電脳筆写『 心超臨界 』

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D・パイプス

読む年表 古代~中世 《 『古事記』『日本書紀』成立――渡部昇一 》

2024-09-20 | 04-歴史・文化・社会
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『古事記』『日本書紀』は先の敗戦まで日本人の歴史観の根底をなしていた。現代において神話を事実と考える人はないだろうが、しかし、それを信じた人たちが日本を動かしてきたのだということはしっかり認識しておくべきであろう。いにしえのことをいにしえの目でみようという姿勢を忘れてはならない。


◆『古事記』『日本書紀』成立

『読む年表 日本の歴史』
( 渡部昇一、ワック (2015/1/22)、p36 )

712(和銅5年)
『古事記』『日本書紀』成立
日本人の歴史観を形づくった公平・良心的な史書

国史編纂を命じた天武天皇(在位673~686)の遺志を継ぎ、息子の草壁皇子(くさかべのみこ)の后(きさき)であった元明(げんめい)天皇が太安万侶(おおのやすまろ)に命じて、舎人(とねり=天皇・皇族の身の回りの世話をした役人)の稗田阿礼(ひえだのあれ)による口述を筆録・編纂させたのが『古事記』である。天武天皇の意図は、『古事記』にくわしく書いてあるとおり、天皇家の系図や古い伝承を保存することにあった。

『古事記』は正規の漢文ではなく、漢字を日本語の表音文字として用いているのに対し、8年ほど後、これも女帝である元正(げんしょう)天皇(草壁皇子と元明天皇の娘)が舎人親王(とねりしんのう)を総裁にして編纂させた『日本書紀』は堂々たる漢文で書かれている。これには帰化人も参加したと思われ、多くの編集員ができるだけの材料を集めて書いたものである。

『日本書紀』が漢文で書かれたのは、シナ人など外国人に見せてもわかるように、また、シナに対しても恥ずかしくないものをつくろうという意図があったのだろう。とはいえ、シナの官選の歴史書と大いに違うのは、第一巻で神代(かみよ)を扱っている点である。前漢の司馬遷は『史記』を書いたとき、神話・伝説の類を切り捨てる態度で歴史に臨んだ。

日本ではわざわざ神代巻をつくり、しかも、一つの話には多くのバリエーションが伝承されていることを認め、それをもすべて記録している。「一書ニ曰(イワ)ク」という形で、ある本にはこう書いてある。またある本ではこう言っていると、いろいろな部族のそれぞれの伝承を集めて、異説をズラリと並べているのである。こんな書き方はほかに例がない。現代から見ても、歴史書としては類がないほど良心的である。

『日本書紀』は明らかにシナの歴史書を意識してつくられたものであるが、しかし、素材に対する態度がまるで違っている。この点では日本の立場が確立している。

その理由は、シナでは王朝が何度も替わってしまっているので、古代の伝承そのものに対して司馬遷自身の愛着がなかったのではないかとも思われる。

それに対して『日本書紀』は、編纂した人々にとっては自分たちの属する王朝の正史である。文字がなかった時代のいろいろな伝承を、できるだけ広く集めて編集するしかなかったわけであるが、その範囲内における客観性への意図は、十分に表われていると見なければならない。現代においてすら、これほど客観性を重視した歴史書を持たない国はいくらでもある。

『古事記』『日本書紀』は先の敗戦まで日本人の歴史観の根底をなしていた。現代において神話を事実と考える人はないだろうが、しかし、それを信じた人たちが日本を動かしてきたのだということはしっかり認識しておくべきであろう。いにしえのことをいにしえの目でみようという姿勢を忘れてはならない。
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