シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ヒアアフター

2011-02-04 | シネマ は行

試写会に行ってきました。クリントイーストウッド監督作品ということで、公開されたら見に行くつもりだったので、ラッキーでした。

マットデイモンが死者と話しができる霊能者ジョージで、フランス人の女性マリールレセシルドゥフランスと、イギリスの男の子マーカスフランキーマクラレンというこの3つの物語が1つにつながる話ということだけを知っていたのですが、冒頭、フランス人のマリーが旅行先で巨大津波の災害に遭うシーンでいきなり度胆を抜かれてしまいました。イーストウッド監督の映画にはないド派手なCGが使われていたので、とても意外でした。

このいきなりのスペクタクルなシーンから、どんな物語が展開するのか、どんな大きな事が起こるのか???

起こるのか?

起こるのか??

起こるのかーーーっ???

っと思って2時間じーっと見ていましたが、結局ほとんど何も起こりませんでした。チャンチャン

もちろん、映画ですからお話はいろいろと展開していきますが、最初の津波のシーンで予感されるような大きな事というのは実は何ひとつ起こりません。
津波の被害に遭ったマリーのその後、イギリスでマーカスという少年を襲う悲劇、霊能者のジョージの日常が淡々と静かに静かに語られます。このあたりの静かで緻密な演出がイーストウッド監督の技。

死後の世界を知ってしまったマリーと、最終的にマリーとジョージをつなぐ役割をすることになる、双子の兄を亡くしたマーカスのそれぞれの心の痛みをジョージの霊能者がゆえに傷つくことになる日々と同時進行で丁寧に描いていく本作。その丁寧さがともすれば「退屈」という結論を出されてしまうかもしれません。

ジョージがいつも独りで食事をするシーンが何度も映るのですが、そこにある「孤独」が観客の心に染み入るように描かれています。そして、その「孤独」を打ち破ろうとしたのも「イタリアン料理教室」だったというのも、「食事」と結びついていますね。家族や恋人、大切な人たちと囲む「食卓」というものの「幸福感」をイーストウッドは大切に思っているのかもしれません。

霊能者の話、と聞くと色々と想像するとは思うのですが、このお話は一般的にワタクシたちが霊能者というカテゴリーから想像するような物語が展開するのではなく、いち霊能者ジョージの個人的な再生の物語と言ったほうがいいのかもしれません。霊能者としての特殊な能力を強欲な兄ジェイモーアに利用され、他人の人生を覗き見ることに疲れ果てたジョージが、その痛みを分かち合える女性と出会うまで、という大いなる「前振り」的な作品かなと。「え?前振りだけで終わりかいっ?」と突っ込みたくなる人もいるとは思いますが、ワタクシはとても好きな作品でした。

オマケジョージがイタリアン料理教室になぜ通っているか聞かれたときに「前の仕事を忘れたくて」と答えたとき「あ~、そりゃCIAのスパイなんてしんどい仕事忘れたいよね」と思ってしまって心の中で一人ウケてしまいました



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2 コメント

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ででで・・・・・? (テコヨメ)
2011-02-19 19:31:03
公開初日でしたが見てきましたよ~

私も結構好きなかんじの映画です。イーストウッド監督のこの淡々映画好き。

でも、なんか消化不良とゆうか。
途中で、このまま何もなく終わったら「で?!」ってつっこんでやるー!と思ってたらほんとに終わってしまったとゆうか。

最初の津波のシーンはアクション映画ばりでしたよね~。
確かに、その後それ以上のデカイことは起こらないので、このままなんにも起こらないだろうと思って気を抜いてたら地下鉄が爆発したので、ものすごくビクっとしてしまったヨメです。

前の仕事を忘れたくて・・・・ぷぷぷ。
そういえばいろんな仕事をしてますよね。だからちょいと老けてしまったのね。
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テコヨメさま、 (coky)
2011-02-21 16:32:40
さっそくのコメントありがとう。
すごくうれしいです。

この「余韻」がまさにイーストウッドですね。
この「余韻」を楽しめない人は彼の映画はイマイチなんじゃないでしょうか。

地下鉄のところは、ちょっと読めたのでびっくりしませんでした。
あんなふうに死者が生きている者を助けるというシークエンスはあんまり好きじゃないんですが、お兄ちゃんが帽子を奪おうとしての結果だったし、「助けるのはあの一回きりだからな」と言っていていたので、なんだかスッキリでした。
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