湯の澤鉱泉の良さを書き留めておきたい。
人里離れた静かな静かな一軒宿の創業は天保年間。150年の歴史を持ちます。
「よくいらっしゃいました。どうぞお上がりください」と大きな声の女将の、明るい笑顔で迎えられました。フロントでも部屋でも食事時でも、どんな質問にもハキハキとした元気な答えが返ってきます。「お客様ひとりひとりを家族が帰ってきたような気持でお迎えします」との対応を心掛けているそうで、私はついつい図に乗って「こちらに来て何年になります」など余計な事も聞いてしまいました。「嫁いで21年です」との返事。(写真:檜風呂全景)
料理は山菜が中心で、秋はキノコ、春は山菜など地場産の食材を使った地元ならでは料理。今回は鍋料理に山菜がフンダンに使われていました。魚料理も、鮮度の良い刺し身をはじめ、焼き魚、煮魚、川魚の焼き物など自慢の逸品が並びます。自家栽培の米で炊いたご飯に、自家製味噌の味噌汁、最後に手打ちの田舎そばも登場し、食べきれません。「湯の澤御膳」を、目でも舌でも堪能しました。
リニュアル後に造られた客室は、別棟です、本館からそこへの移動は階段が便利かと思えますが、車イスでの移動がしやすいように緩いロープ状になっていて、これなど身体に障害を持つ人への配慮でしょう。
近年、旅館業の運営は厳しくなり、まして福島近辺の宿の経営は困難を極めていることでしょう。交通不便な土地にある湯の澤鉱泉では尚更の事と想像出来ました。その様な状況の中でも健気に健闘する、茨城県でたった一軒の「秘湯を守る会」の宿。見送りの女将の「又来てください」の声に惹かれて、応援に来たいなと思いながら宿を後にしました。
次に向かったのが「袋田の滝」。30年数前とは様子が全く違っていました。入館料300円を払い、長いトンエルを抜けると観瀑台があり、更に奥にはエレベータが設置されていて、これで44mも上昇しました。ここから、滝を眺めると、袋田の滝が四段の滝であることが、はっきり分かります。(写真:袋田の滝)
最後に訪れたのが「西山荘」。入山料735円の高さに吃驚。ここまで来て引き返す訳にもいかず、入山しましたが「光圀公が隠居した建物に、現役を引退した者の料金735円高すぎ。割引制度ないの」と、ついつい嫌味を言うと、受付嬢、申し訳なさそうな顔をして「スイマセン」。ここは「徳川ミュジアム」の分館なのです。(写真:西山荘内)
かくして内原に戻り、一路帰宅の途についたのでした。