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マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『伝書鳩(レース鳩)のお話会』を終えて(その2)

2019年02月03日 | 学び舎

 尾上さんの話は鳩レースから離れ、鳩の歴史・その帰巣性や身体的特徴へと移って行った。私が特に興味を抱いたのは、鳩は何故1000km以上も離れた遠隔地から帰巣出来るのかと言う点だった。



 その理由の一つが聴力だった。鳩の聴覚は人間と比較して比べようもないほど優れ、2000kmも離れた山の風音や海の波音を聞き分けるそうな。疑っては申し訳ないが、本当だろうか?
 次に挙げたのが”超速脳”だった。一般的に言って鳥類は哺乳類に比べてはるかに速いスピードで意思決定する脳を持っている。空中を高速で飛行するという危険性と多様性の中で必然的に体得したものと考えられているが、その脳については世界中の学者によって現在も研究や実験が行われている。それら鳥類の脳のなかでも鳩の脳は、あらゆる鳥類の代表とみなされているそうな。(写真:キングオブジャパン号)



 超速脳以外に体内時計と体内コンパスも身に付けている。渡り鳥の多くは昼間は太陽を、夜間は星座を基準に方向を認識していると言われているが、月も太陽も常に動き、季節によってもその場所は一定していない。方向感覚を修正できるのは自分の身体のなかにある体内時計と体内コンパス。それによって太陽が見えない時も地磁気を頼りに方向を知ることが出来る。
 自分の鳩舎に近づき周辺の地形を視覚的に認知すると、自分の頭のなかにある地図の中から山や建物を目安にして鳩舎の位置を確認できる。見慣れた地形や場所が分かると有視界飛行となり、200m上空を飛んでいても地上のトウモロコシ一粒までも発見できる視力をもとに帰巣点を見つけ出すとも言われている。優れた地形認識能力と超視力をも持っているというわけだ。(写真:尾上鳩小屋)
 最後に挙げたのが、長距離を飛び切る優れた羽。鳩は、体の大きさに比べて大きな主翼を持ち、しなやかな羽軸は長く強靭で美しいのが特徴。その下で分厚い副翼が支えているという羽根構造。
 街中の道を歩いていても道に迷ってしまう私達人間と比較して、鳩とくに伝書鳩には数々の超能力あり、それらの総合力によって、遠隔地から帰還できることが理解出来たのでありました。
 鳩の”一夫一婦制”について聴衆の反応は強かった。番い(つがい)となったオスとメスは滅多に”浮気”しないそうだ。オスとメスが交互に卵を温める習性が関係するらしい。雛から孵る2羽の小鳩はオスとメスというのも不思議。
 
 幾つか質問が出された。「購入して来た鳩のパートナーはどうやって見つけるのですか」と質問には「成り行きに任せます」(爆笑)。(写真:鳩小屋内部)

 「どの鳩が優勝したのかどうやって判定するのですか」との問いには「鳩レースの優勝を決めるのは鳩時計に記録された時刻です」。質問者の疑問はまだ解けていない。
 「東京オリンピックの際尾上さんの鳩は飛んだのですか」。「私の鳩は30羽飛びました」と。





 普段では聞けない面白い話だったとの感想が多く寄せられた。86歳の方が矍鑠と語る姿に驚かれた方もいた。尾上さんお疲れ様でした。ご苦労さまでした。(写真:語り終えた尾上さん)
 
 




   

 
 


『伝書鳩(レース鳩)のお話会』を終えて(その1)

2019年02月01日 | 学び舎

 1月29日(火)、『伝書鳩(レース鳩)のお話会』が参加者24名のもと、本駒込地域活動センターで行われた。
 語り手は、「尾上小鳥店」の経営者だった、86歳の尾上(おがみ)多喜雄さん。お話会の主催者の一人津久井さんの紹介によると、彼は豊島区のある町会の会長を30年間も勤められるかたわら、伝書鳩を約40年も飼われ、鳩レースには何回も参加し優勝した経験も多数ある。そのエピソードの数々や伝書鳩についての話を2時間半近く熱く語った。私はパワポを用いて映像面でのお手伝い。
 はじめに語ったのは、ドバトと伝書鳩の違い。伝書鳩の元もとはドバトと同種類のものだったが、その優れた帰巣性と長距離飛行の特徴を生かして人工的に改良したものが伝書鳩。かっては「伝書」という通信手段としての役割を担っていた。今では鳩小屋も解体し、鳩の飼育も中止して20年近くも経つが、年に2~3回は鳩の夢を見、涙をながすほどの「ハトキチガイ」。
 鳩レースに参加して2年目。東京から600km離れた野辺地からのレース。今か今かと鳩の帰りを待ちわびる目に、北西の方向からごま塩のような黒点が見る見るうちに影が大きくなり鳩舎目がけて猛烈なスピードで鳩小屋の到着台に舞い降りたバンデン号!後で分かったことだが、参加532羽のうち帰還出来た鳩は3羽のみの過酷なレースでの優勝だった。バンデンは輸入したバンデン・パパ号の直仔だった。

