シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ウォールストリート

2011-02-16 | シネマ あ行

世紀のvillain、ゴードンゲッコーマイケルダグラスが23年ぶりに復活。
ようは、リーマンショックがあったことで、この金融界にゴードンゲッコーを蘇らせてみたら面白いんじゃないかと考えたクリエーターがいたということなのかな。

8年の刑期を終えて帰ってきたゴードンゲッコーには迎えの人など誰もいない。前作で3歳だった(超太ってて甘やかされていた)息子はドラッグ中毒で死に、前作の後に生まれたらしい娘ウィニーキャリーマリガンは、父親との縁を切っていた。

しかし、そんな娘の恋人ジェイコブムーアシャイアラブーフはウォールストリートのマネートレーダー。彼女自身もどうしてこんな人を好きになったのか?なんて言ってるけど、それは父親への得られなかった愛への渇望の裏返しってやつですかね?

その恋人ジェイコブはゴードンゲッコーに近づき、娘との仲を取り持つ代わりに様々な裏の情報を得る。

んー、やっぱりジェイコブって誠実に見えるけど、所詮はウォールストリートの切れ者。取引によって汚い手を使うのだって平気。恩師であるルイスゼイベルフランクランジェラが自殺する原因となったライバル会社のブレトンジェームズジョッシュブローリンに復讐をするために彼女に黙ってゴードンゲッコーと取引をする。

このあたりのビジネス上のやり取りはまぁ面白い面もあるけど、やっぱり経済問題に疎いワタクシにはさっぱり分からん部分もありまして、内容は置いといてどっちが騙したとか、損させられたとかそういう結果だけが分かればストーリーを理解する上では問題ないかなと思います。

ゴードンゲッコーはやっぱり娘とその恋人を騙してでも自分の欲を満たそうとしますが、これはゴードンゲッコーを知っていれば何もビックリすることはない。23年前に彼が言った名セリフは現代に蘇るどころかさらにパワーを増して"Greed is good."(「欲は善だ」)が"Greed is legal."(「欲は合法だ」)となっているのだから。こんな時代に彼のような人が殊勝に生きられるわけがない。

ゴードンゲッコーに関しては、彼はそんな人だからもういいんだけど、あの彼氏ジェイコブもさー、やってることかなりひどいよ。ゴードンゲッコーにそそのかされたとはいえ、自分の彼女のお金を自分が投資したい会社にあげたいからって「君が持っていたってどうやってロンダリングするんだ?どうせ何にも使えない。国税局が黙っていない」なんて脅すようなこと言ってさ。エコなエネルギーに投資したいっていう志は立派でも他人のふんどしで相撲取っちゃいかんでしょ。

最後はゴードンゲッコー、彼氏ともども彼女との絆を求めて反省したような態度だったけどさ、ウィニー、あんたそれで許しちゃっていいの?ゴードンゲッコーは絶対にまた裏切るようなことをしてくるだろうし、あーゆーデカいお金を動かすことが大好きなその彼氏も結構この先ヤバイと思うよ。このあたり、オリバーストーン監督、ちょっと男どもに甘すぎるんじゃないですか?どうしてこんな結末にしたのかなぁ?なんか年取ったマイケルダグラスに花持たせたかっただけかよー、みたいな。一応、彼らがエコエネルギーに投資する“いいもん”的な終わり方にはなってますけどね。なんとなく釈然としないラストでした。

オマケ1AIG保険の問題のときにアメリカの議員が「日本の経営者にならって自殺でもしてみせるべきだ」と言って騒ぎになりましたが、それからも分かるようにアメリカの経営者はそんなことで自殺なんてしません。なので、この作品の中のルイスベイゼルは、日本人からするよりもアメリカ人から見たら相当殊勝な人間に映っていると考えられますね。

オマケ2おそらくみんなが期待していたであろうバドフォックスことチャーリーシーン。やっぱり登場してくれましたね。バドってば、お父さんの会社やっぱり売り飛ばして大儲けしたらしい。私生活が出るのか、渋く枯れていたマイケルダグラスよりもなぜか劣化が激しく感じるチャリ坊でしたが、なぜか憎めない奴なのです。

オマケ3前作でもそうでしたが、今回もオリバーストーン監督がカメオ出演していますね。探してみてください


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