電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

全世界が平和でなければ、どの国の豊かさもまた脆い―― 西水美恵子さん

2006-11-18 | 06-愛・家族・幸福
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「あすへの話題――建国の父と牧師に学ぶ」
前世界銀行副総裁・西水美恵子
2006.09.09日経新聞(夕刊)
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ムンバイ市で列車同時爆破テロが起きた7月31日、あるインド高官から1通のメールが回送されてきた。「皆無事でよかったが、今日の惨事は我らにも関わる」と始まるそのメールは、インド建国の父ガンジーを語る。独立前後インドを襲ったヒンズー、イスラム教徒間の暴動を断食で鎮めた彼は、差別は母国と世界の平和を脅かすと諭し続けた。メールは、ガンジーの教えに倣って米国の黒人暴動を公民権運動へ導いたキング牧師にも言及。獄中の彼が1963年に書いた手紙を引用する。「ひとつの不公平はこの世全(すべ)ての公平を脅かす。我らは皆、不可避な相互関係の網にかかり、一枚の宿命の布で結ばれる。何事も一人の人間に直接影響を与えることは、全人類に間接的な影響を及ぼす」

建国の父と牧師に学ぼうと、メールは続ける。「歴史を振り返ってみると、何らかの不公平が国家の不安定をよび、その不公平の背景には必ず延々と続く貧困がある。一国の貧困は世界の平和を脅かす。今まで幾度もこの考えを君たちに話してきた。頭では正しいと信じていた。が、正直、私のハートはこの論理を超現実的だと感じていた。テロの惨事を身近にみた今日、頭とハートが繋(つな)がった。だから初めての自信と切迫感を込めて、再び言う。世界中の貧困と戦わねば、どの国の平和もただの紙の家。全世界が平和でなければ、どの国の豊かさもまた脆(もろ)い。貧困と戦う君たちのプロ根性と情熱を、今宵(こよい)心から誇りに思う…」

回送されたメールの日付は2001年9月11日。米国同時テロ突発の日の真夜中近く、首都ワシントン上空を旋回する戦闘機の騒音を耳にしながら、私が世銀の部下全員に送ったメールだった。

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