かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

あと何年もしないうちに、ナノマシンでガンを治療する、と言う時代が本当に来るのかも?

2009-08-10 21:47:30 | Weblog
 ここ数年の今日のブログを読んでみますと、暑い日が多かったことが判ります。2年前は、前日くらいまでは涼しかったのに、立秋を越えた途端暑くなった、と書いてありましたから、比較的今年と似通っているようです。もっとも台風前に2,3日日が出て暑い日があったくらいで、日曜日からは台風絡みの雨空で気温もさして上がらずじまい。台風が行ってしまった後は暑いお日様が帰ってくるのでしょうが、そうこう言ってるうちにまた涼しくなることでしょうから、今年は本当に文字通りの冷夏で終わりそうです。

 さて、東大病院で、脳腫瘍の治療に遺伝子改変ウィルスを用いる試験を、厚生労働省認可の元に実施するのだそうです。用いるウィルスは、ヒト単純ヘルペスウイルスI型 (HSV-1)と呼ばれるもの。ヘルペスウィルスは、くちびるに水疱をつくる病気のウィルスですが、種類を問わずヒトの細胞に感染でき、細胞を殺す力が比較的強いなどの特長を持っています。一方、がん細胞は以前からウィルスに弱く、正常細胞よりも感染しやすい特性を持つため、昔からウィルスによるガンの治療、と言う可能性が検討されてきましたが、これまではウィルスを制御できなかったため、実現はしませんでした。それを、遺伝子組み換え技術が解決したえわけです。
今回は、この単純ヘルペスウイルスI型から、正常細胞では必要でがん細胞で
は不要な遺伝子を取り除き、がん細胞だけで増えるウイルスを造ったとのことです。研究者によると、脳腫瘍に限らず、あらゆるがんに有効であると考えられるそうですが、今回あえて脳腫瘍で行うことにしたのは、脳腫瘍の中でももっとも悪質な膠芽腫(グリオブラストーマ)というガンに効果のある治療法を確立するためとのことです。このガンは、手術、放射線治療、化学療法と現在ガンで試みられている様々な治療法の粋を尽くしてみても、平均余命1年、2年生存率は30%以下と非常に致死率が高く、治療効果の上がらないガンで、このガンに対抗するためには画期的なブレイクスルーが求められていました。そのブレイクスルーに相当するのが、今回のウィルス療法、と言うわけです。
 もっとも、今回はウィルスの安全性評価が第一の目的で、治療できるかどうかを問うものではありません。公式サイトの紹介ページhttp://trac.umin.jp/hospital/ct/G47Delta.htmlで評価試験に参加してくれる患者や医者の募集をされていますが、この試験に参加しても、病気の回復に結びつかない可能性があると明記されています。それでもこの試験をきっかけにウィルス治療の安全性が確立されれば、今後より能力の高いウィルスの開発なり、接種方法等の改良などで治療効果を上げられる画期的な方法に育てるためのきっかけになります。是非安全性の確認がしっかりできますよう、更に願わくば少しでもいいから治療効果が患者で見られるようになって欲しいものです。
 それにしても、ここまできたら、これはもう一種のナノマシンですよね。今は自然界に存在するウィルスを改変したものですが、いずれそのうち、最初から治療を目的に最適化設計された人工ウィルスが生み出されるかもしれません。すごい時代になったものです。

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