Pro house keeper

アメリカのローカルフードを中心に、世界各国の料理レシピを自宅で気軽につくる料理日誌。

ニューヨークチーズケーキ。

2008-06-28 10:10:02 | 料理
先週末は、自宅に友人が来るので大型ケーキを制作。
作る時は続くもので、今週末はダンナさん実家への手土産用大物ケーキの制作です。

今回はニューヨークチーズケーキ。
毎回のことですが、洋書レシピからみたチーズケーキはやはり日本のNYチーズケーキとはやや異なるようです。チーズケーキはアメリカではかなり人気のケーキで、何かしらよく口にする機会の多いもの。アメリカに住んでいて自ら買う必要はないほどポットラックやイベントやパーティの食事にはよく出されていました。アメリカで食べたケーキの中ではやはり一番おいしかったように思います。

まず見た目からして違いがはっきり。アメリカで市販されていたチーズケーキは背が高い。いわゆる厚みがある状態で、日本のものの2倍から3倍はあります。そして必ずボトムがついていること。日本のチーズケーキは基本的にパイクラストで最近はクラッカーボトムがついているも増えてきましたが、全くボトムのないものもレシピではよく見かけます。学生のころ作っていたチーズケーキのボトムなんて考えたこともなかったですが。。。

日本ではレアチーズケーキやスフレタイプなど種類は意外に多いのですが、アメリカではべークものしか見かけませんでした。
たぶんジャンルの分け方が違うのでしょう。パイクラストを使うとパイの分類に、スフレタイプはチーズスフレとなってチーズケーキとは違うお菓子になってしまうのではないでしょうか。さらに厚みのないものはチーズ・バーとしてペイストリー的感覚のようでした。

日本で調べたNYチーズケーキの定義としては、基本的に50%以上のクリームチーズを含有し、湯煎焼成をするもの。御用達米料理書での定義は、背の高さとブロンズ色の密度の濃いケーキで最低限の甘さと酸味を持ち、やや重めのコクがあるもの。表面に割れがあったり、中央部がへこんではいけない。結構理想のうんちくは長く書かれていました。やはり思い入れが大きいようです。

解読すると作り方がまた非常に"Interesting"で、作ってみるとさらにびっくりでした。今回はもちろん"Full-Fat"です。

まずボトムから作り始めます。

オリジナルではグラハムクラッカーを砕いてボトムにするのを推奨していますが、まずここでコストダウン。以前作った時にコーンフレークでうまくいったので、今回は自家製パン粉で作りました。パン粉を袋に入れて麺棒で袋の上から転がして細挽きにします。

そこへ砂糖を加えて軽く混ぜ、溶かしバターを加えて袋をもみ込むようにしてパン粉にバターを均一に吸わせしっとりとしたそぼろ状クラムにします。

型にクラムを移し、底一面に薄く広げ、平らなコップの底で端から端まで押して均一に広げます。

160度に予熱したオーブンで8分ほど焼いて香ばしさを出し、フィリングを作る間冷ましておきます。

次はフィリング。ボウルにクリームチーズを加えて泡だて器で崩しながらなめらかになるまでよくかき混ぜます。ポイントはチーズの固さ。室温に戻してかなりやわらかくなったもので作り始めないと、混ぜ作業が大変。フィリングは混ぜるだけなので、この硬さがかなり重要。作業性だけでなく、混ぜムラができる原因となり、焼きあがりがまだらになり、食感の滑らかさを欠いてしまいます。

塩と砂糖を2回に分けて加え、サワークリーム、レモン汁を加えてさらに混ぜ合わせます。

卵黄と卵を1度に1個ずつ加えてその都度よくまぜてフィリング完成。とりあえず何か材料を加えるたびにきっちり混ぜるのが二つ目のポイントです。

オリジナルは量が超大量。基本分量が16人前でクリームチーズは1.6Kg使用。家庭用とは思えない量でもちろん混ぜるのはスタンドミキサーです。今回は1/4量での制作でしたが、それでもクリームチーズ2箱も使い、このご時世では自家制作ケーキとしては材料費が高くつくケーキです。サワークリームも自家製にしてコストを下げていますが、このレシピではサワークリームも必要量が少ないので他のレシピに比べて材料費はかからない方だと思います。日本のレシピでもたいてい生クリームを200mL使いますし、サワークリームと併用しているものもあり、こちらの方がコスト高です。

