Pro house keeper

アメリカのローカルフードを中心に、世界各国の料理レシピを自宅で気軽につくる料理日誌。

パンプキン・パイ。

2008-10-21 20:14:25 | 料理
日本でパイと言うと、アップルパイが何といっても主流。
アメリカでもアップルパイはお袋の味というような位置付けなのですが、私的にはアメリカでもっともよく見かけたパイは“パンプキンパイ”でした。食べた回数もパンプキンパイの方が圧倒的に多く、味の日本のものとはかなり違うものだったのでとても印象的なパイです。

渡米したのがちょうど秋だったこともあり、ハロウィンの季節でもあったため、この時期アメリカではパンプキンパイがあちこちに出回ります。日本ではまだリンゴのパイの方が主流ですし、ハロウィンの習慣も飾り物中心なのでパンプキンパイがあまり出回っていませんね。秋はかぼちゃというイメージよりさつまいもや栗の方が旬という感じで受け取られているからでしょうか。。。

日本のレシピをみてもかぼちゃクリームは砂糖と生クリームなどを加えたものがほとんど。日本のかぼちゃとはかぼちゃ自身の種類が違い、味も水っぽくそれ自身がホクホクと甘いものとは言いがいたいからなのかアメリカではパンプキンパイと言えばスパイスたっぷりのパイとなっていました。よってパンプキンパイはかぼちゃの味よりもスパイス風味のブランシュガークリームパイといった感が強いですね。
よってELSでもアジア人にはあまりウケがよくないパイでしたね。私も最初はあまりおいしいと思いませんでしたが、なんとなくたまに食べたくなるような味でもありました。

よって久しぶりに食べたくなったこともあり、手土産制作の必要もあったためアメリカンのレシピで一度作ってみることに。レシピは御用達洋書を参考にしてパイ生地から制作。

アメリカン仕様なので、生地はもちろんフードプロセッサーで作ります。フードプロセッサーの専用ボウルに小麦粉、砂糖、塩、を加えて軽く攪拌します。小麦粉はオリジナルはAll-purposeですが、日本のレシピでは薄力粉のみのものが多く、それだけでもパイの味、質感がやや違うと思います。アメリカンの方がしっかりしたやや重めのパイ生地になると思うので、今回は薄力粉を多めにした日本よりの配合で作ってみました。

凍らせたバターを角切りにして粉の上に散らし、1秒攪拌を10回細切れにかけました。まだバターの粒は小豆くらいに大きく、目に見えますがこの状態で攪拌は終了。

ボウルに取り出して、氷水を振りかけてゴムべらで押しつけるように混ぜ合わせます。


手順的にはオリジナルレシピの通りですが、私的にはボウルより直接ラップの上に広げて、ラップで包みこむようにして手で押し固める方が効率的。ボウルで混ぜてもひとまとめにするには難しく、最後はラップでくるむため、最初からラップの上で氷水と粉を混ぜて押し固めた方がやりやすいと思います。

最初は粉とバターがバラバラでかなりまとまらない感じですが、思い切って握りこぶしで押し固めるとなんとかまとまってきます。どうしてもまとまらない場合は水を大さじ1程度加えてもよいですが、それ以上はご法度です。
無理やり押し固めてラップに包み、冷蔵庫で1時間以上冷やして寝かせます。

その間にかぼちゃの種をとり、電子レンジに掛けて柔らかくして、スプーンで実をほぐして皮を取り除きます。皮はお好みで飾りするといいですね。

今回は皮を足型のクッキー型で抜いてフィリング表面の飾りに使いました。

休ませたパイ生地を麺棒でパイ皿より一回り大きく伸ばします。

底をたるませながらパイ皿に広げます。指で底と側面の角にきっちり生地を張り付けるように指で押さえながら敷きこむのがポイントです。

余った淵部分は下に折り込んで分厚くして、指でヒダを付けます。日本では切り取ってしまうのですが、アメリカ仕様では折り込んで淵を厚めにするレシピが多いですね。

そのまままたパイ皿ごと冷蔵庫に入れて形が固まるまで30分以上冷やします。急ぐ場合は冷凍庫でもかまいません。

冷やし固まったパイ生地の上にアルミホイルを載せ、重石を載せて180℃に予熱したオーブンで10分程度空焼きします。専用の重石(パイウェイト)を持っていないので重石の代わりに私は皿を載せました。パイウェイトは今度アメリカに行った際に買ってこようと思っています。

