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続・ビラ投函事件に関する考察

2009年12月01日 20時50分16秒 | 法関係
再び取り上げられていますが、憲法解釈としては、従前と変わっていませんね。


asahicom(朝日新聞社):社説 2009年12月1日(火)ビラ配り有罪―合点いかぬ最高裁判決/環境税―鳩山首相が決断する時だ


仰ることは判ります、けれども、判決は出てしまっているとそう簡単には変わらないものでございます。

以前に検討した時の判決と、考え方は同じようなものですね。

ビラ投函事件に関する考察

この時の引かれている判例も同じ(昭和59年(あ)第206号同年12月18日最三小判・刑集38巻12号3026頁参照)ですね。

「行為の態様について基準を明示するべき」と指摘していたのですが、今回は、それについて、(朝日新聞社説によると)

『罪が成立するかの判断にあたって最高裁は、(1)荒川さんがマンション管理組合の意思に反して入った(2)玄関ドアを開けて7階から3階までの廊下に立ち入った、という点を重視した。』

ということで、改めて「違法は成立している」ということを明確にさせたものと思います。判決中では、単に「張り紙」だけではなく、管理の状況についても、細かく指摘していますからね。


今回の棄却判決は、多分、他の部分にも応える必要性があったから、ということかなと思いました。今回の判決によれば、


『最高裁昭和43年(あ)第837号同48年4月25日大法廷判決・刑集27巻3号418頁を引用して判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法31条違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,憲法14条,31条違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由にはあたらない。』

と判示されております。
憲法21条1項違反だけではなく、他の論点(憲法14条、31条違反)も関係ないよ、「単なる法令違反、事実誤認の主張」とバッサリ却下されとりますな。あと、不適切な引用というのも、的外れですぜ、ということかと。

昨日、刑集27巻3号P418の判例を調べたんですが、この事件の何が参考になるものであったか、判例違反を言う材料とできたのか、これは不明でございましたな。弁護側の提出した主張の全文とかを見ないと判らない。


ま、いずれにせよ、今回改まって新たな判例ということではないので、前回に引き続き、今回の違憲の主張も退けられましたよ、というのが確認された、ということでしょう。


この判例よりも、先日出された神戸の条例制定権の濫用の方が、はるかに重要判決でしたよ。




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