映画は見られるときに見に行く。
というわけで今日も塚口へ。
今日見てきたのは、去年すでにTOHOシネマズ梅田で見てきた「NOPE」。なお写真取ってくるのは忘れました。
わたくししばしばほかの映画館ですでにみた作品を塚口で見ることがあるんですが、その理由はもちろん音響。
本作も一度見たときに「これは明らかに塚口案件だ!」と確信しておりましたところ、案の定というかなんというか上映されるとのことなのでホイホイ見に行きました。
いやー思った通り化けましたね。
静かかつ不気味な雰囲気の序盤を通して、雲の中に潜む謎の物体がその姿を現す中盤からラストの音響がまさに牙を剥く!
特に本作、謎の物体のサイズが大きい、なおかつ空中にいるのでそれが出現したときの「上から得体の知れないものが覆いかぶさってくる圧迫感」がすごい。これ、苦手な人だったら本当に気分悪くなるレベルだと思います。ガルパンのときも思いましたが、塚口の音響は「場に臨む感覚」すなわち臨場感が凄まじい。本当に謎の物体が頭上にいる気がしました。そもそも劇中でも家の中に必死で逃げ込んでガタブルしてるときに上になんか明らかにやばい円盤生物がいるってシチュエーションでしたしね。助けてウルトラマンレオ!
しかし本作にはウルトラマンは登場しないので、人間の手でなんとかしなくてはいけません。しかし、本作の主人公であるOJやエメラルドの目的は、あくまで地球外生命体を撮影することであり退治するのは副次的な目的となっているのが肝だと言えるでしょう。
彼らは基本的にいわゆる承認欲求を満たすために謎の飛行物体を撮影して有名になろうとしているように見えます。もちろん謎の物体を追う彼らの目的はそれで間違いないんですが、明らかにそれだけではないんですよね。
彼らは世界で初めて動画を撮影された名もなき黒人騎手の子孫でありながら、有名人であるわけでもなく人里離れた田舎の牧場でほそぼそと生活しています。そんな彼らのバックボーンには、「有名になりたい」「注目されたい」という以上に「自分の存在を世界に知らしめたい」「自分の存在証明を得たい」という切実な欲求があったように思います。無名の黒人騎手は、その子孫である彼らにとって過去の栄光であるとともに、「自分たちには存在証明がない」という根本的な不満の象徴だったんじゃないでしょうか。じゃなければ、承認欲求だけであんな危険な挑戦を挑んだりしないでしょう。
ほかの登場人物も、自身の現状に根本的な不満を持っています。片田舎のスーパーマーケットで退屈な仕事に日々を浪費しているエンジェル、老いた映画監督であるホルストらもまた、そうした不満を満たすために謎の飛行物体を追いかけます。
この辺、角度を変えれば失った青春を再び取り戻すいわゆるカムバックものとして見ることができるかも。
ただ、本作は彼らを一方的にヒロイックなキャラクターとしては描いていません。その象徴とも言えるのがジュープでしょう。彼もまた子役であったときの栄光を忘れられず、その結果謎の飛行物体を見世物として利用しようとします。そして、かつて子役として出演していた番組の収録中に、劇中で使われていたチンパンジーが突然人間を襲い始めるという事件をなぞるかのように、見世物にするはずだった謎の飛行物体に食われてしまいます。
また、終盤で登場するフルフェイスのミラーヘルメットのバイカー、あれもキャラクターというよりは、必死に飛行物体を追うOJやエメラルドをそのミラーヘルメットに歪めて映すことで「お前らも結局は俺と同じように功名心のために飛行物体を追ってるだけなんだろ?」とせせら笑うための舞台装置のような気がしました。
そして本作はSFサスペンスであるとともにファーストコンタクトものなわけですよ。でも未知との遭遇だと思ったらジョーズだったでござるの巻!!
なんかスピルバーグっぽいネタを感じると思ったらそっちのスピルバーグだったのかよ!といった感じです。
なんかスピルバーグっぽいネタを感じると思ったらそっちのスピルバーグだったのかよ!といった感じです。
前に見たときの感想にも書きましたが、謎の飛行物体こと「Gジャン」の不気味かつ神秘的な造形は、半分くらいこれ目当てで2回目を見に行ったくらい好き。外面に生物的な牙とか舌とかのパーツがないのが不気味さを増してて好き。
ジョーダン・ピール監督の作品はまだこれしか見たことがないんですが、「ゲット・アウト」や「アス」も見てみたいですね。