2014年12月30日に開幕した「第93回全国高校サッカー選手権大会」も残すところあと1試合。成人の日の1月12日は、埼玉スタジアム2002で決勝戦が行われました。今大会の決勝は、2大会連続の決勝進出を果たした星稜高校(石川)と、5度目にして初めてベスト4の壁を破った前橋育英高校(群馬)が対戦。どちらが勝っても選手権初優勝となる一戦は、延長戦までもつれこみました。
両チームのスタメン
[前橋育英高]
GK 1 吉田舜
DF 3 岩浩平
DF 4 宮本鉄平
DF 6 渡辺星夢
DF 16 上原大雅
MF 10 渡邊凌磨
MF 11 坂元達裕
MF 13 吉永大志
MF 14 鈴木徳真(C)
FW 9 青柳燎汰
FW 24 野口竜彦
[星稜高]
GK 1 坂口璃久
DF 2 宮谷大進
DF 3 原田亘
DF 4 高橋佳大
DF 5 鈴木大誠(C)
MF 7 藤島樹騎也
MF 8 平田健人
MF 9 前川優太
MF 15 杉原啓太
FW 10 大田賢生
FW 11 森山泰希
前半は立ち上がりから星稜ペースで進み、迎えた前半10分、大田が前橋育英のDFからGKへのバックパスに反応。ペナルティエリア内で前橋GK吉田が大田を倒してしまい、星稜にPKが与えられる。相手のミスを突いて先制のチャンスを迎えた星稜は、このPKを前川が決めて1点を先制します。
流れに乗る星稜は、20分に杉原が右サイドを突破してシュートまで持ち込むも、ゴール左へ流れる。28分には杉原がドリブルから左足を振り抜くもサイドネットに当たり、29分には前川が強烈なシュートを放つも大きく外れます。対する前橋育英は30分、坂元がPA右から左足を振りぬくも、シュートは星稜GK・坂口に防がれる。34分には渡邊がペナルティーアーク内から右足ボレーを放つも、わずかにゴール左。さらに36分、味方の縦パスから青柳が抜け出したが、星稜DFにブロックされてシュート打てず。前半終了間際の44分、星稜は藤島のスルーパス→大田のシュートはゴール左に外れて追加点ならず。前半は星稜1点リードで折り返します。
エンドが変わった後半、試合が激しく動きます。後半8分、前橋育英はGK吉田のロングキック→ボールはFW青柳の頭を超えると、最前線にいた野口にボールが渡り、左足でゴール右隅に流し込む!今大会初スタメンの野口が、先発起用に応えるゴールで前橋育英が1-1の同点に追いつきます。その2分後の後半10分、左サイドで渡邊がドリブルで仕掛けると、PA左から右足シュートをゴールに突き刺す!わずか2分間で前橋育英が2-1と逆転!
しかし後半18分、星稜も反撃。右サイドで大田がクロスを上げ、ゴール前に詰めていた原田がヘディングシュートを叩き込む。これで2-2と試合は再び振り出しに戻った。
前橋は後半26分、渡邊が右足ミドルシュートを狙うも、ゴール左に外れる。星稜は後半40分にセットプレーのチャンスを迎え、左CKがファーサイドに流れ、味方選手のパスを受けた大田が右足を振り抜いたが、シュートは前橋GK吉田が右手で触った後、クロスバーを叩いて勝ち越しならず。2-2のまま90分が終了し、延長戦に突入。
迎えた延長前半5分、星稜は左サイドのスローインのこぼれ球に反応したFW森山が左足の強烈なシュートが決まり、3-2と星稜が勝ち越し!1点を追う前橋育英は9分、中盤の位置で青柳が前線へロングパス→渡邊がフリーの位置から右足シュートを放つも、枠をとらえられず。そして延長後半9分、星稜は右サイドで粘りを見せると、森山がPA付近から右足のミドルシュートをゴールに突き刺してダメ押しの4点目!森山の連続ゴールで突き放した星稜高校が、4-2で前橋育英を破りました。
「蹴都移転」と銘打たれた今大会の決勝戦は、試合が二転三転する激闘の末、星稜高校が延長戦を制し、選手権初優勝を果たしました。前半にPKで先制しながらも、後半に一旦逆転されるも、すぐさま同点に追いつき、延長戦で森山選手が2ゴールを挙げて勝負あり創部48年目、25回目の選手権出場で悲願の日本一。北陸勢の優勝は2年連続、石川県勢の優勝は初めてです。
星稜は一昨年がベスト4、昨年は富山第一に敗れて準優勝。今年は開幕直前に河崎護監督が交通事故に遭って入院を余儀なくされ、木原力斗コーチが監督代行として指揮を執ることに。初戦となった2回戦では、鹿児島城西高を相手にPK戦の末に勝利。3回戦では米子北(鳥取)に2-1で競り勝ち、準々決勝の履正社(大阪)戦では、大田選手の1点を守り切りました。準決勝では日大藤沢に3-0で快勝し、決勝戦も勝利。監督不在を乗り越えて、頂点に上り詰めました。河崎監督も入院先の病院で喜んでおられることでしょう。
優勝の立役者となった大田選手は、3回戦から準決勝まで3試合連続ゴール。決勝ではノーゴールに終わりましたが、先制点のきっかけとなるPKを獲得したり、クロスで2点目をアシストしたりと、2得点に絡む活躍を見せました。延長戦で2得点を叩き出した森山選手は、昨年の決勝でも1ゴール。本当に大一番になると勝負強さを発揮しますね。1年前のリベンジを見事に果たした星稜高校のサッカー部のみなさん、優勝おめでとうございます。