電脳筆写『 心超臨界 』

心地よいサマーレインのように
ユーモアは一瞬にして大地と空気とあなたを洗い清める
( ラングストン・ヒューズ )

不都合な真実 《 自由主義VS.中国「デジタル独裁」――船津寛 》

2024-07-09 | 05-真相・背景・経緯
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
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■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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行き詰まりを迎えているかのような資本主義を尻目に、力を蓄えつつあるのが共産主義国家・中国だ。「自由世界が中国を変えなければ、共産中国が私たちを変えてしまう」。米国のポンペオ国務長官による7月の対中政策に関する演説は、コロナ禍で激変する世界情勢の本質をついている。しかし、中国で今実践されている経済システムは、「共産主義」というよりも「デジタル専制主義」だという分析がある。


 感染症と経済 繰り返す歴史
◆自由主義VS.中国「デジタル独裁」――船津寛・経済本部長
(「KAI解DOKU読」産経新聞 R02(2020).09.12 )

  新型コロナウイルスの感染拡大で、世界経済が大きな岐路に立たされ
  ている。資本主義の限界すらささやかかれる状況だ。そうならないた
  めの処方箋が議論される一方、そうなったときの世界を見据えて虎視
  眈々(たんたん)と牙を研ぐ勢力もある。現在の米中対立にみられる「
  価値観」の激突は、人類史の転換期に繰り返されてきた現象でもある。
  勝敗を分ける鍵は、かつては「資本力、今は「情報力」だ。

 ●日本の銀で覇権

コロナ禍に伴うステイホーム中、興味深いテレビ番組を見た。NHKスペシャル「戦国~激動の世界と日本~」という2回シリーズの特集だ。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康というおなじみの三英傑が活躍した戦乱の時代は歴史番組の定番ではあるが、印象的だったのは「戦国日本が世界の覇権争いのカギを握っていた」という分析だ。

当時の世界は大航海時代である。最初にカトリック国のスペインとポルトガルが世界に進出。遅れてプロテスタントの英国(イングランド)とオランダ(ネーデルランド)が勃興した。

番組は、内乱に明け暮れていたと思われてきた戦国日本が世界史を動かしていた様子が、新発見の資料によって明らかになってきた、とうたっていた。ポイントとなったのは、当時、世界全体の3分の1の産出量を誇っていたといわれる日本の銀「ジャパン・シルバー」の威力だ。

家康は新興国・オランダと結び、銀山の独占開発で得た資金力と引き換えに最新鋭の武器を獲得し、天下統一を果たす。一方、欧州の手にわたったジャパン・シルバーは大航海の波に乗って世界に拡散していく。この過程で莫大(ばくだい)な富を蓄えていった英国は、産業革命を経て、世界を席巻する資本主義経済を構築することになる。

世界経済の発展の歴史を振り返るとき、銀の流通と銀本位制の確立が原動力になっていることが分かる。その出発点に、戦国時代のジャパン・シルバーがあったというのは、意外な歴史ではある。

15世紀半ばから17世紀にいたる大航海時代、欧州諸国によって世界にもたらされたのは資本主義や貨幣経済だけではない。「コロンブス交換」という言葉があるが、欧州人によってペスト、天然痘などが新大陸に上陸し、現地からは梅毒などが輸入された。それらの感染症は、あっという間に地球を一周した。

 ●抑制される移動

21世紀の今、起こっていることは、大航海・戦国時代と本質的には同じある。①交通・輸送手段の発展でヒトの移動が容易になる②貨幣の流通も活発になりモノの交換のハードルが下がる③その結果、市場の拡大を促す資本主義が世界経済のスタンダードになっていく―。このプロセスの中で、同時に人類の生命を脅かす感染症も広まっていく。新型コロナウイルスの脅威にさらされている21世紀のわれわれも、そのサイクルから逃れられない。

中国・武漢発の新型ウイルスが世界中に拡散される中、ヒトの移動は困難になり、モノを直接取引するハードルも上がった。その結果、「資本主義の危機」が指摘されるようになっている。果たしてそうなのか。

