電脳筆写『 心超臨界 』

変化することは
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( レオ・ブスカーリア )

人間通 《 倫理感――谷沢永一 》

2024-09-11 | 04-歴史・文化・社会
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人間の美徳として最も肝要でありながら知力とまったく無関係と思われる徳目がひとつ厳として存在する。すなわち倫理感である。出処進退に身を律すること清冽(せいれつ)な倫理意識が、人の世においてこよなき価値を有することに誰も異存はあるまい。しかし残念なことにその倫理感を測定する尺度がないのである。


◆ 倫理感

『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p33 )

無知が役に立ったためしはない、とバクーニンにマルクスが吠(ほ)えたとかいう。確かに知識は豊富であるに越したことはない。おそらく太古の昔から物知りは常に重んじられてきた。知識を蓄え得るのは記憶力に秀(ひい)でているからである。ゆえに記憶力は人間のさまざまな能力のうち最も上位にあると仰ぎ見られた。記録力が乏しくては知力の発育は覚束(おぼつか)ないであろう。ゆえに記憶力は知力の基礎であると見做(みな)される。知力を推し測ることはできないから、記憶力の査定を以(もっ)てそれに代替する。以上の経緯から試験制度が生まれた。同時に重大な仮定が発生する。知力すなわち智力(ちりょく)なりという根拠のない思いこみである。なるほど知力すなわち智恵(ちえ)を生むであろう。しかし智力を生む場合があり得るという蓋然性(がいぜんせい)の問題であって、知力すなわち知識を蓄える能力が必ず智恵に通じるという必然性の保証はない。

とは言うものの知力が智力へ通じる確率は相当に高いであろう。狡(ずる)賢い悪知恵も含めて知恵者となる可能性は大きいと思われる。しかし人間の美徳として最も肝要でありながら知力とまったく無関係と思われる徳目がひとつ厳として存在する。すなわち倫理感である。出処進退に身を律すること清冽(せいれつ)な倫理意識が、人の世においてこよなき価値を有することに誰も異存はあるまい。しかし残念なことにその倫理感を測定する尺度がないのである。隋(ずい)の文帝にはじまる世界中の試験制度は、結局のところ記憶力を試すことで知力を測る。その合格者の殆(ほとん)どは智力の持主であろうと楽観する。そして倫理感の程度を観察する企てだけは完全に放棄されてきたのである。
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