電脳筆写『 心超臨界 』

幸せは外部の条件によって左右されるものではない
自分の心の持ちようによって決まるのである
( デール・カーネギー )

「国際金融のトリレンマ」を知れば経済を理解できる――高橋洋一

2024-12-21 | 08-経済・企業・リーダーシップ
20年に及ぶブログ活動の集大成 → ★仏様の指
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「固定為替相場」と「独立した金融政策」が両立しない理由は、為替介入です。固定相場というのは放っておいても相場が維持されるというものではなく、相場を維持するために介入し続けなければいけない制度です。介入のために嫌でも円を刷らなければいけないことがありますので、独立した金融政策を行なうことができなくなります。


『戦後経済史は嘘ばかり』
( 高橋洋一、PHP研究所 (2016/1/16)、p92 )

「国際金融のトリレンマ」というものをご存知でしょうか。これを知っておくと、経済のことを理解しやすくなります(図2)。

  図2:http://tinyurl.com/h97sjhs

ディレンマ(ジレンマ、ダイレンマ)という言葉はよく知られていますが、ラテン語で「ディ」は2つという意味で、「レンマ」は命題という意味です。2つの命題が両立しないときにディレンマが起こります。「あちらを立てればこちらが立たず」の状況です。

「トリ」は3という意味で、「トリレンマ」は3つの命題が一度に成り立たない状況のことです。トリレンマは、3つの命題のうち最大2つしか成り立ちません。

国際金融のトリレンマの命題は次の3つです。

  ・自由な資本移動
  ・固定為替相場
  ・独立した金融政策

資本移動が自由にできて、固定相場で為替レートが動かずに、国内の景気に応じて何にも左右されずに自由な金融政策をとれれば、経済にとって一番好都合です。しかし、3つのすべてを同時に達成することは不可能です。

最大2つまでしか達成できないとしたら、どれを選ぶのか。

資本主義の場合は、必ず「自由な資本移動」を選ばざるをえません。自由な資本移動は、各国で資本を融通するというもので、これができないと自由貿易体制は成り立ちません。先進国にとって「自由な資本移動」は必ず選ばなければいけない命題です。

資本主義社会では「自由な資本移動」は絶対条件ですから、残りの2つのうち1つしか選べなくなります。

固定為替相場を選べば、為替レートに左右されずに貿易ができますので、輸出入企業にとっては恩恵があります。その代わりに、国内で独立した金融政策を打てなくなります。

一方、変動為替相場を選ぶと、貿易をしている企業は為替変動にさらされますが、国内で独立した金融政策をとることができるようになります。

「固定為替相場」と「独立した金融政策」が両立しない理由は、為替介入です。固定相場というのは放っておいても相場が維持されるというものではなく、相場を維持するために介入し続けなければいけない制度です。

介入のために嫌でも円を刷らなければいけないことがありますので、独立した金融政策を行なうことができなくなります。日本の為替介入は円高を阻止する方向に働くことが多いため、円を刷る必要があり、国内はややインフレ気味になります。

高度成長期の日本は、1ドル=360円という為替レートの下、国内でインフレになるという犠牲を払っても、輸出産業で稼ぐ産業構造でした。圧倒的に有利な為替レートですから、輸出産業が稼ぎまくり、そのお金で賃金を上げて国内で回していました。多少のインフレになっても誰も文句をいわない世界でした。

ただ、固定相場を続けていると、「輸出産業だけに恩恵を与えている」という文句が国内で必ず出てきます。貿易相手国からは「貿易で儲けすぎている」という批判が持ち上がります。

日米間の場合は、日本が圧倒的に有利な為替レートになっていましたので、アメリカの産業が不満を持ち始めました。繊維分野などで貿易摩擦問題が起こり、「不公正な貿易障壁がある」というクレームが多くなりました。

日米繊維交渉をしていた当時は、障壁の原因がよくわからず、双方がかなりエキサイトしましたが、「為替に問題がある」ということをアメリカが認識してからは、為替への圧力がかかるようになりました。

アメリカは1ドル=360円の不均衡なレートに不満を募らせ、変動相場制へと移行していったのです。
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