
教育も全くと言っていいほど受けていない、ほんの
10歳程度の子供のなんと雄弁なことか!
大人を相手にした嘘や詭弁には恐れ入ってしまう。
つまりしたたかに生きているのだ。それでもそこに
時々良心の呵責が存在するとことには救われる。

何とか読み終えたが、やはりアメリカ文学史上の
名作というだけのことはありました。

本書の訳では所々、註釈がつけられて、方言や
背景、意味が親切に解説されていて、当時の
バックグラウンドが解り、理解が促進されました。

ときどきはこうして古典を読まないとね。


■ハックルベリー・フィンの冒けん 1885年
マーク・トゥエイン、柴田元幸訳

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