ISOな日々の合間に

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審査の苦情とISO17021

2009年04月09日 | 審査・コンサル
先日、審査を受けたばかりのコンサル顧客から審査員に関する苦情メールが届きました。

・審査時間が審査スケジュールよりも数時間以上長く、長時間拘束された。
・一般社員を次々と呼んで、30分位(長い人は1時間半)話を聞いていた。
・経営方針や営業手法に対するコンサルタントのような話を一方的に話す
ことが多く、何を回答していいのか迷った担当者もいた、など。

どうやらこの審査員は不適格です。
①自ら被審査組織に同意を求めたスケジュールなのに無視している。②仕事中の社員へのインタビュー時間が長すぎる。5分程度、長くても10分程度に留めるべきです。③コンサルタント的と受け取られる審査だった。④社員を1時間半も拘束して仕事の邪魔をするとは言語道断です。

その審査機関は審査終了時に審査に関するアンケートを置いてゆきますので、率直な意見を書いて提出するように顧客に伝えました。

審査機関がISO規格の審査を実施するために守るべき要求事項として「ISO/IEC 17021」があります。正式には、「マネジメントシステム認証機関に対する要求事項」と言います。

その 4.7項に「苦情への適切な対応」について定めがあり、審査機関は受審組織に対して異議や苦情を受け付ける仕組みについて適宜説明しなければならないと。

たとえば、「当社には、審査・登録業務に関する苦情、及び判定委員会の判定結果に対する異議申立を受付ける手順があります。具体的には、お届けしている『○○規定』の手順をご参照ください。」といった具合です。

前向きな審査機関は、その手順のほかに、審査終了後にアンケートを渡し審査についての評価や問題点の把握に努めています。このアンケート方式ですと、審査直後でもあり、形式ばっていないので生の声を書き易いようです。もしもこのアンケートで苦情が度重なると審査員は審査機関から契約を解除されることになります。

一方、手順を踏む正式の苦情や異議となると出す側は腰が重くなり、提出するまでに至らない場合が多いようです。でも、多くの審査機関は苦情を受け付ける仕組みを説明するだけで終わっており、それで良いのかと首を傾げざるを得ません。

ところで、はじめに紹介した苦情対象の審査員はどうなったか。
どうやらその審査機関を辞めたと聞いています。でも、前にも何度か苦情があったようですから、本当は辞めさせられたのでしょう。

このような審査に関する苦情を受付ける仕組みが審査員のレベルを一定の水準に保つことに役立つのです。審査を受けた側が審査機関にもっと積極的に物申す姿勢が必要でしょう。