秋季例大祭新刊もメロンで購入してきたので、紅楼夢のが終わったらレビューします。
・ねむの花(くろぬこ亭)
このサークルさんは以前pixivとtwitterで偶然見つけて、その独特な力を感じる絵柄に惹かれてチェックしていました。
わたくし絵の方は門外漢なので、この一度見たら忘れられないインパクトの絵柄、どのようにして描かれているのかはわかりませんが、言葉で表現するとどんな文言を選べばいいんでしょうか。
劇画調……浮世絵……紙芝居……どれもなんだかしっくり来ないと思ってましたが、その語り口も含めてぴったりの表現を見つけました。
「講談」です! 多分この言葉が一番合うと思う。
このサークルさんの漫画を以降「講談漫画」と呼びたいと思います。
さて内容は、妖夢に、慧音と藍が思い出話を語るというもの。
わたくし妖夢は永遠の未熟者であって欲しいと常々願っているのですが、本作の妖夢は大人代表である二人もいるためにことさら若く幼く微笑ましいですね。
そして思い出話は、その「完成された大人」のひとりである慧音の若い頃の話、そして彼女の運命の人とも言える妹紅との出会い。
慧音と妹紅の出会いは 東方二次創作の古典的テーマ、お約束の一つですが、この切り口はなかなかなかったんじゃないでしょうか。
特に妹紅に皇統の血が流れていることを知り、己の野望に心を焦がしてしまう慧音なんてなかなかないイメージだと思います。
他にも、若い頃の藍と慧音のぶつかり合いなども今まで見たことのない展開で目を引かれました。
そしてこの絵柄!
戦闘シーンは血腥く、日常シーンはほのぼの、静謐のシーンには不思議な艶っぽさを感じます。まず表紙に漂うこの色気よ!
物書き視点から見ると絵柄というのは文体なわけですが、この文体がまた渋めのストーリーに合ってるんだわ。
優れた作品には「味」や「匂い」を感じるものですが、この作品からは抹香の匂いを感じました。
今日はここまで。