10分程度焼いて軽く焼き色がついて形が固まってきたら重石とアルミホイルをとって再度5分程度空焼きします。

焼いている間にフィリング作り。空焼きが出来上がる前にフィリングを作っておくのがこのレシピのポイントです。
先ほど加熱しておいたかぼちゃに砂糖、スパイス類、塩を混ぜ合わせます。

鍋に移し、牛乳、生クリームを加えて混ぜながら弱火で加熱します。砂糖はブラウンシュガー系の色の濃い砂糖を使うのがアメリカ流。日本ではかぼちゃの黄色を引き立てるためグラニュー糖や白砂糖を使いますが、アメリカではスパイスに合うようにブランシュガーを使います。よってフィリングはかなり黄土色の黒っぽい仕上がりになりますね。市販されている者も焼き上がりを見ただけでもアメリカン仕様か日本的なパイかはたいていわかります。ちなみに今回は三温糖を使いました。

スパイスはシナモン、ナツメグ、クローブを加えましたが、オリジナルの半分程度に抑え日本人向けに。このスパイスの量がアジア人にウケが悪い理由の最大の要因だと思っていますので、初めて食べる人には量は控えめがお勧めです。

砂糖が溶け、かるく煮たったら火から下ろし、卵を加えてゴムべらでよく混ぜ合わせます。

アツアツの状態のフィリングを焼きたてのパイ生地に流し込んで再度オーブンで焼きます。フィリングは多少余りますが、一度9分目くらいまで流しこんでから5分ほどオーブンで焼き、軽く表面が固まったところでもう一度余ったフィリングを流し込みます。これもオリジナルレシピの指示ですが、この方法だとフィリング全部入れてしまえるところが不思議ですね。一度ではあふれてしまいそうですが、二度に分けると意外に入ってしまうものです。

2度目のフィリングを流してから、かぼちゃの皮の飾りを並べて再度オーブンに入れて15分程度焼きます。フィリングが固まって少し膨らみ、端の部分が軽く割れてくれば焼き上がりです。このとき中央部分が少し生の状態で完全に焼き切らないのがポイント。チーズケーキと同様予熱で固まりますので焼きすぎない方がベター。

パイも寝かせるのがアメリカ流。焼きたては食べないで、2時間は最低冷ましてフィリングとパイ生地を固めます。次の日くらいの方がスパイスとかぼちゃがなじんでおしいと思います。

食べる時は生クリームを添えるのがアメリカでは一般的。そのままでもおいしいですが、生クリームを添えるとスパイスが和らいで食べやすくなりますね。

アメリカではフィリングのかぼちゃは缶詰を使用するのが多いためかなり水分が多いものなのですが、今回は生のかぼちゃを使いましたので、フィリングはやや硬めでかぼちゃの味がかなりしっかりしていました。スパイスも控えめなので、日本とアメリカ仕様のちょうど中間的で食べやすいスパイス系のパイになったと思います。もっととろとろ仕様にしたい場合は生クリームを増量するといいかも。

久しぶりにアメリカンな味を楽しむことができ、一足早い我が家のハロウィンでした。

このパンプキンパイを作ってみたい方はこちらを参考にしてください。↓
Cpicon パンプキン・パイ。 by PCWP

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栗の渋皮煮。

2008-10-06 08:31:27 | 料理
数年ぶりで、生栗を手に入れました。
去年は引っ越しなどのドタバタで栗を食べることがなかったのですが、今年は一度に大量に実家からいただいてしまいました。

アメリカでも"マロン"ではなく、"チェストナッツ"として11月ごろスーパーで売られていたのを思い出しますが、やはり日本の栗とはずいぶん様子が違いました。
アメリカはナッツ大国ですが、もっぱらアーモンドやクルミ、ペカンナッツが主流。売られていた栗はかなり小さくて、"どんぐり"みたいでした。やはり量り売りで段ボールにどっつさり無造作に入れられて売られていたのですが、それほど安いわけでもなかったですね。

また、ロサンゼルスでは栗を使ったお菓子もほとんど見かけませんでしたね。胡桃やペカンを使ったバーやパイなどはよく見かけるのですが、モンブランなどは見たこともレシピを見かけることもなかったですね。栗はヨーロッパの方がよく食べているんでしょうね。

栗を大量にもらったので、とりあえず栗ごはんにしましたが、まだだいぶありますので、初めて渋皮煮を作ってみることにしました。栗の渋皮煮も季節の仕込みものとして有名ですが、実は今まで食べたことはありません。
マロングラッセはずいぶん昔に市販品を食べたことがあり、それに近いものだとは思っていました。ビン詰めにすればかなり保存がきくようなので、とりあえず作ってみることに。

