ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『トリノ、24時からの恋人たち』

2006-07-21 23:27:26 | 新作映画
「これはまた風がわりな映画を作ったもんだ」
----えっ?普通の恋愛映画とは違うの?
「うん。これは映画ファン……と言うよりシネ・フィルのための映画。
舞台となるのはトリノの
モーレ・アントネッリアーナ(国立映画博物館)。
その中の使われていない小部屋を自分の住居としている男マルティーノが主人公。
夜は夜警のかたわらにフィルムを回し、
昼は古びたキャメラでトリノの街を写し取っている。
そんな彼の元にひとりの女性アマンダが舞い込んでくる。
仕事先でトラブルを起こし、警察に追われる彼女を
マルティーノはモーレにかくまうが…」

----確かに、舞台設定はオモシロいけど、
お話自体はよくある感じだね。
「う~ん。というか、“かつてあったお話”って感じ。
この映画は、マルティーノとアマンダ。
そしてアマンダの恋人であるアンジェロを加えた、
三人の“懐かしい”お話になってゆく」

----あ~あ。『突然炎のごとく』ね。
さっき映画博物館が舞台と言っていたけど、
もしかして、いろんな映画へのオマージュが飛び出すのでは?
「そう。ご明察(笑)。
場所が場所だけに、名画のスチールも観られる。
マルティーノはとりわけバスター・キートンが好きで、
彼の映画の恋愛観『波瀾万丈の末、愛する女性と結ばれる』を理想とし、
まるでキートンのように笑わない。
そこにトリュフォーの分身である
アントワーヌ・ドワネル(ジャン=ピエール・レオー)を重ねれば
マルティーノができ上がる。
実はマルティーノは自分でも映画を作っている。
それは過去の名画と自分を重ねあわせ、
そこに隠し撮りしたアマンダの映像をカットバックしたもの。
つまりマルティーノからアマンダへの映画によるラブレターだね」

----確かにこれはシネ・フィル向きだ。
「しかも、その物語を
ダヴィデ・フェラーリオ監督が
映画的記憶をフルに生かした映像で撮る。
『突然炎のごとく』と同じナレーション、
アイリス・イン、アイリス・アウトの多用。
自転車が出てきた時に、アッと思う人も多いんじゃないかな」

----こう言う映画好きでしょ?
「う~ん。それこそ若いころだったら、もっと惹かれただろうね。
でも、いまはオーソドックスな語り口の映画の方が好みだな。
あまりにも、監督の映画に対する溺愛が出すぎていて、
『それ、言われなくても
みんな同じだよ、
だれだって映画は好きだよ』と少し皮肉ってみたくなる」

----年だね、えいも(笑)。
「でも、映画を好きになり始めた人、
いま映画に熱烈に恋している人には
この映画はおすすめ。
どれだけの名画がこの映画の中に隠されているか、
パンフなどを見る前に探してみるのも楽しいと思うよ」


          (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも猫は入れてもらえないんだよね、ここ」複雑だニャ

" style="line-height:160%;">※映画はいつまでも若い度
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