いよいよ明後日は紅楼夢。
実はまだ看板作ってません……。
・ムガムビル3(薬味さらい)
テーマとそれの作品への落とし込みという点では東方二次創作で随一の完成度と言えるであろうサークルさんの総集編第3弾。
今回はかなりバラエティ豊かな構成となっています。
それではいつものように収録作品ごとに感想を書いていきましょう。
・イカロス
手に入れた八咫烏の力で地底に太陽を作り出そうとするお空。
しかしそれを快く思わない者もいて……。
公式でお空との仲良しが明言されているお燐ですが、だからこそ本作での彼女の抱いていた嫉妬心が色濃く浮き彫りにされていると思います。
対するお空の方は、描き下ろしの「ルベバ」で描かれているように、「全ての飲み込み包み込む空」として描写されてる感じですね。
今更太陽など……という地底の妖怪たちやお燐の人間臭い感情とは対象的に、お空は一見純真なキャラに見えて実は歪な存在に見えます。
・カミナレ
幻想郷の暗い部分、残酷な部分も容赦なく描き出すこのサークルさんですが、ついにこのテーマを明確に作品にしたか……という気持ちです。
ずっとシリアスではなく途中途中にギャグがはさんであるからこそ、非人間的行為の代表格である「食人」をも幻想郷は受け入れるということをまざまざと感じさせられます。
個人的に秀逸だと思ったのがシーンの配分。
「食人」というショッキングなシーンをことさらに強調するのではなく、そこへたどり着くまでの過程・葛藤をじっくり描くのがまた残酷。
葛藤というのもまた違う気もするなあ。
全体を通して早苗はすでに食人を通して人間をやめることをほぼ受け入れており、最後の一歩を踏み出すまでの話ってところでしょうか。
それでも抵抗なく受け入れているわけでもなく……という複雑な感情が読み取れます。
・フランドッグ
さっきあんだけシリアス&ヘビーな話やったのになんなのこの落差は!? 脳がついていけないんですけど!?
読んでる間ずーっと「絶対なにかある……絶対なにかある……絶対重いオチが来る……」と超警戒してたんですが何もなくほんとにギャグで終わってて完全に疑心暗鬼に陥りました。もう何も信じられない。
おぜう様の体を張ったカリスマブレイクっぷりも見逃せません。
咲夜さんに関してはもはや掛ける言葉が見つかりません。
・堕天子
タイトル通り、天子が天人としての力を失い地上に堕ちる話。
そこに正邪と萃香を絡める辺りがすごく意外な組み合わせで、それだけで話がどう転がるのかが楽しみになります。
これだけ意外な組み合わせで話が破綻してないのがすごいなーと。
それもちゃんと各人の性格、行動原理がストーリーラインを組み上げているのはさすがとしか。
特に萃香が非常にいいキャラ……というかイイ性格してるなコイツ。
・ばばんばばんき
まさかのギャグ2連発! もう扉の段階でイヤな予感しかしない!
なんかもうどっから突っ込めばいいのかわかりませんが、とりあえず赤魔道士のくだりは死ぬほど笑いました。
でも実は最後のオチは収録作品の中で一番好きだったり。
こんだけバカやっててもやはり本質は妖怪なんだって思わされます。
・ルベバ
描き下ろしマンガ。
収録作品がTVシリーズだとすると、この書下ろしは劇場版って感じでしょうか。
収録作品でのネタをまとめ上げて一本の話にするというこの構成力!
全員が力を合わせて……という少年漫画的王道展開も素晴らしい。
さらにこの書下ろしが各収録作品の後日譚になってるって点もいい。
「総集編」という舞台を最大限に活かした描き下ろしだと思います。ボリュームもたっぷりあるしね。
今日はここまで。
ラスト2本!