ネットでレシピをいくつか調べてから、作り始めました。基本的な作り方は同じなのですが、砂糖の分量や甘味の含ませ方など違いは微妙にあり、おせちの黒豆の作り方と同じような感じですね。

まず栗の鬼皮をむいていきます。当然“渋皮煮”なので渋皮をうまく残してはがしていきます。いきなり生栗をむいてもいいのですが、一度50度くらいのお湯に数分つけてから生暖かい状態の栗で剥き始めた方が、少し楽に剥けました。栗ごはん用に渋皮もすべて剥く場合はいきなり向いても硬いだけで失敗は少ないのですが、渋皮を残す場合は少しふやかしてからの方が鬼皮だけをうまくはがすことができました。

それでもいくつかは渋皮までとれた"はげ"部分ができてしまいましたが、とあるレシピでは2mmまではO.K.とのこと。大きなハゲ部分があると煮崩れてしまうようです。初めてなので用心して大きなハゲのできた部分はのぞいて別料理に使うことにしました。ハゲをできるだけ作らないように渋皮は筋をかなり残した少々粗めの剥き方になりました。小さなハゲのあるものは試しにそのまま一緒に煮込みました。

全部で500g程度の栗になり、皮むきも結構大変でした。
次はあく抜き。鍋に皮をむいた栗をいれ、水をかぶるくらいに入れ、重曹を小さじ半分ほど加えて弱火で煮ます。強火で煮ると栗が踊って渋皮がこすれて裂けてしまうらしい。かなりの弱火にして20分ほど煮ました。

渋皮が分厚く残っていたためか、一度目は煮汁は真っ黒。

20分ではまだ栗は固めなので、崩れる心配がなさそうなこの状態で一度水洗いして爪楊枝などを使って、渋皮の筋など灰汁と黒ズミの原因になる鬼皮の残りなどをできるだけとりました。

もう一度重曹水を作って20分ほど煮て、同じように筋とり。3回くらい繰り返して筋と皮の残りがほとんど取れてしまうまでは煮汁は黒いままでした。いかに早くこれを取ってしまうかが課題ですね。煮るだけでは永遠に煮汁は黒いままになっているような感じでした。栗が柔らかくなった方が筋はとりやすいのですが、渋皮まで取れてしまうことがあるので、どのあたりで筋を取り始めるかこの見極めが難しいですね。
1時間くらい渋皮洗いと格闘して、やっときれい(?)になりました。

最後に鍋に水だけを入れて軽く栗を煮て、重曹を抜き、下処理完成。黒豆の煮物と同様この時点で栗は完全に理想の柔らかさにしておくことが重要です。

次に甘味を含ませるのですが、砂糖を入れるとそれ以上栗は柔らかくならないので、栗が十分に柔らかくなっていることを確認してから砂糖を加えます。

今回は3度に分けて白砂糖を150g加えました。水の段階で1/3量の砂糖を加えて栗とともに弱火で煮始め、10分ごとに砂糖を1/3量ずつ加えて、トータル30分ほど煮て、火から下して紙ふたをして冷ましましながら味を含ませました。

写真で見るものよりツヤは少ないので、もっとシロップを濃くした方がよかったのかもしれませんが、甘味はくどくなく、栗の味がよくわかる仕上がりになりました。マロングラッセなどは甘味が強すぎて、栗の風味がよくわからなくなっているものが多いので、それよりは栗の味を楽しめる出来だと思います。

今回のものの出来を判断するためにも市販の渋皮煮を一度買って食べてみる必要があるかも。まともな渋皮煮はマロングラッセ同様結構
お高いものらしいのですが。。。。スーパーにはさすがに売ってないので、梅田に出た時にでも百貨店に調査に行ってきましょう。

ちなみに作ってみてからわかったのですが、今回の作り方では鬼皮をむいたときにハゲや割れがあっても煮崩れを起こすことはありませんでした。見た目の仕上がりに影響はあるものの、失敗した栗はありませんでした。重曹水が濃かったり、かなりやわらかく煮てしまうと失敗する恐れがあるのかも。
今回の渋皮煮はとろけるほど柔らかく煮てはいないからかもしれませんが。。。

それでも食べると甘栗のような味がして、来年も作ってみたいですね。次回はもっと甘味の強いとろとろ系に作ってみたいです。
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ヒシ。

