電脳筆写『 心超臨界 』

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D・パイプス

日本史 鎌倉編 《 日本史における現代の正当なる嫡出子・渡部昇一——谷沢永一 》

2024-09-18 | 04-歴史・文化・社会
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渡部昇一の『日本史から見た日本人』のシリーズの、その第一の特色は、論述の目的を、史眼にしぼりこんだ緊張である。なにごとにも点の辛い内藤湖南は、「ざっと日本の目立った史家としては、大鏡(おおかがみ)・愚管抄(ぐかんしょう)・親房(ちかふさ)・白石(はくせき)・伊達千広(だてちひろ)、これ位で日本史学史は出来上らうと考へる」(筑摩叢書『先哲の学問』収録「白石の一遺聞に就(つい)て」)とフルイにかけたが、『日本史から見た日本人』のシリーズは、この系統の嫡出子である。


『日本史から見た日本人 鎌倉編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/02)、p258 )
解説――伝統の急所を説きあかす  谷沢永一

◆日本史における現代の正当なる嫡出子・渡部昇一

国民という大切な言葉を、イヤな蘇峰に用いられてしまったのにヘソを曲げ、国民という語は民衆の意であると、こじつけた苦心が見ものである。謹直な大久保利謙(としあき)にしてこの調子なのだから、『国民大辞典』の基調が推して分かろうではないか。

あえて蘇峰のために惜しむなら、あまりにも詳しすぎたのである。伊藤整の『日本文壇史』(講談社)も然りであった。『増補改訂・二千五百年史』(大正5年4月3日・二酉社(にゆうしゃ))の本文は740頁なのだから、まず要点ばかりをコンパクトに、最後まで勢いよく突っ走り終えたのち、それでもまだ気がすまぬ場合にのみ、詳細版をあとから書くという方法もあろう。

渡部昇一の『日本史から見た日本人』のシリーズの、その第一の特色は、論述の目的を、史眼にしぼりこんだ緊張である。なにごとにも点の辛い内藤湖南は、「ざっと日本の目立った史家としては、大鏡(おおかがみ)・愚管抄(ぐかんしょう)・親房(ちかふさ)・白石(はくせき)・伊達千広(だてちひろ)、これ位で日本史学史は出来上らうと考へる」(筑摩叢書『先哲の学問』収録「白石の一遺聞に就(つい)て」)とフルイにかけたが、『日本史から見た日本人』のシリーズは、この系統の嫡出子である。その本のなかでしか読めない見解が、たっぷりと盛りこまれている。湖南は独創をのみ重んじた。渡部昇一が、湖南のメガネにかなうこと請け合いである。

次なる特色は、一流の文章に必要な、芭蕉が最後に望んだのでよく知られる、シンのある“軽み”を保った文体で、無類の説得力を発揮する辣腕である。『日本外史』が漢文体の長所をことごとく採り入れたように、渡部昇一は現代文の機能を最大限に示したのである。

そして第三は言うまでもなく、簡にして要を得た圧縮である。これからの時代に臨む著作家は、要約の努力を怠ったら、誰にも相手にされないであろう。

この第二冊目は『鎌倉編』であり、画期的な名著である『古代編』と、現代史を洞察した“衝撃の書”とも言うべき『昭和編』が同時に出版されるのだが、その間を埋める執筆、すなわち刊行予定に従えば、このシリーズの続刊として『戦国編』『江戸編』『明治編』とあるが、これらの出版に大きく期待を寄せるあまり、お急ぎあれや、と、思わず呟きたくなるのである。

平成元年4月8日 虚子忌(きょしき)
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