チーズ以外の乳製品を加えるのはチーズケーキに食感をなめらかにするため。100%チーズだけで作ると粘りが出てしまい、モルタルのようになるとか。

また生クリームについてはこのレシピでは味を単調にするためあえて入れないようです。サワークリームも少量使うことで、存在感を出さずにクリームチーズの酸味の質を変える配合になっています。

卵はNY式以外だと、基本的に全卵のみで作るのですが、全卵だけだと軽くふわふわな仕上がりになり、NYケーキの定義ではNG。ずっしりとした食感にするため卵黄を足してコクと固さと滑らかさを出しているようです。

さらにこのレシピでは粉類を一切いれていません。
通常、コーンスターチか小麦粉を少量加えるのですが、コーンスターチは焼き上がり後のケーキ表面の割れを防ぐ効能もあるのですが、反面、食感に粘りがでてしまいます。粉類不使用の方が口当たりが溶けるような食感になるとのこと。

先に焼いて冷ましたクラストの型にフィリングを流しいれます。型のほぼ9割程度入り満杯になりますが、高さが出すためぎりぎりの大きさのものが適当です。

次に焼成になりますが、これが通常レシピと大きく違うところ。
オーブンを240度の高温に予熱し、まず5分焼きます。その後100度に温度を下げ40分間焼きます。最初の高温焼成5分の間はオーブンの扉を開けないことが重要ポイントです。

通常NY式は湯煎焼きするのが一つの特徴なのですが、今回は湯煎をしないやり方になっていて、最初に高温で焼くことで表面を乾かして固くして、その後の低温で中を柔らかくクリーミーに仕上げるようです。
今回もミニオーブンで焼いたので上火が近すぎたこともあり、ちょっと表面の焼き色が着きすぎました。大きいめのオーブンで焼いて表面をナッツブラウンにするのが正解ですね。この色もアメリカではNYチーズケーキの定義の一つのようですから。

基本的に湯煎なし焼成では焼いた後に中央が割れたり、沈んでしまうことが多いのですが、今回のレシピでは低温での焼き時間が長いので中央部まできちんと加熱してしまうため、全くへこみませんでした。しわも1本もよらず、これはびっくりです。
中央部まで完全に火を入れるやり方は通常はせず、浅めに焼いて予熱で仕上げるのですが、焼き不足になる場合が多いのが欠点。その解消として温度計をずばりケーキ中央に刺して最適温度を確かめて仕上げるレシピになっています。
アメリカでは素材にずばり温度計を刺すのは肉料理などにはよくやるやり方ですが、日本ではあまりしませんね。触ってみてどうこうということが多いですが、温度計では数値で判断できるのでわかりやすいです。

40分ほど焼いてケーキの中央がほぼ固まった感じのところで温度計を中央部に刺して73度になればO.K.。78度以上にならないようだけ気を配ればよいです。

焼き上がり後は型のまま室温で数時間冷却し、ほんのり暖かさが残る程度まで冷めたら、型とケーキの側面の間にナイフを差し込んで1周させて切り離します。

まだ型をつけたまま、ラップにきっちり包んで冷蔵庫で最低3時間冷却します。
チーズケーキはその日に食べず、一晩ほど寝かせるのもポイント。冷やすことで形をしっかりさせることもありますし、熟成という意味もあります。

しっかり冷やしてから型を外します。まず先にナイフを入れておいた型の淵をはずし、底板とボトムの間にナイフを差し込んで剥離します。

盛り付け皿にスライドさせて完成。食べる際はさらに室温に30分出しておくのが理想です。切り分ける際はナイフを温めてから切るとアメリカンケーキでは珍しい角のたった形のきれいなケーキになります。

切ってみると内部も完全均一。これも驚きです。味も生クリームが入っていないので意外にさっぱりしていて予想していたほどヘビーではありません。焼いているのですが、なめらかな口当たりですが、ムースとはまた違う独特のコクのあるクリーミーさです。甘さも程よく非常によくできたケーキになりました。
見た目も表面の焼き色以外は上出来。スフレケーキレベルに高さもあり、表面は平らで割れもなくつややか。私の手作りとしては究極な仕上がりでした。

日本ではNYスタイルしかご当地チーズケーキは知られていませんが、ひそかにシカゴ式もあるのを発見。これもそのうち試してみたいです。

この日の献立は、キノコのジェノベーゼパスタ、カツオのたたきサラダ風、大アサリのコキール、かぼちゃスープでした。

このNYチーズケーキを作ってみたい方はこちらを参考にしてください。↓
レシピ ニューヨークチーズケーキ。 by PCWP


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コメント (8)
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