ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『トリスタンとイゾルデ』

2006-07-25 23:33:07 | 新作映画
----この人たちって「アーサー王」のお話に出てこなかったっけ?
「ぼくもそう思っていたんだけど、
この映画の時代背景は
ローマ帝国が崩壊した後。
プレス読んで分かったんだけど、
『トリスタンとイゾルデ』と言うのは、
最初は6世紀から8世紀のケルト史の中に
素朴な駆け落ち物語として
すでに現れているらしい。
そのオリジナルの物語が
騎士道華やかなりし時代に
媚薬のモチーフを織り込み
宮廷風恋愛として語り伝えられていく。
その変遷を記した
井辻朱美教授の解説は読み応え充分。
でも、この映画からは離れてしまうので
残念ながらここでは割愛ということで……」

----じゃあ、映画には駆け落ちはないわけだニャ?
「うん。でも、つらいつらい愛の物語だよ。
究極のメロドラマ。
20代の頃に読んだ『中世騎士物語』に出てきた
『トリスタンとイゾルデ』も、
こんな話だったのかなあ?
一言で言っちゃうと不倫なんだけどね」

----あらあら。ランスロットとギネヴィアと同じだ。
「まあ、基本は同じなんだけどね。
主人公のトリスタンは、
コーンウォールの領主マークを育ての父に持つ勇敢な騎士。
戦闘で瀕死の重傷を負い、
敵国アイルランドの海岸に流れ着いた彼は、
アイルランド王の娘イゾルデにかくまわれ、
献身的な介護を受けるうちに、
ごく自然に結ばれてゆく。
ところが運命の皮肉から、
イゾルデはマークと政略結婚をすることになる」

----ありゃ。それは確かにつらいね。
愛する人が父であり君主である人の妻ということでしょ。
いつもふたりを間近に見ることになっちゃう。
「おっ、フォーンも言うね。
しかも、その結婚はアイルランド王が
イギリスの領主たちの仲間割れを誘うために催したトーナメントに
トリスタンが名代として出場して
勝利したことによってもたらされている。
優勝賞品がイゾルデとの結婚と領地だったわけだ」

----ふうっ。ほんとうによく作り込まれたお話だ。
「だから、ある意味、観客も安心して観ていられる。
映画の方も映像に凝ることもなく、
この物語をビジュアル化するための
しっかりとしたロケ地探し、
そして当時を彷彿させる衣装や小道具、
それにきちんとした演技ができる役者さえ揃えれば、
それだけで一定レベルの作品にはなる」

----監督はケヴィン・レイノルズだっけ?
「うん。一時期、ケヴィン・コスナーとのコラボが多かった監督。
彼、こういうクラシックな映画には向いているんじゃないかな。
製作総指揮にリドリー&トニー・スコット。
リドリーが作るとシャープになってしまうし、
トニーが作るとファッショナブルになる。
たまにはこういう肩が凝らない
ウェルメイドな映画もいいかもね。
彼らの監督ヴァージョンも、あればもちろん観たいけど」

          
               (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは困ったことになったもんだニャ」身を乗り出す

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※ケヴィン・レイノルズは剣劇がお好き?

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