「第93回全国高校サッカー選手権」は10日、埼玉スタジアム2002で準決勝2試合が行われました。準決勝以降の試合は、昨年まで国立競技場が使用されていましたが、国立が改修工事のため、今大会から埼スタで開催されることになりました。「蹴都移転」最初の年となる今回、星稜(石川)、日大藤沢(神奈川)、流通経済大学付属柏(千葉)、前橋育英(群馬)がベスト4に進出。12日の決勝戦に駒を進めたのは一体どこか?
準決勝第1試合:星稜VS日大藤沢
前回の準優勝校・星稜は、大会直前に河崎護監督が交通事故により入院。それでも監督不在の中、3大会連続の準決勝進出。対する日大藤沢は、田場ディエゴ&前田マイケル純のハーフ選手を中心に快進撃を見せ、初のベスト4入り。北陸の雄・星稜に挑みます。
一進一退の攻防が続く中で迎えた前半21分、星稜MF・藤島樹騎也がペナルティエリア内で藤沢・大野樹に足を引っ掛けられてPKを獲得。このPKを平田健人が蹴るも藤沢GK・鈴木孔明のファインセーブに阻まれる。しかし、セカンドボールをMF前川優太が拾い、クロスボールが藤沢DF小野寺健也の頭に当たってゴールイン。記録は小野寺のオウンゴール。星稜が何ともラッキーな形で先制点を奪います。
1点を先制した星稜は前半35分、左サイドで藤島→森山泰希がドリブルで仕掛け、グラウンダーのクロスにMF杉原啓太が左足シュートを決めて2点目。さらに前半終了間際の44分、藤沢DFのハンドでPKを獲得し、FW大田賢生がゴール左隅に叩き込んで3点目。星稜が前半のうちに3点を奪いました。
なんとか一矢を報いたい日大藤沢は、後半9分にペナルティエリア内の混戦からディエゴがボールを持ち、ドリブルから右足を振り抜いたが、相手選手にブロックされた。星稜は後半12分、DF原田亘のロングパス→森山が左サイドを突破してシュートを放ったが、ポスト左に外れて追加点ならず。さらに後半26分、右サイドのクロス→DF鈴木大誠がヘッドで叩きつけるもDFに阻まれ、こぼれ球を原田が左足ボレーを狙うも枠を捉えられず。
後半33分、藤沢はMF佐藤拓がFW石井雄大とのワンツーからシュートを狙ったが、星稜GK・坂口璃久の好セーブに阻まれてノーゴール。36分にはディエゴがPA手前から左足シュートを放つも、ボールは左に逸れてしまう。藤沢は1点も返せないままタイムアップ。星稜が3-0で日大藤沢に快勝し、2大会連続の決勝進出です。
準決勝第2試合:前橋育英VS流経大柏
関東勢同士の対決となった第2試合は、第86回大会以来7年ぶりの優勝を目指す流経大柏と、これまでベスト4に4度進みながらも全て敗れている前橋育英が対戦しました。
まず前半17分、前橋育英はMF渡邊凌磨が左サイドから強烈な右足シュートを放ったが、流経大柏GK・瀬口隼季が素晴らしい反応を見せる。23分には右サイドのMF鈴木徳真の縦パス→FW関戸裕希のグラウンダーの折り返し→FW青柳燎汰が右足でシュートするも枠外。対する流経大柏は34分、MF小川諒也が左サイドの位置からシュート性のクロスを入れ、ボールはゴールの枠内を捉えるも、前橋GK・吉田舜がパンチングで防いだ。触っていなければゴールだったかもしれない。前半44分、流経大柏はPA手前の位置でFKを獲得。小川が左足で直接狙うも、バーの上を超えて得点ならず。前半は両チーム無得点のまま折り返す。
後半8分、前橋育英はDF宮本鉄平が自陣からロングパス→これに反応した渡邊がDFラインの裏へ抜け出し、左足シュートを打つが、柏GK・瀬口が体を張ってセーブ。さらにその1分後、右サイドのクロス→ファーサイドにいた渡邊が左足シュート。しかし、これはクロスバー直撃。立て続けに決定的な場面を作った前橋育英だが、渡邊のシュートはゴールネットを揺らせず。
0-0のまま迎えた後半27分、ついに試合が動きます。中盤で途中出場・相澤祥太が前線へ浮き球のパスを入れ、前線にいた小川が前橋DFと競り合いながら左足ループシュート。ボールはGKの頭上を越え、そのままゴールへと吸い込まれた!小川諒也の技ありゴールで、流経大柏が試合の均衡を破り、1点を先制します!
1点ビハインドの前橋育英は、攻め込みながらも流経大柏の堅い守備を崩しきれず。このまま流経大柏が逃げ切るかと思われた後半45分、前橋育英の左サイドのクロスボールを相手DFが頭でクリア→セカンドボールを拾った鈴木徳真がPA手前から右足ミドルシュート。DFの足に当たってコースが変わり、ゴール左隅へ!鈴木徳真の起死回生の一撃で、前橋育英が土壇場で1-1の同点に追いつきます。
90分では決着がつかず、勝負はPK戦へ。両チーム1人ずつ成功して迎えた2本目、先攻の流経大柏の2人目・高沢優也のシュートがポスト右に当たって失敗。対する後攻・前橋育英は渡邊がきっちりと左隅に決めた。育英はその後、3人目と4人目も成功し、最後の5人目・坂元達裕も成功して勝負あり。前橋育英がPK戦を制し、群馬県勢初の決勝進出を果たしました!
というわけで、10日の準決勝は、星稜高校と前橋育英高校が勝利し、12日の決勝戦に駒を進めました。星稜高校は前半に3点を奪うゴールラッシュを見せ、日大藤沢の攻撃陣をシャットアウト。藤沢は前半21分にGKの鈴木選手がPKを止めたのに、その後にDFがお粗末なオウンゴールを犯して先制点を与えてしまいました。3点目を決めた大田選手は、3回戦から3試合連続ゴール。今大会3得点目で、得点ランキングもトップタイ。決勝では4試合連続ゴール&単独得点王がかかっています。星稜は2年前にベスト4、昨年は決勝戦で2点をリードしながらも、富山第一高校に逆転負けして準優勝でした。恐らく今年は優勝しそうな予感?入院中の監督のためにも、日本一にならないといけませんな。
前橋育英は、5度目のベスト4で悲願のファイナル進出。後半27分に先制されたときは、今回もダメかと思われましたが、アディショナルタイム直前に同点に追いつき、その直後のPK戦で全員成功。過去4度準決勝で敗れていて、山田耕介監督も「呪いがかかっている」と自虐的なコメントをしていましたが、今年ようやく呪いが解けました。ベスト4の壁を乗り越え、頂点まであと1勝。2013年の夏、野球部が夏の甲子園で全国制覇。今度はサッカー部が全国制覇となるでしょうか?
第93回全国高校サッカー選手権大会も決勝を残すのみ。「星稜VS前橋育英」の決勝戦は、1月12日13時35分にキックオフ。どちらが勝っても初優勝、全国4154校の頂点に立つのは果たして?決勝当日は、AFCアジアカップの日本VSパレスチナと日程が被ってます…。