先日見た「ヒバクシャ」という映画の関連本です。
「ヒバクシャ」の監督の鎌仲ひとみとその中に登場する肥田舜太郎医師が共同で執筆しています。
「ヒバクシャ」を見たときには、とにかくイラクでの劣化ウラン弾の話や、アメリカのハンフォード核施設の話など、次から次へとおそろしい話がどんどん出てくるので、実際に「内部被爆」とはどういうことなのか、いまいち分からないままでした。単に放射線というものが危険なものであり、それを危険なものと認識することをあえてさけている世界中の政府のせいでどんどんヒバクシャが増えているという事実に圧倒されて終わってしまった感がありました。なので、今回それをもう少し理解するために本を読んでみました。
肥田舜太郎先生が、内部被爆について解説してくださっています。少しややこしい話もありますが、全体的には分かりやすい内容になっていると思います。わずか数センチしか届かないα線やβ線がいかに人体に恐ろしい作用をおよぼすかが説明されてあります。
やはり世界中の権威ある団体が、この放射線の危険についての認識を経済的な観点から無視している状況にあるということに戦慄を覚えます。日本でも昔RCサクセションが「COVERS」というアルバムを発売したときに歌詞の中で原子力を非難し、発売中止になったこともありますね。映画「ヒバクシャ」もスポンサーがしり込みするため、メディアではほとんど取り上げられることがない作品です。
この本を読めば、どれだけ内部被爆というものが生き物にとって脅威かということが分かるわけですが、やはりすべて「科学的根拠がない」というお決まりの文句で捨てられてしまう現状にあるようです。
もちろん、この本に書いてあることがすべてではないのでしょうが、それでもやはりここに示される放射線が原因と思われる事象を無視するわけにはいかないと思います。
唯一の原子力爆弾による被爆国の日本人の中でさえ、「核は抑止力」と考える人が多くいる時代。果たして「原子力」というものにそんな力を期待して頼って生きていっていいのか?興味のある方はぜひ読んでみてください。
「本」もいいけど「犬」も好き。という方はこちらもヨロシクです。我が家の犬日記「トラが3びき。+ぶち。」