 その後1000kmも離れた汐見(北海道羽幌町付近)からのレースでも初挑戦にしての優勝し、連合会の中で一躍注目を浴びるようになっていった。しかし、稚内1100kmからのレースでは必勝の思い出参加させたバンデン号は7日の記録期間中にも帰還せず、意気消沈し諦めかけていた17日目、息絶え絶えに舞い降り、羽はバサバサでヨレヨレの鳩はバンデン号だった。自分と
向き合った鳩の目に涙。鳩にも気持ちがあり、その気持ちが以心伝心で伝わった瞬間。それ以来鳩の世話に心血を注いできた。

 一気に個人的・具体的な経験や思い出を語ると話は鳩の歴史・その帰巣性や身体的な特徴へ移っていった。(つづく)

 
 
 



 今日の一葉:雪かと窓の外を見ると月と金星が輝いていた
 


次回お話会は「伝書鳩(レース鳩)のこと」

2018年12月10日 | 学び舎

 前回のお話会、対馬てみさん語る「津軽昔っこ」は出席者は35名で大いに盛り上がって終了した。
 次回は来年の1月29日(火)に尾上(おがみ)多喜雄さんによる「伝書鳩(レース鳩)のこと」が予定されている。お話に加えて、プロジェクターを通して伝書鳩などの映像をお見せするのがベストではと、津久井さんを通して尾上さんに伝えて貰らった。尾上さんは、それは有難いとのことで、前回のお話会の日に、当日お見せする写真を10枚ほどとレポートを持参された。私はそれらを基にして、「Power Point」による、一応の”物語”を完成した。


 12月5日(水)にカフェ「キャピタル」でお会いし、写真とレポートをお返しすると同時に、その”物語”をお見せした。概ねその線でお願いしますとのことで、来年に入ってから再度お会いして、微調整をすることとなった。





 尾上さんは長らく豊島区で鳩をはじめ愛玩用の小鳥屋さんを営むかたわら、鳩レースに参加し、大きな大会で何度も優勝した経験の持ち主。稚内から飛ばした数百羽の鳩のうち帰舎できたのは3羽のみ。そのうちの一羽が尾上さんの鳩だった。





 55年前に開催された東京オリンピックの開会式で数百の鳩が飛び立った場面を私もよく覚えているが、そのうちの30羽は尾上さんが飼われていたものだったそうだ。色々と面白い話が聞けそう。特に1000キロ以上も離れた地点から鳩はどうして戻ってこれるのか、その謎を是非聞きたいと思っている。
 開催場所の確保も私の役割。無抽選で駒込地域活動センターの予約が終了した。あとは1月29日を待つばかりである。


更級日記を終えて土佐日記へ

2018年12月09日 | 学び舎

 昨日の8日が今年最後の「源氏の会」で出席者は12名。『更級日記』の最終回でもあった。妻は最終章「孤独の日々」を語り終えると、休憩後『土佐日記』へと入っていった。
 冒頭の「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり」で知られる土佐日記。今回は内容に触れず、著者の紀貫之の出自についての話に終始した。









 会終了後、昼食会へ。2ヶ月に1度の「源氏の会」は年に6回開かれる。そのうちの何回かの昼食を皆さんで一緒にすることを始めていて、その場所の案内役が私。10月から始め、前回は東洋大脇の中華料理「留園」で、今回が「薬膳かふぇ 然」へ。






 妻と私はここを何度か訪れたことがあった。白山通りを白山台地の方へと少し昇ったところにある、薬膳カレーが中心のお店。日本家屋を使用した落ち着いた雰囲気のお店で庭が見渡せる。店主らしい母さんと、薬剤師の娘さんの二人で切り盛りしていて、非常に感じが良かった。このお店、隠れ家的存在で、まだあまり知られてはいないので、土曜の午後に、10数名での予約が可能だった。







 野菜が中心のヘルシーなランチは全て1000円。スープカレー・薬膳カレー・豚丼などが用意されている。食後の皆さんの評判は〇だった。(写真:スープカレー)


都高教退職者会主催「原発学習会」

2018年12月02日 | 学び舎

 12月1日(土)の昨日、都高教退職者会主催の「原発学習会」が開催され、主催者側の一員として私も出席し、学んで来た。
 退職者会はこの数年、春には「憲法学習会」を、秋には「原発学習会」を開き、基本的に大事な事柄を繰り返し学んできた。今回の講師は、福島県三春市で喫茶店を営んでいた、「福島原発告訴団」団長の武藤類子さん。
 「さようなら原発5万人集会」での武藤さんの、「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」との、被災者を置き去りにしたまま原発を推進しようとする動きへの怒りを訴えたスピーチは多くの人の共感を呼んだ。

 昨日はパワポを用いての『福島の現状と東電刑事裁判』と題する、2時間にわたる熱の籠った講演。話の中心は2つあった。最初の論点は、依然として放射性物資を含む汚染水が大量に発生し続けていること。除染廃棄物も増え続け、その対策費用として多額の国費が支出されている現状。
 続いての話が福島原発事故の刑事裁判の詳細な報告。検察庁は裁判を開かない決定をしたが、一般市民による検察審査会は刑事裁判を開くことを決定。多くの証人尋問から「福島沖の津波は十分注意すべき確率にあり、予測される津波に対して東電は十分な対策を取らねばならないことを認識していた」事実を明らかにしてきた。それに対して東電の元会長などは、不誠実な証言を繰り返すのみとの話。実際に裁判に臨んで来た方の話は分かり易く、迫力に満ちていた。どの様な判決が下されるか凝視したい。