104年前に劇場として建てられたところを映画館に改装し、
いろいろな波に揉まれながら現在に至っているそうだ。
昔の劇場らしく窓を開けるとかなり明るくなるのだが、
映画館らしく照明設備は乏しい。
ところがその乏しい照明で舞台を照らして観客を迎えると
観客からは一様に感嘆の声が漏れた。
何とも言えない雰囲気が生まれていたからだろうが、
これも劇場が持つ”味”というものだろうか。
古い劇場には、幽霊が住んでいるという。
いくつもの芝居がこなされていくうちに
登場人物が染み込んでいくのだろうか。
浅草に常盤座という劇場があった。
取り壊されるその直前に舞台に立つことができたが、
埃だらけの2階席から舞台を見た時、
大勢の観客に囲まれているような錯覚にとらわれてしまった。
改修される前の大須演芸場に出た時も
2階にある楽屋から2階席に回ってみた時も
染み込んでいる何かを感じた。
そしてここも、何かがありそうなのだ。
こういう劇場は、舞台に立っていて、楽しい。
お客さんも、全体から生まれる雰囲気を、
全身で楽しんでいたようだ。
良い劇場だった。
これからもいろんな人に育てていって欲しいと思う。