“神戸からやってきた被災者の男が
広島市民になって初めて迎えたこの日
八月六日、いつもと違う広島を見る”
慰霊式・平和記念式典が終わり
粛々と平和大通りを歩く群衆
幾万人もの沈黙
しばらくして私は気付く
いつもの広島が、このひと日
聖なる地ヒロシマに昇華したのだと
老若男女 各国からやってきた外人さん
スローガンを胸にまとった人たち
紙芝居や路上の寸劇で訴える若者
取材する子供ジャーナリストたち
この日集まった人が皆巡礼者に見える
それぞれ ヒロシマに 祈り 願い
叫び 訴え 尋ね そして乞う
鎮魂の思い、悔恨の情
懺悔の慟哭、生への誓い
感謝の告白 消えぬ愛への未練
シンクロした巡礼者たちが放った気は
この原爆ドーム一体を帳のように覆っていた