電脳筆写『 心超臨界 』

天才とは忍耐するためのより卓越した才能に他ならない
( ルクレール・ビュフォン )

人間通 《 新刊書——谷沢永一 》

2024-08-04 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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刊行された本が間もなく品切れになってゆく趨勢(すうせい)の原因は税制である。書物はゆっくりと売れてゆく息の長い商品だから出版社にとって在庫の確保は生命(いのち)である。一国の文化を支えるのは書籍の豊富な在庫ではないか。その有意義な堆積(たいせき)を財産と見做(みな)して課税するのは天下の悪法である。よほど資力のある社でない限り来年になったら必ず売れる在庫品を断裁して無に帰するという悲劇が行われるから品切れとなる。


◆新刊書

『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p115 )

書店へ赴いても欲しい本が直(す)ぐに手に入らない。取り寄せをたのんでも甚(はなは)だしく時間がかかる。その揚げ句に品切れという返事。何とかならぬかと不満の声が高い。しかし希望する書物が何でも即座に買えるお伽(とぎ)話のような時代が嘗(かつ)てあったか。昔は書籍の購入に今よりももっと手数がかかった。大型書店の出現により事態は当今の方が寧(むし)ろ好転している。遥(はる)かに貧しく不自由であった過去と比較しないでひたすら今の世に不平を鳴らすのは現代人の通弊である。販売面積をどれだけ広げても品揃(しなぞろ)えには限度がある。問題の第一は流通の渋滞であって、単価が低く利潤(マージン)も少ないのに細かい作業を要する取り寄せに、肥大化した取次(とりつぎ)組織が熱意を持たぬのも人情の自然である。費用は余計かかるにしても書物の注文と送達を司(つかさどる)仲介事業がいずれ発展するであろう。これからは必要経費を惜しまぬ心構えが肝心である。

刊行された本が間もなく品切れになってゆく趨勢(すうせい)の原因は税制である。書物はゆっくりと売れてゆく息の長い商品だから出版社にとって在庫の確保は生命(いのち)である。一国の文化を支えるのは書籍の豊富な在庫ではないか。その有意義な堆積(たいせき)を財産と見做(みな)して課税するのは天下の悪法である。よほど資力のある社でない限り来年になったら必ず売れる在庫品を断裁して無に帰するという悲劇が行われるから品切れとなる。政治家を恣(ほしいまま)に罵(ののし)るが官僚のする非道な行為には目を瞑(つむ)って何も言わぬ我が国民には、お上(かみ)を恐れる卑屈な根性が精神の尻尾(しっぽ)として残っているかの如(ごと)くである。
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