弥生三月、一日のその朝。
新神戸駅から広島に向かう。
妻の入院や子供の受験と諸事重なるも
今日から単身、安芸の人として暮らす。
お天道様はそんな私の門出を
祝ってくれたのだろうか。
まるで霧が晴れた
摩周湖のような快晴であった。
赴任初日。
支社社員に所信表明を行う。
自己紹介と私のミッションを。
小さいながらもこれからはこの所帯を
背負っていく。テーマは
“選択と集中”“共有と交流”だ。
「う～ん、ちと気負い過ぎかな。」
まず一番に平和記念公園へ
原爆慰霊碑に祈りを捧げた。
神戸と広島…。
魂への祈りが日常で存在する街だ。
川と海と緑に囲まれた美しい街広島。
美しいけれど
ずっと悲しみを背負っている街ヒロシマ。
路面電車が走るレトロな街ひろしま。
この街がとても好きになりそうである
