電脳筆写『 心超臨界 』

良い話し手になるゆいつの法則がある
それは聞くことを身につけること
( クリストファー・モーレー )

日吉のやり方を理解しそれぞれの地域でアレンジしてもらいたい――湯浅勲さん

2008-11-09 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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広角鋭角「森林を守る」

  [1] 人工林 持続の岐路に
  [2] 採算確保へ間伐集約
  [3] 林業再生 成功例に学ぶ
  [4] 組織改革、若返りで成果
  [5] 科学的視点養う林業塾
  [6] 林業担い手、NPOで育成
  [7] 社員・家族 山仕事学ぶ


[3] 林業再生 成功例に学ぶ
【 広角鋭角「森林を守る」08.11.06日経新聞(夕刊)】

間伐が行き届かず荒廃が進む人工林。この状況を打開しようと林野庁は作業道建設や間伐などに対する補助金を拡充するとともに、間伐の効率が上がる「提案型集約化施業」を推進している。その先進モデルとして取り上げられているのが京都府中部の南丹市にある日吉町森林組合だ。

日吉は管内森林面積(約10700ヘクタール、うち人工林約4300ヘクタール)や従業員数(24人)を見ると平均的な組合だが、提案型集約化施業を軸に積極的に間伐を展開している。2003年から05年にかけては毎年300-370ヘクタールを間伐。今年は集約化20カ所で間伐面積約200ヘクタール、木材生産量約1万立方メートルを予定する。「この10年で管内の間伐は一巡した」と理事権参事の湯浅勲さん(57)。

間伐に本格的に取り組んだのは1997年、日吉ダム建設関連の公共工事がなくなったのが原因だった。「地域の森林が荒れているからそれならやろうと考えた」という。当初「呼びかけても反応は鈍かった」ため所有者に森林の状態を写真撮影して施業プラン(見積書)を提示する提案型施業を始めた。「みんな山の荒れた状況を知らなかった。プランを見せるとほとんどが契約してくれた」

大勢の小規模所有者に施業を提案し、その合意を得ながら一括して施業を代行する集約化も徐々に広げ、機械も1台1台買い増した。02年からはそれまで現場に切り捨てていた間伐材を搬出して売却するやり方を実行した。

「集約化しても捨てていては意味がない。搬出することで売り上げを所有者に戻せるようになり、搬出するために作業道整備も進んだ。作業道は一度造れば次の間伐から開設費が不要になりコストが下がる」と湯浅さん。今では人工林の4割で作業道を建設、10年以内に完了するという。

「すべて手探りでやってきた。働く意欲のわく組織づくりを続けてきたから軌道にのれば次々と改善が生まれた」と振り返る。

今では「日吉方式を学ぼう」と全国の森林組合などから視察や研修が絶えない。10月7日から施業プランナーのための「ステップアップ研修」が開かれ、昨年度始まった育成研修を終えた組合から約40人が参加。今回初めてプランナーだけでなく組合幹部や経理、現場の責任者も出席した。

「日吉のやり方を理解しそれぞれの地域でアレンジしてもらいたい。そうすれば間伐が進み林業も再生する」と湯浅さんは語る。

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