電脳筆写『 心超臨界 』

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ドクター・スース

不都合な真実 《 バイオエタノール――武田邦彦 》

2024-03-04 | 05-真相・背景・経緯
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人間があまり深く考えないで行動すると、とんでもないことが起こります。その一つの例がこのバイオエタノールで、ブッシュ大統領がバイオエタノールがよいと演説し、当時の日本の安倍首相がそれを支持したことです。その結果、トウモロコシはいうまでのなく、小麦、小麦から作るパンやうどん、それにバイオエタノールにするトウモロコシ畑が増えたので、そのとばっちりを受けてオレンジのようなものまで一斉に値上がりしました。


◆バイオエタノールは本当にクリーンなエネルギーなのか――武田邦彦

『偽善エコロジー』
( 武田邦彦、幻冬舎 (2008/05)、p59 )

カーボン・ニュートラルという難しい言葉は、京都議定書をきっかけにして知られてきた用語です。植物は、空気中の二酸化炭素と土の中の水、それに太陽の光で光合成を行って、自分の体を作ります。自然のままに生えている樹木を人の手で切り取って、それを燃やせば、石油などの化石燃料をほとんど使わずにエネルギーを取り出せます。その際、樹木の中に閉じこめられていた炭素は、燃えるときに酸素と結合して再び二酸化炭素になります。つまり、自然の状態で生育している樹木を燃やしても、「カーボン(炭素)」は「ニュートラル(増えも減りもしない)」ということです。

本当でしょうか。

たとえば、カーボン・ニュートラルの本命とされている「バイオエタノール」を作ってきたブラジルのサトウキビは、日本で想像するような育て方ではなく、これまで歴史的に特殊な環境の中で作られています。

ブラジルのサトウキビ畑は熱帯地方にあり、広大な農地があること、そして、かつては奴隷労働で今では失業者が多いため、低賃金の労働者を確保できる条件が整っています。このような場合、燃やせば1キロカロリーの熱を出すバイオエタノールを作るのに、0.8キロカロリー程度の石油を使うとされています。

ですから、カーボン・ニュートラルといっても、石油を直接ガソリンにして使うのに対し、20%だけ二酸化炭素を少なくすることができる程度です。たった2割です。ちなみにもともとブラジルがサトウキビからバイオエタノールを作るようになったのは温暖化が理由ではなく、石油の代わりになる資源を得ようとしたためです。

これに対して、アメリカのトウモロコシの場合はいろいろな計算がありますが、平均すると1キロカロリーの石油を使って、1キロカロリーのトウモロコシがとれると考えてよいでしょう。ですから、苦労してトウモロコシをエタノールにして、それを自動車にくべるくらいなら、最初から石油を直接ガソリンにまわすのと同じですから、何をやっているのかわからないといえます。

しかし世界には、多くの専門家、エネルギーや食糧の専門家がいるのに、なぜこんな奇妙なことが「カーボン・ニュートラル」という名前を付けて行われるでしょうか。それは、農業団体や石油団体が、より安定した商売をしようという思惑と圧力があって、それに環境によさそうな響きを持つ「バイオエタノール」を推し進めるという政治的な力からくるものなのです。

それでは日本ではどうでしょう。

日本の場合、戦後間もなくの時期に1キロカロリーのエネルギーで1キロカロリーのお米をとっていましたが、その後、ほとんどの仕事が人間の力から機械の力、もしくは肥料や農薬を使うということで、現在では1キロカロリーのお米をとるのに5キロカロリーの石油を使うようになっています。ここでは簡単に「石油」で表現しましたが、ここで石油というのは農薬や肥料を作るための石油も含まれています。いずれにしても、日本は広大な農地もなく、熱帯でもないので、お米のような食糧をバイオエタノールにするのはナンセンスです。

言葉の響きがよくないせいか、最近ではあまり使われませんが、バイオエタノールを「環境に優しい」というのは、単細胞的思考といってもよいでしょう。

人間があまり深く考えないで行動すると、とんでもないことが起こります。その一つの例がこのバイオエタノールで、ブッシュ大統領がバイオエタノールがよいと演説し、当時の日本の安倍首相がそれを支持したことです。その結果、トウモロコシはいうまでもなく、小麦、小麦から作るパンやうどん、それにバイオエタノールにするトウモロコシ畑が増えたので、そのとばっちりを受けてオレンジのようなものまで一斉に値上がりしました。

政治家というは、全体を考え、たとえ環境運動家が特定の利害のもとに変なことを主張しても、それによって食糧の値段がどんどん上がって、みんなが困るようなことに、普通は慎重になるのです。

ブッシュ大統領が2007年にバイオエタノール構想をぶち上げたとき、数社の新聞やテレビ局からインタビューを受けました。そのとき、「安倍首相は、これによって日本の食糧が高騰することを知っているのでしょうね?」と言われ、返答に窮したことを思い出します。もちろん政府がアナウンスするのですから、立派な人が考え抜いた結果と考えられます。でも日本の政府の首脳は頻繁に庶民を裏切り、業者や国際的なメンツを保とうと行動します。

これまでも、日本人は国民のためを考えない行動をとる政府の政策の被害を受けてきました。最近では社会保険庁の年金問題で、いかに日本政府がいい加減な団体かが理解されてきましたが、伝統的に日本人はお上を信じるところがあり、環境問題でも、多くの損害を出しています。
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