マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

七世松本幸四郎追遠『勧進帳』を観る

2012年10月06日 | 映画・美術・芝居・落語

 10月5日(金)、新橋演舞場の「芸術祭十月大歌舞伎」のチケットを頂き、観てきました。しかも桟敷席での観劇で、感激です(なんちゃって)。七世松本幸四郎を追悼(パンフレットには追遠とあります)し、今月は勧進帳が掛りました。
 昼の部は国性爺合戦と勧進帳
 夜の部は御所五郎蔵と勧進帳
 昼の部にも夜の部にも勧進帳です。配役はほとんど同じですが、昼の部は団十郎の弁慶、幸四郎の富樫が、夜の部は両者が入れ替え変わるという、新趣向です。ただ子役松本金太郎は何故か夜の部のみの出演。(写真:左団十郎の富樫、右幸四郎の弁慶)


 私が知っているのはミュージカルでも活躍する現幸四郎ですが、彼の祖父に当たる七世松本幸四郎は勧進帳の弁慶を当たり役として、千六百回以上も演じた伝説的人物で、その幸四郎を追遠し久々の勧進帳。
 勧進帳を歌舞伎で観るのは私は初めてです。一番舞台に近い桟敷から、弁慶演じる幸四郎の表情が良く見えます。いわば心理劇ともいえる二人の葛藤劇を間近でじっくり鑑賞出来ました。昼と夜の両方を観たとしても、初心者の私にその違いが分かるはずがありませんが、4日の朝日新聞夕刊にその劇評が載り次の様にありました。
 『昼の団十郎の弁慶。心は富樫になく、ただ義経を守ることにある。それは富樫との対決が済み、酒を勧められて舞う時にも現れて、主君一筋の武骨な漂泊者の悲しみがそくそくと伝わってくる。
 夜の弁慶演じる幸四郎は四方に気を配って寸分の隙もない。・・・富樫に酒を勧められるところでは、富樫の新しい計略かと疑って、警戒するのである。幸四郎は自分の持ち味を生かして一つの姿を完成させた。・・・』と幸四郎を絶賛しました。
 私の位置から良く見えた幸四郎の表情、それに伴いセリフが良く聞こえ、せりふのうまさは流石幸四郎と思ったのでした。余談ですが、子役松本金太郎は染五郎の長男にして7歳。昼の部は小学校に通学の為出演しなかったのか、など枝葉末節が気に掛ったのでした。