確かに、ヒトやモノが活発に移動することを前提とした資本主義経済が今後、コロナ前のように成立するとは思えない。

「コロナ収束後もテレワークは浸透し、鉄道需要が完全に元に戻ることはない」

「(石油需要が)完全に戻ることはない。20年後には(現状の)半分になるという思い切った想定を立てている」

最近、日本の大手企業のトップから、似たような発言が相次いだ。前者はヒトを運ぶ企業の象徴のような存在であるJR東日本の深沢祐二社長。後者はモノを作る際に欠かせない石油元売り最大手のENEOS(エネオス)ホールディングスの大田勝幸社長だ。

両者とも、経済が「コロナ前」に戻ることはない、と認識している。JR東日本の深沢社長は、発足以来初の終電繰り上げに踏み切ると明らかにし、エネオスの大田社長も石油事業を中心とした事業構造からの脱却を目指すとした。

世界的にもヒト・モノの移動は大幅に抑制される。国際航空運送協会(IATA)によると、2020年の世界の旅客数見通しは、対前年比55%減。また世界貿易機関(WTO)は今年の世界の物品貿易量が、楽観的シナリオで対前年比12.9%減、悲観的シナリオでは同31.9%減少すると予想している。

 ●データこそ資産

行き詰まりを迎えているかのような資本主義を尻目に、力を蓄えつつあるのが共産主義国家・中国だ。

「自由世界が中国を変えなければ、共産中国が私たちを変えてしまう」

米国のポンペオ国務長官による7月の対中政策に関する演説は、コロナ禍で激変する世界情勢の本質をついている。

しかし、中国で今実践されている経済システムは、「共産主義」というよりも「デジタル専制主義」だという分析がある。

18年の「世界経済フォーラム年次総会」(ダボス会議)で、ある講演が注目された。著書「サピエンス全史」のベストセラーで知られるイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏によるそれは、「テータこそが世界で最も重要な資産」と説いたうえで、データを持つ者やデータを制御する者が人類の未来も制御すると訴えた。そして、その行きつくところは「デジタル独裁」だと警鐘を鳴らした。

それは現在進行形の危機だ。中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団傘下の電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」に「芝麻(ゴマ)信用」という機能が組み込まれている。利用者の勤務先や資産、行動歴(買い物歴や借金歴など)などをポイント化し、そのスコアが高ければ、金利優遇などさまざまな恩恵を受けることができるというものだ。

問題は、芝麻信用のスコアが人生そのものを左右しかねないという点だ。中国の結婚情報サイトには登録者のスコアが掲載されている。当然、高スコアの人物には結婚希望が殺到する。逆にスコアが低ければ、幸せな結婚もままならない。

こうした個人情報を集積したビッグデータが高度な人工知能(AI)によって分析され、それを「国家」が利用したらどうなるか。

新型コロナの拡大によって、ヒトとヒトとの接触が困難となり、人の手を介さないキャッシュレス決済やリモート業務が一気に浸透した。今後、あらゆる経済活動のデジタル化が進むだろう。そして、前述のハラリ氏の説に沿って考えれば、こうしたデジタル活動のデータを独占的に掌握する者が経済を、世界を牛耳ることになる。一党独裁体制の中国なら、それは容易なことだと想像がつく。

400年前、ジャパン・シルバーの資産価値を大いに利用し、その後、世界を制覇したのが大英帝国だった。コロナ禍に直面する現代の世界は、「ビッグデータ」という新たな資産を武器にしようとする中国と、その野望を打ち砕かんとする米国とによる覇権争いの真っただ中にある。

 ●生き残りをかけ

そして今、問われているのは「自由」か「専制」かの選択であり、デジタル情報を自由のために生かす方法論だ。

その中で日本は生き残っていけるのか。

「複数の役所に分かれている政策を強力に進める体制として、デジタル庁を新設したい」

9月8日、安倍晋三首相(自民党総裁)の後継を選ぶ党総裁選の所見発表演説会で、最有力候補と目される菅義偉(すがよしひで)官房長官はこう訴えた。菅氏が描く「デジタル庁」の狙いは判然としないが、世界が「デジタル最終戦争」の様相を呈する中、日本政府としても相当な覚悟をもって国家的なデジタル戦略を描かなければならない。
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