電脳筆写『 心超臨界 』

人生最大の目的は人の役に立つこと
それがだめでも少なくとも人を傷つけてはならない
( ダライ・ラマ )

かけがえのない家族 《 母子の会話——高橋芳江 》

2024-09-30 | 06-愛・家族・幸福
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■緊急拡散宜しく『日本を崩壊へ導く「選択制夫婦別姓」問題』
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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  世の中でいちばん大切なものは家族と愛
  ( ジョン・ウッドン )
  The most important thing in the world is family and love.
  ( John Wooden )


◆母子の会話

審査員特別賞 「母子」――高橋芳江 60歳 主婦 群馬県
第23回「香・大賞」作品集『かおり風景』
( 松栄堂 http://www.shoyeido.co.jp/

注文した品物が来て思わず振り向いた後ろのテーブルに、体格のいい六十がらみの男性と、か細い老婆が席に着くのが目に入った。

「お母さんはおそばがいいですか?」
「そうね、私はおそばが大好きですよ」
「今日は暑いですから冷たいおそばがいいでしょう」
「私はおそばが好きです」
「冷たいのと温かいのとどちらがいいですか?」
「今は何月ですかねぇ」
「十月です。十月に入ったばかりですよ、お母さんがホームに入所したのも三年前の秋でした」
「そうですかもう十月ですか、寒くなったんですね」
「それじゃ温かい天ぷらそばにしましょうか? お母さんの大好物のえび天が載っていますよ」

「誰もきませんね、どうしたんでしょうね」
「大丈夫、もう注文しましたから」
「何も言って来ませんね、お休みでしょうか」
「今作っているんです。じきに来ますよ天ぷらそばが……、お腹空きすぎたんですね」

「お母さん、私は誰だかわかりますか?」
「ここからでははっきり見えませんよ、本当におそばが来ますかねぇ、おかしいですねぇ」
「私を見てください、私のことわかりますか?」
「えっ! ああ……そりゃあわかります、お前は私の息子だもの声でね、声でわかります」
「アハハ……わかりましたか、よかったです」

「お母さん、熱いから気を付けて下さい」
「ああ……おいしい」
「ゆっくり食べて下さいね」
「ああ……おいしい、一番高いえび天ぷら二匹も載せてもらって、贅沢をして懐は大丈夫ですか? ああ……おいしいですよ」
「アハハ……えび天ぐらいで身上潰れやしませんから大丈夫ですよ。ゆっくりでいいんです、あわてないで食べて下さいね」
「とってもおいしいですよ、あっ、ああー、おいしい」
「ホームでもおそばが出ますか?」
「えっ、何のことかわかりません。天ぷらもおいしい」

空腹をくすぐるそばつゆの匂いと、香ばしい天ぷらを揚げる匂いを嗅ぐと、こじんまりとした店内に響いた母子の会話を思い出す。
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