今月23日まで両国国技館で行われた大相撲秋場所は、横綱・白鵬関が15戦全勝で41度目の優勝。8場所連続休場から復帰した稀勢の里関は、15日間休まず出場し、10勝5敗という結果でした。千秋楽から2日経った25日、かつて「平成の大横綱」と言われていた貴乃花親方が、日本相撲協会を退職する意向を示しました。
貴乃花親方は「貴乃花一門」から離れて無所属で活動していますが、27日までの理事会までに所属一門に入らなければならず、決まらなかったら場合は厳しい処分が待っていたので、動向が注目されていました。すると25日午後、日本相撲協会に自身の退職届と、貴乃花部屋に所属する力士、床山、世話人の所属先変更願を提出したのです。
夕方5時頃に記者会見を開き、貴乃花親方は退職に至った理由を次のように述べました。
・3月9日に貴ノ岩への傷害事件に対する日本相撲協会の対応などについて、真実を隠さず追及したいと内閣府公益認定等委員会に告発状を提出。
・貴公俊の暴行事件により、28日付で告発状を取り下げたが、告発状の内容には真実に反する点はなかった。
・8月7日、日本相撲協会より依頼された外部の弁護士の見解を踏まえた書面が届き、「告発状は事実無根な理由に基づきなされたもの」と結論付けられた。
・貴乃花親方は書面で、「告発状の内容は事実無根ではない」と反論。
・しかし、「『事実無根な理由が基づいてなされたものである』と認めないと、親方を廃業せざる得ない」という有形無形の要請を受け続けてきた。
・理事会において、「全ての親方は一門のいずれかに所属しなければならず、一門に所属しない親方は部屋を持つことができない」という決定が成されたが、同時に一門に入るための条件として「『告発の内容は事実無根な理由に基づいて成されたものである』と認めるように」との要請を受け続けていた。
・提出した告発状は事実無根な理由に基づいていない。真実を曲げてまで認めることはできない。
・このままではどの一門にも属することができず、部屋の弟子たちが相撲を取ることが困難になり、安心して鍛錬することができないので、全ての所属力士と床山・世話人たちを千賀ノ浦部屋に所属先を変更させ、貴乃花親方は年寄を引退する決断に至った。
貴乃花親方の主張に対し、日本相撲協会側も会見を実施。会見には元横綱・大乃国こと芝田山広報部長が出席。
・「事実無根と認める」といった有形無形の圧力はかけていない。
・「一門に属さないと部屋を持てず、親方クビ」という件については、阿武松親方が「一緒にやって行こう」と何度も説得していた。
・書類にも不備があり、「引退届」ではなく「退職届」であること、「弟子たちの所属変更願」も千賀ノ浦親方の署名と捺印がないとして、受理できないと説明しました。
会見の模様を見たんですが、協会側が貴乃花親方にパワハラをしているのではないかといった感じがしました。「一門に所属しない親方は部屋を持つことができない」というルールは、貴乃花を排除したいとしか思えない。相撲協会もパワハラを認めたと言ったら批判が殺到するので、「圧力は否定だ」と言っている。貴乃花親方の退職騒動は、ワイドショーなどで大きく取り上げられそうです。
昨年11月の九州場所中に貴ノ岩関が元横綱・日馬富士関に暴行された事件から、貴乃花親方に関するニュースが相次ぎました。
・八角理事長との対立激化。
・今年1月 巡業部長として傷害事件を相撲協会に報告する義務を怠ったなどの理由で理事を解任。
・今年2月に理事選挙に出馬するも、わずか2票で落選。
・今年3月の春場所では、連日のように役員室を早く退出。
・春場所期間中、十両に昇進したばかりの貴公俊が、付き人の力士に暴行を加えていたことが発覚。親方に謹慎を言い渡され、夏場所は出場停止。
・春場所終了後、貴乃花親方は「年寄」まで降格。
・今年6月 貴乃花一門を離脱、「一兵卒」として無所属で活動。
・7月の名古屋場所で貴ノ岩が十両優勝。
・今年8月 夏巡業先の秋田市内で倒れて救急搬送。一時意識不明になるも、回復した。
・「貴乃花部屋」として最後の本場所となった秋場所は、幕内復帰の貴ノ岩が10勝5敗、小結の貴景勝も9勝6敗で3場所連続勝ち越し。
応援会のHPに「長らく貴乃花を応援してくださりありがとうございました」と書いてあったから、親方をやめるのかなって思いましたが、本当に相撲協会に退職届を出したので驚きました。平成の相撲ブームを牽引し、親方としても4人の関取を育て上げた貴乃花親方が、このような形で角界を去るのは残念です。理事長になって、相撲界に新しい風を起こしてほしかったです…。今後も土俵に携わる意思を見せていますが、その前に体調管理をしっかりしていただきたいです。