2008-10-02 15:43:06 | 料理
久しぶりに食材研究。今回は“ヒシ”です。
この植物は今まで見たことも聞いたこともないもので、たまたま最近御用達になったスーパーの店頭に並んでいたものです。

店頭では山積みになっていたのですが、食べ方の解説はパック詰めにされている中に入っていた紙のみ。POPにも何にも書いていないので誰も見向きもしていない状態でした。

新顔野菜かと思ってとりあえず中の紙を引っ張りだして解読。健康食品系らしい食べ物であることはかいてあるものの、味については解説なし。食べ方も灰汁を抜いて茹でて食べることくらいしか書いてないので、非常に不親切ですが、どんな味がするのかかなり興味があり買ってみることにしました。

値段はイチゴパック大山盛り380円。高くもなく安くもなくといったところですね。

家に帰って早速ネットで食材調査。さすがにネットには情報がある程度載っていて、どういうものかわかってきました。

"ヒシ"は科の水草、1年草の植物です。
茎は細長く、その長さは水深に比例するといわれ、泥の中に根をはります。
葉には水中葉と水上葉があり、水中葉は根状、水上葉はひし形で径4~6センチくらい、花は白色の1日花で7月から9月に咲き、花が終わると水中にもぐって9月~11月にかけて果実をつけます。
北海道、本州、四国、九州の日本全土の沼、池に自生しているらしい。

ヒシの実には滋養強壮・消化促進・整腸・二日酔い軽減・解熱などの作用があると言われており、漢方薬の材料に使われているそうで、特に胃がんの特効薬として有名で、乾燥したヒシの実を煎じて飲むようです。
アイヌの人がよく食べていたようで、

食べ方は、一般的には塩ゆでにして食べられますが、白米や雑穀と混ぜて食べるヒシご飯を始め、他の食材と合わせていろいろな食べ方があります。めずらしい利用法としては菱焼酎などがあります。

うんちくはこんな感じで、とりあえず形がユニーク。忍者の"まきびし"に用いられたくらい"とげとげ"とした形で、さらに先にはとげがあるようですが、買ったものにはもうとげは安全上のためかとってありました。
。菱形はヒシからちなんだ名だとか。

言葉は身近でも意外に知らなかった植物です。地方に行けばポピュラーに食べているようですが、関西では聞いたこともないですね。

味はとりあえずわからないので、ゆでて実そのものの味を確かめてみました。
ヒシは洗って塩水に30分ほど浸します。色が多少染み出てきていますが、真っ黒というほどではないですね。

鍋に塩水を作り、浸水したヒシを入れて30分くらい茹でました。
さすがにゆでると灰汁がかなりでて煮汁は真っ黒。電子レンジで8分ほど加熱してもよいようです。

ゆでても基本的には見た目の形も皮の固さ様子も変わらない感じでした。ざるにあげてさっそく皮をむいてみることに。

皮は相当固く、分厚い。普通の皮むきの要領では剥けないので半分に切って剥ぐように皮をとると中から乳色の実がするっとでてきました。皮が分厚いので実は小さく、廃棄率はかなり高いですね。ソラマメに近いものがあるかも。。。

味は栗や芋のようという書き込みが多かったのですが、食感も見た目もは茹での浅いサトイモっぽい感じですね。ただ甘味はないのでそれだけでおいしいというものではないようです。

ゆで具合によって皮の向けやすさが変わるようで、加熱が足りないと皮がむきにくい。皮の剥きにくかった一部のものを電子レンジにかけて再度加熱。
茹でたものとちょっと違い、蒸した感じになったので実はさらに白くなり、食感は水分が減って柔らかく芋っぽくなりました。どちらかと言えばこちらの方がおいしいと思います。加熱方法としては電子レンジの方が手軽で味もよいのでお勧めですね。

それでも味はほとんどないし、形が小さいのでそれだけではおかずにはならないため、サラダの具にしてみました。

翌日はお弁当にヒシご飯として甘栗とともに混ぜてみましたが、サラダよりはでんぷん質同士なので相性が良かったです。

薬効が高いので、食材というより補助栄養食品みたいに考えた方がいいかも。薬として食べる感覚ですね。もう一度買って食べようかというほどではないですが、なかなかおもしろい食べ物でした。

この日の献立は、夏野菜とひよこ豆のドライカレー風、秋鮭のポシェ、ヒシとゆで卵、紫キャベツのサラダ、アボガドの冷製スープでした。
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